アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Motorsports

Daytona 500 視聴率ガタ落ち

2月14日に行なわれたDaytona 500の視聴率が前年を大きく下回って同レース史上最低だとか。レース自体は面白かったと思ったのですが。関係者の間ではどこにその原因を求めるべきか慌てているようです。単にバレンタインデーに重なったため主力の男性視聴者がパートナーのレストラン接待などでTVの前にいられず数字が落ちたのでしょうか。それとも。

 2.8%、483万人の視聴者は昨年から36%ダウンと惨敗。2年前と比較すれば半減に近い。放映時刻がズレているため比較が難しい面もありますが、昨年比でも36%ダウンという大幅ダウンなのですから放映時刻の問題であると言い切れない。今年のDaytona 500はスタートからまもなく16台の多重クラッシュでレッドフラッグ、そしてその止まっている間に雷雨となり結局5時間に渡る中断でレースの再開は東部時間で9PM頃。視聴しやすい条件ではありませんでした。ただしその前年2020年のDaytona 500も雨天でレース時刻はズレまくり、結局翌日月曜日にレースを完了するという2021年以上に条件の悪い放送だったのですが、2021年はその予定されていなかった月曜日の放送より落ちているわけです。

バレンタインデー、パンデミックでスポーツ全般の観戦離れ、さらには昨夏にNASCARが南部旗を持ち込み禁止にするという措置をとったへの反発で旧来からのNASCARファン層の反乱・視聴ボイコットが起こってる可能性も想像できます。後者は今後地方別の視聴率情報が出てくればその可能性があったのかどうかわかりそうです。南部旗の地元と言えるディープサウスの州でがっくり落ちていればソレということになるのでしょう。一般には公表されていませんが視聴率情報の有料購読企業はそういう詳細は既に得ているはずです。

NASCARの変貌努力

NASCARシーズンがDaytona  500で開幕。スタート後雷雨で6時間の遅延、9PMにレース再開、フィニッシュが夜半過ぎとなる視聴には極不向きなレースになりましたが、レース展開自体はおもしろかったです。
ファイナルラップ、最後のコーナーを過ぎて勝負をかけた先頭2台がクラッシュして脱落、漁夫の利でレース中一度もラップをとっていなかったMichael McDowellがカップ戦初勝利という結果。優勝者は目立たないドライバーが勝ってしまいましたがフィニッシュ上位には昨季の総合優勝Chase Elliott、昨季最多勝9勝Kevin Harvick、昨季7勝Denny Hemlinと、昨季からの有力選手が並び今年もやってくれそうかなということになってます。

レースの大半で史上初のDaytona 500三連覇を目指すDenny Hemlinがトップ。第1&第2ステージも制して三連覇の期待感もあったのでフィニッシュが遅い時刻になったのですが最後まで放送に付き合いました。Dennyが共同オーナーを務める新チーム23XI RacingのBubba WallaceがDennyの真後ろにつけて上位に食いつく局面もかなりの時間帯あって、試合前にDennyが言っていた「自分が優勝三連覇、Bubbaが2位なら最高だな」という軽口が現実になる可能性もあるのか?という展開でおもしろかったです。
レース序盤に16台がクラッシュする場面では、スタートからずっと最後尾に控えていたDenny Hemlinは余裕で無傷回避、影響なしという、ラッキーなのかこれを見越していたのかという展開で、これで三連覇になったら見込みが大当たりじゃないか、すごいなというレースでした。


NASCARは今季、1970年代以来のダートコースを1戦設定。またロードコースが7戦(昨季2戦)も予定されるというかなり意欲的なシーズンが予定されています。昨年はNASCARにとってはパンデミック下でiRacing含めて予想外の視聴者層の拡大があったことから、それらの新しいファンを固定ファンにすべく意向を汲みたいということでオーバル専門ジャンルからの脱却進化を求めている感じでしょうか。
個人的にはNASCARでロードコースというのは見たくないという気持ちが強いですが。ロードコースはF1を含むオープンホイールレースで良いのではないかと思うのですが、NASCARとしては過去NASCARを見なかった層を引き留めるためにはロードコースというそれらの他ジャンルのファンにアピールしようかということでしょうか。

昨季プレーオフ内にロードコースのレースがあり、そこで勝ったChase Elliottが逆転でプレーオフRound of 8進出を決めて結果的に年間優勝へ。Elliottはロードレースを得意とするNASCARドライバーとしては異能です。基本フォーマットがオーバルのNASCARなのにロードレースを得意とする選手が勝っちゃうプレーオフの設定は自体どうなの、という気も多少した昨季でしたが、今季は思い切ってシーズン全体にロードレースを多めに導入して、ロードコースもNASCARのうちに取り込む努力のシーズンのようです。次戦シーズン第2戦は同じDaytona International Speedway内のロードコースでのレースが予定されています。
他にもF1のUS Grand PrixでおなじみのCircuit of the AmericasにもNASCARが初登場予定です。世界的に見ても最新鋭美麗サーキットであるCircuit of the Americasがほぼ海外勢に専有されていたのがNASCARの登場でイメージが変わるのはちょっと楽しみではありますが、F1と同じコースを走ることでストックカーの遅さが目立つレースになるかもという心配もありますね。

ダートコースの方は来月末にBristolで。ショートオーバルに土盛りして開催。昨日のレースの解説で喋っていたJeff Gordonと今季から解説陣に加わったClint Bowyerと2人で「ダートコース、俺達もテストドライブしないとな」などとはしゃいでいてNASCARの新しい試みにわくわくしている様子が伺えます。現役のドライバーやチームにとっては1戦だけのダートコース、調整専用パーツ供給その他余計な苦労ばかり多くて嫌なんじゃないかと想像しますが、ただ単に走るだけならダートでドリフト、楽しいに決まってます。
アメリカ国内にはダートの草レース場が各地に多く存在しており、モータースポーツの裾野を支えています。

アメスポメインストリームにからんでくるWWE

金曜夜はWWE Smackdownの放映日。今日の放送では他ジャンルとのからみの話題が多かったです。NFL Tampa Bay BuccaneersのSuper Bowl制覇後の優勝パレードに合わせてWWEがBuccaneersのロゴをあしらった特製のWWEチャンピオンベルトを提供したようで、Bucsの優勝メンバーたちがWWEのベルトを持っての記念撮影の数々が紹介されていたり、今週末に行なわれるNASCARのシーズン冒頭のビッグイベント Daytona 500が行なわれるDaytona International SpeedwayにWWEのStreet Profitが訪問して昨季のチャンピオンとなったChase ElliottにやはりWWEのチャンピオンベルトを持たせてはしゃぐ場面を放送したりしてます。
またなんでもDaytona 500の名誉スターターにSmackdown女子王者Sasha Banksも登場するとか。いろいろからんでくるなあという感じです。ちなみにSashaは男子選手を抑えてSports Illustrated誌が選んだ2020年の最優秀選手にもなってます。あの真面目なSI誌もWWEの表彰をするのです。

Chase ElliottにせよBuccaneersの面々にせよWWEのチャンピオンベルトを嬉々として肩にかけてポーズするのが楽しそうです。このお気楽さを提供できるのはWWEという特殊ジャンルならではです。
NASCARとWWEはともにFOXの放送なのでWWEの試合放映中にも何度もDaytona 500の番宣をするなどFOXの意向で絡んでるわけです。そういう事情なのでNASCARとのからみは事前に仕込んでいたコラボでしょうが、Buccaneersの方は予定していなかったのではないかと想像できます。

昨夏からWWEが試合放送をしている場所はWWE ThunderDomeと名乗っていますが、現在のThunderDomeの場所はMLB Tampa Bay Raysの本拠地ドーム球場Toropicana Field内。つまりNFL王者となったBuccaneersとはたまたま同都市で興行中というつながりになります。Buccaneersが勝ち進むのは事前にはわからなかったわけですが、たまたま地元同士のBuccaneersの優勝で急遽ベルトを用意して提供した模様です。ただ同市内の地縁だけでなく、BuccaneersにはRob Gronkowskiも所属。Gronkは昨年NFLを引退中にWWEに参戦、24/7王者にもなっており人的にも縁があります。予定外ながらうまくSuper Bowlチャンプとのからみを演出できたことになってます。

WWE ThunderDomeが昨夏最初に稼働を始めたときの場所はWWEのトレーニングセンターのあるOrlando市内のアリーナであるAmway Centerでだったのですが、Amway CenterはNBA Orlando Magicのホームアリーナ。夏場は自由に使えたのですが、NBAが昨年12月から変則シーズンを始めることになったため同アリーナにThunderDomeの施設を常設することができなくなりWWEは移転を余儀なくされました。それで現在はMLB Raysの本拠地を使って放映中。もしMLBシーズンが現在の予定通り4月に開幕なら3月中にはWWEは再び移転が必要になるはずです。現時点では次のThunderDomeの行き先は発表になっていないというのが私の理解です。

NBA/NHL/MLBがすべてシーズン中となるのでThunderDomeを常設しておける大型屋内施設は数少なくなりそうです。NFLがシーズンオフになりますからNFLのドームスタジアムのどこかを利用というのが一番ありそうです。いままではWWEの自前のトレセンも含めてコロナ疫禍でもスポーツ興行に規制の極ゆるいフロリダ州でWWE ThunderDomeは展開してきたんですが、フロリダ州にはNFLのインドアスタジアムは存在しないんですよね。ということはWWE ThunderDomeのフロリダ州外への初進出なるか、ということでもあります。

Michael Jordanの23XI Racingが発進

Super Bowlが終わると次のアメスポメジャーイベントは一週間後のNASCARのシーズン開幕戦にしてシーズン最大のレースDaytona 500となります。

23XI Racingという新興チームが今季からNASCARのトップカテゴリに登場します。読み方はtwenty three eleven です。メインオーナーは元NBA Michael Jordan、共同オーナーは現役NASCARドライバーのDenny Hamlinです。契約ドライバーはNASCARトップカテゴリの唯一の黒人ドライバーBubba Wallaceのみ。カーナンバーはもちろんという感じで23番です。

チーム名の23は言わずもがなのJordanのNBAでの背番号から。XIの方はHamlinが現在乗車しているJoe Gibbs Racingの11番からと推測できます。Hamlinは2019年2020年とDaytona 500を連覇して、もし2021年も勝って3連覇となればNASCAR史上初。昨年2020年シーズンはプレーオフの最後の決勝レースに敗れて4位扱いですが、シーズン中は毎週のようにトップに迫るレースを連発した現在のNASCARのエリートドライバーのひとり。

Jordan、Hamlin、Walleceというメンバーでのこの新チーム結成が発表されたのは2020年9月。いまとなっては米国内ではあまりお目にかかれなくなったBLMつながりのチームと言えるのでしょう。黒人オーナーのJordan。黒人ドライバーのWallace。昨年NASCARが南軍旗の持ち込みを全面禁止にしたときに積極的に発言したのがWallaceでした。そしてHamlinは白人ですが昨夏にBLMが政治的なうねりになる前から人種間の融和に積極的に発言していたNASCARでは少数派の選手。この3人が組んで全米が揺れていた昨年9月の段階でこの新チームを作るという発表だったのですから、政治色を出そうとしなくても見る側が勝手に連想してしまう感じだったと思います。Hamlinの政治的な性向を知ってる人はNASCARファンでもないとそれほどいないとは思いますが。

23XI Racingの車体提供はToyota。Hamlinの所属先のJoe Gibbs Racingが技術提携でサポートもするようですから、一応別組織でオーナーのMichael Jordanを目立たせていますが実態はJoe Gibbs Racingの友好別組織みたいなことになっているのかもしれません。
尚Joe Gibbs RacingのオーナーのJoe Gibbsさんは元NFL Washington RedskinsのHCとしてSuper Bowlに4度登場3度制覇も成し遂げているすごい方です。NFLのコーチ職を引退してNASCARのオーナーに転身したという変わった方です。

NASCARも下のカテゴリに行くと南部コテコテの昔ながらのディープサウスの荒くれ者のようなドライバーもまだ残っているようですが、NASCARのトップカテゴリーであるCup戦はそういう露骨なドライバーはもういません。NASCARがビッグビジネスになっていく過程でそういうドライバーや関係者は消えていきました。NASCARがビッグビジネスになるためには一流企業のスポンサー契約が絶対に必要で、それらの優良企業の上層部に眉をひそめさせるような言動の選手ではNASCARの成長に逆行する存在だったからです。

23XI Racingのチーム結成の発表は昨年9月ですが、いくらお金持ちのJordanとは言ってもBLMが燃えているからという理由だけでNASCAR参戦をいきなり決められるわけはなく、きっとずっと以前から興味を持って参入を検討していたはずです。

JordanとNASCARをつなぐ線としては2つぱっと思いつけます。まずは地縁ですね。JordanはNBA Charlotte Hornetsのオーナー。NASCARの本部はCharlotte市内ですから、なにかと交流があってもなんの不思議もない。
もう一つはNorth Carolina大時代にJordanのチームメイトだったBrad Daugherty(元Cleveland Cavaliers)がNBA引退後にNASCAR好きが嵩じてNASCAR放送のレギュラースタジオ解説者になり、JTG Daugherty Racingの共同オーナーにもなっていたこと。昔から気心の知れたDaughertyが(全然勝てていないものの)小規模チームのオーナーをやっているのでNASCARの小規模チーム経営の内情は忌憚なく詳しく聞いていたはずです。DaughertyはNASCARがまだ南部の人気を中心として全国区のメジャースポーツになりきれていない時期に唯一の黒人解説者として重宝された人でもあります。DaughertyがNBAでプレーしていた時代のCavaliersは東カンファレンスの好チームでプレーオフ常連、プレーオフでJordanの格好の切られ役でもありました。

知名度抜群のMichael Jordanの参入はNASCARにとっても大歓迎のようです。NASCARは既にアメリカのモータースポーツで最大の組織ではあるもののマーケットはほぼアメリカ国内限定で、かつ米国内でも人気のある地域が偏っています。アメスポ全体のジャンル別順列だと7−9位程度。そこに正真正銘のアメスポのスーパースターが参入することでのアメスポメディア内でいままでなかった形の露出アップが期待できるし、うまくすれば米国外にNASCARが露出するチャンスも発生しうるだろうというわけです。

シーズン前のインタビューでは23XI RacingのドライバーBubba Wallaceは2021年シーズン中に2勝するのが目標だと語ってます。Walleceは最上位のCup戦で4年戦い未勝利。2020年シーズンドライバーランクで22位。第2カテゴリのXfinity Series時代も未勝利なので、正直言って黒人であることで目立って名前が知られているけれどドライバーとしての実績はCup戦下位の選手です。

しかしJordanのような超負けず嫌いな人がオーナーとして参戦。Daughertyのところのように何年やっても勝てないとか、年間22位とかで我慢できる人とは思えません。オーナーとして参入してすぐのマスコミ応答でも「今すぐに勝ちたい」とマジ顔で答えていましたし。Jordanの話題性であっという間に揃えてきたチームスポンサーからのカネをサポートスタッフ獲得にもつぎ込んでいるようです。

NASCARの現行の仕組みだとレギュラーシーズン中に1勝でもすればほぼプレーオフにはたどり着ける。あの超負けず嫌いのJordanさんではプレーオフにたどり着けただけは満足はしないかもですが、とりあえず初年度はそれが目標ですかね。

なんて書きましたが、よく考えたらJordanの今の本職と言うべきCharlotte Hornetsの運営も全然鳴かず飛ばずですね。Hornets購入以来(購入当時はBobcats)最高東6位、プレーオフ到達は3度だけ、プレーオフシリーズは3度とも一回戦敗退、それも2度はスイープで敗退してます。ということはNASCARですぐに結果がでなくて腹はたっても我慢できる修行はもうできてそうですね。

24歳Chase ElliottがNASCAR Cupシリーズ初優勝

この日曜日、一般スポーツファンの最大の関心はNFL史上最多TD数を誇る2人、Tom Brady対Dree Breesの直接対決のSunday Night Footballだったかと思いますが、そちらはBreesの圧勝に終わってしまってます。Breesが4TD、Bradyがゼロ、3INT。

個人的には日曜のメインイベントはNASCAR Cup戦の今季最終レースでの決着戦Championship 4でした。結果は24歳Chase Elliottが追う他のコンテンダーを引き離して先週に続いての二週連続の優勝でシリーズ初制覇を達成。父親のBill ElliottもCup戦の優勝をしており史上3組目の親子制覇にもなってます。

レースは多くの時間帯で優勝の可能性のある4名(Elliott、Danny Hamlin、Joey Logano、Brad Keselowski)が1-4位を占めて年間決勝レースの直接対決対決らしい展開。アクシデントも少なく、終盤はまったくイエローフラッグも出ない、最終ピットもほぼ皆クリーンなど、真の実力勝負の展開となり、そこでこの日の最速の車でElliottが他車を引き離してそのままフィニッシュ。堂々の最終戦で24歳での初年間王者となってます。

Elliottは先週末のショートトラックのMartinsvilleでの準決勝ラウンド最終戦の優勝しなければ脱落というレースを制して今週の最終レースに進出。最終戦でも堂々のチェッカーを受けて2連勝でシーズン逆転優勝となってます。Elliottはこの2連勝を含めて今季4レース優勝。

今季のNASCARを大いに盛り上げてくれた2人のうち9勝を挙げたKevin Harvickは先週Elliottに蹴落とされてChampionship 4への進出失敗。7勝を挙げたDanny Hamlinは今日のレースではコンテンダー4人の中では車の速度が一番上がらないレースとなり残念な敗戦。長いシーズンですし、現行のNASCARのプレーオフの仕組みでは致し方ないとは言えHamlinとHarvickの今季の功績が見えにくくなるフィナーレになったしまったなというのは若干残念。

レース中に4強がトップ4を占める、その後ろに今季限りでフルタイム参加を終える年間優勝7度のJimmie Johnsonが付けてレースを盛り上げてくれました。フィニッシュ後は新チャンピオンのElliottと乗車のまま握手のシーンも。NASCARが人気最高だった時代の看板ドライバーがここ数年で次々と引退。Jimmie Johnsonが去ることで当時の人気トップドライバーは皆いなくなることになります。そのJimmie Johnsonと新鋭Chase ElliottのからみのシーンはNASCARの時代の転換点、NASCARの新時代へのバトンタッチのシーンとして残る名場面かなと思いました。
あとはChase ElliottがJohnsonのように年間優勝を重ねてNASCARの顔になる選手になれば完璧なストーリーってことになりますが、さあどうでしょうか。

NASCAR年間優勝を争う4ドライバー決定

NASCARの次週のシーズン最終レースで年間優勝に臨む「Championship 4」のメンバー4人が確定してます。ショートトラックのMartisvilleでの激戦でレギュラーシーズンの首位だったKevin Harvickが最終局面で逆転落選。今年はHarvickとDanny Hamlinの2人がレギュラーシーズンを圧倒。Harvickが9勝、Hamlinが7勝。3番目に多いBrad Keselowskiが4勝。この3人で20勝。他は14勝。世界の他のモータースポーツでは一強とか二強状態の寡占は珍しくないでしょうが、NASCARでは今年はかなり珍しい寡占状態といえました。
どのジャンルでもそうですが長いレギュラーシーズンで抜群の成績を残したチーム・選手がプレーオフで勝ち残れないと若干の残念感は否めないところで、今年のHarvickも疫禍後の初戦のレースで優勝したのを始め勝ちっぷりの安定感もあっただけに、最終戦を前にしても敗退は残念な感じです。レース展開もNASCARらしい紆余曲折の多いレースで、Chase Elliottが逆転当選。Elliottが1枠をゲットしたためレギュラーシーズンの3強の一人がはみ出さざるを得ない展開となり、粘り強いレースをしたKeselowskiがHarvickを終盤に逆転当選。Harvickは4枠を狙っていたドライバーの中で今日は一番車が遅かったですからもうしょうがないんですけどね。

Championship 4に残ったのは準決勝ラウンド3レースでそれぞれ1勝をあげたChase ElliottとJoey Logano、にレギュラーシーズンでも安定した戦いをしたHamlinとKeselowskiの4人。個人的に好きなドライバーが4人残ったので次週の最終戦が楽しみです。
ただ個人的な好みを言わせてもらうとこの最後の足切りのレースがショートトラックっていうのはいかがなものか。ショートトラックの低速レースという得手不得手が強く出る癖の強い条件で年間の勝者の最終足切りってのはなにやらすっきりしないものがあります。

NASCARはシーズン終盤はNFLと放映時間がほとんど丸かぶりになるわけですが、フットボールに飽きたときに見るにはなかなか気分転換に良いんですよね。バスケシーズンにNBAとカレッジと浴びるほどバスケは見るわけですけど、その合間にNHLを見るとすっきりするのと感じは似てます。
今年は疫禍から最初に復活したのがNASCARだったり、アメスポが全停止していた時期にe-sportsバージョンが話題になったりと変則的ながら例年より多くレースを見る機会がありました。

WWE Thunderdomeデビュー

今週末のアメスポの最大のイベントはIndy 500。恒例の5月末から延期されての開催です。無観客での開催。客席が25万人分、オーバル内に入れるファンを含めると30万人を動員するアメスポ最大の動員力を持つイベント。かなりぎりぎりの時期まで一部の観客を入れることを模索していたのですが最終的には断念せざるをえなくなりました。
構造が古い会場ですから人の動線が管理しにくかったでしょうし、インディアナ州を含む中西部のコロナ感染が収まり切らず、Indy 500より重要課題であるであろう小中高大学の学期開始時期に重なっており、地元自治体首長からOKは出ませんでした。同地は州は共和党知事、市長は民主党市長とねじれになっており、ある意味アメリカ全体の縮図の土地柄。
インディアナ州内では既報の通りNotre Dame大ではキャンパス内で感染が拡大中。一日だけのIndy 500に観客動員を許そうという方向に民意は動き難い情況であると思えます。


表題の件。WWEが昨夜のSmackdownの放送でThunderdomeと呼ぶバーチャル観客システムのお披露目をしています。今週末にPPVイベントSummer Slamの開催を前になかなか派手で華々しかったと思います。
バーチャル観客としてオンラインのファンをリング周りのスクリーンに映し出すもの。それとともに派手な新規レーザー電飾も施してアップグレード。
WWEは春先からずっとフロリダ州オーランド市の自前施設での試合を続けていたわけですが、このタイミングで施設をアップグレードしたということは観客を入れてのアリーナツアーという従来の興行形態には近い将来には戻れないと判断したということなのでしょう。

バーチャル観客はNBAが導入済み。私に聞こえてくるところでは割と評判は良かったようでした。それをWWEも導入してみようとなったようです。WWEでは過去1-2ヶ月はアクリル板で仕切った向こう側にsocial distancingを実施したまばらなサクラの観客(練習生?)を入れていましたが、Thunderdome導入で彼らはお役御免となったようです。
自前の施設でバブルを形成して、3月4月のアメスポが完全停止する中で唯一興行を継続できたWWE。WWEは疑似スポーツであり、選手との契約形態も異なるわけですが、他のいかなるスポーツビジネスもショービジネスもできなかったことを実現しているその機転の良さ、意志決定の速さは称賛されていいかと思います。

年に1度きりの巨大会場を埋めるIndy 500と毎週3試合を無観客で開催して好調のWWE。対極ですね。

今週のまとめ

一週間放置するとかなりいろんなことが起こりますね。NFL Washington RedskinsやMLB Cleveland Indiansの改名問題が気になるところ。Redskinsは9月のシーズン開幕前までにチーム名変更をするという話まで出てます。随分と急な話だなという感じです。
MLB Los Angeles DodgersのDavid Priceが疫禍を理由にシーズン参加辞退を表明、まだ他に広がりそう。Mike Troutまで抜ける可能性に言及しており、これが広がるとシーズンは短縮だけではなくベストメンバーで行われないシーズンへと質的にも変化を遂げそうです。

細かいところでは他にサッカーMLSでFC Dallasからコロナ感染者が9名発生してシーズン再開の初戦がすでにキャンセルになってます。
この前の女子NWSLで感染者が続出してトーナメント不出場となったOrlando Prideはフロリダ州のチーム。今回MLSで感染者大量発生となったFC Dallasはテキサス州のチーム。これ、偶然じゃないですよね。ここ1-2ヶ月当ブログでもときどき触れていましたが防疫を率先して取りやめた州のチームがこうやって感染者を多く出して活動に支障をきたしている。これからまだ増えないわけもない。テキサス州もフロリダ州も慌てていま防疫措置・自粛を言い出してますが、遅いとしか言いようがないような。
サッカーはほぼ同時期に欧州でも活動を再開していますがアメリカ側のサッカーのような感染者続出のチームが出たという話は聞こえてきてませんから、サッカーという競技の競技性の問題ではなく、ひたすらアメリカの問題と言えそうです。


労使交渉がモメて満を持して遅れて再開するMLBからもこれから感染者が続出する可能性は否定しがたい。そうなると開幕当初は参加した選手からも途中離脱者も出るようになるかもしれません。特に優勝争いから脱落したチームは士気も上がらず離脱者が大量発生してしまうかも、というところまで心配しておく必要があるのでは。

先行してシーズン再開をしていたNASCARでは遂にドライバーに感染者が発生。7度優勝現役で実績最強Jimmie Johnsonの感染が確認されて今日のIndyでのレースに出場できませんでした。Johnsonは663連続レース出場の記録(NASCAR史上5位)が強制終了になってます。
今のアメスポは休養を重視するジャンルが増えて連続出場記録のようなものを至上命題にしているような選手は少なくなっていると思うので大きな混乱はないと想像しますが、昔のCal Ripken Jr.のような鉄人記録を持ってる人が疫禍で出場できなくなったら痛恨だったでしょうね。
ちなみに連続出場が途切れたJimmie Johnsonは症状なし。奥さんの感染が先に判明して、検査をしたらJohnsonも感染していたという話です。


リンチの影を超えて

天候不順で日曜日のレースが今日月曜に順延となったNASCARのTalladega Superspeedwayでのレースが壮絶フィニッシュの好レースとなってます。最後の5ラップだけでも10台以上が現実的にレースに勝てる位置でひしめき、ファイナルラップに2つのクラッシュが発生しながらそのままフィニッシュ。勝ったRyan Blaneyが隣につけていたRicky Stenhouse Jr.を跳ね飛ばしながら鼻の差でゴールラインへ。跳ね飛ばされたStenhouseはスピンしながらテールからゴールラインに3位で到達。なかなかお目にかかれない絶叫の幕切れでした。いやーこのエンディングを在宅率の高い月曜夜に放送することになっためぐり合わせはNASCARツイているとも言えます。

その上この日はNASCARに注目が集まるニュースがありました。それがあったので普段よりNASCARがやっているのを見かけたらチャンネルを止めた可能性があります。
NASCAR CupドライバーのBubba Wallaceのガレージエリアに首吊縄が置かれていたという事件が前夜にあったようです。43番カーに乗るWallaceは26歳、Cup戦で唯一の黒人ドライバーです。首吊縄(noose)には白人による黒人狩りに使用されてきたリンチの象徴の歴史上の意味があります。

先日来書いているNASCARの南軍旗の持ち込み禁止の措置が決まる前の段階でWallaceが声を上げてNASCARに談判したのがきっかけになって公式に南軍旗禁止となったとされます。このタイミングでわざわざ首吊縄をWallaceに突きつけるというのは持ち込み禁止に反対する人の仕業と考えないといけなさそうです。それにしてもあまりにも露骨な人種的嫌悪の表現でドン引きですね。

黒人リンチの伝統は南部では1980年代辺りでも生きていたとされます。落合信彦の「アメリカの狂気と悲劇」を少年の頃に読んだのがこの件について個人的に触れた最初であったと記憶します。KKKのリーダーだったDavid Dukeを取材したもの。Dukeはその後ルイジアナ州の州議会議員として活躍した人です。いま調べたらまだ存命なんですね。
その作品の中では以前ならKKKの集会の後には毎回黒人狩りに出て吊るしたもんだ、いまはニューKKKだからそんなことはしないよ、という描写があったと思います。同時に「あの下に何人のクロンボが埋まっていることか」とDukeがつぶやいたという部分もあったはずです。
同作品は1984年出版と40年近く前。ではいまとなっては根絶したかというとどうもそうでもないらしいんですね。地下に潜ってしまっている。ときどき自殺の理由が見当たらない黒人の首吊死体が見つかることがあり、地元警察と地元民の阿吽の呼吸で自殺として処理されてしまっている、ということになってます。で、つい先週も黒人奴隷解放記念日にカリフォルニア州で黒人の首吊自殺体が発見され、家族は自殺とは思えないと訴え、本来管轄である地元の警察の捜査を制して連邦捜査官が捜査に入ってます。この意味するところはリンチ殺人と地元警察検察の結託という昔ながらのパターンの可能性を連邦が追っているということです。

というわけで首吊縄と黒人への人種憎悪というのはセットでアメリカの黒歴史でもあり、今も生きる恐怖として残っているわけです。そういう事情の中、Wallaceへ首吊縄を示すというのは冗談では済まない行為でしょう。これも地元アラバマ州警察だけでなくFBIも既に捜査に参加しているとされます。
これが起こった場所がレース場内なのでそこまで入れる人の数は限られており、NASCARは場内のカメラを始めとした全てのリソースを捜査側に提供して全面協力すると発表しています。犯人が見つかった際にはNASCARに一生入場禁止とすることも公約してます。
レース前にはWallaceの車を先頭にして同僚レーサーたちがピットロードを行進してWallaceを支持し人種憎悪行為を非難。NASCARの重鎮Richard Petty御大も登場してWallaceを抱擁。この場面が今日の一般のニュースで何度も流されていたので、それを見てその後たまたまNASCARのレースが地上波FOXでやっているのを見かけた人は普段よりも長くチャンネルを合わせていたんじゃないかなと想像します。そしてまた運のいいことに好レースという流れでした。
Wallaceも健闘して終盤まで3−4位につけて好走。但しガス欠となって最終ラップ前に脱落。レースの展開のせいで最終ラップ付近でガス欠になったドライバーが何人も出るし、上述の最終ラップの2度のクラッシュと混乱の多いおもしろいレースでした。たまたま見ちゃった方はラッキーなものを見たと言えます。


Richard Pettyについては一つ付け加えておきたいです。PettyはCup戦7度優勝の歴史的レーサー。映画やCMにも多数出演、たぶん顔認知度ではNASCAR史上最強であるはずの方です。7度優勝はDale EarnhardtとJimmie Johnsonと並んで史上最多。ただかなりアクの強い古いタイプの方で、決して常にポリコレな発言をする方ではありません。
例えば女性人気ドライバーのDanica PatrickがIndyCarからNASCARに移籍してきたときに「あの女が勝てるとしたら一人も男性ドライバーが出場していないときだけだろ」と言い放った方です。言いっぱなしでそれを謝罪したという話もありませんでした。謝罪もへったくれも誰もその発言を批判しなかったように記憶します。言われたDanicaもNASCARで新顔だった立場からか「それが彼の個人の意見なのでしょう。それを言う権利を持つ方だと思います。私は同意はしませんけど」と冷静に反応。さすがド南部NASCARはIndyとは違う世界なんだなと思わされた事件でした。

そのポリコレ無視のPettyが今回は迅速に今回の事件で登場したのは意外です。WallaceはRichard Petty Motorsports所属でその意味ではWallaceとのつながりはありますが、御年82歳。NASCARは疫禍対策でレースの進行に直接関係のない人員は現地に行かないルールとなっており、シーズン再開後はレースアナ解説を始めNASCARの会長役員や各チームのオーナーも会場に一切同行していません。そういう中、雨天延期で予定外の月曜日にPettyが急遽アラバマまで飛んできてWallaceの激励に努めたそうです。Pettyさんは女は嫌いだが黒人嫌いではないんだなということになります。
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