アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

MLB/Baseball

MLBはトレード期限 出物が足りないかも

ポストシーズンの鬼 Madison BumgarnerをNew York Yankees、Houston Astrosなどコンテンダーの複数チームがトレード期限前に獲得しようと画策中とされます。交換条件は各チームのプロスペクト選手との交換。正直言ってそれらの交換相手の選手のことがさっぱりわかりませんのでどこがBumgarnerを獲得できそうなのかは予想もできませんが、Bumgarnerは既にGiantsでWorld Series制覇も達成していることから他のリングに飢えているベテラン投手とは若干違う尺度で行き先を考えている可能性がありそうです。

それはともかく現在のNational Leagueの順位表を見ているとGiantsはまだポストシーズンを諦める位置ではないというところが気になります。本日試合の始まる前の段階でSan Francisco GiantsはNL15チーム中の11位なのですが、しかしながらワイルドカード2チーム目までわずか3ゲーム差。数日前は15チーム中13位だったんですが3連勝して順位が上がりました。NLは大混戦で、ポストシーズン脱落と確実に言えるのは15位最下位のMiami Marlinsだけ。14位のNew York Metsをトレード期限の草刈場のように表現しているMLBマスコミもあってMetsのエース格Noah Syndergaardを放出するという憶測も飛んでいるんですけれど、Metsにしてもプレーオフ圏内まで5.5ゲーム差。まだ2ヶ月半もシーズンが残っている段階で5.5ゲーム差は諦めるような位置ではありません。確かにチーム状態は万全から程遠いにしてもです。
Metsのすぐ上のNL13位のCincinnati Redsなどはシーズン開幕当初ボロボロだったはずと思っていたらこのオールスター後の時点でワイルドカードまで3.5ゲーム差まで知らぬうちに浮上しているという具合です。

こうなってくるとNLの方はトレード期限での売り手が少ないことになります。もちろん選手契約の都合上今季Bumgarnerを売ってしまった方が得といった判断はそれはそれで正しいのでしょうが、そういうパターン以外はNLの各チームからの出物は少なさそうです。
出物が少ないだけに今年に賭けようというチームによる争いは激しくならざるを得ない。そしてBumgarnerの過去のポストシーズンでの鬼神の活躍ぶりはMLBファンなら誰もが覚えていることでしょうから今年勝ちきりたいチームにとってはプロスペクトの2枚や3枚叩き売っても欲しいと思うのはわかるところです。

Yankeesが悪の帝国と呼ばれてFAに大枚をはたいて有名選手を集めていた時代からはかなり経ったわけですが、今年のYankeesのここまでの戦いっぷりを見ると今年は無理をしても勝ちたいと思っても不思議ではないところ。これから月末にかけてプロスペクトだけでなく現有戦力を放出してでも補強に来る可能性があるのかないのか。

女子W杯のVAR採用 アメスポから眺めると

昨夜の年間優秀アスリートを表彰するESPNの番組であるESPYで女子の最優秀選手にAlex Morganが、最優秀チームにFIFA女子W杯で優勝したばかりのサッカー米女子代表チームが選ばれて気勢を上げていました。まあ旬ですしそうかなと。
W杯でGolden BootとGolden Ballを両取り、オフフィールドでもオピニオンリーダーとして明らかにMorganより目立っていたMegan Rapinoeではなく、Morganの方を選んだ辺りは、あまりPinoに目立つ場で喋らせないでおこうという意図がどこからかあったのか。それとも非サッカー国のアメリカらしく判断基準がゴール数だけになってしまうとMorganという判断なんですかね。
Morganはとにかくインタビューがつまらないのがなあ。今だとPino、以前だとAbby Wambachは話がうまかったもんですが。


さて米女子代表が大いに恩恵を受けたVARの採用。VARで何本もPKをもらい、イングランド戦でぎりぎりのオフサイドでイングランドのゴールが取り消され、VARでのレビューが行われず米代表の制限区域内ハンドが見逃されて逃げ切ったフランス戦があったり。フランス戦のあれはVARの運用が雑で進歩の遅いサッカーらしい事象ですね。恩恵を受けた側のアメリカスポーツマスコミではこの件はほとんど触れられることもなく忘れ去られようとしてますが、VAR全般は概ね好評といえそうです。
大会が進んでからは各国のディフェンダーが後ろ手を組むハンド防止策がより多く見られるようになってきてこれはこれで良かったのだろうと。

女子大会でのVARの採用については一悶着ありました。先に男子の方で採用になったのが女子の方では採用が遅れた。それに対して「審判の技量が劣る女子大会こそVARがより必要なのだ」という論法で導入の推進がされ今回実際に採用されたわけです。女性審判の技量が劣るから、というのは男性が言うと差別発言にされてしまいます(本当はこれはおかしいんですけど)ので、声をあげるのが遅れてしまったのはまあそんなもんかと。世界各国に数限りない試合数のある男子サッカーで場数を踏んでいる男性審判と、女子サッカーの普及していない国(=ほとんどすべての国)から来た女性審判では技量に差があるのは当然なのですが。

技量が劣る審判だからこそビデオ判定を先に導入すべきというのはアメスポだと事例があります。審判がボランティアで運営されている少年野球のLittle League World SeriesがMLBよりも先にビデオ判定を導入したというのがありました。既に10年以上の歴史があります。アウトセーフの判定間違い(TVだと視聴者に明確に誤審とわかってしまう)で試合が決まってしまうと無報酬の善意での参加なのに審判は強い批判にさらされる、それをビデオでアシストすることで審判への負担を減らしたというわけです。そこまで早い段階で考えて推進した。
そういう理屈でMLBより先にLLWSで採用するアメスポ。女子W杯にコストが云々言って採用しなかったFIFAと、女子W杯よりも遥かに規模の小さい少年野球でビデオ判定を早々採用するアメスポ。いろいろアメリカ人らしい発想といえるのでしょう。

VARがあっても見逃しが出るというのは人為的な問題です。そしてそれは事前に予想できる事態なのに放置して、実際にそれが勝敗に関わった。この辺の議論がなかなか進んでいかない、予想できる問題を放置してしまうのは非アメスポ的かなあと思います。

野球の新実験 ロボ主審

野球の独立マイナーリーグAtlantic Leagueのオールスター戦でボール・ストライクを機械判定するという実験が行われました。技術的には以前から既に使える状態であったと聞いていたものが遂に現場で使われる日が来たというわけですね。
マイナーリーグの、それも非公式戦であるオールスター戦での採用とまだまだMLBでの採用までの道のりは遠そうですが、それでも一歩ということなんでしょう。このストライクゾーン判定のシステムの名前は「TrackMan」というそうです。
これで使われるレーダー技術はここ数年で新車の多くに装備されており、私も日頃からお世話になっている既に身近となってきている技術。その技術でストライクゾーンの試合中のブレや、審判ごとの癖などを排除していけることになるわけですね。

この件は技術の問題よりも大きい障害は、審判の労働組合であるMajor League Umpires Associationが職域を侵されまいと踏ん張っているため前に進みにくいというものです。今回の実験では主審はいつもの場所に立っており、人員削減ひいてはコストカットには貢献しないということになっており、その意味では審判組合も受け入れやすい改革方向であるのかもしれません。

ストライクゾーンで審判と打者、捕手と審判がモメて口論になるというおなじみのシーンは過去のものとなって消えていくことになるんでしょうか。



Vladジュニアが激戦ホームランダービーデビュー

MLBオールスター戦前日恒例のホームランダービーが開催。Vladimir Guerrero Jr. が打ちまくって圧勝かと思われたのを、Joc Pedersonが猛追してダービー史上に残る大熱戦、三度の延長戦の末にVladimir Guerrero Jr. が勝利してます。おもしろかったですね。
先攻のGuerreroが29本を叩き込んだときはもうこれはPedersonが打席に入る前から、これは追いつけないだろというムードだったかと思いますが、Pedersonが涼しい顔(顔立ちがそうなんですけど)で猛追撃して29本でタイに。延長戦の1分ではVlad Jr.がさらにペースをあげて8本をぶち込み、今度は決まったろとおもいきやまたもPedersonが8本を放り込み再延長。最終的にはVlad Jr.の勝利となりましたけれどPedersonの踏ん張りで記憶に残るホームランダービーになったと思います。ありがとうございましたという感じでした。

PedersonのDodgersでのチームメイトのClayton Kershawは家族連れで食事に出て会場を去ろうとしていたところ、Pedersonの大健闘を聞きつけてフィールド内に戻ってきて家族ぐるみで応援していていたりと皆楽しそうでした。この気楽さがこの手のイベントの良さですね。


今年からホームランダービーの参加賞金も、優勝賞金もアップして億円単位。選手たちも以前の余興のようなものから、事前にしっかり練習を積んで登場してきているそうで、本気度もアップしています。MLBの最強のスラッガーたちとは言えあれだけ短時間に強振しまくる機会は多くないわけで。
また目立ちませんが現行のルールだと投げるピッチャーの方もペースをあげて投げ込まなくてはいけない(以前は打球が着弾するまで次の投球ができない。今年はどんどん投げて良い)のでかなりの負担と見えました。

昨年はBryce Harperのためのホームランダービーという感じでしたが、今年はイベント自体の魅力が出た良い楽しいホームランダービーだったかと思います。World Seriesに連続出場でMLBファンにはおなじみのLos Angeles Dodgers所属のJoc Pedersonと、まだ顔は売れきっていない(しかしパパのおかげで知名度は高い)Vladimir Guerrero Jr. の全国へのお披露目と無名ではない二人の決戦だったのもキャラ立ちしていて良かったのでは。
Vladimir Guerreroシニアの方はその超人的な風貌体格でMLBを長年沸かせた名選手ですが、ジュニアはぽっちゃり型で愛嬌のある風貌の20歳。今季からToronto Blue Jaysに昇格デビューしたところ。こういう旬の新しいスター選手の全国お披露目ができるのもオールスターの良いところですね。昨年はOhtaniが文句なしの旬の選手だったのに怪我でオールスターに登場して全国のMLBファンに顔見世ができなかったですが。

抱腹絶倒のロンドン公式戦

いやはや大変な試合になったものです。両軍監督は投手起用で苦悩したでしょうが、高いチケットを買って入場した6万人のお客さんにとってはチケットの価値の分以上のエンタメになったのではないでしょうか。

MLB New York Yankees x Boston Red Sox戦@London Stadiumの二連戦の初戦が土曜日に開催。最終スコアは17-13でYankeesが勝ってMLB初の欧州での公式戦を飾っています。初回の裏表で丸1時間を要する大変なスタート。1回表にYankeesがRed Soxの先発Rick Porcelloを捉えてめった打ち。6点を奪って1回持たずノックアウト降板。今季猛威を奮うYankees打線の威力をロンドンの地でもお披露目したというスタート。YankeesのAaron Boone監督も笑いを噛み殺してベンチにいるのが映っていたのですが、笑っていられたのはこの1回の表だけ。
1回裏にYankees先発エース格のMasahiro Tanakaが炎上。こちらも次々と打たれてピンチ。同点となる3ランホームランが着弾したときには私、爆笑してしまいました。6−6。なんだこれは!と。こんなめちゃくちゃな試合が注目の欧州遠征試合で実現してしまうんですね。TanakaもKOを食ってこちらも1イニングもたず。あーあ。

その後はYankeesが17得点として一時点では大きく引き離したものの、Red Soxもその後粘って一打同点のチャンスなんかも巡ってくる乱打戦。Yankeesは17点もとったのに結局クローザーのAroldis Chapmanまで投入せざるをえなくなりました。
両軍合計30得点は、2000試合以上の歴史を持つYankees x Red Sox戦で過去二番目に多い得点だったそうです。最多は31得点だったので終盤にもう1点入れば記録だったんですが。

彼の地で久々に、または初めてMLBの試合を生で見る人にとっては、打つべき選手が打ち、両軍のファンが興奮する場面がいくつもあり、ホームランも見られて、Chapmanも見られて、の試合。
公式には今回の遠征は2試合ともRed Soxのホームゲーム扱いで後攻ですが、着用ジャージはYankeesもRed Soxもホームジャージ着用。これはけっこう良かったんじゃないかなと思いました。ボストンやニューヨークに縁があって昔に地元で応援していたそのジャージ姿をロンドンで見られたことになります。
また8回にはFenway名物ニール・ダイアモンドが歌うSweet Carolineも流されてFenwayに通ったことのあるファンたちが大喜びで合唱。その脇でなんのことかわからないという顔をして座っていたのは英国人ファンですかねー。

放送中の情報ではチケットの70%が英国内で売れたということでした。残りの30%のいくらかはアメリカから遠征の応援、またいくらかは英国以外の欧州在住者が購入というところですかね。ニューヨークはビジネス金融で、ボストンは学問などで欧州とのつながりも比較的強い街なので元在米だった英国人、現在在英のアメリカ人がかなりいたとしても不思議ではありません。
来年はChicago CubsとSt. Louis Cardinalsがロンドン遠征を予定しているそうですが、ChicagoはともかくSt. Louisと英国ってなにか縁があるんですかね。あまり来季寂しい入りになってほしくないですが。

あと7回のTake Me Out to the Ball Game、やっぱり良いですね。このほのぼのさが。アメリカから離れた在外アメリカ人ファンにとってはこの曲が感じさせる郷愁というのは特別なものがあるんじゃあないでしょうか。
近年はアメリカ国内の愛国表現への希求なのか要請なのかわからないですが、God Bless America歌唱を優先する場合が多い。別にそれがいけないとは言いませんが、あのTake Me Out to the Ball Game♪ にそのまま直接行く楽しさ気楽さの方が良いよなーと思わないではいられなかったです。

アメリカで高校野球全国大会の動き

High School Baseball National Championshipと題する番組が番組表に載っていました。これは何?と思って見てみるとFlorida対Californiaの試合。事情がよくわからないのでネットで調べたところ、これは今年から始まった大会なのだそうです。Nanional Championshipと銘打ってますが参加しているのは今回は8州。Texas, Louisiana, Florida, California, Nevada, New York, New Jersey、Illinois。どういう基準でこの8州なのかよくわからないですね。第1回大会はこういう形ですが、今後は全米規模に育てたいという話で、ひょっとしてこれって日本の高校野球全国大会のアメリカ版を作りたいのかな?という感想を持ちました。
チームは州内の高校生から選抜されたチームで学校単位で出場しているわけではありません。

この日の試合はテキサス州内ヒューストン近郊のマイナーリーグの球場でやっていましたが、決勝戦だけはMLB Houston AstrosのホームのMinute Maid Parkで、Astrosの試合終了後に行われるんだとか。ちょっとよくわかりません。たぶんAstrosはデーゲームで、そのあとでということですか。それ、Astrosの試合が延長戦になったら‥とか細かいことを言ってはいけないのかもしれませんが、なんとも不思議な大会をやってみているもんだなと。

事前のパブリシティもほぼなく、参加もなぜ選ばれたかわからない8州だけでNational Championshipを名乗る。アメスポではありがちな走りながら考える感じの新イベントですか。MLBの公式戦の後に試合を行えるというところからして、MLBの後援が入っていそうな感じもします。

CWS カレッジベースボールの北進

College World Seriesの決勝シリーズ第3戦最終戦が水曜夜に開催。Michiganが先勝、1勝1敗後の決着戦はVanderbiltが逆転勝ちで5年ぶりの全米制覇となってます。

Vanderbiltは2014, 2015年に連続で決勝シリーズ進出するなど近年のCWSでは常連。MichiganはCWS登場が1984年以来35年ぶり。1950-60年代に全米制覇の記録はあるもの、今年突然にあらわれてここまで来たという感じです。Michiganだけではなく所属のBig Tenからの野球での上位進出が珍しいです。

カレッジスポーツ全般ではBig Tenはメジャーカンファレンスの中でもその経済規模、各種スポーツでの存在感などで全米一の巨大カンファレンスと考えても良い存在です。しかしながら野球ではふるいませんでした。これは一重に気候の問題です。

カレッジベースボールシーズンは2月に開幕、レギュラーシーズンは5月に終了、その後トーナメントが今6月末まで続くという仕組み。Big Tenの位置する北米大陸中西部(ミシガン州オハイオ州インディアナ州イリノイ州ミネソタ州など)は2月3月はまだ極寒で野外スポーツに向きません。MichiganやMinnesota辺りでは4月でもまだかなり寒いはず。2月開幕ということは1月から公式練習期間が始まっているわけですけど1月のミシガン州とか野外に出て練習とかいうのは自傷行為と言っていいぐらいのはず。
なので伝統的にカレッジベースボールは温暖の地の学校が強かったわけです。カリフォルニア、アリゾナ、テキサス、フロリダと言った州です。学校名で言えばUSC、Arizona State、Texas、Miami-FL,
Florida Statteといったところ。

それらの有力校が所属するカンファレンス内の他校もその影響でまずまずのリクルートを得たりはするのでSEC、ACC、Pac-12などには少し緯度が北に上がった春先は少々寒そうなところでもぼつぼつと新興の強い学校が出てきていた。それが例えば今回の優勝校テネシー州のVanderbiltがそうでしょうし、またはテネシー州の北隣のケンタッキー州のLouisvilleなんかもそうやってカレッジベースボールの世界で強くなってきたと言えます。

ちなみにVanderbiltは今月のMLBドラフトで13人が指名を受けてます。MLBドラフトにかかる大学生はルール上3年生以上(細かいことは省きます)に限られており、上級生だけで13人が指名って、それチームの上級生全員じゃないの?という大量の指名です。カレッジベースボールの新興の新名門って感じですね。有名出身者としてはRed SoxのDavid Priceがいます。Priceは数年前のVanderbiltの初のCWSの優勝シリーズ進出時に現地に観戦に来てたのを見たことがあります。あれはMLBのシーズン中だったのにどうやってPriceは来てたんだったのか事情が思い出せませんが確かに来てました。

しかしBig Tenはさすがに寒いせいかCWSまで残ってくる強いチームはほとんどいませんでした。それが突然MichiganがCWSに登場して勝ち上がってきました。
Big Tenのファンはアウェイの応援への遠征をいとわないことが多いのですが、野球の伝統がないこのCWSにも多くのMichiganファンがやってきていたのは、さすがMichiganだなという感じか。ここまで勝ちこむということは、Michiganも選手のリクルートに静かに取り組んできたということでしょうし、インドアの施設を充実させるなどして投資もしてきたのだろうと想像できます。これまで野球に弱かった最大カンファレンスBig TenがカレッジベースボールにからんでくるというのはCWSの人気にとっては良いことであろうと考えられます。Michiganが全米準優勝となれば、ライバルのOhio Stateも黙っていないように思われますし。今回のMichiganの躍進がカレッジベースボールの地盤を広げる力になる可能性を感じます。

なお今トーナメントの最優秀選手にはVanderbiltの19歳投手Kumar Rockerが選ばれています。昨夜の決勝シリーズ第2戦でMichiganを封じ込めてシリーズの流れを取り戻した快投。RockerはSuper Regionalではノーヒットノーランも達成するなどチームをもり立てました。この選手は先に述べたMLBドラフトで指名された13人の一人ではありません。
ちなみに彼の祖父母がインドからの移民だそうで、本人はアメリカ生まれのアメリカ育ちですから関係ないんですけど、彼の地のクリケットの豪腕選手がMLBに行って野球に挑戦するという映画「Million Dollar Arm」を思い出しました。

PujolsのしあわせなSt. Louis帰還

MLB Los Angeles AngelsのAlbert Pujolsが古巣のSt. Louis Cardinalsでのインターリーグの試合に初登場。2011年のCardinalsのWorld Series制覇をしたシーズン後にFAでAngelsに移籍。それ以来実に8年ぶりにPujolsがSt. Louisの地に登場。三連戦の間ずっと地元ファンから熱い歓迎の意を示されたスタンディングオベーションを受け続けました。打っては3試合連続ヒット、土曜日の第2戦ではホームランもレフトスタンドに打ち込むなど11打数4安打。現在39歳、これが最初で最後のSt. Louis凱旋となるであろうタイミング。近年衰えもかなり見えてきていた中、St. Louisでの最後のホームランを含む活躍で自らの凱旋に華を添えました。

AL/NLに別れたチームに所属したため移籍以来一度もSt. Louisに戻ることがなかったわけです。2011-12オフに巨額FA契約でAngelsに移籍。当時はSt. Louisのファンからは失望と非難の声もあったわけですが、8年のときを経たことで昔の感情は洗い流されてスタジアムは歓迎一色。2006年に開場となった現Busch Stadiumでの通算ホームラン数が111。これはいまでもPujolsが最多。観客席には「おかえりなさいPujolsが建てた家へ」などなどといったサインにあふれていました。
World Series制覇時からの正捕手である旧友のYadier Molinaとの数々の愛情あふれるからみは見るものをしあわせなものにしてくれること間違いないシーンの連続となりました。

なんでも第2戦の終了後はPujolsはYadierの自宅に遊びに行ってドミノをして遊んだとか。Molinaはプエルトリコ人。一般にプエルトリカンはドミノが大好き。きっと二人がCardinals所属だったころもそんなことをしたことが何度もあったのでしょう。

ファンというのはありがたいもんですね。そしてこういうふうに本籍地があるということのしあわせさもしみじみと感じさせる凱旋シリーズとなりました。
Pujols本人も「プロキャリアで一番の体験(World Series制覇と並んで)」とコメントを出して感謝感激の意を示してます。

大物FA移籍というと例えばNBAの近年の移籍、Kevin DurantだとかLeBron James(Miamiに行ったとき)とか、元の地元に帰るたびに大ブーイングの連続です。MLBだとWashington Nationalsから今季Philladelphia Philliesに移籍したBryce HarperのWashington DC帰還最初の試合は大ブーイングで迎えられました。Harperのときは大勢のPhilliesファンがPhilladelphiaからバスツアーで応援にかけつけており、スタジアムの一角からはHarperのホームランを含む爆発猛打賞への大きな歓声もあがっていたりとまだら模様だったですけど。
Harperは同地区のチームに移籍したこともあって移籍即座にWashington登場となり、非難の声の方が大きくなってしまった。NBAはスケジュールが必ず全チームが全チームを一度は訪れる仕組みになっており移籍の年に帰還が避けられない(ケガ除く)。まだ別離の傷がうずいているうちに帰還をせねばならず、どうしてもブーイングが出やすい状況になりがちとも言えます。
それらと比較すると8年間、訪れることがなかったせいで当時の複雑な感情は遠く薄れて、美しかった時代の記憶のみが残ってのPujolsのしあわせな凱旋シリーズとなったわけですね。

AngelsがSt. Louisにずっと来ていなかったということは、現在MLBの最高の選手であるMike TroutがNL屈指の野球どころであるSt. Louis初見参ということでもあります。さすがのTroutも今シリーズは完全に脇役になってしまいました。新参のShohei Ohtaniも同じく初の登場。現在の、そしてこれからのMLBを背負っていく若いスター選手がPujolsのSt. Louisでの歓迎ぶりを目の当たりにしたのは彼らが将来長大契約を結ぶ際にも気持ちの面でなんらかの影響を与える可能性があるのかもしれません。

Tampa Bayが仏語圏カナダへの移転を画策

MLB Tampa Bay Raysが現在のホームであるTampaエリアと仏語圏カナダMontrealの二重フランチャイズに移行する調査にMLBが許可を与えたと発表されています。現時点では調査段階でまだ先の長い話です。現行のホームスタジアムであるTropicana Fieldには2027年まで使用契約が残っているということもあり早急な全面撤退・移転は現実的な施策ではないのもあって、ゆるりとMLBの仏語圏復帰の機会を伺うということになったようです。イメージとしてはシーズン冒頭は温暖の地St. Petersburgで、その後の暑い時期は北国のMontrealでシーズンをということのようです。

MLBが仏語圏から撤退したことの損失については当ブログでも過去に何度か議論しています。移転して現Washington Nationalsとなる前のMontreal Exposは35年間活動しましたが動員がふるわず移転対象となりました。Nationalsとなる前にはプエルトリコとの二重フランチャイズという実験も行ったことがあります。結局はプエルトリコの経済力のなさからとてもMLBチームの維持は望めないと結論を出してこの実験を打ち切り、Washington DCへのMLB復活を決定。その後Nationalsが人気チームとなったことで結果的にはMontrealからWashingtonの移転は成功と考えられます。

但し仏語圏からMLBが撤退したことでMLBの仏語放送が消滅したのはMLBの国際戦略的には実は地味に痛かったはずです。またカナダに残ったチームがToronto Blue Jaysだけになってしまったのも隣国カナダでのMLBの存在感を傷つけたと思うのです。20世紀末からInterleague(日本風に言えば交流戦)が開始されておりカナダの地でのJays x Exposの試合がシーズンのアクセントになっていたのも短期間で消滅。
ExposがMontrealで最後のシーズンを戦ったのが2004年。2003年と2004年シーズンはシーズン中の22試合をプエルトリコで開催。つまり2004年までは仏語圏とスペイン語圏でMLBの公式戦が行われていたわけです。これが共にExposの移転で消滅。Exposの移転消滅直後にWorld Baseball Classic(第1回は2006年開催)をスタートさせてMLBの諸外国への露出を目指し始めたのとの政策的な整合性もとれていないのではないかとも思います。


今回Tampa BayがMontreal移転、または二重フランチャイズ化を目指す根本的な問題はRaysの恒常的な動員不振です。Tampa Bay RaysとFlorida Marlinsのフロリダ州の2チームの動員は地を這ったままで長い年月が過ぎています。Marlinsが新スタジアム建設しても、Giancarlo Stantonが特大ホームランをかっ飛ばしまくってもMarlinsの動員は伸びず。Tampa BayもYankees戦などアウェイの人気チーム以外の試合はガラガラ。Raysはフィールド上では革新的な投手起用を採用して戦績を伸ばすなど特異な経営努力をしているという面では評価したいのですが、いかんせんそれが地元での動員に結びついていません。以前から説明しているようにToropicana Fieldの立地がTampa市からあまりにも遠く、平日連日の試合というMLBの興行形態に不向きです。
だからと言ってMontrealに行ったらウハウハ動員が伸びるかと言ったらそうでもないような。元々Montreal Exposが移転していったのはMontrealでの動員が不十分だったからです。今Raysが行ったからといって動員がExpos当時を大きくしのぐとは想像しにくい。

では何を目指しているのか。ひょっとしたら恒久的な二重フランチャイズ化ではないかと推測するのですがどうでしょうか?
MLBのチーム数は30。チーム数増加が様々議論されてきた歴史がありますが、常に問題となるのは81試合という年間興行数。MLBの拡張先として昨年コミッショナーの口から名前があがった都市=Charlotte、Nashville、Portland、Vancouver、Montreal、Las Vegas、そして将来的にはメキシコのどこか(ほぼMonterreyと考えて良いか)が考えられていますが、問題になるのはどこも本当に81試合に動員を維持できるのかです。試合当りの動員が3万人なら大成功でしょうが、そうなると年間のべ240万人余りを動員する必要があります。MLBシーズンの冒頭3月4月はまだまだ寒いカナダのVancouverやMontreal、6月〜8月の最高気温が摂氏39-41度と糞暑いLas Vegas。そんなところで年間を通じてコンスタントに集客なんてできるのか。81試合分のシーズンチケットを買ってもらえるのか。
既に条件の良い都市はMLBは進出済みであり、新たな進出先は大きな投資と不安な動員を覚悟の上で進出するしかない…と考えられてきたわけです。そのため近年MLBの新市場への進出は滞り、その間、アメスポ内序列下位ジャンルのサッカーMLSにPortlandを乗っ取られ、ホッケーNHLにLas VegasやらNashvilleやらColumbusに先乗りを許してきた、というように私には見えます。

そこでもし恒久的な二重フランチャイズという手で81試合のフルシーズンの興行は苦しい土地にもMLBが乗り出していけるようなったらどうか?というアイデアはどうでしょうか。
正直、いまのMLBコミッショナーのRob Manfredの手腕を私は買ってないので、彼がそこまで考えて今回RaysにMontrealとの分散開催の可能性調査の許可を出したのかどうか懐疑的ですが、それぐらいしないとMLBの地盤は増えないだろうという気もするんですよね。
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