アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

Sports Business/ジャンル比較

遅咲きIsner W杯を食うか

テニスWimbledonの男子シングルスで米国人John Isnerが準決勝に進出してます。32歳Isnerにとってはメジャートーナメントでの初の四強進出。準決勝の相手はナンバーワンシードのRoger Federerを準々決勝で破った南アのKevin Anderson。Isnerが第9シード ATPランク10位、Andersonが第8シード、ATPランク8位ということで互角。直接対決の生涯成績はIsnerの8勝3敗。Isnerにとっては初のメジャー決勝への大きなチャンスです。

アメリカのテニスは女子の方はWilliams姉妹が長年トップクラスのところへ、昨年夏の全米オープンで25歳Sloane Stephensがメジャー初優勝、やっとポストWilliams姉妹の新しい顔になれそうな選手が出てきたか、というところ。
対して男子の方は2003年のAndy Roddickが全米オープンを制したのが最後。近年の男子テニスは4強による寡占が続いていて米国人男子選手はメジャータイトルのチャンスはほとんどありませんでした。久々のメジャータイトル獲得なるか。決勝に進出できた場合の対戦相手は、全仏を制してきたばかりのRafa Nadalと復調Novak Djokovicのどちらか。そう四天王のお二人ですね。つまりIsnerは準決勝では若干の優位。でも決勝進出できたらアンダードッグということになります。

さて、それでなぜこのテニスの話題にサッカーがカテゴリとしてつけてあるかというとですね、もしIsnerが決勝に進出してしまうと、W杯の決勝戦と放映時間がバッティングするのではないかという点が気になったからです。つまりテニスでの意外な米国人選手の活躍が、W杯決勝の視聴率動向にマイナスの影響を与える可能性を考えているわけです。

少し前に今回のW杯の米国内の視聴率が前回大会と比較して40%以上と大幅に落ちているということを書きました。時差、米代表の出場失敗など負の要素がかなりあったのでダウンするのはしかたない。その時に書いたのは、準決勝決勝と進めば米代表が出場していないことのマイナスという要素は消える。毎大会せいぜい16強戦までしか米代表も、米代表以上に人気があるとも言えるメキシコ代表も敗退しているのが常だからです。その通りメキシコは16強で尻すぼみ敗退してます。
地元の代表が消えて他国同士の準決勝決勝となれば過去の大会との視聴者数比較などはしやすくなる。特に決勝戦は日曜日ですから時差の要素もかなり抑えられていくだろうと考えていたわけです。

ところがここでIsnserのWimbledon決勝進出という意外な変数が入ってきたかも、というわけです。W杯はFOXが放映。WimbledonはESPN系の放映。

PGAツアーがNFLを避けるスケジュールを発表

男子ゴルフPGAツアーの2019年のスケジュールが発表され、その変更が注目を浴びています。細かい変更はいろいろあるんですが、プレーオフのFedExCupを短縮かつ一ヶ月前にずらして8月末に終了というスケジュールになったのが最大の注目点。この変更はフットボールシーズンを避けるのが主目的だとされています。フットボールは9月第1週にカレッジフットボールがシーズン開幕、続いて翌週にNFLが開幕というのが近年のパターンです。

NFLの視聴率の低下云々が言われる過去数年ですが、それでもやはり対抗するスポーツ他ジャンルにとってはいまだにNFLは脅威ということなのでしょう。特にPGAとNFLはともに週末型のイベントで、スポーツニュースでの露出でNFLに圧倒されているのは確か。せっかくプレーオフをやっていてもフットボールシーズンにかかっていては対抗しようがない。週末からイベントをずらすことは不可能なので、じゃあフットボールシーズン前にプレーオフをやってしまおうということですね。

アメスポのマイナープロスポーツには春夏シーズンのものが多数あります。学校の夏休み中の動員を当て込んでその時期にやるわけです。フットボールシーズンになったらフットボールに負けるというのもある。女子サッカーがそうですし男子ラクロスMLLもArena Footballもそう。男子サッカーのMLSも初期は9月中にレギュラーシーズンを終了してました。過去に隆盛を誇って長いシーズンを戦っていたIndayCarがそのマイナー化が進んだ時点でスケジュールを短縮、9月中旬にシーズンを終える形になってます。来季以降はさらに短くなるかもともされます。

アメスポ市場でフットボールが強い人気を誇るのは間違いないんですが、遂にアメスポ中堅で人気の底堅いゴルフまでNFLを避けるようになったか、というのは意外な感じもします。

スポーツニュース番組は絶滅危惧種

ESPNのSports Centerのことを書きました。実は今となってはSports Centerには競合番組がありません。スポーツ専門チャンネルとしては各系列が専門チャンネルを持っていますが他局でSports Centerに類する総合スポーツニュース番組はすべて廃止になってます。FOXが一時期頑張ってSports Centerの向こうを張ったニュース番組を放送していましたが視聴率は一向に伸びずSports Center一強の牙城を崩せず撤退。
そもそもの話がスポーツ情報を得るためにTVを見るという行動自体が死滅しつつあると言えるように思います。私個人で言えば既にSports Centerを見る機会が激減しており、インターネットやアプリに頼り切り。そういう人はかなり増えているはず。もちろんTVニュースで見た方が良いと感じられるタイミングやイベントはありますからまったく見ないわけではないですが過去に圧倒的な情報発信力を誇った頃のSports Centerではないと言えます。その昔オバマ大統領も朝は日課のようにSports Centerを見ていたと言っていたのが、いまとなっては朝の時間帯のSports CenterはESPN2送りとなり、本局のESPNではGet Up!という番組に置き換わっていたりもします。

サッカーW杯の報道がESPN系列のSports Centerで小さく取り扱われているということを書きました。じゃあW杯の放映権を持つFOX系列は大々的にW杯のニュースを流しているかというと、前述の通り既にFOXはスポーツ総合ニュース番組から撤退しているのでそんなことをする場もない。時差の都合もあり午前中に試合が集中しているのをゴールデンタイムに再放送している日もありますが、FOXの持つMLBの定時放送はW杯の間も続けているのでその日はMLB優先。またFOX系列ではW杯の開幕と同日にゴルフの全米オープンがスタートしてそちらの放送も時間を割いていたためケーブル局のFS1が潰れている。さらには週末にはNASCARの放送もありましたからサブ局FS2もそれで埋まっていた。次週からは3-on-3のプロバスケBig 3の放送もFOXで始まるとか。なんともTVでのW杯の露出が限られていて窮屈な感じなのです。盛り上げきれない態勢というか。
NASCARの放送は先週末は最上位カテゴリのCup戦レースはお休みの週で下位カテゴリのXfinityシリーズなどの放送だけだったんですが、契約上扱わざるを得ないのかそれを優先してW杯関連再放送やらW杯情報番組などは極限られた変な時間帯にやっていました。次週末はNASCARのCup戦も帰ってくるのでまたFOX系列の番組は混み合うことになります。

TVでやっていないならネットで情報を取ればいいじゃないか。その通りなんですが、それは既にW杯に興味がある人の行動で、そうじゃない人を巻き込んでたまたま見ちゃった、興味のある人を増やすという機能はやはりTVでないとなあということになります。

スポーツ賭博が全面合法化へ

連邦最高裁判所から判決が出て米国内でのスポーツ賭博の全面解禁への道が開けました。この判決はスポーツだけでなく他の係争にも類が及ぶ画期的なものとなりそうです。今回はスポーツ賭博についてだけ少し触れます。
根本的な争いはニュージャージー州が合法としたスポーツ賭博を連邦法が禁じるのは連邦憲法違反ではないかという点で、連邦最高裁判所は州の意見を支持して連邦法を無効としたということですね。連邦法と州法の優位性は、日本に於ける国の法律と地方条例との関係とは根本的に異なるということで、なぜそうなのか解説しても良いんですが長くなるのでそれは他のサイトに譲ります。

これで既にニュージャージー州で合法に営業許可を得ていた同州内の賭博業者は州法・連邦法でのいずれでも完全に合法に営業ができるようになりました。同州内では既に事業準備は整っている業者も多く、早ければ今月中のNBA Finalsにグレーゾーンなしでスポーツ賭博が可能になったことになります。他州でも様々な形でカジノや競馬場などが存在してきたわけですが、そういう場所でスポーツ賭博の販売が急ピッチで準備されると想像され、秋のフットボールシーズン前に各地で新たなビジネスが芽吹くことに。
それだけではなく将来的にNBAやNFLがスタジアム内に賭けの窓口を設置することだってありうる。外部のギャンブル施設に儲けさせるのではなくメジャースポーツ自身が胴元になろうというわけです。スポーツ賭博への取り組みではNBAが最も先行しておりコミッショナーも公的な場で研究を進めていると数年前から発言してます。アメスポメジャーの中ではNFLが一番出遅れているとされていますがそちらも近く行われるオーナー会議で遅れを取り戻すべく大きな決議を下すかもしれません。今回の決定を受けて一番最初にシーズン開幕を迎えるのがNFLですから、その動向は気になるところ。間に合うのか。下準備をずっと重ねてきていたNBAは来秋のシーズン前に自前の賭けサイトをオープンできるのか。

他には試合数が圧倒的に多いMLBが実は大きな利を得るのではないかということも想像できますね。賭ける機会が圧倒的に多いわけですし、夏場はほぼMLBがスポーツ賭博市場を独占する可能性も否定できません。

King of LA

MLB Los Angeles Angels of AnaheimのShohei Ohtaniについての報道が過熱気味です。スプリング・トレーニングで投打ともに結果が出なかったのが、本番が始まったらこの大爆発ぶり。来る日曜日4/8の二度目の先発登板まで基本的には出場はない予定だったのですが、地元のスポーツ報道を見ているとOhtani出せ、日曜日にDH解除の可能性は?などと先走る。日本ハム時代のDH解除の試合や、日本での出場試合数やそのタイミングについての詳細を添えて、Angelsもそうすべきだとかなんとか。初対面は二度ない、なんて言う言い回しを英語ではしますが、その初対面で見事にAngelsファンやLAのスポーツファンのハートを捉えてしまった、この持ってるぶりはすごいものがあります。

Angelsが勝ちこんでいるのも大きい。現在5勝2敗。同市内のNL Los Angeles Dodgersが2勝5敗と出遅れている。シーズン中であるNHL Los Angeles Kingsは昨夜St. Louisの敗戦でプレーオフ進出が確定したものの、より人気のあるNBAの方ではLos Angeles Lakersはプレーオフ出場を逃すことが確定済み、Clippersも現在西10位で望みは残るもののプレーオフ圏外。サッカーMLSは先日もご紹介した通り独自の戦いで健闘はしていますが、まだまだ一般への影響力はMLBとは比較にならない。つまりいま全米第二の大都市LAのスポーツシーンのほぼ唯一の光がShohei Ohtaniという大変な状況になっているのです。この巡り合わせも持ってる人っぽいですね。金満Dodgersがまるで空気、Ohtaniがスポットライトを完全に奪うことになるなんて、OhtaniがAngelsと契約を決めたときは想像もできなかったはずです。

報道も詳細にわたっていて、Ohtaniの登場曲は投手としての試合と打者としての試合では別の曲で、それは誰のどういう曲で、そしてそれぞれの曲の歌詞に「Angels」が出てくるのですよ!なんて興奮気味に伝えています。打者の方で使われている曲は地元LA出身のThirty Seconds to Marsの曲で‥とか。実際にそれを選んだのがOhtani本人だそうです。色々いいセンスしてるなあと感心します。

昇降格問題は50年前に決着がついている

前項で末尾に書いた50年前のNHLのリーグ拡張の経緯を書いていて思ったのですが、これってアメスポでは下部リーグは作られないという実例ですね。そしてそれに伴う昇降格もほとんど実現の可能性がないという先例になっているように見えます。少し以前にアメリカサッカーでの昇降格制の可能性のことを書いたのですが、やっぱりないのかなという歴史的根拠もあったことになります。

50年前のNHLのリーグ拡張は、既存の6チームに加えて新規の6チームが参加。但し既存の6チームが東地区、新規の6チームは西地区と名付けられていた。でも西地区には東海岸Philadelphiaなんかも含まれていて、実質的には戦力に劣る新チームを隔離してリスタートしたというものです。完全隔離ではなく東西のチームの対戦もあったですが、その結果は西地区の最高成績のチームですら勝率5割に満たない、つまり既存の東地区が圧倒したということです。急に6チームもプロチームを増やせば選手の質が落ちるのは確実だし、結果もその通りになっていたわけです。

これがサッカーのような文化なら新規の6チームは当然のように下部リーグとして認識されて上下の関係の存在となったかもしれない(チーム数足りないか)。ところがNHLで起こったことは新参チームだけの6チームでプレーオフをやって、古参の6チームの代表とStanley Cupを争うという仕組み。つまり横の関係をとった。まさに非サッカーな文化全開です。

想像するにNHLがこの形の拡張策をとったのにはNFLのSuper Bowlの成功が影響していたのでは。NHLが拡張策に舵を切ったのが1967−68シーズン。第1回Super Bowlが「First World Championship Game AFL vs. NFL」とした開催されたのが1967年1月のことです。Super Bowl直後にNHLはリーグ拡張を実施したということですね。当時はAFLとNFLは別組織。
当時はAFLはまだ創設7年目の新興リーグだったのでSuper Bowlの企画はファンの興味は惹いたもののNFL側の勝利が当然とされていた。実際にNFL側のチャンピオンGreen Bay Packersが35−10で勝った。翌年の第2回もPackers連覇、33−14。試合は一方的であってもファンは満足して話題性も高かった。それを見ていたNHLが自前のSuper Bowl的イベントを作るために新興チームをStanley Cup Finalに進出する仕組みにした、という感じではないかと想像します。それでもファンはよろこんで受け入れてくれるだろうと類推できたからですね。

NHLはリーグ拡張を縦ではなく横に広げた。Super Bowl以前にもMLBのAL/NLの合併なんかもありましたし、MLB、NFL、NHLと当時のメジャープロスポーツでアメスポの横への拡張が完全に定着したという感じではないでしょうか。つまり昇降格制がアメスポに存在しないのはSuper BowlやWorld Seriesというイベント性のあるスタイルが、昇降格制よりも魅力的だからだったとも言えそうです。

Daytona 500 / NBAオールスター 五輪に遠慮せず

今週末はNASCARシーズンの本格幕開けを告げるDaytona 500と、NBAのオールスター戦が開催。日本の皆さんは冬季五輪でお楽しみのことかと思いますが、こちらでは五輪放送にお構いなしにアメスポ上位ジャンルがイベントをぶつけてくるのがアメスポの世界。別の項でも書きましたがアメリカではNBC系列が五輪放送を長年独占し続けているので、他系列は手加減してくれません。他にもカレッジバスケットボールがシーズンがレギュラーシーズン終盤戦で熱いが繰り広げられます。欧州だと6 Nationsラグビーが今週お休みなのは五輪配慮なんでしょうか。

私の記憶のある限りではDaytonaとNBAオールスターが同日に重なるのは珍しいはず。Daytona 500はPro Bowl(以前Pro BowlがSuper Bowlより後だった頃)が終わるとすぐという印象です。
Daytonaの方はFOXの放送で昼間2:30PMスタート、NBAオールスターの方はTNTで夜8PMから。NASCARの方が雨天で極端に遅れがでない限り時間が重なることはありませんから同日でもさほどの問題はありませんが。
Dale Earnhardt Jrが引退、NASCARの最盛期の頃のドライバーが減ってきてジャンルとしては正念場の時期でしょうか。人気者だったDanica Patrickもこの日が最後のDaytonaとなります。

NBAオールスターはいつの頃からかどんどんつまらなくなってしまった、と個人的には思っているのです。昔はもうちょっと試合になっていたのが、最近は3ポイントシュートかダンクのふたつしかない。どうもそれはNBAも感じていたようで、今季は東西カンファレンス分けではなく、Team LeBron対Team Stephenの対戦。過去にNHLオールスター戦やNFL Pro Bowlでも使われた形式ですね。NHLやNFLと比較してNBAは選手の個々のキャラが立っているのでおもしろい組み合わせもより可能かも、どうかな、と思っていたわけです。
LeBron JamesがKevin Durantを自軍に指名したため現役最強の二人が組むことになったのがまず注目。この二人が一緒に本気でプレーしたらさぞやすごいことでしょう。さらにオフシーズンに袂を分かったKyrie IrvingもTeam LeBron所属となって9ヶ月ぶりにこのコンビも再結成。それに加えて来たるオフにLos Angeles LakersがFAでLeBronと一緒に最高額で獲得する可能性があるとされるPaul GeorgeもTeam LeBron側に。Team LeBronの方が話題性が多様で魅力的なメンバーのような。会場もLakersのホームのStaples Center。LeBronはこのオールスターウィークエンド、昨オフに新たに購入したというLos Angelesエリアの邸宅に泊まるんでしょうか?

対するTeam Stephenの方はWarriorsのいつもの同僚とJames Hardenなど大半が西カンファレンスのお馴染みの面々。ガード偏重で新鮮味も薄いメンバー。そもそもTeam Stephenという名前がよろしくない。Team Curryの方が語呂がよさそうな気がしますが、まあLeBronに合わせてファーストネームで揃えたってことなんでしょうが、東首位のTorontoやBostonから助っ人などは来てますが地味な感じは否めず、注目度ではTeam LeBronの圧勝のオールスター戦になりそうです。


厳冬FA市場と制度からタンクを考える

MLBのFA市場が史上最悪(選手側から見て)の抑制型オフシーズンとなっていまも100人以上のFAが余っている。キャンプは来週開始。選手の代理人たちが悲鳴をあげてMLBオーナーの固い財布を批判しています。FAの選手たちを集めた独自のキャンプ(合同自主トレ)をMLB選手会が準備して浪人しそうな選手たちの救済を目指すようですが、大物FAは参加しても怪我がいやであまり張り切ったプレーをする可能性もなく、練習そのものよりも練習後のマスコミ対応ばかりが話題になりそうな気がします。

今回のMLBのFA不況(以前が気前が良すぎただけという見方もありますが)で代理人が批判しているのは金を使わないローコスト経営でシーズンを迎えようとしているチームの存在。勝つ気がないだろ!と非難している。それに対してMLB機構の方からは数シーズン先を読んでのチーム強化戦略を選ぶのは球団の正当なやり方であると、わざわざ公式コメントを発表したりしています。

近年、タンクしていたチームが数年後に飛躍してWorld Seriesを制した例が頻発しているためタンキングがMLBの長期戦略として有効だと認められた、そういう状況下なので今回のMLBのコメントは説得力がある。昨秋に優勝したHouston Astrosもまさにその好例。例のSports Illustrated誌のAstrosの優勝を数年前に予言した記事などもあってマスコミを通してHoustonの長期戦略がファンにも共有されたのも、タンクをしたいチームが思い切ってタンクに行ける環境を作ったと思います。

こういう事例があるのと、あとは制度上MLBにはサラリーフロアがないのでタンクしようと心を決めたら思い切ったタンクができます。NBAやNFLにはサラリーフロアと呼ばれる所属選手のサラリーの合計の最低額が設定されていて、タンクするのは自由ですがサラリーの節約には最低限度がある。MLBにはそれがないはず。これはマイナー契約のままで想像以上に早い段階で上に上がってくる若い選手がいる、というMLBの現実には合っているんですが、それをタンクに利用すると思い切ったタンクが可能なのがMLBの現行の制度ということになります。今回の事態を経て、MLB選手会は次期労使協定ではサラリーフロア制度を求めることがあるかもしれません。但しサラリーフロアっていうのはその名から想像できる通り上限を定めるサラリーキャップとセットで導入するべきもので、贅沢税制で上限を決めているMLBとは少々相性が悪い制度な気がします。選手会が次期協定交渉で要求してもオーナー側は突っぱねるんでしょう。サラリーキャップをセットで導入だと過去のようなMLBのスーパースター選手の巨大契約は消えますから、それを選手側が受け入れられるかどうか。ただ総収入に占める選手サラリーの割合がMLBは低い(他のメジャースポーツと比較して)と選手会が指摘しているのは事実なので上限抑制を選手側が受け入れられるなら譲歩の余地はあるかもしれませんが、上限は青天井下はフロア決めろではまとまらないでしょうね。

まあ今オフはMiami Marlinsがファイアーセールでオールスター級の選手を次々と放出してFA市場の需要減につながったなんていう今季のみの特殊事情もありました。特に外野手は3人の若く優秀な選手を放出、Marlins自身はFA市場に金を落とす気がゼロなので、32球団分の市場が31球団分まで縮小したみたいなものです。3人=Giancarlos Stanton, Christian Yelich, Marcell Ozunaの質の高さを考えると相当にFA市場は打撃を受けたと考えて良い。
他にもPittsburghが契約が残り少ないMVP Andrew McCutchenをあっさり放出したりと、FA市場が完全停滞しているうちにFA需要をトレードでまかなった例が多い。今オフのFA選手の長引かせ戦術が裏目に出たわけです。こういう不安なオフを見せつけられると来オフにFAとなるClayton Kershaw(選手オプション)、Bryce HarperやManny Machadoなど大物選手たちも(それ以下の中物たちだって)来オフを待たずに今季中に契約してしまえるならしてしまいたいと思う。たぶん水面下での動きがそれらの選手たちとは始まっているんじゃないか。そうなるとますます今新契約が取れなくて困っている選手たちは浪人の可能性が高まる。

いずれにせよ我々は今、MLBの契約慣行が大きく変わる潮目を見ている可能性は高いです。




NFLは儲ける前に浸透できるのか

既に読者のみなさんご賢察のことかと思いますが、前項の話はラグビーリーグをお奨めしているわけではないわけです。ぶつ切りの試合の流れが良くない、というよくある批判はたぶん事実ではないのではないか、ということを実例を挙げて言いたかったわけです。つまりは例えばアメリカンフットボールを知らない人に紹介するにあたっては「何をやっているのがわからない」というのがほぼ唯一の問題であって、何をやってるかわからない中、試合の小休止が特に目につくという話でぶつ切り云々は実はどうでもいいはずと言いたいわけです。そうでないとラグビーリーグがラグビーユニオン以下の人気しかつなぎ止められていない理由がありません。


何をやってるのかわからないと言われがちな競技としてはアメリカンフットボール、クリケット、野球、サッカー、ラグビー、オーストラリアンフットボールなど。観戦を楽しむのに馴れが必要な競技は多いです。対してバスケ、バレ−、テニス、陸上、水泳、相撲はプロセスと結果が短時間で直結しているので比較的そういう批判は少ないはず。但し実際には前者のグループの方がプロとして興業的に成功している場合が遙かに多いのはなぜか?という点に注目したいです。

仮説として「人々は単純なものでは飽きてしまう。ある程度の複雑さを求めている」という回答がありうるかと思うんですがどうでしょうか。


私が育った頃の日本では野球が理解が難しいスポーツだという認識はなかったように思います。それは高校・プロの放送がいつでもあって自然に野球というスポーツの流れを知っていたからなんじゃないかと思います。つまりそのレベルの浴びるように見る環境があれば多少ルールや戦術が複雑でもそのうちわかるさ、ということです。アメリカにおけるフットボールがまさにそれでしょうし、サッカー国におけるサッカーでも同じでしょう。それぞれは特に見やすいスポーツでなくても浴びるように見ている国の人にはそのフロー、いくつものパターンが自然に頭の中にストックされていく。それが文化というものです。

NFLの英国進出の問題はその文化をいまの21世紀の環境で人為的に作れるのか?ということでもあるんでしょう。TVだけに限っても各国で多チャンネル化が著しい(日本は極端に少ないままですが)。TV以外のエンタメもいくらでもある。そんな環境でなにかを浴びるように人々に見て貰えるほど提供するということは可能なのかな?ということですね。先日ご紹介した調査結果からすれば、内容への理解はともかく存在の認知は進んでいるようですが。


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あとアメリカンフットボールを知らない人に紹介する場合の話として、ルールが複雑だ、という話が出てきがちですがこれも私は違うんじゃないかなあと思っています。説明の切り口がその魅力の紹介とズレているのではとも思います。
これはアイスホッケーの例ですが、アイスホッケーを知らない人に競技を説明するビデオ(確かNHL本体の提供のHocky 101というビデオクリップだったと思います)で、最初にon the flyの話をするのに閉口したことがありました。on the flyというのは試合進行中に試合を止めずに選手が交代できることを指します。確かにそれは多くのスポーツとアイスホッケーが大きく違う点です。が。それを最初に持ってくるのは違うだろと思うわけです。ホッケーの魅力となんの関係もないじゃん、と。紹介すべきは豪快なスラップショットが最高!でもそれだけじゃレベルの高いホッケーでは相手も身体を張ってきてそうそう得点できないので、こうこうこうやってコンマ数秒でパスを回して決めるんですよーっていう実例の方でしょう。

同じ事でフットボールだと必ずダウン制の話を最初にしてしまうんですが、それは違うと思うのです。プレゼンとして間違っていると。相手を思いっきり吹っ飛ばして良いからとにかく前に進む。こういうサイズのスーパーアスリートがフルスピードでぶつかり合う!爽快!(それに際して細かいルールはあるけどそれは追々わかれば良いから気にしない!)。でもそうは簡単にいかないので前パス横パスやパスのフェイクを駆使して駆け引きするんですねーとプレーの例示すべきだと思うんですけど。


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