つい先日読者の方からのコメントで映画Field of Dreamsのお話をいただいたところ。MLBが来季そのロケ地であったアイオワ州のフィールドに観客席を建ててChicago White Sox x New York Yankeesの公式戦を行うと発表になりました。この企画をやるなら劇中の登場人物の所属先であったWhite Soxは絶対に欠かせないですが、相手はYankeesですか。Yankeesは今年はロンドン、来年はアイオワ州の片田舎とあちこちに駆り出されてお疲れ様です。

これはここ数年続いているMLB公式戦の米国内出張開催の一環と考えていいのでしょう。2016年のノースカロライナ州米軍基地内でのFort Bragg Game。2017年から始まった東部ペンシルベニア州の山奥Williamsport(=Little League World Seiresの開催地)での開催。今年College World Seriesの開催地ネブラスカ州Omahaへ乗り込んでの同州内での初MLB公式戦。そして来季はアイオワ州。こちらも同州での初のMLB公式戦となります。MLBが主催全81試合をホームタウンに居座って殿様商売で開催してそれで済んだ時代は終わりつつあるのかもしれません。

WilliamsportやOmahaにはマイナーリーグ用に建てられたフル規格の球場がありそこでのMLB公式戦開催だったわけですが、今回は8,000席のスタンドを建てての試合とか。Fort Bragg Gameのときにも試合のために球場を作ったのですがそのときは12,500席(試合後改修されて小規模に)ですから、Field of Dreams Gameの施設はさらに小さいことになります。MLBの中では不人気の部類のWhite Soxのホームゲームを振り替えての開催であるのでしょう。
White Soxからすればいくら普段不人気とは言えYankees戦はChicagoで開催した方が8000席の試合より儲かるのは確実の試合でしょうから、MLBがなにがしかの補償金をWhite Soxに対して支出してでもこの試合をやりたいということなんでしょうね。

MLBが米国内で出張試合をやることについて総論としては反対ではないのですが、Field of Dreamsという理由付けをしてもYankeesというネームバリューを足さないと企画として成立しない(と関係者に判断されていまう)というのは少々苦しいなという気がします。
先日も書いたのですが映画Field of DreamsはMLB Networkでは年に何度も放送されている野球カルト・ムービーです。野球関係者にとってはノスタルジックな映画なのかもしれませんが、アレを放映していて見ている人たちってものすごく特定の方なのではないのか、関係者が思うほど一般のスポーツファンの認知度は高くないのではないかという気がしますがどうでしょうか。
映画の公開は1989年、30年前。つまり現在の30代以下は絶対にリアルタイムでは見ていないし、40代の方でも公開当時はあの幻想的なストーリーではさっぱり意味がわからなかったのではないかと思われます。そして30年前のMLBというのはまだ相当の人気があった頃です。
Field of Dreamsに関連付けてこの特別試合をやる(FOXが中継予定)としても盛り上がるのは元々MLBファンで、それも年齢がかなり上の層にしかこのネタは通じないんじゃないの?というのがよろしくないような。

Field of Dreams云々ではなく、なにか理由をつけて非MLBフランチャイズ都市での出張開催をしたいのだということかとも思いますが、それにしても早くも4箇所目でカルト映画Field of Dreamsかよ、この先の出張先の展開が思いやられるという気がしてしまうんですが。理由付けは要らないからPortlandなり、San Antonioなり、Nashvilleなりといった次の楔を打たないといけない都市で開催した方が良いような。