サッカー女子代表が米サッカー協会に対して性差別による損害$66 millionを訴える訴訟を起こしています。公判は5月から開始とか。

正直言えば、あれ?また?という感じも強いです。
昨年男女同額の参稼報酬を求めて訴訟していたわけですが、そっちの方もまだ続いているようです。なんというか法廷戦術以外の部分、パブリシティの部分で米サッカー協会はなにをそんなに抵抗しているのかなという感想を持ちます。あるいはよーく考えた上で遅延戦術に出ているということか。

女子代表側からすると今年の東京五輪への出場が現行の知名度の高いメンバーによる最後の露出の機会。昨年の女子W杯前後に盛んに雰囲気を盛り上げたのですが、結局サッカー協会からは色よい返事は得られず結果が出てない中、五輪前にもう一度世論の盛り上げを狙っての別訴訟かなという気がします。


Alex Morganが30歳(妊娠休養中)始め、Carli Lloyd37歳、Megan Rapinoe34歳、Becky Sauerbrunn34歳、Kelley O'Hara31歳、Tobin Heath31歳、Christen Press31歳と皆30代に突入済み。皆元気ではあるものの次のW杯サイクルに皆揃って帰ってくるかはわからない。戻ってきたにしても女子代表ファンのコア年代である10代の女子との年齢ギャップは開くばかりで彼女たちが居座ると女子代表の人気は徐々に低下する可能性はありそうです。現状20代で知名度のあるスター選手というとJulie Ertz27歳ぐらい。

その辺りが米サッカー協会側の狙いで遅延戦術をとった方が良いと判断しているふしがあります。原告から高額報酬を受け取っている選手数名を外すように異議申立てしたりなどで訴訟が進んでいないというのもその辺が狙いかもです。
女子代表の人気がピークのW杯優勝の時点で妥結するよりも、五輪後、おなじみの代表が解体して人気選手が代表引退、一般の注目度が下がる時点で妥結したいというのは訴訟戦術としてはありうるとは思います。比較対象となる男子代表の動員が現状底にあるのも比較対象としてはとても良くないという思惑もあるでしょう。


ただしそれがサッカーにとって良いのかどうかはわかりません。サッカー協会内の男子擁護派からすればそれが良いのでしょうが、要は女子サッカーの人気が下がるのを待つというのがアメリカサッカー全体にとって良いことなのかどうか。
アメリカでのサッカーはマイナースポーツの域からは脱したと思いますがいまだにメジャーとは言い切れない部分を抱えている、言ってみればミッドメジャーな存在です。それが内輪もめで女子部分の人気が下がるのを待つという戦術、ひいてはせっかく女子スポーツでトップクラスの人気を誇りながら女性への社会的抑圧の象徴にされてしまうのは得策には見えない気がします。

アメリカ目線でサッカーとともに女子の人気が高いスポーツと言えばテニスですが、テニスでは1973年に全米オープンが男女同額の賞金とすることを決定して先鞭をつけたのと比較すると半世紀後の2020年になっても大いに抵抗するサッカー協会の後進性が目立つ結果になっているような。