アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Sports Business/ジャンル比較

Can't go sleep!

先週末からFOXが昨日今日=土日を「スポーツ史上最大の週末」と銘打ってまとめて宣伝していました。土曜日にカレッジフットボールの今季の行方を左右する一戦=Penn State@Ohio Stateと、MLB World Series第4戦。今日日曜日はNFLの地区ライバル対決Dallas Cowboys@Washington Redskinsと、World Series第5戦をすべて地上波FOXが全国放送するのをまとめてプロモートしていたわけです。先週の時点ではWorld Seriesは第5戦が存在するかどうかもわからなかった(スイープ以外なら存在するから可能性は高いですが)のも含めて。バックグラウンドに「♪I can't go sleep!」なんていう曲が流れてスポーツ三昧を強調していたんですね。

で今日曜日の11:30PMです。さすがに多過ぎる気がしてきました。試合の善し悪しではなく、さすがに見てるだけで疲労を感じるレベルの情報量かと。FOX押しのこれらの試合以外にもカレッジフットボール・NFL・MLSプレーオフ、NASCAR Martinsville、NBA、NHLで様々なニュースとスコアが飛び交ってます。NBAではCleveland CavaliersもGolden State Warriorsも日曜日に惨敗して勝率5割圏を低空飛行中、どうなってんだ。NHLはディフェンディングチャンピオンPenguinsがまたも第1ピリオドだけで0-5の破綻試合を展開どうなってんの?NASCARのプレーオフも大詰めが近づいてます。気になる。これにカレッジとプロのフットボールが大量に試合開催。もうとても一人の人間がフォローできる様な量ではないです。


この週末の最後のメニューとなるWorld Series第5戦。現在7-7同点です。両チームのエースが轟沈。6回途中でとうに試合開始から三時間を経過。ここまでのシリーズの流れからして残りのピッチャーがぴしっと抑えることができるかは大いに疑問でこれは25時コースかと。日本のファンからすると遺恨のGurrielが打っちゃったり、前田が遂に捉まったりと歯がみして楽しんでいらっしゃることかと思いますが、東部時間在住者の私は今夜のところはギブアップしておこうかと思います。スミマセン。

スポーツ人口の話

アメリカでの各スポーツの競技人口の最近のトレンドの話を少しまとめてしてみたいとおもいます。とりあえず叩き台としてこの資料を使ってみます。年代の切り方、男女別などで若干の差はあると思いますが他の資料でも傾向としては似たり寄ったりですから。この資料は6歳から17歳、2009年と2014年の5年間の比較で増減が示されています。

http://www.engagesports.com/Portals/0/images/Blog%20Images/Youth%20sports%20report.png


日本語でアメスポを語る際に、とても極端なというか荒唐無稽な(正直言って嘘と言って差し支えない)ことを語っているのを見かけます。そういうのがどれほど嘘なのかという事を少し資料で正してみたいかなというのが今回の記事の動機です。

資料を見ていただくといわゆるメジャースポーツは軒並み減っているのがおわかりになるかと思います。そう、いまアメリカのスポーツ参加人口全体が細り気味なのです。人気メジャースポーツでは上に行くのに専門性が高くなって一般で忌避されつつあることの現れなのかもしれません。増えているのは母数の小さい新興スポーツばかり。ラグビー、ラクロス、サンドバレーというところ。体操は増加している中で唯一母数の大きい例外でしょうか。体操というのはアメリカの場合、伝統的にはチアリーダーをやりたいからという動機の子が多く、そこへ昨今の五輪での米女子代表の活躍が刺激になって体操競技に興味を持った子と両方が混ざっているのでちょっと分析し難いところがあります。

メジャースポーツでは減少幅の大きい順にアメスポ最強フットボールを始めサッカー、バスケ、野球など軒並み減です。アメリカのサッカーを語るときにサッカー人口が増えているとか言いますが、それはもう過去の事で既にそのトレンドは終わっています。減少率は野球よりサッカーの方が大きいほどなのです。

フットボールの競技人口が減っている。フットボールは見るスポーツとしてはキングですが元々競技人口はさして多くない。そこへここ10年ほどの間にNFLでの脳震盪問題がクローズアップされたことで「自分の子供にはフットボールはやらせたくない」という親が増えているということでしょう。この点は重要で、先日少しコメント欄でも触れて、今後またブログ記事でも論じてみたいのですが、現在最強のNFLの死角の一つはこの脳震盪問題があり、その問題のないNBAチームへの投資がNFLチームへの投資よりも優良な投資対象である、という議論につながります。

野球の競技人口が多いの少ないのという話が数字を無視してときに一人歩きしますが、野球の競技人口はいまもって全米最大級です。この表をただ漫然と見るとバスケやサッカーの方が多く見えるわけですが、バスケ・サッカーは男女合計、野球はほぼ100%男子のみの数字です。確かに野球の競技人口は長期トレンドで減っているし、先日来言っている通り観戦スポーツとしての人気はバスケに押され気味です。私自身観戦者としてMLBに文句を言いたい事もたくさんあります。だからと言って野球が滅亡に近いかの様な極端な悲観論は事実からほど遠いです。相当に根強いです。

野球人口の強みとしては伝統的に野球が春スポーツだからでしょう。秋シーズンはフットボール、冬はバスケ、春は野球という伝統的な棲み分けが深く定着しているので一番優秀なアスリートたちはこの三種目をすべてやる、その中でそれぞれが適性を見つけていくということになります。

ラクロスや男子バレーは春。サッカーはこれは気候の違う土地によって違い、秋スポーツだったり冬スポーツだったりします。例えば温暖なカリフォルニアだとサッカーは冬スポーツですが、人口の多い東部だと秋スポーツ。秋だと最優秀アスリートがフットボールに取られてしまうんですよね。高校のフットボールはただの一競技以上の存在ですから。日本では想像しにくいと思いますがフットボールシーズン(つまり今まさにそうです)の毎週金曜日夜のフットボールの試合は、試合を見る見ないに関わらず多くの生徒が試合に集まり楽しむお祭りの様なものです。とにかくみんな来るから楽しい。これは文化の域です。これに対抗して他の秋スポーツが人気スポーツになるのは至難でしょう。

ラクロスやアイスホッケーといった用具コストがそうとうに嵩むスポーツも母数が小さいながら大きく伸びているところにアメリカ経済の好調さをそこはかとなく感じます。フィールドホッケーが大きく減らしているのは同系スポーツであるラクロスの普及の伸びと関係があるかと思います。カレッジでラクロスを正式種目化した学校が増えた(=奨学金の機会も増えた)という事情もあります。

Lochteのスポンサー契約全滅

リオ五輪で狂言強盗事件を起こした米代表スイマーRyan Lochte。最大で10億円規模の損害になるのではと先日記事を書いて見ました。五輪を終えての週明け月曜日にスポンサーが次々と撤退を表明してLochteは経済的に完全に丸腰になってしまいました。一番判断が遅れたのは寝具メーカーで、社長の名前が日本人のそれでしたので日本の会社なのでしょうか?他のスポンサーが全て撤退を表明したのを見て慌ててこの日の午後に契約解除を発表しています。

こうなってしまうとお金の事を考えれば選手生活を続行して競技で稼ぐのか。それともこの負の知名度を活かしてリアリティ番組に登場してイヤミなヤツを演じてみるのか。いろいろ個人の好みはあるでしょうがルックスではMichael Phelpsより上という評価が多いようですからTVに進出っていうのはあり得るんでしょう。そこまでご本人が突き抜けられるかどうか。ちなみにLochteは以前にも一度リアリティ番組(What Would Ryan Lochte Do?)に登場したことがありますが、今回は注目度が違うし見られる目線も違うことになります。

Lochteはベテランでありこれまでにかなり稼いできたのでそれは良いとして、同罪に問われた残りの3人がどうなるのかも気になります。若手なので2020東京五輪にも登場してくる可能性があります。Jack Conger 21歳、Gunnar Bentz 20歳、Jimmy Feigen 26歳。Bentzは帰国早々に所属するGeorgia大を通して反省の弁を発表していました。アメリカは飲酒年齢が21歳からで、日本では考えられないぐらい頻繁に21歳未満の飲酒を取り締まりますし、NCAAもこれを罰します。Bentzは20歳なので米国内ならそれだけでNCAA規則違反です。ブラジルでは20歳は飲酒は合法、法律上の問題はなし。NCAAなりGeorgia大がなんらかのペナルティを加えるのかどうか。まあペナルティがあったところでマイナースポーツの水泳の出場停止を一般スポーツファンが知ることはほとんどないでしょうが。

リオ五輪の閉会式での東京のプレゼンは良かったと思いますが、たぶん日本はLochteみたいなご乱行をされたらやられっぱなしになってしまう国だと思うんですが、その点は大丈夫なんでしょうかね。



ラクロスMLLの曲がり角シーズン

8月になりました。アメスポの各種マイナープロスポーツ・春夏型リーグが結末を迎える月です。9月のフットボールシーズン開幕を前に、または各種学校の夏休みの終わりとともに店じまいをする感じであります。先日お伝えした新設15人制ラグビーPRO Rugbyもその一つ。最大規模のものはマイナーリーグベースボール各レベル。他にもArena Football League、野外ラクロスのMLL、女子サッカーのNWSL、女子室内フットボールLFLなどなど。かつてはメジャースポーツにほど近かったIndyCarシリーズも昨今は9月にシーズンを終了する春夏型のスケジュールでマイナーの側に寄ってきています。

そのひとつ、ラクロスのMLLについて少し。過去当ブログではMLLについては何度も取り上げています。今季はMLLにとって創設16年目。チーム数が過去最大の9チームによるシーズンで過去数シーズン続いていた二回総当たり制でのスケジュールが組めなくなっています。各チームの試合数は昨年までと同じ14試合。現時点で各チームが2~3試合を残して首位から2ゲーム差内に7チームがひしめく大混戦となっています。上位4チームによるプレーオフが待っていて、レギュラーシーズンの最終盤の生き残り戦からファンにとっては大いに盛り上がるところかもしれません。(2チームだけ脱落しているのは今季新設されたAtlanta Blazeと2014年に設立のFlorida Launch。健全です)

ただ気になるのが今季MLLの試合放送が昨年から激減したように我が視聴環境からは見えるところです。カレッジラクロスの放送が今年は大幅に増えたのと比べるとこの激減は目立つ。但しこれはそうは見えない家庭もあるはずではあります。MLLの放映権を地元のケーブル専門局が積極的に購入している余波でそうなっているようです。我が家ではケーブルではなくサテライトなので全国一律の数百チャンネルが見られるわけです(それに各種スポーツパッケージを追加)。そのサイズメリットに対抗すべく地域限定型のケーブルTV運営会社は近年地元のマイナースポーツ(プロ・カレッジ問わず)を積極的に放送するようになっています。つまり全国型サテライトと地域型ケーブルの顧客の取り合いの武器としてマイナースポーツ放送の囲い込みが進んでいて、その流れにMLLも巻き込まれ、その結果全国型のプロバイダと契約で見ている我が家ではMLLの試合を見る機会が激減したという流れです。

MLLのような一般的人気が微妙なプロリーグにとってはこの争奪戦は有り難い収入なはずです。先日見に行ったPRO Rugbyの試合にも地元のケーブルTime Warnerの放送車が横付けされて、ああ地元ケーブルではPRO Rugbyの放送があったんだなと感心。アメリカ市場経済・競争原理の結露だなあと思って眺めていました。全国放送には向かないけれど地域ならそれなりに人的地域的につながる人たちが見る(かもしれない)ものを他にもいろいろ細かく囲い込んで全国型TVプロバイダに対抗している。このビジネス戦略パターンは極マイナーなものが大半ですが、マイナーとメジャーの中間というべきサッカーMLSやさらにその上のホッケーNHLや野球MLBにも食指を伸ばそうかという勢いがある。人目に触れ易い時刻・チャンネルでの全国放送がしっかりとあるメジャー級のスポーツはそうなっても全国レベルの露出はあまり落ちませんが、ラクロスMLLのように全国放送が脆弱(今季はCBS Sportsnetworkでプレーオフ3試合など極僅か)だと一気に露出が落ちちゃうんだなあと。これからまだ伸ばしていかなければならない立場のマイナープロとしては痛し痒し。当面は地域チャンネルからのお金で財政立て直しという感じでしょうか。せっかく大激戦になっているリーグ戦終盤が露出が落ちているのはもったいないかも。

なお私の視聴環境でも試合を積極的に見ようと思えばESPN系のネットストリームであるESPN3を通じてほとんどの試合は見ることはできます。単にTVでたまたまという露出機会の喪失という話です。カレッジラクロスが大幅に露出を伸ばしたタイミングでプロがそれを上手く拾う機会を逃しているのはもったいないですが、経済的体力を養っている時期ということになるのかもしれません。

Pokemon Goはスポーツ産業にとっても脅威

冗談ではありません。Pokemon Go、めちゃめちゃ流行ってます。日本ではリリース前でお楽しみの方はまだ少ないと思いますが、すごいですよこちらでは。既に一日当たりのアクティブユーザー数や平均使用時間でFacebook、Twitterを上回ったとか、ヒットとかブームという言葉では足りない状態に陥っています。FBやTwitterのような全年齢のインターネットユーザーが日常的に使うのが当然となったプラットフォームを1週間で凌駕とか信じられないです。私が毎日車で通過するルート脇にもPokeStopがあっていつも人が集まってます。Pokemon Go以前はあんなところに人がたかっているなんてなかったのに。

日本では毎夏劇場版の映画が公開されているのでアニメとしてのポケモンにも一定の需要があるのだと思いますが、アメリカでは劇場公開はなくなって久しいはず。アニメ専門ケーブルチャンネルで映画版は公開はされるものの、アニメとしてのポケモンは既にアメリカでは影響力を失っていたかのように思っていたのが、今回のPokemon Goで20代以下が揃って狂ったようにポケモンゲットに走っている様は、あの頃の未来に僕らは立っているのかなぁ、などとつぶやいてみたくなるすさまじさです。小学生年齢の子達でもPokemon Goに熱狂しているのを見かけるのも意外。あの年齢層も下火になったと思ったポケモンを知ってるのね…という感じです。(まあそれ以前になんで小学生がみんなスマホ持ってるんだよ=それもデータプラン付きで…というのもアレですが)日本でリリースが遅れているのはたぶんまだ夏休みに入っていないからですよね。いまは期末試験の時期で、こんな時期にPokemon Goがリリースされていたら試験勉強を放棄して狂う子が大量に発生して社会問題化するから、でしょうね。

これだけ爆発的に流行っていると他のエンタメ、一番分かり易いところではその年代向けのテレビ番組の視聴率に下向きの影響が出るのでは?と思われるほどです。ここでやっとアメスポに話がつながります。

スポーツエンタテイメントビジネスを語る場合、競技ジャンルでどの競技が上だ下だという話題は尽きませんが、しかしスポーツジャンルを超えてさらに大きな目でみた場合のスポーツ以外のエンタメとの競合が実はもっと大きなテーマでしょう。アメリカはスポーツエンタメが強力で一大ジャンルですが、日本なんかだとスポーツエンタメ全体のパイが小さく、アメリカよりもそれ以外のエンタメに押されている面が強いように思われます。それなのに日本では狭いスポーツエンタメ界でパイの取り合いをしている感じがもったいない。いや、ムダなエネルギーを狭い中で費やすような活動はくだらないよなあと思います。アメスポの場合、スポーツエンタメ内のジャンル同士のいがみ合いは少ないのが特徴なのは過去にも当ブログでも何度となく紹介してきています。

ではスポーツ以外のPokemon Goのような21世紀的エンタメとの競合でアメスポはこれからの長期にわたってその地位を維持できていくんでしょうか。同じ土俵で戦っていけるのでしょうか。メジャースポーツは文化レベルで定着しており大丈夫なはずだと思いますが、いくつか気になったことがあります。Pokemon Goが熱狂的にウケている理由はその臨場感、リアルさにあります。本当はこれがおかしな話なのです。アニメの世界の住人が我々の日常レベルに登場するというその融合が新鮮なんですけれど、じゃあ例えばNFL Maddenやらのスポーツのコンソールゲームが選手(それも実在する人物)を我々の前に登場させてくれたとして、その描画がポケモン以上にリアルだったとしてもPokemon Goほどは興奮しないんですよね。これは大変なことになったという気がしました。バーチャルな登場人物が登場するとリアルに感じ、実際に存在する選手が登場してもリアルには感じない。うむうという感じです。NBAファンが増えても実際に会場で試合を見たことのあるファンは1%程度というような発言が昨年コミッショナーからありましたが、会場に行っても上の方から眺めるだけで選手とのリアルを体験できないファンもいるでしょうし、リアルの世界のヒーローはポケモン並の臨場感をどう確保していくのでしょうか。

また初期の各種ポケモンが歳を取っていないというのも強烈な強みです。1996年の152体から始まり現在700体ほどですか?それがすべて現役。野球で言えば1996年の新人王はDerek Jeter。我々の現実では昨年パフォーマンスの落ちたJeterを暖かい目で見送ったところ。NBAならDamon Stoudamireが新人賞受賞。しかしPokemon Goでピカチューが登場すれば年齢を感じさせず(当たり前なんですけど)躍動してくれるはず(まだ出会ってないです)。すごいよなあ…と。ポッポあたりで皆大興奮ですよ。

物珍しさが落ち着く時期は必ず来るし長期的にリアルのエンタメであるアメスポがそう簡単に負けるとも思いませんが、とにかくすごいものが出てきたという感じは強いです。

ノースカロライナ州のスポーツの危機

若干唐突に性転換者の権利を巡って妙な影響がスポーツ界に及んできています。ノースカロライナ州がこの春から施行した性転換者のトイレの使用に関する法律が差別的だと糾弾されて、その煽りでこの秋に始まるシーズンのDukeのバスケットボールの試合がキャンセルを受けたり、また2017年に予定されるNBA All Star Game@Charlotte Hornetsがキャンセルされる可能性が取り沙汰されています。今年は大統領選挙年。性的マイノリティに支持が多い民主党政権が南部州に仕掛けた政争なのかなんなのか。どういう落としどころになるのか気になる話です。

まずDukeバスケットボールの方の事情はこうです。ニューヨーク州の州立大学であるAlbanyが@Dukeの試合を予定していたのですが、これをAlbanyがキャンセル。理由は州知事命令で州の組織による不要不急のノースカロライナ州への渡航を禁止するというのが出て、それに沿ってAlbany大の男子バスケチームがノースカロライナ州内にあるDukeに行けないことになった、ということになっています。知事命令の理由は上述のノースカロライナ州の法律の施行です。

NBAのAll Star戦についてはコミッショナーのAdam Silverが「我々のメジャーイベントをこのままではノースカロライナ州では行えない。別の場所での開催に切り換えるためには残された時間はあまりない」と公言しています。準備期間やチケットのセールスを考えると確かに場所を変更するなら早めに決定を下したいのはわかります。

が、そもそもこれはそんな大事な案件だったんでしょうか。NBAにとってAll Star戦を回避するほど? 確かにNBAは他のプロスポーツと違って女子部WNBAを組織内に抱え、WNBAは選手およびファンにLGBTや支持者をかなり多めに含んでいるというのがあって他のジャンルよりはこの問題に対して敏感な面はあるのでしょう。一方ニューヨーク州は州全体はどうかわかりませんが、ニューヨーク市は性転換者は相当に多い街なのは、まあ同市で新聞を買ったことのある方にはわかると思います。NBA、ニューヨークにそれぞれ事情はあるとしてもボイコットまで進むとは随分と唐突かなという気もしないでもないです。

ノースカロライナ州でスポーツというと、つい先日MLBがFort Bragg Gameを行ったばかり。正確を期せば軍基地敷地内は法律上は連邦直轄地であって州法は関係ないということでもあるし、MLBとMLB選手会が資金を出し合ってFort Braggにスタジアム建設をし始めたのは同法の施行前で、施行されたからと言って中止するわけにもいかなかったかなとは思います。が同時にMLBはあまりこの問題にNBAほど気を遣わなかったかなという気もします。NBAの方がMLBよりはリベラル、MLBの方が保守的な傾向でしょうし。

Super Bowl 50のハーフタイムショーの例のメッセージの件もあり、大統領選挙年に合わせてLGBTが大攻勢、その余波をスポーツ界も好むと好まざるとに関わらずかぶっているということになります。

戦力均衡の是非

今回のKevin DurantのFA移籍もそうですし、以前のLeBron JamesのMiami HeatでのBig 3結成のときもそうでした。批判のうちに「これじゃあ戦力が偏り過ぎるからおもしろくない」というものがあります。言われることは判らないでもないです。

でも本当に戦力って均衡するとおもしろいのかなあというのも同時に思います。現在のNBA以上に戦力が均衡していないスポーツジャンルというのはいくつかあると思います。欧州サッカーなんかが代表的でしょう。常に同じ1~2チームが多数の国のトップを占めている。何十年も同じ顔ぶれだったりする。それと比較すればNBAは強力チームは常に入れ替わっている。または贅沢税導入前のMLBも戦力不均衡でした。カレッジスポーツも富めるものとそうでない学校との差は相当に大きいし固定化している面は強い。F1もそう。でもこれらのジャンルがアメリカでも他国でも人気を博してきた歴史があるわけです。

カレッジスポーツは一校当たりの奨学生の数をコントロールすることで格差の是正も進みましたがそれでもやはりエリート校はいつもエリート校らしい選手を揃えてきます。MLBは贅沢税制が効いてかなりの戦力均衡化は進みました。ですがそれがMLBの人気の伸張に寄与したかというとなかなか微妙です。小マーケットで長年苦労したKansas City Royalsの大復活なんていうのは贅沢税制時代の成果のひとつでしょうし、あれはあれで楽しく見られたんですが、他方過去悪の帝国として全米規模の注目の的だったNew York Yankeesが全国レベルの注目を落としたのはMLB全体の露出にとってよかったのかどうかというのは議論があって良いところ。

極端な例を他に挙げるとTiger Woodsの全盛期のゴルフなんていうのも戦力均衡からは真逆な時代でした。常にTiger Tiger。一強時代です。戦力が偏っていた。でも実際にはTigerが勝つかどうかだけが気になるスポーツファンが続出したので戦力均衡でないからこそ当時のゴルフが注目を集めたのですよね。

逆に戦力均衡が極端に進んだ例をアメスポで挙げるとNASCARやサッカーMLSがそれに当たります。先週末にMLSのNew York Red Bulls@New York City FCのダービー戦がありました。MLS参戦二年目となったNew York Cityがダービー対決五度目で初勝利、2-0。この試合で勝って同チームはMLS東カンファレンスのトップに立ちました。しかしその戦績は7勝5敗6分。この成績でトップです。サッカーという競技の特性もあってどのチームもどんぐりの背比べというMLSの試合は興味を持たれにくい面があります。焦点がない、と言ってもいい。欧州リーグのように興味の焦点となる強いチームがいて、それに他の群小チームが特攻をかますとか、強いチームが評判通りの強さで相手を蹴散らすとか、そういうのがMLSにはほとんどありません。これ、おもしろいでしょうか。私がシーズンチケットを所有して特定チームを応援していた頃はホームチームの選手はよく知っていたし、使われ方も選手としての特徴も把握していたから試合の中でちょっとした違いを感じとれるので楽しめた面はありますが、そうでないチーム同士の試合、それもどっちが強いともわからない試合「ばかり」のMLS。観戦に焦点が合わずなかなかにつらいものがあります。戦力均衡ってサッカーに合ってないのかもなあと思わされるわけですね。

話があちこちに飛びました。で、元の話に戻ってNBAのDurantのGolden State行きってそんなにNBAをつまらなくするんでしょうか?というかそこまで言うほど圧倒的に強くなるんでしょうか。強くなったとして、強いチームがいるからといってそれがそのまま問題なのでしょうか。

Michael Jordanの最強Bullsの頃もBullsが最強なのは誰の目にも見えましたがリーグの人気は上がりました。あれはTigerの頃のゴルフと似た現象だったでしょう。単焦点だが注目度抜群だったというやつです。LeBronのMiami Heat移籍も結成当時一時的に反発は招いたものの結局は注目度は突出、NBAの人気をさらに加速させました(それが現在のNBA収入増そして今オフのサラリーキャップの増大として形になってます)。KobeとShaqの対立ドラマ付きのLakersの興亡もまた良かったです。どれも当時一強チームに近い状況でNBAは人気を博してきた現実があるわけです。結果から見ると一強のように見えても実際にはどこかが必ず何かをしかけてきて好勝負激戦が展開されてきたんじゃなかったんでしょうか。

今回のDurant入りWarriorsがこれらの一強チームのような求心力を得られるのか。見るのも飽きるほど勝ち込むのか。そうでもないような気がするんですがどうでしょう。勝ち込んだとしたら戦力が不均衡でおもしろくなくなるのか。私にはたぶん逆になるように思えるんですがどうでしょうか。LeBronのHeatが毎年FInalsまで勝ち進んだ。初年度は惜敗、二年目に遂に優勝。あの辺りの盛り上がりぶりは大変なものでした。Durantを加えた新Warriorsが肯定派否定派双方の期待通り予想通りに勝ち込んだらNBAはどうなるかというと、たぶんまた盛り上がっていくんじゃないでしょうか。Clevelandとの三年連続Finals?1勝1敗後の両チームの決着戦三度目の正直?それもまた良いのではないかと思うんですがどうでしょう。(Clevelandの助っ人にWadeが来る、という当ブログが期待していた展開はなくなりましたが)

カレッジベースボールもカネになるようになってきた?

先週末のNCAAベースボールトーナメントを見ていたときに放送中に聞いた話題です。64校でのトーナメントの全体の第2シードとして登場していたLouisville Cardinalsの監督が契約延長をして年間のサラリーが$1 millionになったという話をしていました。全体で2026年までの契約で毎年$1 million。ざっと年俸1億円、契約満了までで10億円。カレッジベースボール界では初の年俸ミリオン越えです。ちょっと驚きました。

カレッジスポーツの常識としてはフットボールと男子バスケは黒字。バスケ女子と野球はごく一部のエリート校のみ黒字。あとの全種目は(極僅かな例外を除いて)赤字とされます。フットボールやバスケが稼いでくるカネで他の競技は運営できている学校が多いわけです。カレッジベースボールでLouisvilleは絶対に(強調しておきます。絶対に)エリート校ではありません。全米8強が集うCollege World Series (CWC)にLouisvilleが出場したのは2007, 2013, 2014の3シーズンのみ。近年になって急に登場するにようになったもののいわゆる人気校でもエリート校でもない。そのLouisvilleで監督が総額10億円の長期契約を結ぶのか、と驚いたわけです。どこからそのカネ、出てきてるの?と。調べてみてもCardinalsの本拠スタジアムは収容4,000人とカレッジベースボールの上位校の中では平均的。カレッジベースボールはシーズンも短く、ホームゲームはせいぜい30試合強。カレッジベースボールは普段はスポーツニュースに乗ることもないマイナーな扱いが多いはず。地方によってばらつきがあるのでLouisville界隈では取り上げられているのかもしれませんが、それにしてもどうやって$1 million、唐突な感がぬぐえません。

野球でLouisvilleと言えば野球用具メーカーLouisville Sluggerの本社所在地。私も同社の工場見学(スター選手の製造過程の特注バットなんかも見せて貰えました)および併設されたミュージアムを見学したことがあります。都市名を付けた野球用具の専門会社でもあり地元プライドからそこからなんらかの援助が入っていたとしても金額が突出し過ぎているような。

これはどういうことなのか。カレッジベースボール全体に放映権料などお金が流れ込んできていることの現れなんでしょうか?伝統的にカレッジベースボールはマイナージャンル。これはプロのマイナーリーグが全米の隅々まで配置されており、大量のプロ野球選手が存在していたため、そのさらに残りの選手がカレッジベースボールを構成していたことや、学校の春シーズンに限って展開するカレッジベースボールのシーズンの短さ、動員の見込める夏休みの時期にはプレーしていないなどに起因します。それが大学経由のMLBでの成功例が増えたことでカレッジベースボールのイメージが上がった。TVチャンネルの極端な多局化で慢性的なコンテンツ不足で、一般に馴染みやすいベースボールが放映される機会が過去10年強で増えたなどというトレンドはあった。だからと言ってLouisville程度(失礼)の学校でそんなお金を突っ込めるほどカレッジベースボールにお金が流れ込んできているというイメージはなかった。Louisville程度でこんなサラリーが出るのなら、カレッジベースボールの名門Texas(つい最近前監督が解任)の次期監督にはいくらぐらい出るのか。カレッジの監督のサラリーのバブル到来になるのか。

Copa America記念大会がNBA/NHLのFinalsの間に割り込む

明日からNBA Finals Golden State Warriors x Cleveland Cavaliersが始まります。昨年のFinalsの再戦。但しClevelandは昨年と異なりケガ人もなく万全でのリベンジ戦。すごいシリーズを期待します。細かい予想はまた別途やりますが、今日は勝敗予想のみ。4勝1敗でWarriorsとしておきます。賭けなら安全に4勝2敗でWarriorsとしたいところですが、それでは興がないので。

ホッケーNHL Stanley Cup Finalは今夜第2戦がありました。Pittsburgh Penguinsが延長戦の末に二連勝で優位に立ってます。第3戦でホームに帰るSan Jose Sharksが巻き返せるかどうか。シーズン前半もたつきが目立ったPittsburghがHCのクビ切りを敢行して立て直しに成功したことになります。Penguinsが2009年にStanley Cupを制したときもシーズン途中でHCの更迭を経て勝ったという経緯もあり、歴史は繰り返すのか。San Joseの西カンファレンス決勝での猛烈にしつこいディフェンスは見応えがあったんですが、どうなるか。

San Jose SharksとGolden State Warriorsはともにサンフランシスコ湾ベイエリアのチーム。NHLとNBAのFinalsのスケジュールはほぼ入れ子で組まれており、同地のスポーツファンは毎夜地元チームの応援で楽しめそうです。NBA Finalの第1戦は木曜日、第2戦は日曜日ともにOakland Oracle Arenaで。NHLの次戦第3戦は土曜日、第4戦は月曜日にSan JoseのホームSAP Centerで。

で、やっと表題の話に入ります。スケジュール上、NBAとNHLが金曜日を空けています。日本の感覚だと金曜夜はスポーツエンタメに良い日に思えるかもしれませんが、アメリカでは金曜夜のTVイベントは視聴率が低いという常識があり、今年はNBA/NHLとも避けてきました。そこへ入り込むのがサッカーのCopa América Centenario記念大会の開幕戦=米代表 x コロンビアの一戦ということになります。隙を見せるとどこからか誰かが即座になにか仕掛けてくる。必ずなにか見るものがある。このアメスポ全体のダイナミックさは楽しいです。そしてCopaの開幕戦の場所がたまたまNBA/NHLと重なるLevi's Stadiumで。そうNFL San Francisco 49ersのホームです。偶然にもNBA/NHL/Copaが木曜~月曜までベイエリア同一都市圏内で連日興業という巡り合わせになりました。

正直、現在のサッカー米代表に対する期待値は低く、16カ国参加の今大会のグループリーグを米代表が突破できるのかは疑問、ほぼ五分五分でしょうか。ホームの地の利を得て勝ってアメスポシーンにサッカーありを見せたいところではあるでしょうがどうなることか。メジャースポーツ興業が同一都市に重なったことでCopaの開幕戦の動員(特にアメリカ代表を応援するアメリカ人ファン)は少々割を喰うことになるのは避けがたいか。

Copa América Centenarioの放送はFOX系列で。FOXはNBAプレーオフにもNHLプレーオフにもからんでいないのでNFLが終わって以来ここ数ヶ月、普通のスポーツファンにチャンネルを合わせて貰う機会の少ない状況なので、Copaの視聴率の数字で良い数字が出るものかどうかは疑問。米代表のグループの相手もコロンビア、パラグアイ、コスタリカと知名度でパンチの効かない相手ばかり。しかしながらピッチ上で相対すれば難敵ばかり。なんとかノックアウトステージにたどり着いて一回戦でブラジルとのガチンコでの対決を実現したいところでしょう。

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