NASCARが今日日曜日にシーズン再開です。疫禍後のアメスポ再開の動きではUFCが先行して昨夜早くも再開第3戦UFC Fight Night 176(Overeem vs Harris、UFC249を含み同じ会場で8日間で3戦)もやっていましたが、UFCにはシーズンという概念がありませんから、個人的な好みとしてはNASCARのシーズン再開の方が、途切れたシーズンがいよいよ再開という感じが強いです。というわけでスタートを待ち構えて観戦です。UFCも良かったですけどね。昨夜のメインカードも1ラウンドから両者ともに顔面パウンディング乱打を食う時間帯有り、血まみれの大変な試合でしたし。


待っていたのは私だけではなかったようです。Twitterでのトレンドワードの首位に#NASCARISBACK が2時間以上続けてとどまるなど普段とは違う雰囲気です。視聴率情報が数日後に出てくるのが楽しみです。

事前にNASCARの社長が「自分は必要最小限の人員に当たらないので当日は会場には行かない」と言っていたのに象徴される通り、普段とは大いにムードは通常レースと異なります。人の数と接触数を大きく絞ってます。無観客はもちろん、関係者も大きく制限。各チームの人員も通常の22名から16名と減員。クルーチーフすらレース場にいないようです。レース自体はサウスカロライナ州で行われている中、クルーチーフはノースカロライナ州のチームの本部にいるという態勢。国歌の歌手も、レース前の安全祈願の聖職者も現地におらず遠隔で。
TVアナウンサーや解説も会場にいない。TV製作スタッフも通常の編集トラック内ではなく特設テント内にクルーを距離をとって配置しているという念の入れよう。ここまでやるのかと正直感動するような陣容です。特にNASCARの再開はかなり急に決まって時間の足りなかったであろう中でこれだけやるのだからこのアドリブ力はすごいなと思います。UFCと違ってNASCARではマスクの着用率も100%完璧に見えました。

選手やクルーから感染者が出た場合のシミュレーションも様々な場合を想定していると社長からの説明などもあり、これからアメスポメジャーが再開していく中での模範を示そうと努力しているように見受けます。準備の周到さではNASCARの方がUFCの上を行っているように見えます。後に再開で続くことになるMLB、NBA、NHLなどへ向けてNASCARが今回とってる防疫措置についての詳細な情報提供が日々行われているそうで、オールアメスポ態勢で復興を目指してる模様。これもまた感心。


この日のレース名は「The Real Heroes 400」とされてます。医療関係者が各地で治療や検査に日夜奮戦しているのをアメリカ全体でThe Real Heroesと呼んで盛りたてているのですが、それをレース名としてシーズン復帰戦としてます。この辺のセンスは泣かせます。
番組冒頭にJimmie Johnsonが「みんな、家にいろよ。これから数時間俺たちがみんなのためのショーをやる。見ててくれ」と静かな口調で言う。なかなかぐっと来るではないですか。

当ブログで予想していたトランプ大統領による再開の祝辞がない。公衆衛生のトップによるSocial distanceとStay homeを促すCMが最初の目立つ枠で流される。今トランプは公衆衛生トップと意見が割れて規制解除を強く主張してモメてる最中にトランプじゃない側の肩を持ったように見えます。またシーズン中断中に出場停止処分にされたKyle Larsonの処分理由を何度も放送中に語ってNASCARでは人種差別主義と一線を画していることを強調する。
これ、NASCARが今回のシーズンリスタートを全国区にアピールするチャンスと考えて従来のNASCAR支持層≒トランプ支持層=疫禍規制解除論者たちに偏らない姿勢を示している現れかと見えます。普段NASCARを見ない層も今日は見ていることを意識しているってとこでしょうか。興味深い変化に見えます。


また2月のDaytona 500で危険なクラッシュで病院送りになったRyan Newmanがこのシーズン再開レースで復帰ということにもなってます。当時の状況からすれば死亡事故になっても不思議じゃないクラッシュ。大きな後遺症もなく生活に戻れるだけでも奇跡に近いような事故だったのですが、今季のうちに復帰とは。事故の当時も書きましたがNASCARがとってきた安全策が見事に機能した結果なのであって、奇跡と呼ぶだけでなく人智による成功例と呼ぶべきでもあるのでしょう。