March Madnessたけなわのこの時期にNASCARの話題をやってみたいと思います。昨年2020年にコロナ疫禍によってアメスポが全停止となった中でスマッシュヒットとなったのがNASCARのシミュレーションであるNASCAR Pro Invitational iRacing Seriesの放送でした。他局が過去の名勝負の再放送でスポーツ枠を埋める中、FOX系列がNASCARのeSportsバージョンを放送して意外な好評を博しました。

昨年の成功に気を良くして今年もNASCAR Pro Invitational iRacing Series、今週から始まります。略称がマスコミ記事ごとに揺れていて確定していないですがeNASCARという表現もされています。
全10戦で前半5戦はFOX系列で、後半5戦はNBC系列でと、本物のNASCAR Cup戦と同じで2系列でシリーズを分け合っての放送となります。週中他のジャンルが手薄な今、いい感じではないでしょうか。

その第1戦はBristol Motor Speedwayでのダートコースです。本物のNASCARの方が今週末に開催する同所でのダートレースに合わせての開催。絶好の宣伝にもなるのでしょう。eNASCARだけで考えればいきなり色物のダートコースで開幕ということになりますが。

NASCAR本番にダートレースを組み込むのは賛否あると思われます。あまりにも要求される技術が異なるダートでの大会で獲得するポイントがプレーオフ争いに他のレース同様関与するわけですから。

今季はここまで6戦で6人の別のドライバーが優勝を飾る混戦模様。それもその6人にはNASCARの最有力のドライバーたち、Denny Hemlin、Joey Logano、Kevin Harvick、Brad Keselowski、Chase Elliottなどは含まれず未勝利。それぞれ各レースでは上位に入っており好調は持続している彼らが未勝利のままシーズンを終えるとは想像しにくく、そうなると今季はレース優勝者の数が増えてプレーオフの16枠がレース優勝者で全部占められてしまう可能性も取りざたされてます。
例年だと年間のどこかで1勝すればプレーオフ進出がほぼ確定していたのが今季は1勝してもプレーオフに出場できない選手が発生しうるシーズン序盤の展開なわけです。

そういう中でCup戦に組み込まれたダートレース。ずっと過去にはダートレースは存在したのですが(元々Daytona Beachの砂浜を走っていたのがNASCARの原初ですし)久々の公式戦復帰。各陣営とも楽しみにしている面もありながらビジネスとして考えればどこが勝つかわからない出たとこ勝負のレースにもなりそうです。そうなるとまた意外な新優勝者が出る可能性もあることに。
それはともかく絵的にはかなりおもしろいレースになるのではないかと期待はしてます。


ところで今季の序盤のサプライズ優勝者の一人であるKyle Larsonは日系人二世。顔立ちはIchiroさん系統の顔ですね。昨季途中で舌禍で契約を打ち切られて今季から復帰。そして第4戦のLas Vegasで優勝しています。
昨季はNASCARに限らずアメスポ界はBLMで大きく揺れました。その結果としてCup戦の唯一の黒人ドライバーのBubba Watsonが昨季今季と注目選手として取り上げられることが増えました。
さて今年は南部の大都市アトランタでアジア系を狙い撃ちにした銃撃事件が起こったばかりなのを始め、アジア系への暴力行為がニュースで取り上げられることが多くなってます。どうなんですかね、Larsonにその流れへのメッセージを出す役は回ってくる可能性はあるんでしょうか。なにせつい昨年N-ワードを言ったとしてクビになったばかりという履歴があるのでアジア系への差別へ声を挙げる役回りはきついか。あまり大きな流れにもなってないしそのままスルーかなという気もしますが。