アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

MLS/Soccer

サッカー米代表 隣国カナダに34年ぶり完敗

米サッカーコミュニティは失望のコメントであふれています。昨夜米男子代表とカナダのNations Leagueの試合があり、2−0でカナダが勝利。サッカーカナダ代表が米代表に勝ったのは34年ぶり。カナダが米代表を相手にゴールをあげたのすら12年ぶりだそう。7年後のFIFA W杯の共催を目指して強化中とは言えカナダの男子サッカー代表はCONCACAFで最終予選まで残れないのが通常運転の弱小・FIFAランキング78位。そのカナダに惨敗。ただ負けただけではなく内容も悪い。米代表監督Gregg Berhalterへの否定コメント・首切り要求が飛び交う事態となってます。

ちょうど2年前のこの時期に米代表はトリニダード・トバゴでの敗戦でロシアW杯出場を逃し、米代表サッカーは解団的出直しを迫られたわけですが、あれから2年経ってこの惨敗ということで全然改善していないじゃないかとファンの怒りを誘っています。
カナダが良かったのかというと、走ってるのは走ってるんですけど絶好の決定機を逃すこと多数でさして強いとも思えない。それよりもその大したことないように見えるカナダをさらに下回る米代表の覇気のないミスの多い試合内容がファンの不満噴出を呼んでいるのは確実です。なにやってんだっていう試合です。

W杯出場失敗後、男子サッカー代表は監督選びで迷走して海外の有力監督候補から総スカンを食って獲得に失敗。1年以上の空席の後、国内MLSのColumbus Crewの監督だったGregg Berhalterを採用。そろそろ就任以来1年になるこの時点で弱小カナダ相手にこの試合ぶりとなり、本当にBerhalterで次回2022年カタールW杯への予選サイクルに臨んでいいのかという疑問になってきています。CONCACAFの予選が始まるのは来年9月からで、小国の多いCONCACAF予選で実際に難しい相手との対戦まではには時間的な余裕はまだまだある。またBerhalterの採用の経過から言ってBerhalterをここで切ったとしても次の人選で苦労するのは必至で、そういう意味でも近い将来のBerhalter切りはないのだろうと想像しますが、それにしてもたかだかカナダ相手にコレかというファン・関係者の失望はわかるところ。

Berhalterの就任時の売りはColumbusで展開していたポゼションサッカーでした。MLS内で最もポゼッション重視だったBerhalter。そのサッカーを新生代表で浸透させていくという仕事は、アメリカサッカー選手たちの技量からするとなかなか難しそうだ、とは就任直後から感じるところはありました。
トリニダード・トバゴ戦のショックもあり、当時の代表選手たちは戦犯扱いで大半が代表からパージされる事態ともなって、代表に招集されるメンバーは大胆に入れ替えられています。ショック後に代表の救世主的エースとして期待されたChristian Pulisicは今年EPL Chelseaへの高額移籍で注目されたもののChelseaでの出場機会が得られず苦戦している。そのPulisicはこの日のカナダ戦で先発するも60分で交代。米代表のこの日のおそまつな試合ぶりのすべてがPulisicに帰されるわけではないですが、象徴的な交代になったとは言えそう。21歳にしていま壁にぶち当たってる。


ちなみにPulisicのアメスポ内での知名度について少し解説を。Pulisicが米代表で頭角を現したのはまだ彼が19歳の当時。もしロシアW杯に米代表が出場できていれば長年米男子の顔だったLandon DonovanやClint Dempseyに代わってアメリカサッカーの顔として大いに名前を売ったことでしょうが、現実はW杯で米代表は出場もできずPulisicの一般スポーツファンへの売り込みの機会を逸失しています。
では現状どの程度Pulisicが知られているかというとこれがほとんど知られていない。例証として一ヶ月ほど前にESPNの人気スポーツトーク番組Pardon the InterruptionでこんなふうにPulisicが取り上げられたことがありました。冬の移籍期間にPulisicは移籍したわけですが、移籍後半年以上後の時点でこの番組内で移籍金がアメリカ人サッカー選手としては最高額だったなどなどの事実関係を説明したあと、出演者がもうひとりに「この選手の名前聞いたことある?」とふっていたのです。もちろん収録の事前打ち合わせ済みの話題でしょうから相方はPulisicは知ってるに決まってますが、それでもこういう紹介の仕方をするってことはこの番組を見る一般視聴者はPulisicをよく知らないという想定なんだな、と改めて確認することになりました。

以前の代表サッカーの比較的知られた顔は皆引退して、じゃあいまアメリカで一番知られている現役の男子サッカー選手は誰かというとPulisicではなくてJozy Altidoreなんですね。Jozyは昨今男子サッカーの顔のようにあちこちに登場。最近はTV馴れして喋りはうまくなってます。
Altidoreは来月30歳。2022年のW杯がたぶん代表としては最後のサイクルになろうかという年齢で、またケガが多く代表での出場も限られているこの時点でAltidoreが男子の顔のように扱われるのはああ人材不足なんだなという感じは強いです。
Altidoreが男子の顔のように扱われるようになったのは今年前半に女子テニスのSloane Stephensとの婚約を発表したことが大きいのでしょう。2017年の全米オープンテニスの優勝者となったあのSloane Stephensです。ピッチ外の話題の少ないアメリカ人サッカー選手としては珍しい存在と言えます。Stephensが2017年に全米オープンで優勝したときは遂にアメリカテニスもWilliams姉妹から次の時代に進むのかとも思われたのですが、現実はそのようには進まず。翌年の全仏で決勝に進んだのを最後にコート上では期待を下回っていると言えそうですが、グランドスラム大会決勝ぐらいしかアメリカ人スポーツファンの意識に上らないテニスのアメスポ内の地位からするとStephensの知名度はまあまあ高い方ではあるんでしょう。近い将来Coco Gauffに完全に取って代わられそうですが。

アメリカ男子サッカーにとっての山場は次回カタール大会ではなくその次の2026年の自国開催のW杯の方なのは確実。21歳のPulisicは2026年に向けての大事な米代表の宝なので、前段の2022年はPulisicのムリ推しよりもJozyでいいやという面もあるのかもしれません。

話がかなりズレました。カナダに負けたのがショックで現実逃避した部分もあるか。交代させられたあとのPulisicのイライラした顔が抜かれていたのもこの日の敗戦と無様な試合ぶりとセットでしばらくサッカーファンに記憶されていくんでしょうね。

サッカー男子米代表 3試合ぶりのゴールでウルグアイと引分

サッカー男子米代表の今年の実質最後の難敵との親善試合が開催されています。FIFAランキング6位ウルグアイをSt. Louisで迎え撃った試合は終盤に追いついて1-1で引分。前の2試合で無得点だったため、もしこの日も無得点で試合を終えると2008年以来11年ぶりに男子代表が3試合連続無得点試合となるところだったので、79分のラッキーなゴールでとりあえず不名誉な記録は回避できたことになります。

放送はFS1で。会場はMLB St. Louis CardinalsのBusch Stadiumで。収容約45,000人の同スタジアムに20,625人を集めたと公式には発表になってます。そういう数字なので上部席は空。同スタジアムでのサッカーの試合としては2013年に開催されたChelsea対 Manchester Cityの試合が48,263人と立ち見を含めて満席にした実績はありますが、米男子代表の昨今の試合で2万人の動員はまずまずと評価すべきところでしょう。
St. LouisはMLSの新チームが創設されることがつい先月発表になったばかり。まだチーム名も未決定の発表ホヤホヤの状態です。MLSとしては28番目のチームとして2022年からリーグ戦に参加予定となってます。St. Louisは過去にReal Salt Lakeの移転先として名前があがったりもしたし、既に活動は停止してますが女子のSt. Louis AthleticaがWPS当時に存在(日本のAi Miyama選手も在籍)したり地味ながらプロサッカーを定着させようとする動きは長年あった都市ではあります。
MLB St. Louis Cardinalsの人気が高い土地柄で、NFL Ramsも出ていってしまったほどのほぼCardinals一強のスポーツ環境の都市(他のメジャースポーツはNHLのBluesのみ)。MLBとほぼシーズンのかぶるサッカーMLSがどれほど健闘できるのか興味が持たれます。


さて話を戻して米代表の試合。米代表は先週の対メキシコ戦でメキシコの高圧的な攻撃に苦しんで3-0惨敗。この日対戦のウルグアイはFIFAランキングは高いですがメンバーはスター選手をかなり欠いており1軍半程度のチームとされていました。強豪国の1軍半、どんな試合を米代表がやって先日のメキシコ戦での鬱憤を晴らせるかという試合でもありました。今年は残り格下カナダ戦キューバ戦しか残っておらず、米代表の進歩を示せるとしたら今日の試合が最後でもありました。
結果はすっきりしない1-1の引分。ウルグアイのコンパクトで柔軟な中盤を崩す場面は少なく、左外から深く侵入してのセンタリングは何度かいい場面もあったものの全体は決定機が少ない。79分に相手のクリアが米代表選手に当たって跳ね返ったボールがゴール直前の絶妙のところへ落ちてきてそこに居合わせたJordan Morrisが胸で押し込んでのもの。まあラッキーですよね。Jordan Morrisはこの試合何度もいい場所に居合わせるなど動きは良かったのでご褒美ゴールとしては納得。
ウルグアイはなぜかこの米代表のゴールの入った時点まででサブを1人しか使っておらず、米代表の方は既に6人目のサブを投入していた状態。特に75分に現政権下の代表で主戦FWとして多数出場しているGyasi Zardesを投入した直後から米代表の前掛かりが加速、足の止まってきていたウルグアイへの圧力になってボックス内に侵入、結果的にあのゴールを生んだことに。ウルグアイ側の勝負への執念が疑われる時間帯でのラッキーゴールなので米代表の側は手放しにはとても喜べないものですが、とにかく3試合連続無得点は避けられたと。

試合後のインタビューでは
Jordan Morrisは優等生的な受け答えに終始していて、代表監督のGregg Berhalterのシステムをチーム全体が信頼して戦っているとの話。Berhalterがポゼッション重視なのは就任前からわかっていたことで、この日も6:4で米代表がポゼッション維持。ボールを前向きに持つことに強くこだわってチームとして努力しているのはわかりますが、メリハリの面でいかがなものかという試合でもありました。
なお、ウルグアイ側のゴールを決めたBrian RodríguezはMLSのLos Angeles FCのDPとして加入した弱冠19歳の新鋭です。

サッカー新イベント Leagues Cup 何をやってるのかわからない

今夜サッカーの新イベント2019 Leagues Cupの準決勝2試合が開催。メキシコLiga MX所属の2チームが決勝へ駒を進めました。決勝は来月Las Vegasで。
準決勝に残っていた米国チームはLos Angeles Galaxyだけだったのですが1-2でCruz Azulに敗戦しています。

この新イベント、正体不明です。MLS所属の4チームとLiga MX所属の4チームの計8チームによる全ラウンド一発勝負のトーナメント戦。開催地はすべて米国内で、決勝を除きMLSチームのそれぞれの本拠地で開催されるもの。
この地区の国際クラブ戦としては既にCONCACAF Champions Leagueが存在します。そちらには米国とメキシコから各4チーム、他にカナダおよびカリブ中米各国からおおむね1チームが出場して争われていますが、そこから米国とメキシコのチームだけを抜き出したような形ですね。そしてLeagues CupにはCONCACAFは噛んでいないようなので、集客力が弱い他国を排除効率化、CONCACAFへの上納金も排除して米墨で富を独占、という目論見かと最初は思っていたわけです。

しかしながら今日のCruz Azul@Los Angeles Galaxy戦、Galaxyはまともに選手を出場させていません。スーパースターのZlatan IbrahimovicもCristian Pavónもベンチ入りもせず。これやる気あんのかよという。わざわざMLSのホームで試合をするべく企画したのにチームの方は勝つ気もないイベント。会場を埋めたのは圧倒的にCruz Azulのユニフォームに身を包んだファンばかり。上部席は空。

MLSが週中の試合での観客動員に弱いことは過去何度か述べています。またMLSの公式戦以外のカップ戦の類の動員が鈍いことも何度も触れています。それはわかっているのですが、それをわかっている上でさらにこのLeagues Cupなるものをわざわざ創設してまでやるのにまたこれか、という。

政治の季節

4年に一度の大統領選挙年は来年2020年。今夜はホワイトハウス奪回を期する野党民主党の大統領選挙候補者による第一回の公開討論会が行われています。来年11月の大統領選本番までまだ15ヶ月以上もある時点ではありますが長い長いレースは既にスタートということになります。

前回の大統領選の2016年はトランプ対ヒラリークリントンと知名度の高い(しかし好感度は低かった)2人の激突であったため投票日までの夏からの数ヶ月の公開討論会などの番組が大いに注目を集めてアメスポ最強のNFLまでもがその視聴率で負の影響を受けたとされます。トランプが再選を目指す来年の選挙年もまた4年前と同じように盛り上がる=アメスポすら押しのけるのか。

前回選挙のときはアメスポだとNFL New England PatriotsのHC Bill BelichickやオーナーのRobert Kraftはトランプ支持でした。Tom Bradyもそうだったとされます。あれから時は移ったのにBelichickが健在なのはともかくBradyすら健在というのもすごいです。他方Kraftオーナーは買春疑惑で動きが止まり3人の中で一番影響力が低下しているという意外な展開になってますね。当時は下品な物言いのトランプ支持を声高に言うと恥ずかしいという雰囲気があったのがここまで2年半の実績でかなり風向きが変わったという気がします。

前任のオバマ大統領が推し進めたLGBTの権利擁護が争点にも票にもならなかったのも反トランプ陣営にとっては痛かったというのが前回選挙での民主党候補の敗戦の理由のひとつとされます。当時LGBTの風に乗って民主党候補を推せる最も知名度の高かったアスリートはサッカー女子代表のエースだったAbby Wambachだったはずですが、そのWambachは選挙年の4月に酩酊運転で検挙、コカイン使用まで告白せざるを得ない羽目となってとても応援に出られる状態ではなくなりました。今回は薬物談義は避けます。
女子サッカーもアメリカ大統領選も1サイクルを経て次回のLGBT側からの刺客となるのはAbbyの長年の代表チームメイトでもあったMegan Rapinoeとなります。

RapinoeはW杯優勝後に大手出版社との間でサッカーから政治まで幅広く語りまくる予定の自著の出版契約を結んでます。早くて年末、たぶん来年の出版になるのでしょうがこれは政治の季節にも乗って売れるでしょうね。LGBT関連だけでなく、元San Francisco 49ers QB Colin Kaepernickが始めた国歌演奏時の膝付きにもRapinoeは参加しておりマイノリティ一般への政治の不備不満を語れる立場の選手でもあります。また女子代表が提起している米代表選手の男女の賃金格差是正という大きな問題もあり、様々な層の不満の代弁者になれる選手ということになりそうです。
Abbyもおしゃべりはうまい方でしたが、Rapinoeもウィットが効いたスピーチが得意。反トランプ陣営からすれば大いに活用したい人材であろうかと思います。例えばKaepernickは膝付き運動を始めた人物でその行動の是非はあれ勇気はあったと思いますが、いかんせん新陳代謝の流れの早いNFLではとうに過去の人になってしまっている。その点Rapinoeはいまも現役選手。代表には来年の五輪出場という舞台も残っている。今年のW杯制覇の実績もあるため五輪を通じての大量の露出は既に確保しています。年齢的(34歳)には次のサイクルまで残ることはないためこの五輪が現役最後の舞台となるので五輪優勝後に派手な大統領選向けメッセージを飛ばす可能性もありそうです。

W杯その後 祝勝ツアー 男女同報酬問題

サッカー女子代表がW杯で優勝した余勢をかって8〜10月に5試合の全米ツアー興行をすることが発表されています。但し初戦を収容9万人余のRose Bowlで開催すると発表した以外の4試合は開催日は決まっています(TV局側の都合上)が開催地がなかなか発表にならなず、各地のファンがやきもきという状態になってます。

前回2015年カナダ大会での優勝時には同じように優勝後にVictory Tour 6試合を開催。当時の開催地はPittsburgh、Chattanooga、Detroit、Birmingham, AL、Seattle、Orlando。開催時期がアメスポジャンル1位&2位のNFLとカレッジフットボールのシーズンにかぶるのもあって、開催地はそれを避けた感のある都市名が並んでます。
体感的に言って今年2019年大会での国内での盛り上がりは2015年よりかなり上だったように思えるので、ひょっとしたら思い切ってフットボールに勝負を臨むような意欲的な興行を模索しているのかもしれませんが、同時にシーズンがかぶるので大箱のスタジアムの手当に苦戦している可能性もあります。日程だけは先に決まっているだけに柔軟なスケジュールは組みにくいですし。

うがった見方をすると女子代表が米サッカー協会とモメている代表選手への待遇闘争への反感もあって積極的には貸してくれないスタジアムもあるのかも。南部であるとかMLSのスタジアムとかだと絶対にないとは言えないような気もします。


そのEqual Pay男女報酬格差是正の問題ですが、大会終了直後にはMegan RapinoeやAlex Morganはマスコミに多く露出してやんわりとその主張を繰り広げていました(例1)。おおむねクリーンに勝ってしまったので彼女たちは余裕、あまり強く口に出してこの問題の主張をする必要がないんですね。人気トークショーのホストが「どうして同等の報酬を受取るべきだと主張してるんですか?男子は弱いんだから女子の方がもっと報酬もらうべきなんじゃないの?」などと勝手に話を盛り上げてくれたりするわけです。深夜のトークショーや、朝の定番番組など非スポーツファンでない人が見る番組に多く登場して問題提起をできているのもおいしいところでしょう。

反面防戦側のサッカー協会の方はどうもセンスが悪いです。この流れではほぼ男子代表と同等かはともかく、大幅な女子選手の報酬アップを受け入れなくてはいけなくなるのは避けがたいように見受けますが、サッカー協会長はこのタイミングでもまだスピーチで渋って待遇改善策について予防線を張ってるのが目立つ。男女間の協会内のパワーバランスなど様々事情はあるんでしょうが、対外的なイメージ戦略という意味では思い切って決断しちゃった方が良いんじゃないのかなとも思いますが。勢いのあるいま妥結すると振りなのでほとぼりが冷めるまで放置するつもりか。来年は五輪もありますから引き伸ばし策はあまり有効ではないような気がしますがどうか。

女子代表の方が余裕でその主張を浸透させつつある中、男子側は完全にだんまり。黙らざるを得ない。女子W杯と平行して開催されていた男子代表が出場したCONCACAF Gold Cup。決勝は4大会ぶりにメキシコ対米代表の最も視聴者を集める可能性のある決勝戦のカードとなりました。女子W杯の決勝と同日の夜の試合だったのですがこちらの視聴者数は152万人。
女子決勝の方は既報の通り1427万人。女子決勝は昨年の男子W杯の決勝以上の視聴者数を集めており、Gold Cup程度ではベストカードでもまったく太刀打ちできませんでした。ちなみにGold Cupの優勝はメキシコ。

女子W杯とGold Cup(および南米Copa America)が同時期に開催されることについてはMegan Rapinoeがサッカーファンの興味が分散する(言外に女子W杯への興味を削ぐために重ねてきた、FIFAの陰謀じゃないか)と事前に文句を言っていたのですが、こと米国内に関してはGold Cupが女子W杯に影響した可能性はほとんどないと言って良いのでしょう。どちらかというと女子W杯試合放映中にその晩のGold Cupの試合を大会期間中ずっと宣伝できた(両者ともにFOX系列での放送)男子Gold Cup側により恩恵があったかと思われます。
その上で女子側完勝なのですから、結果的にはその人気の差を見せつけることができてGold Cupと同時開催だったのは米女子代表に有利に働いたことになります。

女子W杯のVAR採用 アメスポから眺めると

昨夜の年間優秀アスリートを表彰するESPNの番組であるESPYで女子の最優秀選手にAlex Morganが、最優秀チームにFIFA女子W杯で優勝したばかりのサッカー米女子代表チームが選ばれて気勢を上げていました。まあ旬ですしそうかなと。
W杯でGolden BootとGolden Ballを両取り、オフフィールドでもオピニオンリーダーとして明らかにMorganより目立っていたMegan Rapinoeではなく、Morganの方を選んだ辺りは、あまりPinoに目立つ場で喋らせないでおこうという意図がどこからかあったのか。それとも非サッカー国のアメリカらしく判断基準がゴール数だけになってしまうとMorganという判断なんですかね。
Morganはとにかくインタビューがつまらないのがなあ。今だとPino、以前だとAbby Wambachは話がうまかったもんですが。


さて米女子代表が大いに恩恵を受けたVARの採用。VARで何本もPKをもらい、イングランド戦でぎりぎりのオフサイドでイングランドのゴールが取り消され、VARでのレビューが行われず米代表の制限区域内ハンドが見逃されて逃げ切ったフランス戦があったり。フランス戦のあれはVARの運用が雑で進歩の遅いサッカーらしい事象ですね。恩恵を受けた側のアメリカスポーツマスコミではこの件はほとんど触れられることもなく忘れ去られようとしてますが、VAR全般は概ね好評といえそうです。
大会が進んでからは各国のディフェンダーが後ろ手を組むハンド防止策がより多く見られるようになってきてこれはこれで良かったのだろうと。

女子大会でのVARの採用については一悶着ありました。先に男子の方で採用になったのが女子の方では採用が遅れた。それに対して「審判の技量が劣る女子大会こそVARがより必要なのだ」という論法で導入の推進がされ今回実際に採用されたわけです。女性審判の技量が劣るから、というのは男性が言うと差別発言にされてしまいます(本当はこれはおかしいんですけど)ので、声をあげるのが遅れてしまったのはまあそんなもんかと。世界各国に数限りない試合数のある男子サッカーで場数を踏んでいる男性審判と、女子サッカーの普及していない国(=ほとんどすべての国)から来た女性審判では技量に差があるのは当然なのですが。

技量が劣る審判だからこそビデオ判定を先に導入すべきというのはアメスポだと事例があります。審判がボランティアで運営されている少年野球のLittle League World SeriesがMLBよりも先にビデオ判定を導入したというのがありました。既に10年以上の歴史があります。アウトセーフの判定間違い(TVだと視聴者に明確に誤審とわかってしまう)で試合が決まってしまうと無報酬の善意での参加なのに審判は強い批判にさらされる、それをビデオでアシストすることで審判への負担を減らしたというわけです。そこまで早い段階で考えて推進した。
そういう理屈でMLBより先にLLWSで採用するアメスポ。女子W杯にコストが云々言って採用しなかったFIFAと、女子W杯よりも遥かに規模の小さい少年野球でビデオ判定を早々採用するアメスポ。いろいろアメリカ人らしい発想といえるのでしょう。

VARがあっても見逃しが出るというのは人為的な問題です。そしてそれは事前に予想できる事態なのに放置して、実際にそれが勝敗に関わった。この辺の議論がなかなか進んでいかない、予想できる問題を放置してしまうのは非アメスポ的かなあと思います。

米女子代表W杯二連覇達成 そして会場は「男女同待遇」のチャント

FIFA女子W杯決勝が行われ米女子代表が2-0で勝利を収めて大会史上初の二連覇を達成してます。米代表の人気者Megan RapinoeがGolden BootとGolden Ball賞の両取り。決勝で鮮やかなゴールを決めた若手24歳Rose LavelleがBronze Ball賞を獲得。大会初戦のタイ戦で5ゴールを量産したAlex Morganはその後ゴールが伸びずRapinoeと同数の6ゴールでSilver Boot賞獲得にとどまりました。

今回がW杯初出場となったLavelleが賞や決勝戦のゴールで目立てたのは来年の五輪、そしてその後の女子代表の代替わりを考えると人気の引き継ぎとなって良かったんじゃないでしょうか。日本の方から見るとどう映るかわかりませんが、アメリカ人的視線でいうと顔立ちや脚の細さなどでLavelleはそこらへんの小学生のように見えます。スピードと突破力を買われて代表で頭角を現した選手ですが、キャラ立ちもしそう。今大会で自信をつけて来年の東京五輪では中心選手となっていきそうです。

試合の方はいつもながらの米女子代表の試合。フィットネス任せ、あとは一部の選手の決定力頼みでサッカーとしては美しくないんですけど、まあアメリカ人向けにはこんなものでいいのでしょう。

それにしても今大会はアメリカ人応援団の多かったのが大変目立ちました。この日の決勝の観衆も大多数がアメリカ人だったんじゃないでしょうか。先日のMLBのYankees x Red Soxのロンドン興行のときも思いましたがアメリカ人ってスポーツ観戦で遠征という旅行パターンが好きですね。逆にいうとアメリカ人はそうでない普通の旅行が下手です(この点は話としてはおもしろい話ができると思うのですが、スポーツと関係ない話になるので我慢してやめておきます)。


表彰式の最中から「Equal Pay! Equal Pay!」とそのアメリカ応援団から大きなチャントが挙がっていたようです。男女の待遇を同等にせよというチャントです。既報の通り現在女子代表は米サッカー協会を相手取って男女の待遇差を巡って訴訟中。優勝した直後にNike提供の気合の入ったTVコマーシャルを放映し、その中でガラスの天井をぶち破ると力強く宣言して格差排除に意欲満々。
今日の決勝の視聴率情報も数日内に出てくるでしょうが良い数字となっている可能性は高いです。他国と違ってサッカー米女子代表の視聴率は男子代表より高い。訴状によれば興行収入も女子の方が高いとか。水曜日にニューヨーク市内で祝勝パレードが予定されていますがそこでも決起集会的な盛り上がりが起こるのでしょう。

来年2020年は大統領選挙年。私の見るところトランプの対立候補が弱くてトランプの再選が有力に見えますが、正面切ってトランプに楯突ける存在・イメージリーダーとして女子サッカー代表、特にRapinoeが大統領選の応援団で活躍する可能性はあるのかなあと。4年前のときは当時の代表の顔だったAbby Wambachが違法薬物使用で逮捕という大失態を犯したためLGTBや女性の権利を応援団として大統領選に持ち込めなかったです。

サッカー女子代表またも高視聴率 

もうこうなってくるとトレンドではなく、実力という風に見るべきでしょう。FIFA女子W杯の準決勝での米代表対イングランドの試合がまた好視聴率を出してます。今大会グループリーグ初戦の対タイ戦からコンスタントに数字を出し続けていたわけですが、先週金曜日準々決勝のホスト国対フランス戦で4.9%、そして火曜日準決勝対イングランド戦の速報値で5.5%。これ、全部平日昼間の放送での数字です。女子代表の人気を支える層は昼間でも家にいるひとたちなわけですね。夏休みですからね。


女子サッカーの視聴率好調と米代表の決勝進出を受けてESPNが女子サッカーリーグNWSLの今季残りプレーオフを含む14試合を放映を決定と今日ニュースが出ていました。NWSLは女性向けチャンネル(非スポーツ局)Lifetimeでほそぼそと放送されていたりしたわけですが、女子W杯での米女子代表の様子を見てからの日和見ではありますが、とにかくESPNが夏の後半の番組としてNWSLを採用ということに。
NWSLの9チームには計55名のW杯出場選手が所属しているということです。




Gold CupのWBC化

女子のサッカーW杯の裏、ということになりますが男子サッカー米代表の参加するGold Cupが開催されています。今年の大会公式サイトに行くといきなり「This is Ours.」というスローガンが表示されます。うーん。米国内リーグMLSの宣伝文句である「Our Soccer」を連想させずにはいられないスローガンですね。同時期に開催されるCopa Americaでもなく、女子W杯でもなく、少し前のUEFA Nations League Finalsでもなくこれが我々の代表の大会なのだということでしょう。
男子代表のグループリーグ第2戦対トリニダード・トバゴ戦がありました。65分に米代表が2点目を獲るまではかなり緊迫した試合となりました。その後はトリニダード・トバゴの足が止まって最終スコアは6-0とフィットネスにまさる米代表の圧勝の結果になってますが、そこまでの大きな差を感じさせる試合ではなかったです。トリニダード・トバゴ代表は2019年に入ってからノーゴール、最後に代表がゴールしたのは昨年の9月の対UEA戦だとかいう得点力の極低いチームだと紹介されていたんですけど、それにしては前半から米代表のゴールに何度も迫り決定的チャンスもあり。米代表の試合の入り具合も少々間が抜けていたり、トリニダード・トバゴにセットプレーのチャンスを何度も与えたりとイマイチ。開始早々17分でキャプテンをケガで失ったトリニダード・トバゴを攻めきれず前半を1-0で折り返し。
前半の先制点は米代表のセットプレーからのセカンド・チャンスに、大型ディフェンダーのAaron Longが相手のマークをパワーで振り切って飛び込んだヘッダーが決まったもの。Longは代表初ゴール。小柄な選手の多いCONCACAFではこういう大型の選手はアドバンテージがありますね。

若い今後の担う選手たちの試合ぶりはまずまずと見ました。前半はサイドラインからの攻めを徹底して小気味よく上がり、後半に入ってもっと内側を使ったり斜行を混ぜたりでゆさぶるなどバリエーションをつけていた中からチャンスを作りました。2ゴールを得たワントップGyasi Zardesは代表監督のGregg BerhalterがColumbus Crew時代から細かく動きを指示してきて一番Berhalterの戦術意図を体現できる選手だというような解説がついてました。エース格となったChristian Pulisicはこのレベルの相手だと自由にボールを操れて楽しそう。Bertalter時代になって唯一全試合に出場をしているPaul Arriolaはこの日もいい場面で顔を出す内容で合格点。安定して任せている感じですか。
例の2年前のW杯出場失敗の試合となったトリニダード・トバゴ戦のときの主力だったFW Jozy Altidoreが終盤出場。同試合でオウンゴールを献上したOmar Gonzalezもベンチ入りしていたんですが出場せず。一部にあの試合のリベンジ戦というアングルで報じるサッカーマスコミもあったんですが、新しい選手たちの躍動でそんな昔の悪い思い出はもうイイやという感じですね。Omarはあまり要らないけれど、Jozyはまだまだ使える場面もあるのかなあと思います。今のワントップのZardesはJozyのように肉体派ではないので、CONCACAFならともかくW杯の本戦での戦いを見据えるとどうなるかよくわからない気がしますので。



表題の件について。
過去Gold Cupはその試合をアメリカ国内でほぼすべて開催してきました(一部カナダ・メキシコ)。国の大きさ、スタジアム環境、経済規模など考えると米国内で全試合開催する方がビジネス的に格段にお得だからです。米国が常にホームゲームを戦うことになりある意味不公平感もあった開催方法でした。
それが今大会初めてグループリーグの一部の試合をジャマイカおよびコスタリカで開催したのが野球のWorld Baseball Classicの開催方法、経緯に似てるなと。
ジャマイカは前回および前々回の二大会連続でGold Cupで準優勝しており、そのご褒美ですか。コスタリカは前回大会準決勝敗退(同大会は3位決定戦なし)、前々回3位。こちらもジャマイカに次ぐCONCACAFの上位国ということで試合開催が与えられてます。

その動員結果ですがコスタリカでの試合が19,140人、ジャマイカKingstonでの試合が17,874人と発表になってます。やはりこんなもんかという感じですね。それぞれ首都の国立スタジアムでの開催、収容は35,000人ほどのようですが実際にはそれが埋まりきらない。ことビジネスということなら米国内開催の方が良いんでしょうね。この程度の動員なら米国内で開催しても集められるし、そしてたぶんチケット単価も高くとれるでしょうから。
まあただスポーツなのでお金だけのことで物事を決めるのはよろしくない、CONCACAF内での振興も大事かとも思うので今後もこのような形で小国での分散開催は続くのかもしれません。

ところでアメリカ国内の動員の方ですが、W杯出場失敗の悪影響がまだ続いているのかイマイチです。この日の試合はClevelandのNFLスタジアムで行われたのですが23,921人の動員にとどまりました。収容が67,000人ほどの巨大スタジアムなので上部席はほぼ空、一階席も角席はかなり空席が目立ちました。リベンジマッチという売文句もあった試合でこれは寂しい。
こういう米代表の巡業試合の動員成績っていうのは過去もMLSの将来の拡張の市場調査的に参考にされてきてます。Clevelandはこの動員じゃあ将来の拡張に向けてはマイナス点でしょうか。

また米代表以上に米国内で動員力を持つメキシコ代表ですが、Rose Bowlでの試合で65,527人と動員がふるわなかったのが気になってます。Rose BowlはLos Angeles近郊。メキシコ人移民の最大の居住地で、ここにメキシコ代表が来れば相手がどこでも満員はほぼ確実‥だったはずが65,527。Rose Bowlは収容95,000人の全米最大級の巨大スタジアムなのでこれだと2/3ぐらいしか入ってないんですよね。6万人も入ればサッカーとしては十分というか、米代表だとそんな動員は無理なのでさすがメキシコ代表だという言い方もできるんですけど、過去の実績から言うとこれでも少ないような。
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