AlabamaからOklahomaへ転校したQB Jalen Hurtsが日曜日に転校後初出場。Houstonを相手に快勝。パッサーとしての能力が2年前から格段にアップしており、今季に期待が持てそうです。Oklahomaから3年連続のハイズマン賞QBが出るかも。
この試合には昨年のハイズマン賞受賞者Kyler Murrayがサイドラインに応援に来てました。Murray本人は次週対Detroit Lions戦でNFLデビューとなります。試合中にも取材を受けていたり余裕。プロでの活躍も期待したいところですが、またそれは来週以降のお楽しみ。

Jalen HurtsはAlabamaで昨季3年生として13試合に登場したものの、先発の座は下級生のTua Tagovailoaに奪われてバックアップ役。NCAAの新制度を利用して昨季中の転校も取りざたされましたが我慢のシーズンをAlabamaで過ごして、今年が最上級生としてカレッジで最後のシーズン。そういう意味では昨季のKyler Murrayと境遇に似た部分はあるんですが、その件を問われたMurrayが答えていた通りHurtsにはMurrayにない高い経験値があるわけです。全米最強Alabamaでの1年生・2年生のシーズンを再激戦区SECで先発QBとして過ごし、両年とも全米優勝戦まで駒を進めて戦ってきた実績は現役カレッジQBの中では最強。ただし1年生のシーズンは全米優勝戦でClemsonに敗戦して準優勝。2年のときは全米優勝戦でのHurtsの不出来でハーフタイムにQB切り替えという荒業でベンチに下げられ、後半戦を戦ったTuaが大逆転優勝をもたらしたという顛末で、Hurts個人の視点では最後の最後の試合では勝ちきれてないまま3年生になって、その3年目ではバックアップに甘んじたことに。
そして今年はBig XIIの雄Oklahomaに転校してカレッジでの最後の勝負ということになるこのシーズン。以前から心臓に毛の生えた、という表現を当ブログではしてきましたが、この日も落ち着いてパスにランに相手ディフェンスを蹂躙。なによりもAlabamaで先発を張っていたときと比較してパスの精度と読みの良さが際立ちました。

実はAlabamaの3年次のパスのスタッツ(QB Rate 196.7)は1-2年の頃(139.1 150.2)よりも大きく向上していたのですが、なにせバックアップ役だったためHurtsのパス能力が上がったことはよほどのファンでもないと見ていない。Alabamaが(というかTuaが)相手を大量得点差で勝負を決めてしまってから出場したHurtsがパスを決めていてももう真面目に試合を見ている人が限られていたわけです。

という具合で主戦QBTua Tagovailoaの陰でその能力を磨いていたHurtsがほぼ2年ぶりにカレッジフットボールファンの注目を浴びてのOklahomaでのデビューだった、というわけです。そして大成功。Alabamaで先発の座を失う前から勝負度胸と頑丈な体躯を活かした重厚なランには定評がありそれはいまも健在。HoustonのディフェンスもHurtsのランを止めるのに苦労。ハンドタックルでは止まらないし、セカンダリの選手では真正面から勝負しても一人では止めきれない。大変良い。良いし、以前よりもパワーアップしているようにも見えますが、これはまあAlabama時代にも見た。
それよりもパス能力の向上は唸らされまいた。転校して半年強でOklahomaの新システムを既に会得してしまっているかのよう。よく相手ディフェンスの動きが見えているし、以前にはなかったかなり狭いターゲットにも投げ込んでました。これは今年もOklahomaがカレッジフットボールシーズンを楽しいものにしてくれそうです。

Oklahomaのチームとしての戦力はRBが貧弱、ディフェンスもHouston辺りを相手にかなり失点を重ねるなど全米優勝を狙うには不安がありますが、大量得点大量失点は過去2シーズンもそんなものでしたから仕方のない範囲か。