アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

New Sports/Minor Sports

スポーツはいつまでも同じ形をしてるとは限らない

Drone Racing League (DRL)をご存じでしょうか?その名の通りドローンを使ったレース競技の団体です。その味付けがうまいのでやたら未来的に見えてしまう、なかなかにおもしろいものです。本稿で興味を持たれましたらぜひYouTubeその他で映像をご覧になってください。そのスピード感とバーチャルとリアルの狭間の存在はこれまでにない興奮を呼び起こします。我々は21世紀、未来だと思っていた時代に生きているのだな、と思わせてくれる不思議なものです。
ブログを休んでいた時期に見始めて、これはすごいなあと感心してしまいました。やっていることはただのドローンでのレースです。リモートコントロールの車体・機体によるレースの類は大昔から多種多様に存在してきたのでそれ自体はなんら珍しくない。

違いを作っている要素がいくつかあります。まず圧倒的なスピード感。単なる直線スピードではなく急旋回、急上昇下降、その自在さがリアルとは思えない。似たものを探すとするとビデオゲームの世界しかないんですが、それが眼前、リアルの世界で飛翔する。他にない特殊な感覚があります。
操縦者(パイロット)がVRゴーグルをつけて機体を操縦するのもリアルとバーチャルの境を曖昧にします。ドローンに搭載されたカメラからの画像を見ながらパイロットが操縦していくというもの。ほとんどの会場(アリーナ)でドローンはメイン会場から出て行ってコンコースをすり抜け、メインエントランスの吹き抜け部分を三階まで急上昇し、といった操作がされる。こんなことがこんなスピードでできるんだという感嘆。コース上の通過ゲートおよび機体はネオンカラーで輝き未来風の味付けが盛り上げます。パイロットたちは皆若い、ゲーマー出身なのかなあというパイロットたちが多い。喋りなんかを聞いていても一般のスポーツ選手とはまったく違う人種。

似て非なるものとしていわゆるe-Sportsがあります。以前にも一度触れたことがありますが要は既存の人気ビデオゲームのトーナメントです。これはこれでおもしろいのですが、DRLとは意味が違う。DRLにおいてはリアルのレースをバーチャルなインタフェースでやっている、リアルのレースなんだけれどリアルとは思えないムードで観客を驚かせられるというもの。現時点のe-Sportsはなにがおころうと所詮は画面の中のことなんですね。敵を射殺する、基地が爆発する、必殺技が相手に炸裂して凄まじいダメージを与える。でもそれはリアルじゃない。もちろん将来的にはe-Sportsが進化してそのダメージの表現がよりリアルになっていく可能性があってそれはそれで期待したいところがありますが、現時点ではDRLがうまくリアルとバーチャルの境に最初に到達したかなという感覚があります。

アメリカのスポーツ人材育成 テニスの場合

良くも悪くもアメリカというのはあまり他国のことを気にしない国です。他所がどうやっていようとそれに合わせるかどうかは自分達のニーズ次第。アメリカがカレッジをスポーツの養成機関としているのは、クラブ方式の欧州とは大きく違うわけです。なぜそうなのかというと元々欧州よりも格段に識字率の低いアメリカ。そんなところでクラブ方式のスポーツ人材育成をしたらスポーツ以外能のない社会不適格者の大量生産になってしまう。多くのアメリカのプロスポーツが事実上カレッジを通過することを強要することで、少なくとも文盲みたいな選手を許すことはなくなっている(はず)。NBAが高卒選手をカレッジを経ず直接プロに行けるように再び制度変更を狙っていますが、それでも高校卒業は必須とするようですからある程度の教育義務は担保している。

ただ比較的若年でも世界のトップに近いところまで行ける早熟型のスポーツ ジャンルではこの制度ではうまくいかない。代表的なところではサッカーやテニスがそれに当たるでしょう。  

日曜日に終了した全米オープンテニスでいくつかアメリカのスポーツ育成が絡んだ話題がありました。女子シングルスでメジャー初優勝したSloane Stephensですが、TV放送で解説の方が言うには彼女はいわゆる裕福な家庭の出身ではなく、アメリカテニス協会が運営に出資していた地元のクラブに子供の頃に入ったことがきっかけでテニスを始められた子なのだと言います。テニス人口が細ってきたことへの危機感と対策として協会が20年以上前から取り組んできた草の根の掘り起こしの成功例なのだと。

男子の方で一回戦敗退だったFrances Tiafoeも似たケースなのだそうです。日本から見るとTiafoeは無名でしょうが、今回の全米オープンでは主催者指名ワイルドカードで一回戦でRoger FedererとプライムタイムのTV試合で対戦(例のSharapovaの試合の翌晩)してフルセットの熱戦をしてアメリカの一般のスポーツファンにお披露目をされた選手です。Tiafoeは直前大会のWestern & Southernで第4シードだったAlexander Zverevに大アップセット勝ちして初めて世界のトップ10選手に勝利したばかりの伸び盛り19歳。私はたまたまこの前大会の試合を見ていて大変盛り上がれました。それゆえFedererとの試合も試合前から期待していて、その期待を上回る大熱戦でFedererを苦しめた、久々の期待のアメリカ人男子選手です。

ゴルフやフィギュアスケートもそうですが、テニスも一般に親の強い後押しとコスト負担で過去成立してきたジャンル。強化するには若い頃から個人的に相当の経済的負担が必要なスポーツで中流以下の家庭からは選手が見いだせないというのが常識でした。その常識をひっくり返して遂に全米オープンチャンピオンを産み出した。米テニス協会や関係者の喜びは一般に想像される以上に大きいのだと思います。  

メジャースポーツと人材の取り合いで互さねばならない中でテニス協会は結果を出しつつあるということですね。ちなみにテニス協会が大会中に流していたCMによればそれらのクラブはテニスを教えるだけでなく、学校の宿題をこなすのを手伝うチューターもクラブ内に配置して学業で落ちこぼれてしまう選手を出さない配慮もしていたようです。  

17年目のMLL

先週末にプロラクロスリーグのMajor League Lacrosse (MLL)の決勝戦がありました。場所はNFL Dallas Cowboysのインドア練習施設であるThe Ford Center at The Starで。練習施設と言ってもCowboysのそれ、立派な観客席もある美麗な施設です。フィールドの真ん中にはCowboysのロゴのローンスターも描かれてそこでフェイスオフ。ちょっと残念なのはフェイスオフのボールが置かれる位置がスターの中心じゃなかったことですが。

試合の方は最終第4Qに7連続ゴールで試合をひっくり返したOhio Machineが17-12でMLL初制覇。MLLの常勝チームであるDenver Outlawsとの二年連続の優勝戦での対決、昨年の借りを返しています。Ohio Machineは創設6年目の後発チーム。ラクロスが盛んとは言えない中西部Ohioをホームに観客動員では苦戦しながらもチームを存続させて遂にMLLの頂点へたどり着きました。

試合内容は良かったです。私がラクロス観戦馴れしたから、という可能性もあるので確たる事は言えないですが、見所の多い楽しめる試合。最後のOhio Machineの7連続ゴールラッシュではフェイスオフでボールを勝ち取ったフェイスオフ専門選手がそのままDenverゴールへ突進して真正面からスコア!なんてこともあり勝ったOhio側は大盛り上がり。


今季のMLLはTV露出が落ちて、観客動員数もリーグ全体で約10%低下という数字が出てます。全9チーム中Ohioを含む過半数の5チームが試合当たりの観客動員が2,500人以下。よくこれでリーグが維持できてるなあという数字。MLL創設17年目。後発プロスポーツリーグということで比較されるサッカーMLS(22年目)、女子バスケWNBA(21年目)の17年目と比べると彼我の差は大きい。動員規模だと創設5年目の女子サッカーNWSLの動員力と近い線ですか。NWSLは露出は低いですが女子サッカー全体というくくりだと全米規模でかなりの露出が確保できているNWSLと、それに類するものがほぼ皆無、国内での普及地方が偏っているというMLLラクロスではファンベースの厚みがまったく違うので簡単には論ぜられませんが、17年目、そろそろ黒字転換できるチームが増えてきて欲しいところか。

Ohio Machineの地元となるオハイオ州ではカレッジスポーツの総合商社The Ohio State Buckeyes(及び所属先のBig Ten)が重い腰を上げて2015年からやっと正式種目としてラクロスを採用。採用するとなったら勝たないと気が済まないのがOhio Stateという学校で、大いに力を入れて学内でもプッシュしているようです。今季はNCAAトーナメントで躍進、全米準優勝。プロでOhio Machineが優勝、地元の大人気Ohio Stateが全米準優勝と、決してラクロスが盛んでないオハイオ州のチームが気を吐いているという展開となります。

MLL 7チームが8勝6敗で並ぶ大混戦のままフィニッシュ

野外プロラクロスMajor League Lacrosse(MLL)のレギュラーシーズンが終了しています。今季は9チーム(過去最大)が参加して行われたリーグ戦(各14試合)の結果、なんと7チームが8勝6敗の同成績でシーズンを終える混戦。二週間前には首位から2ゲーム差に7チームがひしめいていたのが、上のチームがことごとく負けてそのプレーオフ圏内の7チームが完全に並ぶということに。タイブレーカーの規程では3チーム以上がタイだった場合はそのチーム同士での勝敗、得点差で決着云々とあるんですが、なにせ7チームでの比較なので計算が大変で結局のところ全試合が終わるまで誰もどこがプレーオフ(4位以内)に当選したのかさっぱりわからないということになりました。おもしろいと言えばおもしろいですが、混乱もかなりした模様です。マイナースポーツでスポーツマスコミの専門家の解説なんていうものもないですからMLL公式が発表するまでよくわからないまま。

結果は同一勝敗ながら上からOhio Machine、New York Lizards、Denver Outlaws、Charlotte Houndsの4チームがプレーオフに進出。今季はMLLは準決勝と決勝をそれぞれ中立地で行うという試みのため順位で上位になったOhioやNew Yorkにもホームフィールドアドバンテージなし。Ohio x Charlotte戦はミネソタ州で、New York x Denverはコネチカット州で。それぞれの試合の勝者がジョージア州アトランタで決勝に臨むというスケジュールになってます。New Yorkが近場のコネチカットで試合ができるのがほぼ唯一の地縁のポストシーズン。MLLはオールスター戦やプレーオフを所属チームの地元以外で開催するという試みをここ数年続けていて、それらの試合をMLLの将来の拡張宣伝にしているというわけ。拡張意欲が旺盛なのはマイナースポーツにしては積極的で意気良しというところですか。

今季はMLLはシーズン中の試合放送が激減。プレーオフの3試合はCBS Sports Networkで放送予定なんですが、3試合とも中立地での試合でTVに映るのがガラガラのスタジアムだったり、地元の応援が見込めない状態だったりするのはマイナスじゃないのかなあと心配になります。

ラクロスMLLの曲がり角シーズン

8月になりました。アメスポの各種マイナープロスポーツ・春夏型リーグが結末を迎える月です。9月のフットボールシーズン開幕を前に、または各種学校の夏休みの終わりとともに店じまいをする感じであります。先日お伝えした新設15人制ラグビーPRO Rugbyもその一つ。最大規模のものはマイナーリーグベースボール各レベル。他にもArena Football League、野外ラクロスのMLL、女子サッカーのNWSL、女子室内フットボールLFLなどなど。かつてはメジャースポーツにほど近かったIndyCarシリーズも昨今は9月にシーズンを終了する春夏型のスケジュールでマイナーの側に寄ってきています。

そのひとつ、ラクロスのMLLについて少し。過去当ブログではMLLについては何度も取り上げています。今季はMLLにとって創設16年目。チーム数が過去最大の9チームによるシーズンで過去数シーズン続いていた二回総当たり制でのスケジュールが組めなくなっています。各チームの試合数は昨年までと同じ14試合。現時点で各チームが2~3試合を残して首位から2ゲーム差内に7チームがひしめく大混戦となっています。上位4チームによるプレーオフが待っていて、レギュラーシーズンの最終盤の生き残り戦からファンにとっては大いに盛り上がるところかもしれません。(2チームだけ脱落しているのは今季新設されたAtlanta Blazeと2014年に設立のFlorida Launch。健全です)

ただ気になるのが今季MLLの試合放送が昨年から激減したように我が視聴環境からは見えるところです。カレッジラクロスの放送が今年は大幅に増えたのと比べるとこの激減は目立つ。但しこれはそうは見えない家庭もあるはずではあります。MLLの放映権を地元のケーブル専門局が積極的に購入している余波でそうなっているようです。我が家ではケーブルではなくサテライトなので全国一律の数百チャンネルが見られるわけです(それに各種スポーツパッケージを追加)。そのサイズメリットに対抗すべく地域限定型のケーブルTV運営会社は近年地元のマイナースポーツ(プロ・カレッジ問わず)を積極的に放送するようになっています。つまり全国型サテライトと地域型ケーブルの顧客の取り合いの武器としてマイナースポーツ放送の囲い込みが進んでいて、その流れにMLLも巻き込まれ、その結果全国型のプロバイダと契約で見ている我が家ではMLLの試合を見る機会が激減したという流れです。

MLLのような一般的人気が微妙なプロリーグにとってはこの争奪戦は有り難い収入なはずです。先日見に行ったPRO Rugbyの試合にも地元のケーブルTime Warnerの放送車が横付けされて、ああ地元ケーブルではPRO Rugbyの放送があったんだなと感心。アメリカ市場経済・競争原理の結露だなあと思って眺めていました。全国放送には向かないけれど地域ならそれなりに人的地域的につながる人たちが見る(かもしれない)ものを他にもいろいろ細かく囲い込んで全国型TVプロバイダに対抗している。このビジネス戦略パターンは極マイナーなものが大半ですが、マイナーとメジャーの中間というべきサッカーMLSやさらにその上のホッケーNHLや野球MLBにも食指を伸ばそうかという勢いがある。人目に触れ易い時刻・チャンネルでの全国放送がしっかりとあるメジャー級のスポーツはそうなっても全国レベルの露出はあまり落ちませんが、ラクロスMLLのように全国放送が脆弱(今季はCBS Sportsnetworkでプレーオフ3試合など極僅か)だと一気に露出が落ちちゃうんだなあと。これからまだ伸ばしていかなければならない立場のマイナープロとしては痛し痒し。当面は地域チャンネルからのお金で財政立て直しという感じでしょうか。せっかく大激戦になっているリーグ戦終盤が露出が落ちているのはもったいないかも。

なお私の視聴環境でも試合を積極的に見ようと思えばESPN系のネットストリームであるESPN3を通じてほとんどの試合は見ることはできます。単にTVでたまたまという露出機会の喪失という話です。カレッジラクロスが大幅に露出を伸ばしたタイミングでプロがそれを上手く拾う機会を逃しているのはもったいないですが、経済的体力を養っている時期ということになるのかもしれません。

Street Fighter on ESPN2

ESPNはアメスポの最大手ケーブル局。多数のサブチャンネルも持ちESPN系列を抜きでアメスポは語れません。ほぼ全てがスポーツの放送・報道なのですが少々の例外もあります。この日曜日にビデオゲームストリートファイターの決勝大会(EVO World Championship)の放送がESPN2でありました。これはかなり目新しい試みです。ビデオゲームの大会の中継は過去にゲーム関連のチャンネルであったので放送自体は珍しくないですが、ESPNのナンバー2局であるESPN2というベース視聴者の多い局で、スポーツ局でというところが珍しい。先日も少しバーチャルリアリティとスポーツのことに触れましたがそちらへの序章のひとつかなという感じもします。今回の放送のクライマックスへ向けてESPN系ではMadden NFL 2016優勝戦、Heros of the Dormトーナメントの総集編なども放送して視聴者にゲームの実況中継というESPN系にとって新しい試みである放送をサポート。最終的にどういう反応が視聴者から返ってきたのか、今後の同系のTVイベントにスポーツ最大手のESPNがどういう手応えを得たのか興味があります。

選ばれたゲームがMadden、ストファイとそれなりにスポーツ色のあるゲームなのでESPNも手探りなんだろうな、という感じはします。

ESPN系列で非スポーツの人気番組というとWorld Series of Pokerというのがあります。あれもスポーツではないですがESPNの固定視聴者の多さという局自体の強さ、編集のうまさもあって人気番組になりました。Texas Hold'emというポーカーのスタイルを一気に全国区の標準型にまで高めた番組です。その後他局も参入して有象無象そこらじゅうで放送しています。World Series of Pokerはブランド化したもののポーカー番組を独占することも人気プレーヤーを囲むこともできず、という結果に。

今回のe-Sports(と総称)放送への初の本格参入はポーカーと違って囲い込みは(もしESPNが望むなら)比較的しやすそうではあります。それ以前にESPNの番組として受け入れられるのかどうか。

またESPN系列が新しいジャンルをさらに欲していたんだなという点でも興味深いです。夏場は確かにメジャースポーツはMLBだけ。MLBは週三回の定時放送以上には増やせなさそうな中、夏序盤にCollege World Series、夏の終わりにLittle League World Seriesがあって、野球はほぼそれでいっぱいいっぱいか。サッカーの欧州選手権が今年はありましたがサッカーはスポーツファンの中で好き嫌いが激しく見ない人はまるで関心がない。そもそもEUROは時差もあり昼間の放送が多数でプライムタイムには無理。この時期になると欧州のトップクラブが毎年のアメリカ遠征ツアーを行い、その放送もありますがそれは所詮プレシーズンの小手調べ。欧州では人気の自転車ロードレースはどうにもアメリカではウケない。カレッジスポーツは夏休みなので将来にわたってもこの時期にはコンテンツを作りようがない。ESPN自前でX Gamesというコンテンツは作ってそれはそれで成功したもののせいぜい数日間の穴埋めでしかない。多局化展開しているESPN系列だけにコンテンツ不足はこの時期慢性化しているということになる。その結果、いままで手を出したことのないe-Sportにも進出してみることになった、ということなんでしょうね。

NCAAラクロスはノーシードのNorth Carolina 男女ともに制覇

アメリカでは月曜日はMemorial Dayの祝日、三連休。アメスポでこの毎年の三連休というと中日の日曜日にIndy 500が行われるのが恒例。注目度は大きく劣りますがカレッジスポーツの方では男子ラクロスの全米準決勝戦二試合が土曜日に、決勝が月曜日に同じ大会場で行われるのももうひとつの恒例です。激戦が多く楽しめた今年のNCAAラクロストーナメントはノーシードから勝ち上がったACC所属のNorth Carolinaが、元ACC所属・現Big Ten所属となったNo. 1シードのMarylandを熱い延長戦の末に破って優勝。カレッジラクロスの世界では新参となるBig TenからNCAA初制覇となりそうな瞬間もあったのですがそうはならず。

North Carolinaは準々決勝から三試合連続となる試合開始直後からの連続ゴールでMarylandを攻め立てポゼッションを明け渡さないままの4−0での発進。序盤にNorth Carolinaのロングショットがズバズバ決まるのは前の二試合と同じで、前の二試合ではそのまま相手を圧倒して大差で勝利していた(それぞれ終盤に相手が点差を詰めましたが最終スコア以上の圧勝)だけに、この決勝戦もNorth Carolina一辺倒になるのかと思われたのですが、そこからMarylandが逆襲して4-4。Marylandの逆襲はラッキーな面もあったのですが(シュートのリバウンドがMarylandの選手にきれいに収まってそのままセカンドチャンスゴールが4点のうち3本)、それで息を吹き返したMaryland。それ以降は一進一退の熱い試合となり大変楽しめました。過去のNCAA決勝観戦歴の中でもトップクラスの試合となったと思います。終盤のターンオーバーや反則でポゼッションが激しく入れ替わるどんでん返しの連続もラクロスではなかなかない白熱の最終盤につながりました。レギュレーション終了間際に犯したMarylandの反則(1分間1名退場)が延長戦開始時に続いてそのまま決勝ゴール。North Carolinaは前日に女子ラクロスでもMarylandを破って全米制覇で男女同時全米王者の快挙。過去Brownも男女同時制覇したそうです。

ラクロスに詳しくない友人と準決勝ともに観戦していたのですが「なぜアメリカではラクロスは人気がないの?」という質問が出るほど楽しんでくれたようでした。ちなみに準決勝の土曜日は同時刻にUEFA Champions Leagueの決勝があって、二画面で見ていたんですが、ご存じの通りCL決勝の方はあまりおもしろいと言える試合ではなく、かつ例によって恥ずかしいニセケガで審判を騙そうというサッカー界の大一番を汚すような行為まで出てました。その裏で双方が攻めまくる熱いラクロスの試合を見ていたラクロスバージンのような人がサッカーよりも野球よりもラクロスおもしろいかもという感想を漏らしていたのは(単に私の個人的な経験とは言え)ラクロスの人気スポーツ化に光明なのかなという気もしました。以前から書いてますが20世紀の人気スポーツだったサッカー、野球、ボクシングはともに何かが起こるまでファンを待たせる面が強く、アクションが続くラクロスも提示の仕方をさらに工夫すればメジャースポーツに互していける隙はあるのかもしれません。

カレッジスポーツの方では月曜日に野球のNCAAトーナメントの組合せの発表がありました。カレッジの春スポーツの本命はまだ野球の方だと思いますが、ラクロスが急速に春スポーツのナンバー2の地位を固めつつあるのが印象的な2016年シーズンだったかと思いました。

Belichickは両刀

NFL New England Patriotsの名将Bill Belichickが学生時代にラクロスもプレーしていたという話は過去に当ブログでも何度か書いています。今週末からカレッジラクロスのNCAAトーナメント(18校出場)が始まっており、それに合わせてラクロスメディアがBelichickのインタビューを公開、試合中継中に宣伝をしていました。YouTubeで見られます。なにがおもしろいと言って、フットボールの話をするときとはまるで違う笑顔が素敵というところがすごい。話を聞いていてもラクロス、好きなんだねえというのがひしひしと感じられました。Belichickの子供さんたちもラクロスをプレーして育ったという話をしていました。Clevelandに住んでいた頃はプレー環境は良くなかったけれどNew England、New Yorkとラクロスの盛んな東海岸に移住してからは子供達の環境もアップしていったという話なんかもしてくれました。

ビデオの後半には実際にキャッチボールをしながらの場面があるんですけれど、おもしろいのは右利きなのか左利きなのかBelichickは誰にも明かしたことがない、と言ってキャッチボールも右左両方でさらりとこなしていたのです。「たぶんうちの子供たちも自分がどっちが利き手か知らない」と言うほどで、それが現役時代のBelichickの武器だったとか。お歳になった今でもインタビュワーに利き腕を何度も訊ねられても口を割らないという徹底ぶり。その辺の裏をかくという考え方、普段から、そして長い時間をかけてその裏をかく準備の周到さなんかはPatriotsでのプレーコールに通じるものがあるかななんて思いました。


NCAAトーナメントの一回戦も好試合が続いていて楽しんでます。Dukeの大型フォワードMyles Jonesを見事に封じたMaryland-Loyolaの好ディフェンスが光った一戦はカレッジラクロスのレベルがここ数年で一気に高まっているのかなということを感じさせる試合でした。Jonesについては二年前にも少し書いています。これでJonesはカレッジでのプレーを終えてプロリーグMLLに加入していくんでしょう。


Belichickのインタビューの話に戻りますが、現行のラクロスのルールをひとつ変えられるとしたら何を変えたいですかという問いに、攻守両方に参加できるミッドフィールダーをルール上でもっと許して攻守分断を弛めたらどうかという話をしていました。

カレッジラクロス戦国時代到来か

男子カレッジラクロスで昨年の全米チャンピオンだったDenver Pioneersが所属のBig Eastトーナメント決勝で敗戦しています。相手はMarquette Golden Eagles。このBig East決勝戦@DenverをFOX Sports 2が放送していました。少し前に当ブログでも書きましたが今シーズンは多数のスポーツ専門局がカレッジラクロスの放送を積極的に展開しています。この試合、地元開催となった王者Denverが前半リード。それが後半に入ってMarquetteが怒濤の6連続ゴールで逆転。第4Qに入って激しい争いとなりましたが最後は1点差を追うDenverの攻撃を振り切ってMarquetteのBig East初優勝。DenverはBig East加入以来3年目でBig Eastの学校に敗戦するのは初。この両校はともにNCAAトーナメントに進出することが決まっています。試合自体は激戦。前半に今季全勝・昨季王者で地元のDenverが4点差で折り返したときはこのままあっさりDenverかなと思ったのがMarquetteがフェイスオフで主導権を握って連続で得点を重ねたところの迫力はなかなかにエキサイティングでした。

Big Eastカンファレンスがラクロスを正式種目としたのは2014年からで今季が3年目。Big Eastカンファレンス自体がフットボールの都合で完全に分裂したのが2010年。その後は名称は昔ながらのBig Eastですが、現在はカソリック校10校(フル所属)を集めた小規模カンファレンスになっています。フットボールはFBSから消え、バスケでもその存在感を大きく減退させたBig East。その後のカレッジスポーツ界での生き残り策の一環としてラクロスの採用が進んだということのようです。但しBig Eastの所属校でラクロスを持つ学校は5校しかなく、外部のラクロス有力校だったDenverを招いて6校制としてスタートしたのが2014年。Big East新王者となったMarquetteが創部したのが5シーズン前。初優勝したチーム内にも5年目のシニアも数名残っており、まったくの新興チーム。つまりはカンファレンスもできたて、Denver以外は歴史のあるチームもないというのがBig Eastラクロスということです。それが中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー市の新興Marquetteがカレッジラクロスの西の雄=Denverを下してNCAAトーナメントに登場するわけです。

ラクロスは伝統的にアメリカの東部で人気です。そのひとつの現れとしてカレッジラクロスの全米分布について過去に書いたことがあります。当時掲げた分布図で見ると明らかですが、西に大きく飛び地となったDenverを除くと、カレッジラクロスのDiv-I校のテリトリーの西の果てはインディアナ州のNotre Domeでした。それが新興でつい最近になってDiv-Iに昇格したMarquetteが単にラクロスのテリトリーを広げただけでなく、全米チャンピオンを堂々破ってカレッジラクロスの勢力図を中西部に持ち込んだことに意義があります。カレッジスポーツの最大カンファレンスであるBig Tenが昨季からラクロスを正式種目としたのと併せて、東部に極端に偏っていたラクロスがいよいよカレッジスポーツの一大根拠地である中西部に実力校を持つに至ったというのはラクロスが全米規模のスポーツに展開していく過程として大きな一歩なんだろうと思います。

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