カレッジフットボールの独立校Notre Dame。同校はフットボール以外のスポーツはACC所属。フットボールではNBCとの独占放映権契約維持の理由で独立の地位を保ちながら、折衷案としてフットボールでもACC校と毎年5試合を戦っています。
例年は5試合なのですがなんのめぐり合わせか2020年シーズンは6試合。これは元々独自にNotre Dameと将来の対戦契約をしてたLouisvilleがACCに加入したことが理由だったと思います。

さて既報の通り既にBig TenとPac-12は来る2020年シーズンをカンファレンス戦のみとすると発表しています。つまりnon-conference戦はキャンセル。他のカンファレンスも同じ方向にならうとFBSの数少ない独立校は対戦相手がなくなってしまうということになります。
そこでACCに準加盟状態だったNotre Dameとしてはその地位を生かしてACCがnon-conference戦をキャンセルする方向となった場合でもNotre Dameとの試合を維持して欲しいと交渉しているのは確実です。ACCに混ぜてもらえれば6試合確保で、これに他の独立校BYUやArmyとの試合でも組めばシーズンの体裁は保てることになるからです。

しかしそれはNotre Dame側の事情。ACC側にそれを受け入れるメリットがなければ実現しません。そこにACC側のメリットがあるのか。
これは、ある、と答えてみたいと思います。

カレッジフットボールがプレーオフ時代に入って6シーズンが経過、来るシーズンが7季目になりますが、ACCからCFPに出場したのは初年度にFlorida Stateが出場して以降、5年連続Clemsonが出場しています。その5年のほとんどの年でClemsonがACCで独走してCFP到達。ACCには優勝戦もあるのですが毎年Clemsonの有利が予想されてその通りの試合になって無風でClemsonが優勝という年が続いています。過去5年間のClemsonのACC優勝戦での相手はNorth Carolina、Virgina Tech、Miami-FL、Pittsburgh、Virginia。この相手5校のACC優勝戦対戦時のランクがNo. 8, 19, 5, ランク外, 22。2017年のMiami-FL戦だけがひょっとしたらと少しは期待された対戦でしたが、試合開始早々にClemsonが飛び出し38−3の圧勝。ほとんど無風の盛り上がらないACC優勝戦の連続なのです。
00年代のカンファレンス再編時にVirgina TechとMiami-FLがACC加入したときには当時のACCの最強Florida Stateと3強になってACCフットボールが熱くなるのかと想像されたのがまったくそうならず。Clemson1強でACC優勝戦の価値は2005年の創設以来上がらないままで来てます。

もう何が言いたいのかおわかりかと思います。Notre DameとClemsonとの対戦があったらACCの補強になる、というわけです。
過去5年間のNotre Dameの戦績は2016年に4勝8敗の失敗シーズンがありましたが、そのほかの4年間は10勝10勝12勝11勝。Clemson以外のACC校より遥かに優秀な近年の成績です。
今年はレギュラーシーズンでNotre DameとClemsonの試合が組まれており、なにもなければ今季の目玉カードのひとつだったはず。もしACCがBig Ten/Pac-12に追従してカンファレンス内に引きこもるとこの目玉カードが消滅します。カンファレンス内に中心のチームの他にそのライバル校がいる他のメジャーカンファレンスと違ってACCにはそういう存在がいない、という弱みがあります。

そこまで先読みすべきかどうかわかりませんが、CFPは4校参加です。もしメジャーカンファレンスがことごとく引きこもった場合、5大カンファレンスの優勝校のどこかが必ず漏れることになります。それがACCの優勝校になる可能性は十分にある。それは昨年のCFPの選考過程でも大いに議論になりました。だからACC優勝校(Clemsonを想定)のプレーオフ選考での地位を固めるためには強い対抗であるNotre Dame戦が必要なのではないか、という理屈です。だから準加盟のNotre Dameとの各校の対戦を認める可能性があるのでは、というわけです。

もちろんこれは危険な考えでもあります。全カンファレンスが引きこもればたぶん5大カンファレンス優勝校にしかプレーオフの出場のチャンスがなかったのが、Notre Dameにもプレーオフ進出のチャンスを与えることになるからです。
この辺はNotre Dameがプレーオフ出場した場合に分配金をACCに払うといったビジネス上のディールが必要になると思いますが、これは双方の得になり得るので合意は可能にも見えます。まだ開幕まで時間もあるので来季以降の取り決めも含めて大きな変更を画策することも可能と思えます。