アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

New Sports/Minor Sports

B/R Liveの宣伝で室内ラクロスに言及

B/R LiveというのはBleacher Reportブランド下で展開されているウェブストリーミングのスポーツ局です。昨年放送を開始したばかりの新参です。
そこが今日のTNTで放送されていたNBAのプレーオフの試合の最中の宣伝で気になることを言ってました。実況のベテランアナウンサーMarv Albertさんが読み上げてたんですが「B/R Liveで UEFA Champions League、UEFA Europa League、NLLをライブで配信」云々。AlbertさんはEuropa Leagueをご存知なかったようで読めずに詰まったりしてました。

私がひっかかったのはそこではなくNLLの方です。NLLと読み上げただけでそれがNational Lacrosse Leagueであるとは注釈をつけなかったので、知らない方だとNLLが何の放送なのかわからない言い方でした。欧州サッカーはともかく、その次に来るのがNLLなのか、と。

National Lacrosse Leagueは室内ラクロスのプロリーグです。ラクロスのプロリーグとしては野外ラクロスよりも結成は先行して1987年から活動を続け今季が33年目と長い活動実績があります。現在アメリカ・カナダにまたがる11チーム(うち在カナダ4チーム)でのリーグ戦+プレーオフ。今季2チーム増加、来季にさらに2チーム(カナダ1チーム)追加参戦予定。

NLLはしばしば自らを宣伝する売り文句として「世界で3番目の平均動員実績を持つ室内プロスポーツリーグ」ということを言います。バスケNBA、ホッケーNHLに次いで、世界を見渡してNLLより動員ができる室内スポーツのプロリーグはないというのです。
昨季実績でNLLの平均動員は9,411人とされ世界3位(NBA/NHLはそれぞれ14,000人以上)。4位以下のArena Football League、バスケEuroLeague、女子バスケWNBA、スイスアイスホッケーNationalliga A、Philippine Basketball Associationなどを抑えて3位なのは事実のようです。ここまでで名前の出ていない知名度のあるところでホッケーのKHLはどうも大都市と地方都市の動員の差が大きく平均値だと上記の各リーグの他、スペインのバスケ、ドイツのホッケーも下回るということらしいです。なかなかおもしろい。平均動員を基準にした序列だとアイスホッケーでKHLは世界第4位のリーグというわけですね。

そういう具合で他国のプロスポーツと比較すると立派な動員を達成しているNLLですが、アメリカ国内での一般の知名度はかなり落ちる。チームのある地元都市だとまた違うのでしょうがそうでもないとほぼ見えない存在だったはず。大手局での全国放送はありませんでした(カナダは存じません)。地元局での放送がほとんど。プロスポーツリーグとしてはNLLより後発の野外ラクロスのMLLや、サッカーのMLSにもその存在感では抜かれていた。
そのNLLがB/R Liveと放送契約を結んだ。それだけではなく番宣で名前を3番目に呼ばれてしまうほどのコンテンツとしての待遇になっている、というのに私は反応したわけです。

4大メジャースポーツや、その下の二番手プロスポーツ、カレッジスポーツなどは既に先行したスポーツ局各陣営に放映権をがっちり押さえられており後発のB/R Liveがすぐに手をつけられるところがほとんどなかったから、というのが一番の理由ではあることは簡単に想像できますが、それにしても数秒程度の短い番宣でわざわざ言及するほどなんだというのは意外でした。
上述したとおりNLLは今年2チーム来季2チームとリーグ拡張中。多局化が大きく進行したこともあり過去10年ほどのアメスポ各ジャンルの放映権価格は高騰の一方でした。ここ数年は多局化はさすがに一段落したところですが、そこへYouTube TV、B/R Liveといった新興のネット配信企業が入ってきたことでさらにマイナーアメスポジャンルへも放映権バブルの恩恵が回ってきた、NLLがその受益者として登場したことになるんでしょう。それとの相乗効果でリーグも拡張中と。

女子プロラクロス、ESPN系列で放映へ

女子プロラクロスのWomen’s Professional Lacrosse League (WPLL)が今季の試合10試合をオンラインストリーミングのESPN3で、決勝戦をESPNUで放送すると発表してます。よほどお好きな方以外は女子のプロラクロスリーグが存在すること自体を知らない段階ですから、どういう形でもアメスポメディア最大手のESPN系列での露出が確保できたのはよろこぶべきことでしょう。想像するに零細でしょうから金銭面でも助けとなるのでしょうね。

従来のESPN3.comのコンテンツの多くは昨年立ち上がった有料サービスのESPN+に移行しており、無料のESPN3の方に残ったライブのコンテンツが少なくなっており、その空き枠にWPLLを入れたということだと理解してます。そういう意味ではwin-win。また同時にESPNが掲げる社会貢献としての女子スポーツ支援にも沿う動きでもあります。

先週書いた記事でESPN.com内ではプロラクロスの情報がまったくない(ように見える。どこか深くに埋まってるのかもしれませんが)ということを報告してます。これでWPLLがESPN陣営に加わるとたぶん女子スポーツ専門の配下ESPNWでWPLLの情報が配信されるようになるのかも。そうだとすれば進歩です。

開催地元向け五輪の可能性 フットボールとラクロスの場合

まだ先ごろ2024年のパリ五輪での新規採用種目決定の報道があったばかりですから、その次の2028年ロス五輪での新採用競技決定まではたぶん4年ほどあるのであろうと想像されますが、それに向けての運動はそろそろ本格化していくのでしょう。ラクロスもその流れで昨年末に統括団体のFILがIOCから暫定承認を受けています。向こう3年の期限付き。その間に正式競技採用へ向けて活動を展開するんだと理解しています。
ラクロスと同時に競技団体として暫定承認を受けたのはサンボとキックボクシングとか。

最近の記事でいろいろ五輪をくさしてみました。それでもその影響力は群小のマイナースポーツにとってはその競技単独では望むべくもない大きな露出の機会を与えてくれるのも確かです。独自でプロ組織がありビッグビジネスとなっている種目ですら国際的な露出増加の手段として五輪種目化を目指したりするわけですから。

例えばNFLがフットボールを五輪種目にしようとひそかに運動しているという話が漏れてきます。しかしいくら地元とは言えやる前から米国の金メダルはまったく動く可能性がゼロなのにやる意味があるんでしょうか。プロが出場しないぐらいではまだ2位以下との差は遥かに遠く勝負にならない。
アメリカ人はまったく存在を知らないでしょうがアメリカンフットボールにも世界選手権大会が存在します。これに出場する米代表はカレッジのウォークオン(非奨学金支給対象選手)卒業生や2部3部の元選手など。そのメンバーですら出場すれば圧勝してます。強すぎるので米代表が出場しない大会もありました。

ちょっと考えてみてください。NFLには32チームありロースターは53人=計1,696人のNFL選手がいます。これにCFLやAAFなどのマイナープロの選手がざっと考えて1000人弱か。カレッジの1部FBS校が130校 x 奨学金選手上限が85枠 = 11,050人。1部FCSが124校 x 63枠 = 7,812人。ここまでだけでもざっと上から2万人の現役選手がいるわけです。それ以外に大学2部3部の選手がいて1部校のウォークオンもいる。1部奨学金選手までの上位2万人を出場させなくても米代表が間違いなく圧勝してしまう競技。最初から金メダル確定なのです。こんなものを五輪で競わせる意味があるんでしょうか。2位以下の争いは意味がないとは言いませんが。
それでもNFLがなにやら五輪種目化を後押ししているというような話を聞くとなにを目指してんのかなともやもやします。


例えばラグビーは40分ハーフの試合を、人数を半分に削った上に7分ハーフという試合の質の変わってしまうモノに差し替えまでして五輪種目化しましたよね。試合時間で言えば2割以下の長さの簡略版ラグビーです。ラグビーは経済規模ではアメスポと比較するとかなり小さいので五輪化でなんとか露出を増やしたい、海外市場を拡張させたいという念願はわからないでもないです。実際、世界のスポーツ市場で最大の市場であるアメリカ国内でのラグビーの認知度はここ10年内に大きく向上したという効果があったわけですから簡略版で五輪競技化した意義はあったわけです。

ではNFLフットボールはどんなものを五輪種目化で目指しているのか。これは以前から当ブログでは書いてますが個人的には女子のLFLのようなもので良いのではないかと思ってます。それも時間をもっと短くしたもので。
フル規格のフットボールなんて世界選手権の様子を見ても選手を揃えられる国がほとんどないはずです。無理にやったとしても試合レベルは米国内の既存のフットボールファンにも見向きしてもらえないものになるのは確実で、そうなったら地元開催枠で競技採用しても一体誰が見るんだよ、ということになります。長続きしそうな気もしません。どうしてもやるというのなら7人制ラグビー同様人数、試合時間を相当に絞ったものを考えているのでは。というか考えていて欲しい。


話が大きくズレました。ラクロスのロス五輪の競技採用の可能性の話をしたくてこの記事は始めたのでした。
フットボールの一強に対して、北米産スポーツのラクロスはアメリカ・カナダの二強の構図。二強ぐらいのスポーツは既存の五輪スポーツでも女子のアイスホッケーなんて例もあります。昨年の平昌での女子ホッケー代表の優勝はアメリカ国内ではまずまずの話題になりました。一強よりはずっとマシでしょう。ラクロスも男女セットで夏季五輪に競技採用となれば米国内的には盛り上がる可能性はあります。米国内の影響でいえばラクロスの普及度に国内東西格差が存在するだけに西への侵攻・全国展開には意義がありそうです。

ではラグビーのようにIOCから簡略版を求められたらどうするのか。ボックスラクロスという室内競技は北米でプロ化されて30年以上にわたって存在するので道具立てやルール整備、運営ノウハウはあるのでしょうが、個人的な感想ではあれはちょっと違うのではないか、と思ってます。時間を短くするのは当然の妥協としてもぜひ野外でやってほしいなあと思っていたわけです。
さすがにそんな私が心配するようなことは米ラクロス協会も承知していたようで昨年末から6人対6人(通常10人づつ)の野外の試合を実験的に行ってみています。ただ時間短縮への踏み込みは足らず(と私には思えます)8分 x 4クォーターとか。通常のラクロスの国際試合は15分 x 4Qなので、中の人が考えると時間の半減は大きな改革なんでしょうが、たぶんもっと削らないといけなくなるんじゃないですかね。削った方が露出効果には良いのは7人制ラグビーで証明済みな気もしますし。またラクロスの場合、力の差のある対戦、一方的な試合が多くなるのも目に見えてるわけで、それを30分以上やり続けるのが良いことかどうかという視点も欲しい。濃厚な試合は決勝戦だけにしてその試合だけは長くやるという工夫でもいいかも。


さてラクロスはそのように五輪採用に向けての取り組みを既に開始しているのに対して、フットボールの方で五輪用の簡易ルールの工夫を模索してるという話は聞きません(まさかフラッグフットを想定?)。ほんとに採用に向けて運動してるのかなと疑いたくなるほど。
ひょっとしたらカネさえ出せばICOはどんな内容でも折れるとでも高を括っているのか。確かにNFLにはそれができます。ラクロス始めマイナースポーツにはそんな真似はできませんがNFLにはできる。IOCの過去の行状を考えると確かにカネで枠を買うことは可能でしょうが、そんなことしてNFLに何の得があるのかというところが知りたいですね。前回の記事で否定したとおりで五輪競技化するのと、他国でそれが見えるところで放映されるのかはまったく別の話なので。そんなので五輪の新規採用枠・地元枠に割り込むならラクロスの方に譲って欲しいような。

ツアー型新ラクロスプロリーグPLL

前項でラクロスのアメスポシーンでの将来性について書いてしまってからですが、ラクロスの新プロリーグができるみたいですね。まったく知りませんでした。Premier Lacrosse League、PLLと名乗っています。
今年6月から9月下旬まで14週全米12都市で試合を開催するとか。まだ詳細は出てないようです。時期としてはカレッジラクロスシーズンが終了してから開幕する。既存のプロラクロスリーグでは室内リーグであるNLLともシーズンがかぶらず、一方野外ラクロスのMLLとは丸かぶり。MLLを押しのけてしまおうということですか。後援はNBC。

一般的に言って定住型のプロスポーツリーグが経営者としては理想でしょうが、定住型では需要が十分でない場合、ツアー型がその解答になりうるのは過去例がさまざまあります。現在のアメスポでツアー型でメジャースポーツはNASCARとゴルフPGA、UFC。プロレスをスポーツに含めるならWWEも。
夏だけアメリカにやってくるテニスの世界ツアーもその類と言えますし、それ以外にもIndyCar Racing、AVPプロビーチバレー、Big 3(3-on-3 バスケ)などがあり、サッカーの男女代表チームも興行は全米を巡回します。(そういえば女子サッカー代表チームが男女格差を理由にまた訴訟を起こしましたね。それはまたそのうち)

PLLの目論見だと6チームが12都市を3か月で巡業するシーズン。各チームが10試合とプレーオフが2ラウンドというのですから、各都市で3試合づつやるつもりなのでしょう。3試合っていうことは土曜に2試合日曜に1試合とかですか。どんな興行になりどんな動員を獲得できるものなのか。
発表済みのスケジュールは4週のみ。NFL New England PatriotsのホームGillette Stadiumと大箱でスタート。その後はMLS New York Red Bullsのホーム、Chicago Fireのホームとキャパ2万人クラスのMLSスタジアムが続き、次いでBaltimoreでカレッジラクロスの名門Johns Hopkinsのキャンパス内スタジアムでも試合が予定。発表分が東に寄ってるのは前の記事でも触れた通りでラクロス人口が圧倒的にアメリカ東部に偏っているのでこれは自然でしょう。Baltimoreでの試合は女子のWomen’s Professional Lacrosse Leagueも同会場で合同で試合をするとのこと。女子のプロラクロスもあったのですね。存じませんでした。


新リーグを後援するのがNBC系列というところがなかなか興味深いです。NBCはアメリカでの五輪の独占放映権を持っており、各種五輪競技をアメリカ国内で擁護する立場。マイナー競技をNBCSNで細々と放送しています。この前は東京マラソンを放送してました。五輪デビュー前から7人制ラグビーもNBCが後援してプッシュしていたりもしました。つまりなぜこのタイミングでMLLに挑戦状を叩きつけてまでしてNBCがラクロスの新リーグを後援するのかと言ったら、先日も少し触れたロス五輪でのラクロスの公式採用運動とのリンクを疑うべきところでしょう。

中身がどういうなっていくのかまだわかりませんが、既存のMLLが新チームを作ったりなどなど奮戦すれどもなかなか興行的に進展していないのに業を煮やしたラクロス関係者がいて新たな突破口を求めてこういうものが出てきたのかもしれません。注視していきたいと思います。

ラグビーとラクロスとバレーボールの「次」争い

このテーマは以前にも少し触れたことがあります。アメリカ視点で見た場合、既存のマイナーチームスポーツのうちでラグビー・ラクロス・バレーボールがアメスポの「次のメジャープロスポーツ候補」であろうと推測されているわけです。それぞれに得意エリアがあり、ラグビーはなぜか西で強く、ラクロスは東で強い。バレーボールは女子に強い。裏を返せばそれはそれぞれに弱点でもあります。

アメリカでは1960年代からサッカーが次のメジャースポーツになるのだと喧伝されながらなかなか浮上できずプロ組織も解体再生を経て結局半世紀を経てやっと現在の地位にたどり着いたところ。サッカーは多くの国でほぼ一強のプロスポーツとして米国外で大きな人気もあり、それらの国からの移民流入も多い米国なのにそれでもこれだけの時間がかかりました。
そういうアメスポ市場で、次の種目があるとしたらなにか、というのはおもしろいテーマであろうと思います。アメスポ観戦市場のパイが大きいだけにアメスポ内の比較だとマイナー扱いとしても継続的に存続できる存在になれば利益もかなり期待できます。

先に身も蓋もないことを言うと、それら既存のスポーツよりも21世紀的なテクノロジーと結ばれてこれから新規開発されるスポーツ(疑似スポーツも含む)の方が「次」争いでは期待が持てるような気もしますが、その可能性はこっちへ置いておいて今回は既存の伝統的にスポーツと考えられるジャンルの内での比較ということで。

ラグビー・ラクロス・バレーボールの比較では既にプロ活動が継続的に存在するのがラクロスです。室内ラクロスのNLLが30年、野外フィールドラクロスのMLLが20年ほどの歴史を持ちます。今回のテーマの3種目の中ではもっともプロリーグ化に成功していると言えます。室内NLL(ボックスラクロスとも言います)はインドアプロスポーツでは世界で第3位の動員力を持つ(NHL、NBAに次ぐ)組織であるとNLLの宣伝ではよく主張しています。欧州バスケやホッケーKHLその他よりも多いのだと。

バレーボールはビーチバレーという派生形ではありますがツアー型のプロが存在してきました。他方6人制のプロ化は失敗の連続の歴史です。ラグビーは3つのうちではこの面では最後発。近年になって何度か15人制のプロリーグの立ち上げが早急に試みられていますが、まだ形は整っていません。後述する五輪採用後のラグビーへの注目の受け皿をなんとか早くプロリーグを作りたいということなんでしょうが、なにせ抱える選手数が多くなるのと試合数が少ないのがプロとして採算をあわせる際の大きなネックになります。また別途書いてみたいですがラグビー15人制はEngland PremiershipもSANZAR各国の国内リーグもSuper Rugbyも経済的には潤っているとは言えません。

別の面の比較してみると、この3種目のうちラクロスとバレーボールは男女ともにNCAAの正式種目で、よって多くのメジャー校で奨学金が支給されます。奨学金が出るゆえに高校でもそれらの部活動を持つ学校が多い。この面でもラグビーは選手の取り合い・開発で不利です。
ただNCAAの正式種目でもないのに15人制・7人制ともにカレッジラグビーの全米トーナメントは継続的にTVで放映されて独自にその存在感は増しているという特異な存在感もあります。小規模校で独自にラグビーでスポーツ奨学金を出してカレッジラグビーの盛り上げの一端を担っている学校も存在します。この辺がアメリカっぽいとも言えます。中央組織であるNCAAから正式種目でないと言われても勝手に好きな人達が集まってNCAAの外でちゃんと歴史を刻んでいるわけです。

目を転じて五輪種目かどうかという点だとバレーボールは数少ない五輪で儲けの出るスポーツのひとつとされていて安泰。ラグビーは7人制を前回2016年リオ五輪になって五輪種目化することに成功してこれが良い刺激となってアメリカ国内でのラグビー市場開発を助けています。いつも指摘する通りアメスポファン全般はさほど五輪好きとは言えないと思いますが、それでも五輪に影響力がないわけではない。五輪でもないと届かない層への宣伝にはなるわけです。
この点ではラクロスが最も弱い立場です。2028年のLos Angeles五輪で北米原産スポーツのラクロスが五輪スポーツ化を目指す動きがあるとされますが、その弱点を意識してのことでしょう。100年以上前にラクロスは五輪種目だった歴史があります。アメリカ・カナダの二国が競技実力で圧倒的に突出している状態で五輪スポーツ化したとしてその地位をロス五輪以降も維持できるのか疑問があります。さらにはラクロスの世界で第3勢力の地位にあるイロコイ族のチームは国家単位での出場資格制度をとる五輪への参加は認められない可能性が高く、その面でモメそうです。もしなんらかの特別待遇でイロコイ族の独自チームの出場を許すと他の競技でモメるところが出てくるはずなのでIOCはそういう措置は嫌がることでしょう。イロコイ族が出場できない形でも良いからと五輪採用を推進するとイロコイ族から大きな反発が出そうですが、それは今回のテーマから遠くなるので以上。

こう見てくるとバレーボールが一番その地位が盤石とも言えるのです。米国内で(ビーチですが)プロも存在したし、高校レベルでの参加人口も大きい。五輪スポーツでもありNCAAスポーツでもある。ビーチバレー(サンドバレーという名称になってますが)もNCAA種目化。海外にはプロリーグも存在する。でもそれだけ揃っていてもなぜか米国内でのプロリーグが成功しそうにないのが大いに問題です。全部揃っているだけに今より上へ行く浮上のきっかけがどこにあるのか見えにくいとも言えるのです。上でも触れた通り女子に参加人口が偏っているのも投資家に二の足を踏ませているような。NCAAの女子トーナメントはそうとうに盛り上がるのでそちらで力を蓄えていくしかないのか。

ラグビーは7人制ではありますが五輪種目化で米国内での認知が大きく上昇しました。先日記事を書いた米代表がトップに浮上したWorld Rugby Sevens Series、そこでもし年度優勝したらそれはまた一つ大きな宣伝となるし、2020年の五輪でも米ラグビー代表は優勝候補として大きく取り上げられることになるでしょう。その目新しさゆえに既存のバレーボールやラクロスよりも注目を集める可能性はあるように思えます。
またイメージ的な話ですが、ラグビーセブンス代表の面々のマッチョかつ精悍なイメージはアメスポの一般ファンにアピールしやすいビジュアルと言えます。これはサッカーが長年アメスポ市場開発で苦労した負のイメージ部分である軽く弱そうな身体つきの真逆と言えます。このイメージというのはバカになりません。

ラクロスのロス五輪をテコにした巻き返しはあるのか。上述した通りラクロスはアメリカ東部にその普及が大きく偏っているのが西海岸のLos Angelesでの開催とどうマッチするか。もし競技採用された場合に米国内での西への普及の大きな助けになるのか。観客動員見通しという意味だと苦戦しそうでもありそういう面では不利となりますが、競技採用される可能性があるのかないのか。

表題では単純にラグビー・ラクロス・バレーボールとしましたが、ラグビーには15人制と7人制が、ラクロスには室内ラクロスと野外ラクロスが、バレーボールには6人制とビーチバレーがそれぞれあって、さらに女子もある。それぞれのジャンル内ですら本命の形態が見えにくいのも事態を複雑にしているかと思えます。ラグビー7人制で米代表の躍進が今の今だと目立つわけですけれど、7人制では北米内で完結するプロ興行化の姿はものすごく想像しにくい。その上7人制での躍進はたぶん15人制での地位向上に直結しない。素人目にも同じ名前の別のスポーツに見えるからですし、15人制で強国と勝負になるレベルに上がっていくにはさらに長いプロセスが必要になるであろうからです。

と見ていくと3種目ともアメスポ界の「次」を担うにはまだまだ先は長そうに見えます。そんなこんなをやっている間に後発で開発されたスポーツ・エンタメに抜かれて行く可能性の方が高いかも、という先の懸念の方に戻ってしまいます。

Formula E、Massaも参戦して新シーズン

電動エンジンを搭載したカーレース、Formula Eの2018-19シーズンのプレビュー番組が放送されていました。元F1ドライバーのFelipe Massaが今季からFormula Eに参戦するとか。以前は秋にシーズン開幕していたと思いましたが、来るシーズンは12月開幕のようです。最終戦はニューヨーク・ブルックリンでのストリートコースで2019年7月に。

自動車産業に於けるEV化の波は既に止められない世界の潮流であるようですが、そのトレンドに対して動きが鈍いのがアメリカ連邦政府及び基幹産業。欧州やインドなどは既に自国におけるEV化の目標年限を定めているところがかなりあります(いろいろ無理をしているとは思います)が、アメリカではそういう話はまるで出てきません。
政治的には自動車産業大国という面と、産油国という面と両方の面をもつアメリカ。早急な脱化石燃料の動きは産油州であるテキサスやアラスカでは死活問題。両州とも現在の与党共和党の地盤州。そういう政治的な思惑から米国ではEV化の掛け声が他の先進各国と比較して大きく遅れているということなんだろうなあと思ってます。自動車産業の方は静かに準備はしてることとは思いますが。

EV化時代のスポーツ界での象徴にもなりそうなFormula E。今季がFormula Eの5シーズン目。過去もTVでの放映はしていましたが今年は過去以上に気合が入っているように見えます。ドライバーの方では上記の通りFelipe Massaの参戦がある。製造としては日産が初参戦(旧ルノーのチームを引き継ぎ)。日本との関わりとしては他にPanasonic Jaguar Racingというチームがあります。同チームはNelson Piquet Jr.を昨季から引き続きドライバーとして起用。スケジュール的にはアジアでは日本での開催はなく中国と香港でそれぞれ開催。
レースは全戦時間制限制で争われます。固定の周回数はなく、45分間+ラストラップ1周で争われるためざっと1時間でスタートからフィニッシュまでが完了するという仕組み。TV向けに都合よくということか、それともバッテリー容量の問題か、はたまた長いスポーツイベントを見てくれる人が減っている21世紀的事情を鑑み他のスポーツイベントと差別化、最初から短めのイベントを意図か。

DRLはe-Sportsと比較してビジネスになりうるのか

Drone Racing Leagueの創設3年目のシーズンが佳境に入ってます。DRLについては過去書きました。その名の通りドローンでレースをするのです。時速130km/h以上のスピードのドローンで3次元コースを飛び回る。全6戦のレギュラーシーズンが終わり、サウジアラビアでの決勝へ進む選手が確定したところまで放送が今週終わりました。個人的にはすごくおもしろいと思ってます。見せ方がうまいんですよね。一番最新の放映回でのレースの会場はドイツのBMW本社近くにあるBMW WELT内で開催。今季はベガスのインドア遊園地Adventuredomeなど開催場所が奇麗なところが多くなってます。初期は倉庫の中や立体駐車場や廃工場みたいなところをヒュンヒュン飛んでたもんですが、アップグレード感が高いです。

北米の選手、欧州の選手入り乱れて最終戦=2018 Allianz World Championshipへ8選手が進んでいます。ちょっと応援していたスイス人のGAB707ことGabriel Kocherは決勝に進めず。なぜGAB707かというと、この選手はちょっと他の選手と毛色が違ったからです。アメリカ人選手はレッドネックっぽかったりするのですが、GAB707はインテリでカナダの名門大学McGill大で材料工学と理論物理学の博士課程の学生。同時にドローンレーシングで二度カナダの全国大会で優勝。他にもロッククライミングが趣味という多芸・リア充な方です。こういう人が世界最高レベルのエリートFPVパイロットなのね、というところが良いかなと。

例えばカーレースとかバイクだと選手のタイプが同じタイプ・似たバックグラウンドの人たちになってしまう傾向があると思います。別にそういうタイプの人でなくてもレースはできるはずですが現実には一定の人種が揃う傾向にあるかと。X Sportsでもそんなところがありますよね。それがDRLだとそうでなくてこんな人がエリートパイロットかぁと。FPV(First Person View)なので、将来無人巡航ミサイルなどの兵器・ロボットみたいなものを遠隔操作するパイロットが必要になったときに求められるのはまさにこういう人・GAB707じゃないのかなあ、という夢想をさせてくれる選手なのです。
レース前にどういう三次元軌道でコースを攻めるのが最善なのかをコンピュータでシミュレートして試合に臨んでいる姿など、ああ21世紀なんだなあという感じでもあります。GABは美男子とまでは言いませんがすっきりした顔立ちで、外国語訛りの英語もなかなかに色っぽいような。


前回DRLに触れたときも比較したELEAGUEの方は今Call of Duty: Black Ops 4の放送になっています。正式種目ではなくて宣伝を兼ねた短期間のタイアップみたいですが。先日までMLBポストシーズンを放送していたTBSで放送。我が家でもおなじみ定番のCall of Dutyの新作の登場で弱盛り上がってはいるものの、結局のところ他人がプレーしているのを見るより自分でプレーした方が楽しそう、という気持ちになる、というのは以前も書きました。観戦スポーツとして成立するかどうかはどうなのか。ゲームをやらない人でも見るようになるのか。ゲームをやる人が見て楽しいと思えるようになるのか。将来の展開が読めません。
他方、DRLはその神業ぶりがすごくて真似してみようとも思わないというところが違うような。始める敷居はELEAGUEの種目のゲームの方がずっと低い。実際にプレーしている人の数も圧倒的に多い。DRLもシミュレーターを提供してドローンを購入せずにDRLの実際のコースを体験できるようにして始める敷居を下げる努力をしているし、シミュレーターを通して始めて腕を上げ、DRLのパイロットに昇格した選手も実際にいるようです。この辺が旧来のスポーツと違ってe-Sports的でもあります。
レギュラーシーズン最終戦のBMW WELTでのレースでは3000人の観客を入れてなかなかに盛況であったとされます。e-Sportsよりもドローンを飛ばさない人・やってみようと思ったこともない人を惹き込む力はありそうにも見えますがどんなもんか。こうやって世の中の新時代は展開していくのかなと思わせる存在です。

ビジネスで考えるとELEAGUEはゲーム会社とタイアップして直接的で太いカネの流れを作れるという点でDRLより遥かに強い。ドローンはそれ自体は普遍なので、人気が出れば後発団体が発足するだろうし賞金をアップして既存のパイロットの引き抜きもあるでしょう。格闘技団体やX Sportsイベントと似た状況になりうるんでしょうね。

カレッジフットボール専用TVコマーシャルがウケる

先週から流れ始めたこのコマーシャルがツボにハマってしまったのでご紹介してみます。日本ではほとんど人気がないと思われるDr. Pepperというルートビア系の味の炭酸飲料のコマーシャルで、熱狂的なカレッジフットボールファン兼Dr. Pepper愛飲家しかいない架空の田舎街Fansvilleを舞台にしたシリーズもののコマーシャルの一部です。

カレッジフットボールファンのはずの息子のベッドの下にサッカー雑誌があったのを親が見つけてしまい、両親が息子を説教するという設定がウケてしまいました。母は「あなたの年頃はいろんなスポーツに興味を持つのは自然なことだから」となぐさめ、父「最初はサッカーかもしれないが、その次にはラクロスを見たりするようになるんだ」と嘆く。おわかりのことかと思いますが年頃の息子がポルノ雑誌を隠し持っていたのがバレたという、まあ世界のどこででも昔はあったであろうシチュエーションのパロディです。
これ、最初は笑って普通に見ていたんですけど、いまの時代は紙媒体のポルノ雑誌って入手困難なんじゃないんですかね?このシチュエーション自体が若い世代には意味不明なのかもしれません。

それはともかくカレッジフットボールの対極にされるのはサッカーやラクロスなんだなあというところがおもしろいです。サッカーはいまでこそ観戦スポーツとして市民権を得ましたが、それはほんのここ10年強のこと。現在のアメリカ人成人にとってはまだサッカーはあとから出てきた、伝統的なアメスポ価値観とは別モノなんでしょうね。だからこういうCMが成立する。それがラクロスとなるとさらに新しく違和感が高いと。
裏を返せばこういうふうに言及されてジョークとして成立するほどには存在感を獲得しつつあるという証明でもあるのでしょう。両ジャンルとも当ブログではサッカーはMLSが零細マイナーな頃から、ラクロスもほとんど日本では報道がないであろうMajor League Lacrosseなどを何度もご紹介してきた競技でありますから、ちょっとした感慨があります。いまさらMLSを紹介する必要はなくなったし、MLLもまだまだ利益体質という意味では課題は多いですが「次」があるとすれば今ならラクロスだと認知されるようになってきたのはDr. PepperのCM担当者にも認めていただいたレベルまで来てるわけですね。

最後の最後にがっかりのラクロス世界選手権

残念なものを見てしまいました。4年に一度のラクロスの世界大会である世界選手権の決勝戦が行われ、恥ずかしい審判の誤審およびタイムキーパーの三度ものアシストで米代表が逆転勝ちで優勝しています。好大会だったのに、こんなフィニッシュは見たくなかったです。

8−7とカナダがリードした試合の最終盤にカナダがポゼションを得たのですが、ここで審判がカナダ側にオフサイドがあったとしてポゼションをアメリカ側にわたす。ESPN2でのアナ・解説者も即座に誤審を指摘しましたが、ボールを得た米代表側は即座にリスタート。そのまま同点弾。これはマズい。マイナースポーツではビデオレビューがないことは仕方ないとして、この大会を左右する大事な場面での明瞭な誤審をやってのけるのは。
これだけならまだ誤審というだけで済んだのですが、それに続いて同点で米代表がラストショットを打とうかという試合時間が残り12秒から米代表は4本のシュートを打つ機会を得て最後の4本目が1秒残りで決まって逆転優勝。え?12秒から3本もシュートを打ってその3本はすべて外れてアウトバウンドになったのにまだ4本目のシュートを打ったのが入ってなお1秒残り?どうやってそんなことが起こりうるのか。
タイムキーパーが時計を止めまくり、インバウンドのたびに時間を足したからです。そんな馬鹿な。2本目が外れたときには2秒とかだったのを5秒に増やし、さらにもう一本シュートを打って0.7秒になったのを2秒に増やし、決勝ゴールの機会を確保。カナダ側には抗議の機会もないまま米代表側に有利な変更が何度も加えられての勝利。決勝点後にカナダ側は猛抗議するものの後の祭り。残念というのは抑えた表現で、正直言ってしまえばこんなことまでして勝ちたい、勝たせたいか?という感じ。がっかりですね。

連想したのが第1回WBCの日米戦、米メキシコ戦。またはロンドン五輪での女子サッカー準決勝での米カナダ戦での6秒ルール適用→インダイレクトキック→ハンドボール→PKのコンボプレゼント。なぜこんなことをしてまでアメリカに勝たせなくてはいけないのかなという場面が何年に一度か露見するときがあります。やれやれであります。
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