表立ってそういう発言をしているADはいないのですが、カレッジのADたちに対して取材したところ75%ほどのADはこの秋シーズンが予定通り行われるとは思っていないという集計結果が出たという記事がいくつか出ています。そうだよねえ、という感じです。現実的にはそう思うはずと私の感覚では思えます。

まだシーズン開始まで1ヶ月半ある時点ですから状況が変わる可能性はありますが、急激に変わるとすれば悪い方に変わる可能性の方が高い。近い将来に急激に好転するとすればそれは広く市場に存在する既存の薬剤が疫禍治療に劇的に効くと判明した場合ぐらいで、これももういまの時点では望み薄のはず。疫禍が始まって半年も経っているため可能性のある薬剤は既に皆お試し済みではないかと想像できるからです。CDCはワクチン開発が年末までに成功する可能性を示唆しておりそれは予想以上に早いと言えるのでしょうが秋のフットボールシーズンに間に合うような話ではない。

スポーツの秋シーズンや、それよりも大きな問題として大学の秋学期が通常の形で再開できるかは既にムリだろうなと思えるのですが、それでもほとんどの大学はそれを公言しません。これにはお金の問題があります。
春学期のときに各地の大学が学期途中で急遽授業をオンライン化してキャンパスを閉鎖したわけです。その際に授業料を学生に返還するという問題が生じました。高い授業料や付随のコストを学生が支払うのはキャンパスライフと対人授業に対して支払っているのに、オンライン授業に差し替えられた。大学は授業料を返金すべしという要求が出て、それを拒否した大学を訴える学生なども出ています。これは大学の経営上大変な問題です。
受講者が少ない夏学期は授業料割引を提示、全面オンライン授業で対応した学校がほとんどであったと思いますが、本番の秋学期となると話が違う。少なくとも現時点では授業は通常通り行われるとしておけば新入生を含めて学生は授業を履修登録、授業料の支払いをせねばならない。とにもかくにもカネは一度は大学側に入る。この部分が大学にとってはとても大事なんでしょうね。この額は巨大です。最終的に感染の拡大がなんともならなくなってキャンパス再閉鎖・授業料の返還になるにしてもこの巨大な金額は一度は懐にいれて資金繰り確保かつ数ヶ月でも利子を稼ぐべきと考えるのはビジネス面からすれば正しいのでしょう。
学生側から見ればもし本当に学期が行われるなら履修登録しなければ休学になってしまうので登録しないという選択は難しい。他の業界では顧客の側が予約をためらうであろう場面なのに、大学ビジネスでは売り手の側が顧客である学生に予約を強制、その上先払いで払わなければならないところに追い詰めることができちゃうんですね。

そんな事情があるので大学側はぎりぎりまで努力はしたというアリバイを残しながら、心の底ではとても通常通りなんてムリだろと思っていながら通常通りの秋学期を目指す行動をし、同様に秋スポーツシーズンも開催を目指すがごとく準備ということなんでしょう。