NFLドラフト2日目。初日がオフェンスのスキルポジションに指名が偏ったせいもあり2日目はラインの選手が多く各チームがそれぞれのニーズを埋めて進みました。初日1巡目にQBを指名しなかったDenver BroncosもWashington Football Teamも2日目=2&3巡目指名でもQBの手当をせず。これでこの2チームはAaron Rodgers争奪戦に残ったと考えて良いのでしょう。

1巡目で5名のQBが指名されました。おさらいすると全体1位でJacksonville JaguarsがTrevor Lawrence (Clemson)、2位でNew York JetsがZach Wilson (BYU)、3位でSan Francisco 49ersがTrey Lance (North Dakota State)、11位でChicago BearsがJustin Fields (Ohio State)、15位でNew England PatriotsがMac Jones (Alabama)。
その後QBの指名はぱたりと止まり、6人目のQB指名は2巡目の末尾=全体64位指名で昨季のチャンピオンTampa Bay BuccaneersがFloridaの大型QB Kyle Traskを指名するまで声がかからず。Traskが指名されるとそこからはパタパタと、66位で一部で評価の高かったKellen Mond (Texas A&M)をMinnesota Vikingsが、67位でStanfordのDavis MillsをHouston Texansが指名。これで第2群のQBが売り切れています。

Kyle Traskは大型で、基本ポケットパサーですが6 feet 5というLB・TEクラスの体格で接触プレーに強いQB。これはTom Bradyの代わりに4th & 1を来季担当することになりそうです。2020年シーズン、Bradyが何度かそういう場面でスニークする場面がありヒヤヒヤさせられましたからこの指名は理解できます。変にモバイルの選手でないところも良いんじゃないですかね。Brady用に作られたBuccaneersのプレイブックを改変するまでもない。
Buccaneersは3巡目でOTを手当していますし、2巡目の大型QBとともにBradyのボディガードを今年も補強したってことになります。

Vikingsは主戦QBがKirk Cousins。Cousinsが突如覚醒してNFLの一流QBになる期待は持てない中、第2群で一番まとまっていて、カレッジ時代に4年間スターター出場して経験値も高いMondに地味に期待したくなるVikingsの上層部の気持ちもわかるような。
第2群のQBで一番早くレギュラーシーズン先発での出番が回ってくる可能性が高いのはMillsでしょう。Houston Texansは主戦QBのDeShaun Watsonのトレード放出要求と、Watsonが抱える大量の裁判沙汰の処理でWatsonが来季Texansでプレーするのかがまったく見えません。そうなると可能性としては新人のMillsに機会が早々に回ってくる可能性があるわけです。Watsonをキープしても本人がプレーしたくないと言い出すかもしれないが、放出しようにも裁判沙汰で身動きがとれない。そんな中で第2群QBで一番評価の高かったMillsが最後に残っていたのでTexansとしては次善策として獲得というのは悪くないのかもしれません。


ところで49ersがTrey Lanceを指名したことが不評のようです。49ersは全体3位の指名権を得るのに今年の自軍の1巡目+来年の1&3巡目+再来年の1巡目を差し出しています。3年分の1巡目指名権を、2020年に1試合しか出場していない下位ディビジョンのQBに投入したことになってます。未完成の選手なので2021年シーズンの冒頭から実戦投入は見込まれていない、中期計画の様相。そのため現有のJimmy Garoppoloをカットせずに2021年は基本的にJimmy Gに先発させるのではないかとされます。
その上、49ersのGMがマスコミの取材に答えて、49ersがこの全体3位の指名権などをトレードのタマにしてAaron Rodgersのトレードでの獲得をGreen Bay Packersと話し合ったと言っちゃったようです。支離滅裂だなという。

ひょっとしたら5年後にはTrey Lanceは今のPatrick Mahomesのようになっているのかもしれませんが、逆にバストになってもうNFLにいないかもしれません。49ersが全体3位にトレードアップした時点で本当にこのLanceが欲しくて1巡目3年分をつぎ込んだのでしょうか。未完成で経験値が高いわけでもない下位ディビジョンのQBに?
例えばRodgersをトレードで獲得するのに1巡目3年分をつぎ込むというのなら、トレードで得るものが何かわかっているわけです。NFL一流の、MVPクラスのQBが来季プレーするのが確実にわかっていて1巡目3年分をつぎ込むならわかる。Rodgersが向こう3年プレーしてくれればそれはそれで説得力があると思うんですけど、そういう大トレードができるほどのドラフト資産をつぎ込んで、獲ったのがLanceかあ、と。その上即戦力ではないので上記の通りJimmy Garoppoloのサラリーも(減額交渉はするでしょうが)払う。自滅してないか?という批判が足元のファンから出てる。その不満はわかります。

もうひとつ、49ersが予想の多かったMac Jonesの指名に行った場合は、Mac JonesのAlabamaがプロスタイルなので2021年の最初からMac Jonesで行く可能性があった。その意味するところはJimmy Garoppoloが完全に余剰人員になる可能性があり、その場合比較的廉価で49ersが放出に応じることになり、結果Jimmy Gの古巣のNew England Patriotsが引き取ることが可能というシナリオがあったわけです。それがLance指名に行ってしまったのでJimmy Gの今オフ中の放出も消えたようにも見えます。

まあNew Englandはトレードアップもせず全体15位で構えていたら勝手にMac Jonesが余っていたので指名してしまった状態なので、いまさらJimmy Gがトレード市場に出てもすぐには手を出さない状況になってしまったとも言えますが。