そういったフットボールの対応が落ち着いてきている中、冬スポーツも準備に追われている。プロでは冬スポーツの2大メジャーNBAとNHLはまだ前のシーズン中で、次のシーズンの全貌が見えていません。NHLのコミッショナーからは先日12月か1月開幕との言及がありました。次いで昨日NBAのコミッショナーからは開幕はたぶん1月以降と言及。若干意外。
NBAは例年クリスマスに人気チームの試合を4-5試合開催して地上波全国放送、ファンを楽しませるのですが、あっさりと12月開催を諦めたような発言なのが目立ちます。クリスマス決戦を諦めてシーズンを後ろにずらせればNFLとシーズンが重なる時期を減らせるという大きなメリットはありますが。
さて比較的自由に開催時期を変えられるプロスポーツよりも、学業の学期に縛られるカレッジの冬スポーツの方がスケジュール上の悩みは大きいです。近年は11月初旬のスタートのカレッジバスケシーズンが今年はどうなるのか。
NCAAの会長が言うにはNCAA視点では今年の冬スポーツの完全開催は、秋スポーツのそれよりも重要だと言います。冬スポーツは既に2020年3月の時点で各種目のNCAAトーナメントの中止で被害を被っている。2年連続での開催中止は影響が多大なのでぜひ完走したいとのことでした。
しかしそれはそう簡単ではありません。室内開催、濃厚接触の人気スポーツであるカレッジバスケットボールが本当に今季開催できるのかは予断を許しません。プロはカネもあるし施設も最新。スケジュールの自由度も高かったので時期を大きくずらして移動を排除して隔離バブルを形成して開催、NBA・NHLとも感染者をほとんど出さないまま完走できそうな様子になってきましたが、カレッジバスケに同じことができるのか。選手は各校の授業にも出席するわけでプロのようなバブル形成は困難です。カネの面でも男子Div-Iだけで350校もある全体をバブル化するのは無理。女子バスケ他の冬スポーツも存在するので大学各校が対応しきれるわけもない。
どうなるのかなと思っていたところ、ESPNから一つの案が出ています。カレッジバスケでは11月12月に4-16校で開催するミニトーナメントが多数ありますが、これらを全部まとめて出場校を現在NBAがバブル開催しているフロリダ州オーランド郊外のESPN Wide World of Sports Complexに招集して開催するという案を検討中とか。
ESPN視点とNCAA視点は異なります。NCAAには所属のすべての学校やすべての競技への目配りが重要ですが、営利企業であるESPNにとっては視聴者が集まる試合さえ確保できれば良い。言葉は悪いですが群小の学校の試合・不人気な種目の開催がどうなってもESPNにとってはどうでも良い。放送する予定の試合、番組表を埋める分だけの視聴者の興味を惹ける試合さえ行なわれればそれで良いわけです。
カレッジバスケでは例年シーズン到来を告げる第1週にChampions Classicが開催。これはカレッジのエリート校であるKentucky、Duke、Michigan State、Kansasの4校が対戦する人気イベントで、毎年優勝に絡んでくるこの4校の今年の新チームの顔見世興行とも言えるイベント。私も毎年楽しみにしています。これはESPNとしてはぜひ開催したい。でこの4校をNBAバブルの会場へ招いて試合をさせようというわけです。
そしてそれにとどまらず各種ミニトーナメント各種も一箇所開催に招いて、もしどこかのチームが放送予定試合に感染で欠けてもバブル内にいる他のチームと対戦させることでコンテンツを確保しようというものです。
なるほどありうるかもなとは思いました。多くのミニトーナメントは感謝祭の時期や、大学が既に冬休みに入った12月の開催。つまり授業への出席義務もどうせない時期がほとんどなのでバブル形成可能だ、ということなのでしょう。柔軟な発想、アメリカらしいなと思います。