アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

MLS/Soccer

最新スタジアムでLAFC初戦を飾る

MLSの新チームLos Angeles FCがリーグ7戦目にして初のホームゲームで、新ホームBanc of California Stadiumでの初戦を飾ってます。ロスタイムに入ってのFKで1-0勝利。FKはGKの真正面だったんですがGKがキャッチミスでこの日唯一のゴールとなってます。
ゴール自体は締まらないミスでのものですが、ホームチームにとってはそんなことはどうでもよく、FS1の解説陣もミスを無視して「劇的ゴール!」と持ち上げまくってました。試合自体は正直、山場の少ない試合で語るべき点は少ない。満員22,000人の観客の声援に押されて最後まで走りきれたという部分では良かったのでしょうが。試合前に共同オーナーのひとりコメディアン俳優のWill Ferrellが宣伝も兼ねてTV中継に参加してました。他にも地元での宣伝にセレブを様々起用していたようで、豪華さを売りにする初めてのMLSクラブとして出発しています。
スタジアムの美麗さはどの報道も口々に伝えていますからよほど良いのでしょう。一度見学に行ってみたいです。観客席が屋根付きということで将来のFIFA W杯にも準拠ということでしょうね。

このBanc of California StadiumはMLSのサッカー専用スタジアムとしては16番目のスタジアム。現在MLSは23チームが所属しています。今年夏にDC Unitedの新ホームAudi Fieldが開場予定でそれが17番目、来年開場予定のMinnesota United FCのホームが18番目になる予定。つまりあと5チームがサッカー専用スタジアムを持っていないということになります。
その5チームのうち、Seattle Soundersは観客動員が良すぎて設立当初は間借りのつもりだったNFL Seattle Seahawksのスタジアムに永住モード。また昨季MLS参入となったAltanta UnitedもNFLのAtlanta Falconsのホームに間借りで動員好調で他のMLSチームの持つような規模のサッカー専用スタジアムの建設はなさそうです。ざっと22,000〜30,000人程度のキャパをMLSの専用スタジアムはもっていて、Sounders、Atlanta Unitedの平均動員はそれを遥かに上回るので。Sounder、Atlantaともに特定のビッグマッチを除いてはNFLスタジアムの全席を使うわけではなく上部席は閉鎖して席の上限を下げた上で使用して「満員」と称しますが、それでも他のMLSチームの倍の動員をします。

今回のLAFCが美麗スタジアムを建てたことで、残るサッカー専用スタジアムを持たない3チームの動向が注目されます。その3チームとはNew England Revolution、New York City FC、Vancouver Whitecaps。WhitecapsのホームはBC Place。冬季五輪のときのメイン会場でもあり数年前に全面改修。MLS WhitecapsとCFL BC Lionsが同居するスタジアム。Whitecapsの動員力と地元の経済力を考えるとたぶん新サッカー専用スタジアム建設はない。New EnglandはMLS創設から存在する老舗ですがオーナーが乗り気でない。NFL New England PatriotsのGillet Stadiumにずっと同居です。今年もMLS最低レベルの動員でスタートしてます。
New York FCがどうするのか。MLB Yankee Stadiumに同居。資本20%がMLB New York Yankeesの配下でもあるのでYankeesの組織にもメリットがなければYankee Stadiumにとどまるはず。少なくとも新スタジアムを作ろうという意欲はNew Englandよりはあって、いろいろな候補地が挙がってます。ただ同市の場合、NHLのNew York Islandersの新アリーナ建設の方が優先事項となっており実現するとしても少し先のことになりそう。また今回のLAFCのBanc of California Stadiumが$350 millionと大盤振る舞いの予算で建てられており、それとの比較で同規模の美麗スタジアムを建てようとすると同市では遥かに大きな予算が必要になる。それだけのコストをかけてサッカー専用スタジアムがペイするのかはかなり疑問でもあり、難航が予想されます。

Toronto FC、PK戦で散る

先日触れたので一応最後まで。CONCACAF Champions League決勝戦2nd Legがあり、MLSのToronto FCは敵地で2-1で勝利して2戦合計をタイにする健闘を見せましたが、PK戦で2-4で敗戦、Club World Cupへの進出なりませんでした。先制点を食ったあとの頑張りも評価したいし惜しかった良いんですが、最後の敗戦が決定したMichael BradleyのPKのハズレっぷりがあまりにも遥か彼方へのハズレだったのが‥ ああいう外し方ってなんていうか強い国の選手は絶対しないですよね。所詮アメリカ人サッカー選手か、という卑下したくなってしまうような。

Altidore、Giovincoと入れるべき人が入れているので、やりきったとは言えるんですがレギュレーションのロスタイムにToronto FCに決定的チャンスがあって、あれがなあ、もったいなかった。敵地でメキシコの人気クラブChivasを相手にMLS勢としては本当によくやったとは思いますが、届かなかったですねえ。

Club World Cupが現行の形ではもう終わりになるのでこれで一時代終わり。新イベントがどういう選考過程になるのかはわからないですが、4年に一度のCWCを目指してMLSの構成の強みを生かしてMLS一丸で強いチームを意図的に作ったりするようなことをしたりするんでしょうか。

W杯ロシア大会の番組宣伝が笑える

このCMを昨日初めて見たんですけど爆笑でした。ESPN系列を見ていて、そこにこの夏FOX系列で独占放映されるW杯ロシア大会の番宣30秒CMが入りました。日本だと系列でもない他局の番宣とかありえないのかもしれませんが、例は少ないですがアメリカではたまにあります。

内容はこうです。「あなたはこの夏のW杯とつながっているんです。DNAで。その国の言葉は喋れないかもしれない。その国を訪れたこともないかもしれない。その国のスター選手が誰か知らないかもしれない。でも私たちはみんなW杯の出場国とつながっているんです。だからあなたのルーツを探して、この夏W杯で応援すべき国を探してください。」というもの。そしてCMの最後に「23andmeがあなたの応援すべきチームを探すお手伝いをします」。
提供会社はDNA検査キット販売会社です。移民国家で混血も進んだアメリカで自分のルーツ探しという静かなブームが少し以前からあって、それを狙ってDNA解析してあなたのルーツは世界のこの地域、みたいなサービスを提供してる会社です。

爆笑したのは提供社のことではなく、アメリカ代表が出場できないロシアW杯(大金払ってESPN系に競り勝って放映権を獲得した)を番宣しなきゃいけないのに、FOXもこんなひねったコマーシャルを作らなくちゃいけないって苦しそうだな〜、米代表が弱いばっかりに‥というところがウケてしまったのでした。うまくそれにハマったスポンサーが見つけられてそれは良かったね、というところも地味にウケましたが。

私もこの夏はおとなしく日本代表を応援させていただきます。

最後のCWCへ行けるか

MLS Toronto FCがCONCACAF Champions League決勝の1st Legで1-2で敗戦しています。ホームで2アウェイゴールを献上しての敗戦で、@Guadalajaraでの2nd Legでは2-0以上の勝利が求められます。高地のGuadalajaraでの試合は簡単ではなく苦しいですが、MLS勢として久々に年末のClub World Cupへの出場を賭けて戦うことになります。
Toronto FCは昨年MLS史上最強チームなどとも呼ばれ期待されてCCLにも臨んでいましたが、Chivas de Guadalajara、やはり手強いですね。

Torontoは現在MLSリーグ戦で1勝3敗、東カンファレンス最下位。MLS全体だと未勝利のSeattle Soundersしか下にいない。今回のTorontoもそうですが、2015年にCCL決勝まで進んだMontreal Impactも当時MLSダントツの最下位でした。CCLに注力しているせいもあるんでしょうが、ちょっとひどい。MontrealはMLSの方をほとんど手抜きにしたもののCCL決勝で敗退。それも2nd Legのホームで2-4とされての敗退でした。Toronto FCはどうなるか。2nd Legは次週4月25日です。

関連してFIFAが現行のClub World Cupの今年限りの廃止を発表していますね。今年年末のUAEでの開催が当面最後のCWCになる見込みです。その後は4年ごとのイベントに改変とか。4年毎にするということは出場チームは増やしてくるのでしょうし、FIFAはアメリカからのお金は欲しいところでしょうからMLSチャンピオンは自動的に出場ということになるのかもしれません。毎年CCLでメキシコのチームにやられてCWCに行けなかったMLSがこういう形で新生CWCに常時出場できるようになるのが良いことなのかどうか。
将来のことはともかく、Toronto FCの次戦での奮起、現行制度下での最後のCWC出場を期待したいです。

地味にCONCACAF CL

北中米カリブ地区からのClub World Cup出場チームを決めるCONCACAF Champion Leagueの準決勝2nd Legが今夜開催。昨年のMLSチャンピオンとなったToronto FCがメキシコの強豪Club Americaとのアウェイで、もうひとつの準決勝はMLS New York Red BullsがChivas de Guadalajaraと。Red Bullsは2016年シーズンのMLS東カンファレンスのレギュラーシーズン優勝という資格でCLに出場してます。
Toronto FCはホームでの1st Legで3-1と快勝。2nd Legはアウェイ、巨大スタジアムEstadio Aztecaでの開催。高地であるメキシコシティの薄い酸素にやられて過去数々のクラブチームが特に後半ガタガタにされて短時間で大量失点してきた魔境スタジアムでの試合です。サッカーの独特のおもしろさの一つにこのアウェイの環境が及ぼす影響というのがありますが、アステカ・スタジアムはその中でも別格の危険度です。楽しみにしてます。

CCLはアメリカサッカーにとっては鬼門。チーム予算で大きく上回るメキシコのクラブにいいようにやられてClub World CupにMLSのチームを送ることができません。年によってはCL準決勝4チームが全部メキシコのクラブだったりとメキシコの独壇場。カナダやコスタリカのチームが準決勝決勝に残ることがあるのにアメリカ勢は早々に敗退を繰り返しています。
MLS勢ではアメリカではなくカナダからですが2015年のMontreal Impactが決勝に進みました。アメリカ勢で唯一惜しかったのが2010-11シーズンのReal Salt Lakeが決勝に残ったとき。いずれの場合もMLSは急遽リーグ戦の予定を変更して当該チームの予定を空けて休養と準備期間を与えてバックアップしたんですが敗退しています。今年のToronto FC、Red Bullsに対しても同様でリーグ戦は先週末は免除状態になってます。実力を考えるとToronto FCの方がより期待できるんですけれど、MLS勢とは言えまたカナダのチームが健闘か‥という気持ちも少しあります。

壮絶大逆転試合でIbrahimovicがMLSデビュー

すごい試合を見てしまいました。私、MLSは創設初年度から見ていますけれどこんなすごいレギュラーシーズンの試合を見たことはありません。リーグ拡張新チームのLos Angeles FCをMLSの老舗Los Angeles Galaxyが迎え撃った一戦。地上波FOXでの全国放送。
LAFCが好ゲームを展開して3−0とリード。守ってはすばやくGalaxyの選手を取り囲み、攻めてはアタックゾーンに入ってからのボールの出し先の選択肢を多数提供して、LAFCの方がGalaxyより人数が多いかのごとくの試合で次々と好機を演出。反応の悪いGalaxyを翻弄。試合開始5分で先制。2-0で折り返した後半の冒頭にも速攻で攻め込みオウンゴールを誘って3-0。ビジターが圧倒的に押しまくり。新チームなのに良いサッカーしてるなあと感心していたのです。

しかしホームのGalaxyが覚醒。前半の攻守に走ったツケが回ってきたのか時間を潰そうとしたのかスピードと圧力の落ちたLAFCをGalaxyが捉えて61分にやっと1点を返し、3-1。そこへ70分、今週加入が決まったばかりのZlatan Ibrahimovicが交代でin。満員のStub Hub Center大歓声。その直後にGalaxyの2点目が入って3-2。
そこからはスーパースターの独壇場。77分に豪快40m弾をIbrahimovicが迷わず選択して度肝を抜く同点ゴール。見ていて飛び上がってしまう、とてつもないスーパーゴールで3点差をGalaxyが追いつく。その直前のリスタートでLAFCのGKがペナルティーエリア外から蹴っていて、ゴール前に戻りきれていないのを念頭に即座にノートラップであのロングシュートに行く判断はともかく、そしてそれがど真ん中に長距離ミサイルのように叩き込まれた様は、もう、ね。モノが違うというスーパーデビュー弾となってます。
それだけで終わらず試合終了間際には再びIbrahimovicが頭で合わせて逆転ゴール、4-3。MLS史上二度目の3点差ダウンからの逆転勝ち。たった20分強の出場でスーパーゴールと試合終了間際の決勝ゴールを決める世界のスーパースターのスーパーデビュー戦になってしまいました。
エンタメ度抜群の壮絶な試合。この試合がどれほどのスポーツファンに届いたかわからないですが、こんな試合を見せられたらサッカーを好きにならずにいられないような試合だったんではないでしょうか。まあこんな試合はめったにないんですけど。

Ibrahimovic、新LAダービーでデビューか

MLBの開幕の週末、カレッジバスケットボールFinal Fourの準決勝二試合が行われる土曜日にサッカーMLSの話をしてみたいと思います。
今週になって急遽Los Angeles Galaxyに元スウェーデン代表Zlatan Ibrahimovicが加入。土曜日のGalaxyと今季リーグ参入したばかりのLos Angeles FCによる新LAダービーでIbrahimovicがデビューするかもという展開になってます。混み合うアメスポの週末にMLSも他のジャンルに負けじと話題をぶつけてきているということなのでしょう。
MLSへ新加入となったLos Angeles FC(LAFC)はここまで2試合を消化して2勝。Galaxyは3試合を消化して1勝1敗1分。LAFCは先日ご紹介した記事でも対比したNHLの新チームVegas Golden Knightsばりに意外な連勝でスタートしたところです。まだLAFCのホームスタジアムは開場になっておらず今週末のGalaxyとの試合を含めすべてアウェイの試合となってます。LAFCのホーム初戦となるのはリーグ戦7試合目となる4月末の対Seattle Sounders戦の予定です。

Los Anglesには以前にChivas USAが所在して両チームによるLAダービーが行われていたんですが、Chivas USAは失敗で撤退。新チームのLAFCとMLSの老舗名門といえるLA Galaxyが新しいライバルとして新たにLAダービーを戦うことになるわけです。アメスポで徐々にその存在感を増してきているMLSがスポーツビジネスの競争の激しいLos Angelesでどう露出していけるのか。その最初の試練がこの新LAダービーということになるんでしょう。現時点の実力を考えれば全国区のスポーツメディアではFinal FourやMLBに敵うわけもありませんが、それでもそれらメジャーに真正面から勝負しようという意欲的なスケジュールとその意気は買いたいと思います。
たぶんIbrahimovicとの契約は以前から固まっていたのに発表をこのダービー戦に向けての盛り上げに使おうと発表を遅らせたのかなとも思います。あのIbrahimovicが名門Galaxyの復活にどう寄与してくれるか、楽しみにしたいです。

MLSのビジネス基盤は過去7年ほどで大きく改善。もはやリーグが潰れる心配はないところまで来ました。サッカーというスポーツのアメスポシーンでの存在感もそれなりに増しました。同時にMLSはいまもEnglish Premier LeagueやLiga MXに視聴率でかなり遅れをとっておりまだこれからやるべきことは多いのです。特にメキシコリーグLiga MXの視聴率は2位のEPL、3位のMLSを含めて2位以下全ての各国リーグの放送を足してもLiga MXの視聴率の方が倍以上とされる一強状態。基本的にスペイン語放送しかないLiga MXがこれだけ人気があるのは英語放送しか見ない一般のアメリカ人には感知しえないのですが、それはそれとしてMLSも徐々に地歩を固めつつあります。

ブランド差別化 新チームLos Angeles FC

サッカーMLSの新シーズンが今週末から開始。23年目のシーズンとなります。今季はLos Angeles FCが新チームとして新たにMLSに参加、23チーム構成に。MLSは近年新チームが次々と各地で成功しており、リーグ全体として上げ潮なんですが、今季参加のLos Angeles FCはどうなるか。最近のMLS新規チームの中では一番の逆風化でのリーグ参加となるように見えますが、他とは一味違うブランド戦略でどうファンを取り込んでいけるのか見守っています。これが成功するようだとMLSに限らず、他のリーグの大都市の2チーム目設立のプランに影響を与えるかもしれません。

まずどう逆風か。Los Angeles FCの設立が発表されたのが2014年。当時同市内にあったChivas USAの解散と入れ替わりでの参入発表でした。同市内のMLSにはLos Angeles Galaxyがリーグ創設から存在。後発だったChivas USAはStub Hub StadiumでGalaxyと同居。MLSのトップクラスの観客動員力を誇っていたGalaxyと比較すると寂しいファンの動員状況で、Chivas USAが設立当初から支持獲得を目指していたサッカー熱の高いメキシコ移民からの支持は得られず、別の法律問題も噴出したことからChivasという実験は失敗で撤収。完全に模様替え出直しでLos Angeles FCの設立に走ったのでした。

2014年当時のLAのスポーツマーケットは4年後の今と大きく違いました。なんと言っても最大の違いはNFLのLA回帰でしょう。2015年1月にNFLがLos Angeles市場への帰還を正式表明。その時点ではどういう形になるかは不明でしたが様々な紆余曲折を経て、ChargersとRamsが現在までにLA移転を完了。そのチーム移転のあーだこーだは今から考えればセルフ炎上の大きな宣伝になって毎週のように大きくスポーツメディアで取り上げられました。両チームが使用する美麗な最新設備を備えた新スタジアムも建設中です。現時点での名称はLos Angeles Stadium at Hollywood Park。2028年の同市開催の夏季五輪のメインスタジアムとして開会式およびサッカーの試合もここで行われる見込みです。

このNFLのLos Angeles再進出の進展のすべてがMLS Los Angeles FCの設立発表後に起こったことです。MLS Los Angeles FCへの出資者からしたら不安を感じたのではないでしょうか。LAでのスポーツの話題の多くは新参入ChargersやRamsに乗っ取られ、MLSが各地で得意としてきた新スタジアム効果もNFLの最新鋭大型スタジアムへの期待でかなりの部分消し飛んでます。MLSとNFLのシーズンは大きく重なるわけではないですが、シーズンチケットのセールスという大事な戦場でNFLの迅速市場参入で事態は急変。なにしろRamsとChargersがそれぞれ7万席以上を新規のシーズンチケットをLA地区のスポーツファンに売ろうとしているわけですから。
そもそもNFL再参入がなくてもLAにはスポーツチームは多い。シーズンの重なるMLBに2チーム、NBA2チームにNHL。MLSでも古参Galaxyがいる。競争は激しいです。

悲観すべきことばかりではありません。22,000席のLos Angeles FCの新スタジアムBanc of California Stadiumのうち約17,500席は既にシーズンチケットとして売れているとされますからその面では健闘しているはず。またLAFCのロゴ付きのアパレルを着たファンが既に街をかなりの数闊歩しているのが目撃されているとか。それがファンなのか、LAFC側の仕込みなのかはここでは問わないです。後者だとしてもその努力は買うべきでしょうから。
LAFCのロゴやアパレルは非スポーツファンにも売ることを意識したのだと言います。渋めのゴールドと黒。Angelの羽根を加えたロゴ。これ、なんでもNFL Oakland Raidersの成功を意識して開発されたのだとか。Raidersの黒&銀、そしてあの片目のアイパッチのロゴ。あれ、スポーツファンではなくてもファッションとして海外で目にすることがあるわけですが、そういうモノ自体として訴求力のあるものを作ろうというコンセプトでイメージカラー選びやロゴ開発から始めたと。そういう観点で言うとNFLがLA地区に再参入したもののRaidersがLAに来なかったのはLAFCとしては幸いだったのかも。
1452197329_555889_1452198931_album_grande
カラーはNHLの今季からの新規参入チームであるVegas Golden Knightsのチームカラーに似ている。現在のアメリカではこの色合がLAFCがターゲットとする層に一番ウケるカラーということなんでしょう。一般的に不況の時期は原色など派手な色が、景気が良いと中間色がウケるということが言われます。その点でも景気好調な現在のアメリカではこの程度の抑え気味のカラーがいいのかもしれません。(NFL Ramsも色合いを抑えめに変更してます)
LAFC log

ここでピンときた方もいらっしゃるかと思います。このカラーで誰を客層として想定しているのか。NHL Vegasと同じ客層を狙っている?どうもそういうことのようなのです。

過去一般的に言ってMLSの客層とNHLの客層は違いました。NHLの方はチケット単価が遥かに高いこともあって売る相手は経済的に安定した大人です。MLSの方は例えば観客動員力でMLSをリードするSeattle Soundersで見ても客層は比較的若い。または初期のMLSチームがターゲットとしてきた層はファミリー客だった。伝統的には野球MLBが得意としていた層でした。MLSのチケットの設定価格は抑えられていた(ざっとマイナーリーグベースボール並)のでその年齢層・経済レベルの層でも買えた。
ところが今回のLAFCはもっとアダルトな層に向けてサッカーチームを売り込もうとしているという意味で目新しいのです。それこそ過去NHLが掴んでいたような層に。

こうなってくるとLos Angeles FCという名称も意図的に色のつかない名前を選択したということになります。私は最初にチーム名の発表を聞いたときに、Los Angeles FCじゃネットでの検索で埋もれてしまうんじゃないかと思ったのですが、これもまたイメージ戦略としてあえて、ということのようです。


あともう一つLos Angeles FCの不安(と同時に期待)の新機軸は、同チームの試合の地元圏での放映権をYouTube TVが独占保持していることです。元YouTubeの役員がLos Angeles FCの役員として参加している関係でこうなっています。YouTube TVはLAFCの胸ロゴスポンサーでもあります。

4大スポーツやMLSの各チームは地元TV局との契約で基本的に全試合中継を維持していると思いますが、Los Angeles FCは初めてそうではない道を選んでます。インターネットベースのYouTube TVが受け持つことで地元への浸透にどう影響が出るのかは未知数です。YouTube TVはMLB World Seriesを放映するなどスポーツコンテンツの充実に熱心ですがそれが地元に露出しなくてはいけない新MLSチームにとって良い選択となるのか、時期尚早なのかも興味深いです。TVの「たまたまチャンネルを変えていたときに見ちゃう」という露出力はネット放送とは質の違う露出機会ですが、LAFCはこれをしない初めての例となります。
スポーツのネット視聴というのは日に日に広がっています。私も遅い時刻の試合はベッドでタブレットで続きは見たりします。LAFCの21世紀型新ビジネススタイルがどう受け入れられるのか期待してます。

文盲を増やすサッカー強化策をアメリカでやっていいのか

OECD経済共同開発機構に加盟する各国、西側先進国と同義語ですが、その中で抜群に識字率が低いのがアメリカという国です。中国はOECDに入ってません。中国は奥地や一人っ子政策逃れの戸籍を持たない人たちなどをちゃんと統計に入れると米国より遥かにひどいかもしれませんが、それは別として、一般に先進国と考えられる国の中ではアメリカは最低です。文盲がたくさんいる。若い人でも少なくない。

先日別の記事で活発にコメントを頂いたのと関連するのですが、このアメリカの特殊事情がアメリカのユーススポーツが学校部活として提供される方が(欧州型の地域スポーツクラブよりも)アメリカ社会に合っている理由の一つでもあります。学校の勉強に最低限のレベルでついていけない子をスポーツスターとしてちやほやしたら文盲ばかりが増えてしまう、社会不適合者を増やしてしまう、という恐れがあるからです。

なぜこれがサッカーと絡んで問題か。アメスポの人気種目(フットボール、バスケットボール、野球、ホッケー。ゴルフ格闘技も入れても良いです)はパワーやサイズを必要とする種目が多いのでプロになる前に身体が大人のサイズになる必要がある。高校生年齢まででも競技技術の習得はもちろん必須でしょうが、いくら将来有望な子でもすぐプロレベルで活躍できる可能性はほとんどないのでその意味では慌てず高校生年齢までは学業もこなしていても問題は少ないのです。だから学業とセットでの部活型の養成過程で遅くない。しかしサッカーはそうでない、とされます。

サッカーだけではないですが、若い頃からの競技能力の開発がほぼ必須となるスポーツはその選手の一般的教養を犠牲にする面がある、という点が問題と言えます。今回は仮にそういう種目を早熟種目と呼ぼうかと思います(何かこれを指す別の言葉が既にあればご教授ください)。
早熟種目には他には例えばフィギュアスケート、テニス、体操、スキースノボ、Xスポーツといったところがそれに当たるかと思います。選手として十代のうちに世界の一流レベルになれる可能性のあるスポーツですね。
それらのスポーツではあまり問題にならずサッカーだと問題になることがあるのか。あります。サッカー以外の早熟種目は個人スポーツがほとんど。プロになれるような英才教育を幼少からするにはコストも相当にかかりますが、それは親の負担になるでしょう。サッカーのように若い選手への先行投資囲い込み→将来の戦力獲得という投資メリットを持つ存在がいないので。
よって他の早熟種目では親に経済力がある子でないと実際問題として才能を開花できないという敷居の高さがある。(但し例えばアメリカテニスはこの問題を20年かけて克服しつつあるようです)そういう投資を親にしてもらえる子たちは多分文盲には縁遠い家庭の出身です。絶対とは言えませんがそういう家庭の子はスポーツで成功しなくても、親の経済力で後付ででも大学に行くこともできるだろうし、社会適合する可能性が高いであろうと想像できます。
他方サッカーが人気の国ではプロのクラブにカネも施設もあるので若い有望選手をことごとくサッカー漬けにしてしまえる。功罪はあるでしょうがそういう早い段階での能力開発が若く才能溢れるサッカー選手を各国で産んできたのは事実でしょう。そしてそうやって集められた選手たちは他の個人早熟種目のように家庭の経済レベルが高いレベルで揃っているとは限らない。親の経済レベルに関わらず元々識字率が100%に近い欧州や日本では問題にならないでしょうが、アメリカだとこれは問題になりうる。

先日の米サッカー協会会長選でも各候補が力説していたのはユースの能力開発のプログラムは今のままではいつまで経ってもサッカー先進国に追いつけないから改革が必要ということでした。異口同音にユース育成方法の強化強化と言ってました。たぶん多くは欧州型のより早い段階からの専門的育成を念頭においていたはずです。協会はサッカーのことだけを考える職なのでそういう主張でも良いと思いますが、大きな目で見るとそれはその子の教育機会を奪う反社会的なユース開発活動になりうる、という可能性も頭に置いておく必要がありそうです。他の早熟種目と違ってサッカーは始めるまでの敷居が低いので油断すると簡単に文盲を大量生産してしまう危険性は他の種目より高いということは意識すべきでしょう。

そこを担保しながらスポーツ英才教育をしている機関の代表的なものにフロリダのIMGアカデミーがあるわけです。実質上高校生年齢の米代表U-16 U-18の年間を通した養成機関ですが、正式に寄宿舎型高校として認可されているので、高校教育も修了できる。サッカー選手として大成すれば良し、またはサッカー選手としては途中離脱となっても大学に進学することもできる形になってます。
ここでの選手開発が始まったのが1997年頃。上でリンクを貼ったテニスのケースとほぼ開始時期は同じです。テニスでは20年かけてやっとトッププロで芽が出た選手を数名作ったばかり。サッカーもほぼ同じ程度の年数をかけてきていることに。既にMLS所属ではそういったプログラムの出身者はかなり多くなってきていますし、代表にも多くの選手が食い込んできている。プロになれなかった子もNCAAカレッジサッカーでは引く手あまたで奨学金を貰って進学できている。つまりそのレベルではこの文武両睨み育成はまずまず成功しているのです。
じゃあ欧州のトップクラブで求められるような人材を開発できているかというと、こちらは残念ながら皆無です。その上米代表も弱い、と昨年のW杯予選敗退で露呈してしまった。だからこそユース育成制度の見直しアップグレードが叫ばれているということになるんですね。

ではどうするか。さらに低年齢までサッカー英才教育プログラムの充実を図れるのか。資金の面ではサッカー協会やMLSの体力は20年前と比較して格段に上がっていますから拡充は可能でしょう。それがモノになるのは、また20年後でしょうか。その過程で十分な基礎教育を受けられなかった落ちこぼれがどれほど出るか。でもやらなきゃ前に進めないですしね。
記事検索
最新コメント
LINE読者登録QRコード
LINE読者登録QRコード
メッセージ

名前
メール
本文