アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

NFL/Pro Football

初のNFL出身五輪選手誕生へ

元NFL Detroit Lions RBのJahvid Bestが五輪陸上短距離で五輪に登場することが認められることになりました。NFL出身者の五輪登場は初とか(元五輪選手がNFL入りした例はあり)。NFLを語るときに「アメリカのフィジカルエリートが集う場」というような形容をすることがありますが、五輪選手は初なんですね。まあ陸上競技で求められる身体とNFLで求められる身体の組成が違うわけですから掛け持ちは無理でしょうが、こういうこともあるんだなということで。

Bestが代表として出場するのはアメリカではなく、彼の父親の祖国であるSt. Luciaの選手としてです。私はSt. Luciaはアイランドホッピングで行ったことがあります。遠いカリブの小国です。素朴で良い所でした。

様々な小ニュースから徐々に五輪が近づいてきたなというのを感じます。

NFLの最高給QBとParsonsが同価値

NFL Indianapolis ColtsのQB Andrew Luckが契約延長にサイン、6年間で$140 millionの契約をかわしたというのが数日前にニュースになってます。この金額を聞いてうーんと唸ってしまいました。今日FAが解禁になるNBAで予想される各選手のサラリー額とNFLの最高額QBが同価値が同じかそれ以下なのか、と。

まず先にNFLのサラリーに詳しくない方に説明しますが、NFLの契約は他のスポーツ選手の契約より極端に選手側に不利な慣行になっています。このLuckの契約の$140 millionにしても実際にはチーム側に途中解雇の権利があり全額を保証するものではありません。今回のLuckの契約では$87 millionが確定保証の金額です。

7月1日に解禁となるNBAのフリーエージェント市場は、リーグの収入増からサラリーキャップが大幅に上がるためFAとなる有力選手たちはもちろん、中堅の選手までかなりの契約のアップが見込まれます。FAのトップ選手であるLeBron JamesやKevin Durantは最高限度額での契約は確定的。スーパースターはそれで良いんですが、そうでもない一般スポーツファンはよく知らない選手たちまでNFLの史上最高契約より上かというのはすごいです。契約完了してませんがChandler ParsonsとかNicolas Batum、Kent Bazemore辺りでLuckとほぼ同額かよと。もう少し名の知れたAndre DrummondであるとかBradley BealはLuckより遙かに好条件。バブル炸裂してます。


ちなみにホッケーNHLもNBAに並行してオフシーズンの選手移動が行われていますが、こちらはこのオフにサラリーキャップが若干下がる見込みです。つまり昨季のチームサラリーのままならキャップオーバーしてしまうチームも出るとか。NBAのホクホクの大盤振る舞いのようなことがどこでもできるわけではない。しかしそれは身の程を知ったサラリーを分配できるという健全経営の証でもあり、悪いことではないとは思います。サラリーが重荷になって潰れるということが起きない制度と言っても良いです。他方NBAでは経営側が儲かるときにその恩恵がスムーズに選手側にも分配される仕組みでもあり、透明性と公平性が感じられます。

Belichickは両刀

NFL New England Patriotsの名将Bill Belichickが学生時代にラクロスもプレーしていたという話は過去に当ブログでも何度か書いています。今週末からカレッジラクロスのNCAAトーナメント(18校出場)が始まっており、それに合わせてラクロスメディアがBelichickのインタビューを公開、試合中継中に宣伝をしていました。YouTubeで見られます。なにがおもしろいと言って、フットボールの話をするときとはまるで違う笑顔が素敵というところがすごい。話を聞いていてもラクロス、好きなんだねえというのがひしひしと感じられました。Belichickの子供さんたちもラクロスをプレーして育ったという話をしていました。Clevelandに住んでいた頃はプレー環境は良くなかったけれどNew England、New Yorkとラクロスの盛んな東海岸に移住してからは子供達の環境もアップしていったという話なんかもしてくれました。

ビデオの後半には実際にキャッチボールをしながらの場面があるんですけれど、おもしろいのは右利きなのか左利きなのかBelichickは誰にも明かしたことがない、と言ってキャッチボールも右左両方でさらりとこなしていたのです。「たぶんうちの子供たちも自分がどっちが利き手か知らない」と言うほどで、それが現役時代のBelichickの武器だったとか。お歳になった今でもインタビュワーに利き腕を何度も訊ねられても口を割らないという徹底ぶり。その辺の裏をかくという考え方、普段から、そして長い時間をかけてその裏をかく準備の周到さなんかはPatriotsでのプレーコールに通じるものがあるかななんて思いました。


NCAAトーナメントの一回戦も好試合が続いていて楽しんでます。Dukeの大型フォワードMyles Jonesを見事に封じたMaryland-Loyolaの好ディフェンスが光った一戦はカレッジラクロスのレベルがここ数年で一気に高まっているのかなということを感じさせる試合でした。Jonesについては二年前にも少し書いています。これでJonesはカレッジでのプレーを終えてプロリーグMLLに加入していくんでしょう。


Belichickのインタビューの話に戻りますが、現行のラクロスのルールをひとつ変えられるとしたら何を変えたいですかという問いに、攻守両方に参加できるミッドフィールダーをルール上でもっと許して攻守分断を弛めたらどうかという話をしていました。

Braxton Miller QB/WR

NFLドラフトが週末までに終わったわけです。それぞれのチームのファンの皆さんは改めて下位指名の選手たちの情報をチェックしたり、ドラフト後のデプスチャートを眺めていろいろ感想もおありの時期でしょう。

当ブログで高校時代からその名を追ってきたBraxton MillerがHouston Texansに3巡目で指名されています。ポジションはWRとして。ケガやチーム事情で紆余曲折のあったカレッジ時代でしたがその飛び抜けた運動能力は昨季も十分に発揮されており、かつ強豪Ohio StateのQBとして全勝を遂げた実績からすると実に静かな指名となりました。全国レベルの報道だとほとんど期待されていないような扱いです。すごく良い選手なんですがプロでどうなることか。

高校時代からモバイルQBとして名を馳せAlabama、Notre Dame始め多数の強豪校からも声がかかりましたが地元のOhio Stateを選択。新一年生時から先発QBとしてデビュー、いきなりパスで13TD、ランで7TD。二年生だった2012年には12戦全勝でシーズンを終了。同年はOhio StateはNCAAからの処罰でポストシーズンに参加できなかったので全勝ながら全米優勝戦に絡めなかった(例のTerrelle Pryorのスキャンダルで)のですがこの年にMillerはカレッジのプレミアQBとして認知されることに。サイズが若干小さいのですがランの変幻自在ぶりは特筆もの。チーム首脳陣からはランは抑え目に指示されてのプレーぶりながらランでも特殊な才能を持っていたのは明らか。2013年にはQBレイティングが158.1までアップ、パス24TDラン12TD。文句なしのカレッジのトップQBだったわけです。

そこからケガで2014年は全休。その全休の間にOhio Stateが全米制覇を遂げるという巡り合わせとなって、2015年はQBとしての先発を断念、WR/RBとして再出発となりました。出場機会は限られたもののオープンフィールドでの走りの非凡さは衰えず印象に残るロングゲインを連発。たぶんQB議論が沸騰するのを嫌がった首脳陣がMillerに投げさせる変則攻撃を採用しなかったことからカレッジの最後の二年間はMillerがQBとして実戦で投げることはなかった(2015年に1パスのみ)ですが、過去の実績からパッサーとしても非凡なのは明らかと思われます。ただの3巡目WRではない。

とまあ熱く語ってしまいたくなるBraxton Millerなんですけれど、忘れ去られた人のようにきれいさっぱりスルーされ、スラッシュ選手としてドラフトで話題になることもなく、WRとしても数字では目立たなかったこともあってNFLファンからはその存在すら認められていなかったんじゃないでしょうか。最終年の走りっぷりからしたらすごいことをやってのけられそうなんですけれど。なんでもTexansではパントリターナーにという構想もあるとか。確かにパントリターナーというのもやれるでしょうが、それよりもQB Brock Osweilerに次ぐバックアップQBだって可能な選手かと思いますが。第一バックアップのBrandon Weedenがプロになってからの過去数年の伸び悩みを考えたら、Millerの強豪Ohio Stateでの実績は十分に期待できるものでしょうし、デュアルスレットのMillerのスタイルはTexansのオフェンスにアクセントを付けるには格好のものであるとも思います。リターナーなんかで使い捨てにするにはもったいないような。それこそかのTim TebowがDenver Broncosで狂い咲きしたあの一年に類することだって起こせるような選手としてHoustonには上手く使ってもらいたいような気もします。

Super Bowl Peytonの後継はLynch

巡り巡ってPaxton Lynchが脚光を浴びることになったNFLドラフト第1日目。Super BowlチャンピオンDenver BroncosがLynchを指名。引退したPeyton Manningの後継に指名されるという展開。これは全体1位のGoffや2位のWentzよりも条件は良さそうです。

NFLファンがドラフトを見るのと、私のようなカレッジフットボールファンがドラフトを見るのはどうしても視点が違う訳です。2015年のカレッジシーズンのシーズンの大半でLynchが次期ドラフト候補QBではナンバーワンとされていました。次いでGoff。Wentzは下位ディビジョンなので話題にも出なかった。ただGoffは西海岸のCal所属なのもあってあまり多くの人の目に止まらなかったし、Calと同じPAC-12ならUCLAのQB Josh Rosenの方が圧倒的に露出も人気もありました。Rosenの登場は鮮烈だったしUCLAもチームとしてシーズン序盤に派手な活躍がありましたからね。Rosenは一年生なのでNFLドラフトには関係がないですが、カレッジファンにとってはNFLドラフトは二の次なので。

LynchにしてもMemphisという地味なカンファレンスの地味な学校の選手でもあり、つまりは昨季のカレッジではNFL向き(かつ適齢期)のQBが不足していたのです。そんな中でもLynchがまあまあナンバーワン候補なんだろうとほぼシーズンを通して言われていたのが、カレッジシーズンが終わると一気にGoffに評価で差をつけられ、無名だったWentzにもあっという間に差を付けられることになった。何が悪いというわけでもないのに影が薄い状態だったわけです。

それがSuper BowlチャンピオンからPeyton Manningという殿堂QBの後継に指名です。それもBroncosは強力ディフェンスで優勝したチームであり、Lynchが入ってすぐにも平均以上は勝てる陣容かもしれないところへスッポリはまれるのです。GoffやWentzは確かに上位で指名されて期待されていますが、RamsやEaglesがすぐに勝てるチームではないでしょう。ドラフト生としての評価を落としたのが回り回ってLynchに幸運をもたらした可能性を感じます。

迷走とはこういうもの

NFLドラフトの開始が明日に迫ってます。様々な話題があります。私の推しているOhio State RB Ezekiel Elliottがここに来て株が上昇、全体4番目の指名でDallas Cowboysが獲るのではなんていうのまで出てきます。CowboysとEzekiel Elliott、似合いそうです。DallasのJerry Jonesオーナーの好みを考えるとありそう。

表題の件です。Philadelphia Eaglesをあげつらってみたいと思います。Cleveland Brownsとのトレードで全体2番目の指名権を得てQB Carson Wentz(North Dakota State)の指名をするというのが大方の見方。全体1位のLos Angeles RamsがWentzからJared Goff(Cal)に指名を切り換えたとされますが、もしRamsがWentzならPhiladelphiaはGoff指名に行くと。いずれにせよ全体2番目の指名でQBを指名することは確実な情勢です。

で、なぜこれをあげつらってみたいかというとですね、下位ディビジョンFCSのQB Wentzを獲るのにこんなトレードアップをするのかよ、と。ちょっと思い出してください。つい1年前ならドラフト全体2位で誰が獲れたのかというのを。そうMarcus Mariota が指名できたのです。カレッジNo. 1 QBであり、全米優勝戦に進んだMariota。そしてなによりも当時のEaglesのHCだったChip Kellyがカレッジ時代に手塩にかけて育てたMariotaが獲れた順位。Chipがいた頃には無理なトレードアップはしないと早々と表明してMariota獲りから離脱したEagles。それがシーズン後Kellyを解雇してチームはどの方向に進むにしてもなんともならない中途半端なQBを揃え(Sam Bradford)、その挙げ句翌年トレードアップで下位ディビジョンのQBを獲る?これを迷走と言わずしてなんと表現すべきでしょうか。こんなことをするなら前年に無理をしてでもChip+Mariotaのカレッジを席巻したあの抱腹絶倒Oregon13秒オフェンスをNFLで試してみるべきだったのでは。元々Eaglesはそれを期待してChipをOregonから引き抜いたはず。結局Chipは思い通りのOregon風超スピードオフェンスをNFLで一度も試すことができないままにEaglesを追われています。Chip+Mariontaに賭けるのを躊躇して見送り、1年後にWentz獲り。未来が見えないような気がします。

前にも書きましたがWentzの試合は私は見ていないしその才能がどう開花するかはわからない。吉凶ともにあり得えます。Wentzが悪いと言いたいのではなく、Philadelphiaの迷走ぶりが痛いのではということが言いたいわけです。わざわざトレードアップして獲りに行くのがWentzまたはGoffの残り。昨年の全体2位指名ならMariotaまたはJameis Winston(Florida State/Tampa Bay Buccaneers)からの残り。昨年の二択の方が遙かに良いように私には見えます。

尚、Chipの方はEagles解雇直後にOregonと同タイプのオフェンスをカレッジでこなしてきたCollin Kaepernickを擁する49ersのHCに転職。そちらはそちらでKaepernickがトレードに出せと要望してきて未だに収まりがついておらず状況は落ち着きませんが、それはまた別の問題です。

新生Ramsがドラフト全体1位指名権獲得

NFLドラフトが徐々に迫ってきている時期。先日Los Angeles Ramsが来るドラフトの全体1位指名権をTennessee Titansからトレードで譲り受けました。今年のドラフトは予想される上位指名組に攻守のラインの選手が多くカジュアルなファンにはわかりにくいドラフトになりそうなのですが、そこで敢えてかなりの対価を払ってでも全体1位の指名権を取りに行ったRamsの思惑が気になります。強化のつもりか、それともある種の宣伝なのか。宣伝だとしてそれは対価に見合うものなのか。

なぜ宣伝であると思うかというと、チーム移転の初回ドラフトであることと今回のトレードが決定したタイミングからです。まだ日数がある時点でドラ1指名権を確保。飛び抜けた絶対最上位指名が確実なスター候補生がいるドラフトならば、あああの選手が欲しいからアップしたんだなとかはっきりわかりますが、今回のドラフトはそういう絶対の目玉の選手はいない。目玉もないならRamsの意中の選手はこれからドラフトまでに評価がもっと下がってくるかもしれない。もっと時期が差し迫ってからでも良いし、指名後でもいいはず。

で、逆にRamsが全体1位指名権を確保したことで、各種ドラフト予想サイトからはRamsはQB Carson Wentz(North Dakota State)を獲りに行ったのだという判断がなされたようです。うーん。Wentzは確かに下位ディビジョンFCSのチームを率いて上位FBSのチームを叩いてきたカレッジフットボール界の隠れた一方の雄ではありました。本人のインタビューを聞いても温厚でマイペース、ドラフトを前にしても落ち着いたものではあります。

Ramsは久々のLA帰還で新地元のスポーツファンの関心を買いたいはず。それゆえにRamsからすれば単に新QBを新マーケットのために確保するだけでなく、獲るなら彼をスターにしたいはず。だから犠牲を払っても派手に1位で指名したいのかな…と思うわけです。つまり宣伝込みではないか、と。

そのマーケティング的な思惑はわからないでもない。スポーツだけでも多数の競争相手のあるLAという市場ではそれぐらいやらないと目立てません。せっかくLAに帰還するこのタイミングで派手にやらずにいつ目立てるのか、というわけです。関心を買うという意味なら確かにドラフト直前よりも早めに指名権トレードを完了させてマスコミであれやこれや書いてもらう方がいいのでタイミングも納得でしょう。

しかしそのスター候補生がカレッジ時代はFBSの選手のためカレッジフットボールファンですら生でほとんど見ていないWentzというのは大丈夫なのかな、とも思います。

Wentzはアメリカでも一二を争う過疎地のNorth Dakota州生まれでNorth Dakota育ち。アメリカでは珍しいぐらいのどっぷりの田舎の子です。そんな無垢な選手が世界でも有数に華やかなLos Angelesで一試合もする前からスターに祭り上げられて、セレブやメディアとまじわりなんてことをやっていてうまくいくのかな?という疑問があります。選手としての能力以前の環境適応の問題ですね。Ramsの指名権獲得前からWentzの評価は上昇傾向にはあったものの、いまのRamsに新人QBが本当にニーズなのかというと疑問でもあります。全体1位はやり過ぎではないか。高い宣伝料になりはしないか。

そもそも近年のNFLドラフトでのQBへの需要は減退気味でQBなんて2巡目ぐらいで獲れば良いという風潮さえある中、適応能力に疑問がある選手をいきなり大都会のスターにするために獲るというのは相当に逆行に見えます。

もう一度最後に O-MA-HA!

NFL Denver BroncosのQB Peyton Manningの引退会見がありました。今日これがあると数日前から報道されていた後にMaria Sharapovaが同日に会見を開くというアナウンスを急にしてきて、まさかPeytonの引退の日に自分の引退会見はぶつけてこないだろう、何かな?と思ったらドーピングでしたね。Peytonの方が最大のニュースになるのでそれに若干でも隠れてネガティブな会見をやってしまったという感じでしょうか。

さてPeyton。Super Bowl 50を勝った時点で引退は既定路線とは予想されていたものの、やはり本人にとっては大きな人生の節目であるようでほぼ全編涙声での会見となりました。端から見ると衰えは隠せず、まさか来季を現役でやっても仕方ないだろうという様に見えたのですが、それでももう二度とプレーすることがないというのはプロスポーツ選手の人生に於いては特別ものなのでしょう。それを再確認させる会見模様でした。最後にもう一度O-MA-HAと言って席を立ったのがなかなかに素敵でした。

PeytonのNFLにおける功績はいくつもありますが、一つというなら数字ではなく、スナップ前の相手ディフェンスを読むことの巧みさ、その芸術的能力を挙げたいです。QBというポジションの新たな標準としてPeytonのオーディブルがNFL QBのプレーを変えていったと言えましょう。New EnglandのTom Bradyとともに21世紀のNFLを牽引した名ポケットQBが去る。

Dual ThreatのQBの比率が高まるトレンドはこれからも止まらないでしょうからPeytonのスタイルが過去のものになっていく可能性はありますが、それでも巨大エンターテイメントNFLの21世紀初頭の隆盛を支えたPeytonの功績は数字以上のものがあったと言えます。

相互市場開放としてのNFL英国進出

前項で触れたEnglish Premier Leagueのアメリカ市場での放映権契約の伸びというのは大変なものです。EPLとNBCが結んだ6年間で総額$800 millionから$1 billion圏内(公式発表なし)、単年で$133~167 million/年という大きな額になっています。なぜこんなに金額が伸びたのか。移民の多いアメリカ社会なので潜在的にサッカーへの需要が存在したという説明は可能ですが、ここ最近の金額の高騰ぶりは驚くべき金額に思えます。ちなみに国内サッカーMLSの方は複数系列と並行して契約していますがESPN系列とFOX系列合計で$75 million/年となっています。EPLの契約とMLSの契約金額を合計すると、第4のメジャースポーツであるホッケーNHLのNBCでの放映権料とほぼ同額まで来ているのです。

サッカーにはさらにUEFA CLもあるし他国のリーグもある。それらも踏まえればTVでの経済規模では遂にサッカーがホッケーに追いついてきたのかもと言える事態です。地方局の放映権(これは試合数の多いNHLの方がMLSを圧倒する)もあるし、NHL Center Iceの有料契約、実際のアリーナへの動員・高い客単価の売上などサッカーには手が出ないNHLの強みもまだまだ存在しますから一概にTV契約だけを取りだしてサッカーが追いついたというのは間違いでしょうが、それでもサッカー市場が現実的にNHL規模に届くところまで来たというのは確かなのでしょう。

さてそのアメリカのサッカー観戦市場でなぜEPLばかりがもて囃されるのかという疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか。アメリカの移民ルーツでいうとドイツ系やアイルランド系が英国系よりも多いのです。メキシコ系住民を中心にスペイン語話者も増えているしサッカーを知らないアメリカ人でも名前を聞いたことのある世界的なスーパースターの多いスペインリーグでも良いはずです。でもなぜかEPL一辺倒。イギリスとアメリカは英語を母国語とする二大国として政治でも経済でも共同戦線を張ることの多い特別な関係の二国関係ではあります。でもことルーツでは決して英国系は多くないのになぜずっとEPL一辺倒なのか。

でここで陰謀論を一発ぶってみたいと思います。表題の件。EPLがアメリカ市場での存在感を増した時期とNFLが英国での定期戦を打つようになった時期がほぼ同じという点を深読みしてみようというわけです。つまり米英両国政府が双方のスポーツエンタメ最強のEPLとNFLに相互の市場を開放することに同意していたとしたら、なぜアメリカ市場がEPL一辺倒になっているのかの説明にならないでしょうか。

NFLではつい最近になってやっと懸案だったLos AngelesのNFL再参入の道筋がつきました。LAへの市場再参入問題をほったらかして英国進出ばかりに注力していたNFLに対して「なぜロンドン?LAは?」という一般の疑問はかなりあったのに、明確な返答もないままNFLはロンドンゲームを推進。そこにはEPLの本格アメリカ進出と同時にイギリス市場が開放されたというタイミング的な要素があったからLAをほったらかしにしてもロンドンゲームに邁進していたのだ、というのが私の憶測なんですが、どうでしょうか。これならNFLの当時の優先順位のおかしさも説明が付きますし、EPLがなぜか圧倒的に優位な形でアメリカのサッカー市場伸張の恩恵を受けていることの説明にもなります。なんらかの見えない力がEPLを他の海外サッカーリーグを押しのけて好位置に据えたと読んでみたいのです。一方、NFLが英国サッカーの聖地であるWembley Stadiumをロンドンゲームで問題なく継続使用できているのも英国政府を通してEPLやFAと相互市場開放に同意する前に調整済みだったという想像も可能なわけです。

来季からはラグビーの聖地Twickenham StadiumもNFLの試合会場として加えられる予定なのは、相互市場開放が成功していることから、アメリカでも15人制ラグビーへの関心が高まるかもという期待とセットなのかも知れない。そうなるともし15人制ラグビーの定期放送が始まるときには現在人気の高いニュージーランドやフランスリーグやSuper Leagueではなく、英国のPremiershipがプッシュされたりする可能性もあるのかもと先読みしたくなります。またラグビーの件はいつか別途に。

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