アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

New Sports/Minor Sports

MLL 7チームが8勝6敗で並ぶ大混戦のままフィニッシュ

野外プロラクロスMajor League Lacrosse(MLL)のレギュラーシーズンが終了しています。今季は9チーム(過去最大)が参加して行われたリーグ戦(各14試合)の結果、なんと7チームが8勝6敗の同成績でシーズンを終える混戦。二週間前には首位から2ゲーム差に7チームがひしめいていたのが、上のチームがことごとく負けてそのプレーオフ圏内の7チームが完全に並ぶということに。タイブレーカーの規程では3チーム以上がタイだった場合はそのチーム同士での勝敗、得点差で決着云々とあるんですが、なにせ7チームでの比較なので計算が大変で結局のところ全試合が終わるまで誰もどこがプレーオフ(4位以内)に当選したのかさっぱりわからないということになりました。おもしろいと言えばおもしろいですが、混乱もかなりした模様です。マイナースポーツでスポーツマスコミの専門家の解説なんていうものもないですからMLL公式が発表するまでよくわからないまま。

結果は同一勝敗ながら上からOhio Machine、New York Lizards、Denver Outlaws、Charlotte Houndsの4チームがプレーオフに進出。今季はMLLは準決勝と決勝をそれぞれ中立地で行うという試みのため順位で上位になったOhioやNew Yorkにもホームフィールドアドバンテージなし。Ohio x Charlotte戦はミネソタ州で、New York x Denverはコネチカット州で。それぞれの試合の勝者がジョージア州アトランタで決勝に臨むというスケジュールになってます。New Yorkが近場のコネチカットで試合ができるのがほぼ唯一の地縁のポストシーズン。MLLはオールスター戦やプレーオフを所属チームの地元以外で開催するという試みをここ数年続けていて、それらの試合をMLLの将来の拡張宣伝にしているというわけ。拡張意欲が旺盛なのはマイナースポーツにしては積極的で意気良しというところですか。

今季はMLLはシーズン中の試合放送が激減。プレーオフの3試合はCBS Sports Networkで放送予定なんですが、3試合とも中立地での試合でTVに映るのがガラガラのスタジアムだったり、地元の応援が見込めない状態だったりするのはマイナスじゃないのかなあと心配になります。

ラクロスMLLの曲がり角シーズン

8月になりました。アメスポの各種マイナープロスポーツ・春夏型リーグが結末を迎える月です。9月のフットボールシーズン開幕を前に、または各種学校の夏休みの終わりとともに店じまいをする感じであります。先日お伝えした新設15人制ラグビーPRO Rugbyもその一つ。最大規模のものはマイナーリーグベースボール各レベル。他にもArena Football League、野外ラクロスのMLL、女子サッカーのNWSL、女子室内フットボールLFLなどなど。かつてはメジャースポーツにほど近かったIndyCarシリーズも昨今は9月にシーズンを終了する春夏型のスケジュールでマイナーの側に寄ってきています。

そのひとつ、ラクロスのMLLについて少し。過去当ブログではMLLについては何度も取り上げています。今季はMLLにとって創設16年目。チーム数が過去最大の9チームによるシーズンで過去数シーズン続いていた二回総当たり制でのスケジュールが組めなくなっています。各チームの試合数は昨年までと同じ14試合。現時点で各チームが2~3試合を残して首位から2ゲーム差内に7チームがひしめく大混戦となっています。上位4チームによるプレーオフが待っていて、レギュラーシーズンの最終盤の生き残り戦からファンにとっては大いに盛り上がるところかもしれません。(2チームだけ脱落しているのは今季新設されたAtlanta Blazeと2014年に設立のFlorida Launch。健全です)

ただ気になるのが今季MLLの試合放送が昨年から激減したように我が視聴環境からは見えるところです。カレッジラクロスの放送が今年は大幅に増えたのと比べるとこの激減は目立つ。但しこれはそうは見えない家庭もあるはずではあります。MLLの放映権を地元のケーブル専門局が積極的に購入している余波でそうなっているようです。我が家ではケーブルではなくサテライトなので全国一律の数百チャンネルが見られるわけです(それに各種スポーツパッケージを追加)。そのサイズメリットに対抗すべく地域限定型のケーブルTV運営会社は近年地元のマイナースポーツ(プロ・カレッジ問わず)を積極的に放送するようになっています。つまり全国型サテライトと地域型ケーブルの顧客の取り合いの武器としてマイナースポーツ放送の囲い込みが進んでいて、その流れにMLLも巻き込まれ、その結果全国型のプロバイダと契約で見ている我が家ではMLLの試合を見る機会が激減したという流れです。

MLLのような一般的人気が微妙なプロリーグにとってはこの争奪戦は有り難い収入なはずです。先日見に行ったPRO Rugbyの試合にも地元のケーブルTime Warnerの放送車が横付けされて、ああ地元ケーブルではPRO Rugbyの放送があったんだなと感心。アメリカ市場経済・競争原理の結露だなあと思って眺めていました。全国放送には向かないけれど地域ならそれなりに人的地域的につながる人たちが見る(かもしれない)ものを他にもいろいろ細かく囲い込んで全国型TVプロバイダに対抗している。このビジネス戦略パターンは極マイナーなものが大半ですが、マイナーとメジャーの中間というべきサッカーMLSやさらにその上のホッケーNHLや野球MLBにも食指を伸ばそうかという勢いがある。人目に触れ易い時刻・チャンネルでの全国放送がしっかりとあるメジャー級のスポーツはそうなっても全国レベルの露出はあまり落ちませんが、ラクロスMLLのように全国放送が脆弱(今季はCBS Sportsnetworkでプレーオフ3試合など極僅か)だと一気に露出が落ちちゃうんだなあと。これからまだ伸ばしていかなければならない立場のマイナープロとしては痛し痒し。当面は地域チャンネルからのお金で財政立て直しという感じでしょうか。せっかく大激戦になっているリーグ戦終盤が露出が落ちているのはもったいないかも。

なお私の視聴環境でも試合を積極的に見ようと思えばESPN系のネットストリームであるESPN3を通じてほとんどの試合は見ることはできます。単にTVでたまたまという露出機会の喪失という話です。カレッジラクロスが大幅に露出を伸ばしたタイミングでプロがそれを上手く拾う機会を逃しているのはもったいないですが、経済的体力を養っている時期ということになるのかもしれません。

Street Fighter on ESPN2

ESPNはアメスポの最大手ケーブル局。多数のサブチャンネルも持ちESPN系列を抜きでアメスポは語れません。ほぼ全てがスポーツの放送・報道なのですが少々の例外もあります。この日曜日にビデオゲームストリートファイターの決勝大会(EVO World Championship)の放送がESPN2でありました。これはかなり目新しい試みです。ビデオゲームの大会の中継は過去にゲーム関連のチャンネルであったので放送自体は珍しくないですが、ESPNのナンバー2局であるESPN2というベース視聴者の多い局で、スポーツ局でというところが珍しい。先日も少しバーチャルリアリティとスポーツのことに触れましたがそちらへの序章のひとつかなという感じもします。今回の放送のクライマックスへ向けてESPN系ではMadden NFL 2016優勝戦、Heros of the Dormトーナメントの総集編なども放送して視聴者にゲームの実況中継というESPN系にとって新しい試みである放送をサポート。最終的にどういう反応が視聴者から返ってきたのか、今後の同系のTVイベントにスポーツ最大手のESPNがどういう手応えを得たのか興味があります。

選ばれたゲームがMadden、ストファイとそれなりにスポーツ色のあるゲームなのでESPNも手探りなんだろうな、という感じはします。

ESPN系列で非スポーツの人気番組というとWorld Series of Pokerというのがあります。あれもスポーツではないですがESPNの固定視聴者の多さという局自体の強さ、編集のうまさもあって人気番組になりました。Texas Hold'emというポーカーのスタイルを一気に全国区の標準型にまで高めた番組です。その後他局も参入して有象無象そこらじゅうで放送しています。World Series of Pokerはブランド化したもののポーカー番組を独占することも人気プレーヤーを囲むこともできず、という結果に。

今回のe-Sports(と総称)放送への初の本格参入はポーカーと違って囲い込みは(もしESPNが望むなら)比較的しやすそうではあります。それ以前にESPNの番組として受け入れられるのかどうか。

またESPN系列が新しいジャンルをさらに欲していたんだなという点でも興味深いです。夏場は確かにメジャースポーツはMLBだけ。MLBは週三回の定時放送以上には増やせなさそうな中、夏序盤にCollege World Series、夏の終わりにLittle League World Seriesがあって、野球はほぼそれでいっぱいいっぱいか。サッカーの欧州選手権が今年はありましたがサッカーはスポーツファンの中で好き嫌いが激しく見ない人はまるで関心がない。そもそもEUROは時差もあり昼間の放送が多数でプライムタイムには無理。この時期になると欧州のトップクラブが毎年のアメリカ遠征ツアーを行い、その放送もありますがそれは所詮プレシーズンの小手調べ。欧州では人気の自転車ロードレースはどうにもアメリカではウケない。カレッジスポーツは夏休みなので将来にわたってもこの時期にはコンテンツを作りようがない。ESPN自前でX Gamesというコンテンツは作ってそれはそれで成功したもののせいぜい数日間の穴埋めでしかない。多局化展開しているESPN系列だけにコンテンツ不足はこの時期慢性化しているということになる。その結果、いままで手を出したことのないe-Sportにも進出してみることになった、ということなんでしょうね。

NCAAラクロスはノーシードのNorth Carolina 男女ともに制覇

アメリカでは月曜日はMemorial Dayの祝日、三連休。アメスポでこの毎年の三連休というと中日の日曜日にIndy 500が行われるのが恒例。注目度は大きく劣りますがカレッジスポーツの方では男子ラクロスの全米準決勝戦二試合が土曜日に、決勝が月曜日に同じ大会場で行われるのももうひとつの恒例です。激戦が多く楽しめた今年のNCAAラクロストーナメントはノーシードから勝ち上がったACC所属のNorth Carolinaが、元ACC所属・現Big Ten所属となったNo. 1シードのMarylandを熱い延長戦の末に破って優勝。カレッジラクロスの世界では新参となるBig TenからNCAA初制覇となりそうな瞬間もあったのですがそうはならず。

North Carolinaは準々決勝から三試合連続となる試合開始直後からの連続ゴールでMarylandを攻め立てポゼッションを明け渡さないままの4−0での発進。序盤にNorth Carolinaのロングショットがズバズバ決まるのは前の二試合と同じで、前の二試合ではそのまま相手を圧倒して大差で勝利していた(それぞれ終盤に相手が点差を詰めましたが最終スコア以上の圧勝)だけに、この決勝戦もNorth Carolina一辺倒になるのかと思われたのですが、そこからMarylandが逆襲して4-4。Marylandの逆襲はラッキーな面もあったのですが(シュートのリバウンドがMarylandの選手にきれいに収まってそのままセカンドチャンスゴールが4点のうち3本)、それで息を吹き返したMaryland。それ以降は一進一退の熱い試合となり大変楽しめました。過去のNCAA決勝観戦歴の中でもトップクラスの試合となったと思います。終盤のターンオーバーや反則でポゼッションが激しく入れ替わるどんでん返しの連続もラクロスではなかなかない白熱の最終盤につながりました。レギュレーション終了間際に犯したMarylandの反則(1分間1名退場)が延長戦開始時に続いてそのまま決勝ゴール。North Carolinaは前日に女子ラクロスでもMarylandを破って全米制覇で男女同時全米王者の快挙。過去Brownも男女同時制覇したそうです。

ラクロスに詳しくない友人と準決勝ともに観戦していたのですが「なぜアメリカではラクロスは人気がないの?」という質問が出るほど楽しんでくれたようでした。ちなみに準決勝の土曜日は同時刻にUEFA Champions Leagueの決勝があって、二画面で見ていたんですが、ご存じの通りCL決勝の方はあまりおもしろいと言える試合ではなく、かつ例によって恥ずかしいニセケガで審判を騙そうというサッカー界の大一番を汚すような行為まで出てました。その裏で双方が攻めまくる熱いラクロスの試合を見ていたラクロスバージンのような人がサッカーよりも野球よりもラクロスおもしろいかもという感想を漏らしていたのは(単に私の個人的な経験とは言え)ラクロスの人気スポーツ化に光明なのかなという気もしました。以前から書いてますが20世紀の人気スポーツだったサッカー、野球、ボクシングはともに何かが起こるまでファンを待たせる面が強く、アクションが続くラクロスも提示の仕方をさらに工夫すればメジャースポーツに互していける隙はあるのかもしれません。

カレッジスポーツの方では月曜日に野球のNCAAトーナメントの組合せの発表がありました。カレッジの春スポーツの本命はまだ野球の方だと思いますが、ラクロスが急速に春スポーツのナンバー2の地位を固めつつあるのが印象的な2016年シーズンだったかと思いました。

Belichickは両刀

NFL New England Patriotsの名将Bill Belichickが学生時代にラクロスもプレーしていたという話は過去に当ブログでも何度か書いています。今週末からカレッジラクロスのNCAAトーナメント(18校出場)が始まっており、それに合わせてラクロスメディアがBelichickのインタビューを公開、試合中継中に宣伝をしていました。YouTubeで見られます。なにがおもしろいと言って、フットボールの話をするときとはまるで違う笑顔が素敵というところがすごい。話を聞いていてもラクロス、好きなんだねえというのがひしひしと感じられました。Belichickの子供さんたちもラクロスをプレーして育ったという話をしていました。Clevelandに住んでいた頃はプレー環境は良くなかったけれどNew England、New Yorkとラクロスの盛んな東海岸に移住してからは子供達の環境もアップしていったという話なんかもしてくれました。

ビデオの後半には実際にキャッチボールをしながらの場面があるんですけれど、おもしろいのは右利きなのか左利きなのかBelichickは誰にも明かしたことがない、と言ってキャッチボールも右左両方でさらりとこなしていたのです。「たぶんうちの子供たちも自分がどっちが利き手か知らない」と言うほどで、それが現役時代のBelichickの武器だったとか。お歳になった今でもインタビュワーに利き腕を何度も訊ねられても口を割らないという徹底ぶり。その辺の裏をかくという考え方、普段から、そして長い時間をかけてその裏をかく準備の周到さなんかはPatriotsでのプレーコールに通じるものがあるかななんて思いました。


NCAAトーナメントの一回戦も好試合が続いていて楽しんでます。Dukeの大型フォワードMyles Jonesを見事に封じたMaryland-Loyolaの好ディフェンスが光った一戦はカレッジラクロスのレベルがここ数年で一気に高まっているのかなということを感じさせる試合でした。Jonesについては二年前にも少し書いています。これでJonesはカレッジでのプレーを終えてプロリーグMLLに加入していくんでしょう。


Belichickのインタビューの話に戻りますが、現行のラクロスのルールをひとつ変えられるとしたら何を変えたいですかという問いに、攻守両方に参加できるミッドフィールダーをルール上でもっと許して攻守分断を弛めたらどうかという話をしていました。

カレッジラクロス戦国時代到来か

男子カレッジラクロスで昨年の全米チャンピオンだったDenver Pioneersが所属のBig Eastトーナメント決勝で敗戦しています。相手はMarquette Golden Eagles。このBig East決勝戦@DenverをFOX Sports 2が放送していました。少し前に当ブログでも書きましたが今シーズンは多数のスポーツ専門局がカレッジラクロスの放送を積極的に展開しています。この試合、地元開催となった王者Denverが前半リード。それが後半に入ってMarquetteが怒濤の6連続ゴールで逆転。第4Qに入って激しい争いとなりましたが最後は1点差を追うDenverの攻撃を振り切ってMarquetteのBig East初優勝。DenverはBig East加入以来3年目でBig Eastの学校に敗戦するのは初。この両校はともにNCAAトーナメントに進出することが決まっています。試合自体は激戦。前半に今季全勝・昨季王者で地元のDenverが4点差で折り返したときはこのままあっさりDenverかなと思ったのがMarquetteがフェイスオフで主導権を握って連続で得点を重ねたところの迫力はなかなかにエキサイティングでした。

Big Eastカンファレンスがラクロスを正式種目としたのは2014年からで今季が3年目。Big Eastカンファレンス自体がフットボールの都合で完全に分裂したのが2010年。その後は名称は昔ながらのBig Eastですが、現在はカソリック校10校(フル所属)を集めた小規模カンファレンスになっています。フットボールはFBSから消え、バスケでもその存在感を大きく減退させたBig East。その後のカレッジスポーツ界での生き残り策の一環としてラクロスの採用が進んだということのようです。但しBig Eastの所属校でラクロスを持つ学校は5校しかなく、外部のラクロス有力校だったDenverを招いて6校制としてスタートしたのが2014年。Big East新王者となったMarquetteが創部したのが5シーズン前。初優勝したチーム内にも5年目のシニアも数名残っており、まったくの新興チーム。つまりはカンファレンスもできたて、Denver以外は歴史のあるチームもないというのがBig Eastラクロスということです。それが中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー市の新興Marquetteがカレッジラクロスの西の雄=Denverを下してNCAAトーナメントに登場するわけです。

ラクロスは伝統的にアメリカの東部で人気です。そのひとつの現れとしてカレッジラクロスの全米分布について過去に書いたことがあります。当時掲げた分布図で見ると明らかですが、西に大きく飛び地となったDenverを除くと、カレッジラクロスのDiv-I校のテリトリーの西の果てはインディアナ州のNotre Domeでした。それが新興でつい最近になってDiv-Iに昇格したMarquetteが単にラクロスのテリトリーを広げただけでなく、全米チャンピオンを堂々破ってカレッジラクロスの勢力図を中西部に持ち込んだことに意義があります。カレッジスポーツの最大カンファレンスであるBig Tenが昨季からラクロスを正式種目としたのと併せて、東部に極端に偏っていたラクロスがいよいよカレッジスポーツの一大根拠地である中西部に実力校を持つに至ったというのはラクロスが全米規模のスポーツに展開していく過程として大きな一歩なんだろうと思います。

春スポーツでラクロスが攻勢に

カレッジスポーツでは現在冬シーズンのバスケットボール、アイスホッケーがシーズンのフィナーレを迎えています。バスケのFinal Four、ホッケーのFrozen Four、と最終局面に向かうところ。その裏で春スポーツである野球、ラクロス、男子バレーボールなどがシーズン前半を戦っているところでもあります。

先週バスケのMarch Madnessの熱戦があった週末の昼間にラクロスの試合の放送を見ていました。No. 3 Syracuse@No. 5 DukeというACCの試合。ラクロスの世界では両チームともに名門と言えます。試合は双方のガッツを感じさせる大激戦でかなり楽しめました。その日の前後の時間帯や、その前週もカレッジラクロスの試合が多数放送されていて、え、最近はこんなにたくさん放送するんだ、という感じでした。

春スポーツというとアメスポ・学校スポーツの伝統的な流れでは野球だったわけです。秋はフットボール、冬はバスケ、春は野球というローテがある種の王道。もちろん自由主義のアメリカですから個々の興味と体格と才能に合わせて自由に選んで秋にサッカー、冬にレスリングなりホッケー、春にテニスや陸上をやる人も多くいるわけですが、ことステレオタイプな王道パターンはいわゆるプロの三大スポーツとマッチしたその三種目だったのです。その春スポーツでどうもTV放送の予定を見ているとスポーツ専門局は野球からラクロスに大きくシフトしているように見える。これはけっこうな新味であろうかと思います。

各種データからアメリカの子供達が「やるスポーツ」としての野球を選ぶことが減っている(それでもまだ上位ですが)という点は過去に何度も指摘されているところ。では何にシフトしているかというと学校スポーツの春シーズンに限定するとどうも現時点でのその答はラクロスになりそうなのです。他にもサッカーやラグビーという解答もありうるのですが、「見るスポーツ」としての当面の解答としてはスポーツ専門各局はラクロスを選んでみたようです。

以前から指摘しているとおり「待たせるエンタメ」である野球は、我慢強くなくなった21世紀の視聴者にとっては少々問題のあるコンテンツになってきている可能性がある。カレッジであればCollege World Seriesやその前段であるNCAAトーナメント序盤はESPN系列がしっかりと囲い込んで放送してまずまずの視聴率を確保するものの、そうではないレギュラーシーズンの試合は視聴者が待ってくれない。今回、ラクロス放送の攻勢に置き換えられた状態のように見えるのもその文脈上の変化のように思えます。各カンファレンスやTexasは独自の専門局を持っておりそちらでは野球やソフトボールは放送されているのでカレッジベースボールを積極的に見たいという人が見ることのできる試合数はそこそこあるのですが、一般的なスポーツ放送のESPN系などでの放送ではラクロスが優勢になったのかもということです。

ジャンルとしてはまだまだ一般への馴染みはラクロスは野球に大きく劣る現状においては、一般のスポーツファンがたまたまラクロスの試合の放送にぶつかるという機会はラクロスにとっては最良のものでありましょう。まだまだ小さな変化ですが、今季のカレッジラクロスの露出がどういう視聴率を記録していくのか、また将来にどうつながっていくのか興味があるところではあります。

野球場の新たな強みか Big Air at Fenway

NBAがオールスター休みの間の常設の興業ライバルであるNHLやカレッジバスケが比較的おとなしい中、その間隙を突いてこんな実験的な興業もあります。MLB Boston Red Soxの本拠地であるFenway Parkに14階建て相当の高さのスノースロープを設置してのスノーボードおよびスキーのフリースタイルジャンプの興業が木金の二日間にわたって開催。TV放送はNBCSNで。これはけっこうおもしろいのかもしれません。

649_bigair_renderこれが企画段階でのスロープの見取りですが実際にTVで見てみるとかなり良かったです。実際のジャンプが起こる位置は二塁ベースよりも後方ですがとにかく位置が高いので全席から楽しめそう。こんなものをぶっ建てて興業が見合うのかどうか、その辺のお金の計算はさておき見やすさという面ではけっこう良さそうでした。昨日書いたNHLの野外試合Stadium Tourを極寒のフットボール場や野球場でやるという話ですが、その二つなら野球場の方がまだ見やすいだろうなあと思っていたわけです。見やすさなら野球場、観客動員数を稼ぎたいならフットボール場というところでしょう。このBig Air企画は野球場にぴったり。外野席は最初から除外するとして内野の上部席から見ても自分達の目線に近い高さで上空を舞うボーダー達を見るのは新鮮な体験になりそうです。

出場する選手達にも好評だったみたいです。先日行われたWinter X Gamesの当該種目に出場した選手達が出ているわけですが口々に大観衆に見られる幸せを語っていました。なるほどなあと。X Gamesやその後に通常年続くツアーでは全米各地のスキーリゾートを廻るわけで、都市部のスタジアムでの開催は選手たちにとっても新鮮。通常、これらの試合の行われるスキー場というのは山岳部にあって観客もいるにはいても、根本的にはスキー・スノボを自ら楽しむ人たちしか現地にいず、下の方にいくらかいる程度で今回の企画のような数万人が歓声をあげてくれるという様な環境での試合はありえない。それを一発やってみたというのが今回の企画。これ、野球場にかなり合ってます。来季以降他の都市での開催もありなんじゃないでしょうか。

アメリカのスキー場というと西のロッキー山脈のスキーリゾートがイメージ的には当然のように頭に浮かびます。これは国外から見た場合のイメージでもそうであろうと思われます。Winter X Gamesは例年Aspenでの開催。それ以外でもVeilあたりが知名度は高い。

ただアメリカは人口の大半は東部時間帯に住む構成で、実際にスノースポーツを楽しむ人の数はイメージと外れる東部の人もかなり多いはずです。そちらの方が実数は多いのかもしれない。今回のBig Airの開催地ボストンを含む東部の人たちがスキーを楽しむ場合にはアメリカ北東部のニューハンプシャー州やバーモント州などに行くわけです。私も東部時間帯ゾーン在住者の端くれなので(ウチからは遠いですけど)車で行けるアパラチア山脈のスキーリゾートに行く方が飛行機で行くロッキーより楽なのです。ウチはスノボとスキーと二刀流なのでモノも増えてしまい飛行機での移動だとものすごく大変なのです。で、まあ東部の人口の多いエリアの潜在的なスノースポーツ消費者を刺激する意味でもこういう都市部でのBig Airイベントは効果的な宣伝となる可能性はかなりある。Big Air at Fenway単独で放映権料や入場料のみでイベントがペイするかどうかは判りませんが、それにプラス東部の各地のスキーリゾートからのスポンサー料も入るでしょうし、ビジネスモデルとして成立しそうな気配はなきにしもあらず。今回は物珍しさもあって好動員を記録したようです。これから他の都市の野球場、例えばYankees Stadiumなどでも開催があったりする可能性を感じます。フットボール場はNFLのスタジアムだと遅い場合1月半ばまで試合があり得るためこういうスロープの設置の時間的余裕もないでしょうが、MLBのスタジアムならその面でも有利。野球場の観客席の配置もこのイベントには合っている。いや野球場以上に合っている場所はまずないと言ってもいいほど。

スタジアムに大規模な土木工事を持ち込んでやるスポーツイベントというとオフロードバイクのスタジアムツアーSupercrossなんかもあります。Supercrossは歴史もありおもしろいですが、TVでの露出という面ではWinter X Gamesと比較して劣る。それでも十分にツアー興業として成立しているわけで、Supercrossがいけるならこれもいけるかも。冬のMLBスタジアムの活用とBig Air、施設の稼働率もアップで相性が良さそうな気もします。どんどん新しいものが出てくるアメリカ社会の強みも感じさせる新興業です。

アメリカでのハンドボール

せっかくハンドボールの話をコメント欄で展開したのを研究成果として一本のまとめた記事にして残しておこうと思います。話題を振っていただきありがとうございました。後発マイナースポーツのアメスポシーンでの振興とはいかなるものになるのかという視点でも意味のあるやりとりになったのではないかと思います。


まず発端は日本でハンドボールを楽しまれている方からアメリカでのハンドボールの普及状況や展望についてお問い合わせをいただきました。ハンドボールは五輪競技であり、日本では古くから日本リーグ実業団があって、大人気ではないにしても馴染みはそこそこあるスポーツかと思います。対してアメリカでは五輪実施競技の中で最も馴染みの薄い競技の一つであると思います。私はアメリカにきて長いですが実際にプレーをしているのはただの一度も見たことがない。多チャンネル化が進んだ近年の五輪放送で稀に見かける程度です。たぶん大多数の人がハンドボールという競技を見たことがないはず。五輪のときが唯一の露出の機会だとして、米代表は1996年アトランタ五輪以来五輪に出場できていないのでそちらも苦しい。
米代表チームの記録を少し調べてみると昨年2014年に行われたPan American Men's Handball Championshipで参加8カ国中の6位。5位決定戦でグリーンランドに敗れています。アメリカが人口56,000人のグリーンランドに負けるスポーツがあるのね、という感じです。グリーンランドって国ですらないですし。全ての競技を通じてグリーンランドが「American」な国際大会に出ていることを今回初めて知りました。同大会ではグリーンランドはコンスタントに3~5位に入っているようです。宗主国デンマークはハンドが強いようですからグリーンランドでも競技レベルの低い米大陸の大会では勝負になるようです。

さてそのアメリカでのハンドボールがどうやったら人気が出るかということですが、アメリカでのハンドボールの振興をはかる予算がどこからかたっぷり湧いたとしたら、欧州にいる二重国籍のハンドボール選手をかき集めればすぐに五輪予選ぐらいは突破できるようになりそうな気もします。五輪参加ができれば徐々に露出は増えるでしょう。ただ普及となると現在はプレー人口も少なくNCAAの種目でもない根無しで種まきから始めないといけないですから道のりはそうとう遠いとは思います。同じ五輪に出られていないにしても実業団など手厚くプレー機会もあり歴史のある日本とは格段の差だと思います。

教えていただいたところによるとハンドボールのコートおよびゴールはフットサルやローラーホッケーのコートと同じサイズとのこと。つまりフットサルのある国ならばあとはコートのラインを引いて、ボールさえ持ってくればすぐにプレー可能だという話です。ところがアメリカにはフットサルはほとんどありません。アメリカでも寒冷地ではインドアサッカーをやりますが、これはフットサルとは別物の規格。コートの大きさも違うし人工芝を敷いたものがほとんどかと思います。つまり場所をハンドボールに流用することはできない。ハンドボールはまず場所捜しからしてアメリカでは問題に突き当たるわけです。

-------------------以下訂正部分になります-------------------

で、そもそもの話としてアメリカでHandballというと日本で当然想定する五輪スポーツとしてのハンドボールではなく、別のスポーツを想定することの方が多いようです。五輪ハンドボールはTeam Handballと表記される。私個人ではその素手でやる壁打ちテニスのようなHandballの方も実際に見かけたことがないので実感がないのですがそちらはそちらでそれなりの数の大学がクラブ活動をしているようです。

このリンク先を見ると大学でクラブ活動でやっているところはそこそこあるようです。比較的大規模校が多いような。大規模校で施設面で余裕があるからできる面があるのかもしれません。いまアメリカの大学では優秀なアスリートをリクルートする目的でスポーツ施設の豪華さを大変なレベルで競っており豪奢なアスレチックビルディングが建ち、最新施設を備えたアリーナもどんどん建て替えている。その結果キャンパス内にまだ耐用年数のある若干古めのスポーツ施設が余っているところが増えているかと思います(どこも土地はたっぷりある)。そこをマイナースポーツがクラブ活動的に自由に使えるという場面は多い。たぶんそこにハンドボールの草の根活動も入っているんじゃないかなと想像します。リンクで紹介した各大学の活動状況のメモ欄を見ると設立3年目とか5年目というような記述が目立ちます。ごく最近になってハンドボールの草の根活動が活発化してきたということなんでしょうね。

で肝心の五輪ハンドボールの方はというと、米五輪スポーツの統合公式サイトからたどっていくと米国内のクラブのリストがありました。大学のクラブと一般のクラブ活動をしているところを併せて全米に40~50チームほどが点在。地区もバラバラなので対外試合も多くはできなさそうです。完全に憶測で各クラブ平均30名がアクティブに活動しているとして換算すると米国内の実働選手は1500人というところでしょうか?他に活動基盤がないとしたら、この規模で試合もあまりできないとなると総人口5万人のグリーンランドに負けるのも致し方ないのか。

それでもクラブ名を見てるとDC Deplomats(外交官)、DC Silencers(銃の消音器、たぶんFBIのOBを意識?)などと気の利いたチーム名のクラブもあったり、楽しんでプレーを続けている方もいるのだろうなと想像させてくれます。

米ハンドボール協会が作成したらしいプロモビデオで「いまアメリカで一番早く成長しているスポーツ」というコメントがついていました。「一番成長」というのは過去サッカー・ラクロス・ラグビー・Xスポーツ・アリーナフット・ビーチバレーその他数々のマイナースポーツが名乗ってきたことで、どの部分をどうやって切り取るかでいくらでも言えることなのでさほどの意味はないですけれど、それでも嘘は言えないわけでなんらかの伸びはあったのでしょう。独自のスポーツを含めて数限りないスポーツ活動を楽しむ国であるアメリカでハンドボールがこれからどういう形でかその存在感を増していく可能性は高いと見積もることはできませんが、草の根で楽しんでいる方が確実にいることと五輪スポーツであることの強み(日本でのような圧倒的なアドバンテージにはなりませんが)がうまく噛み合ってなんらかの動きになることもまったく否定することはできないんでしょう。

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