前項のXFLの実質継続断念のケースもそうですが、いったいいつ社会が元の機能を回復するのかというのは大きな問題です。既に固定ファンとそのスポーツを絶対に必要とするスポーツマスコミと一体化しているメジャースポーツはともかく、XFLや中規模以下のところは社会が元に戻らないと潰れるところが続出するでしょう。

ここ数日、米国内では抗体検査の話題が増えています。この話題が増えるということ自体がここ数日中に迎えるとされる感染ピークの次、社会の正常化に向かおうとしている行政の意図を感じます。それがどれほどのスピードになるかはまったく見通せないわけですが少なくとも次を考えて行動しているところに希望が持てると思えます。

ワクチン開発にはまだ1年以上の時間がかかることが予想されているためそれを待っていたのでは経済生活が破綻してしまう。抗体を持っている人が多いとわかればワクチン開発を待たずに正常な社会生活を再開できる。少なくとも抗体を持っている人を特定できればそれらの人を活用して部分的に社会活動を再開し始められる、という読み筋なんでしょう。本当はそうかどうかわかりませんが。2度罹らないという保証はまだないはずですが、ワクチン開発に全面的に期待するだけでは経済的な死も見えているので抗体を獲得した人たちから順次OKとしていかないと、というわけです。

少なくとも抗体を持っているから大丈夫だと一般大衆が認識しないとスポーツ観戦などの人の集まるビジネスは成立しそうにないのは先日紹介した意識調査でも示されています。行政も再開OKを出しにくい。全国民の抗体検査を実施するのは簡単ではないでしょうが、大規模調査をして国民の多くが(どういう数字をもって多いと判断するかは微妙でしょうが)抗体を獲得していると示せれば前に進める。そういうことで急にここ数日で抗体検査の話が増えてきたと想像してます。

ワクチン開発のタイミングとスポーツ産業再開のタイミングの話は別項でまた準備しているのですが、メジャースポーツビジネスの選手コーチの総数は限られている。比較的大所帯のMLBでも選手はメジャー契約選手は40名 x 30チームで全部で1200人程度(30%前後の外国人選手を含む)。NFLでざっと70 x 32 =2240(たぶんこっちは大半がアメリカ人)。サポートスタッフを数に加えても、この程度の数であればワクチン開発がされた時点で早めに手当できれば試合は再開可能であろうと読めます。

しかしそれで再開できるのは無観客試合です。一般市民である観客にワクチンを行き渡らせるとなると話はまったく別。それは時間的にそう簡単には起こらない。無観客でないにしてもSocial distancingを継続したように席を空けて動員を大きく絞っての開催とかそんなことになる可能性もあるのか。そんな動員方法でも熱心な固定ファンがついているメジャースポーツなら太客に高い値段で売ればそれなりの収入になるのかもですが、XFLあたりでは無理と想像できる。
この前のトランプ大統領がメジャースポーツのトップを集めて会談したのがここでは重要な意味を持ってくる可能性が指摘できるのでしょう。あそこに呼ばれたプロ競技は将来優先的なワクチン供給を受けられるなどの恩恵を受ける可能性があるかもしれません。あそこに呼ばれなかったプロスポーツは零細とみなされてその恩恵から漏れる可能性が強い、というように私には見えます。

優先と言っても、医療従事者やEssential workers(現状でも営業している社会の根幹ビジネス・食料流通など)よりプロスポーツが優先はしないような気はしますが、アメリカ経済の復活を象徴的にぶち上げるためにはメジャースポーツ、ワクチン開発のタイミング次第ですがその時期に旬なメジャースポーツに優先的な措置がとられる可能性は低くないと思います。数百万人単位の医療従事者よりも遥かに人数も少なく宣伝効果も高いからです。ハイリスク群である高齢者にワクチンを行き渡らせるよりはメジャースポーツ選手たちが優先されるのはほぼまちがいなくアリなんだろうなと。そういうことを大ぴらに政治家は言えないでしょうが、あるんだろうなと。