4年に一度の大統領選挙年は来年2020年。今夜はホワイトハウス奪回を期する野党民主党の大統領選挙候補者による第一回の公開討論会が行われています。来年11月の大統領選本番までまだ15ヶ月以上もある時点ではありますが長い長いレースは既にスタートということになります。

前回の大統領選の2016年はトランプ対ヒラリークリントンと知名度の高い(しかし好感度は低かった)2人の激突であったため投票日までの夏からの数ヶ月の公開討論会などの番組が大いに注目を集めてアメスポ最強のNFLまでもがその視聴率で負の影響を受けたとされます。トランプが再選を目指す来年の選挙年もまた4年前と同じように盛り上がる=アメスポすら押しのけるのか。

前回選挙のときはアメスポだとNFL New England PatriotsのHC Bill BelichickやオーナーのRobert Kraftはトランプ支持でした。Tom Bradyもそうだったとされます。あれから時は移ったのにBelichickが健在なのはともかくBradyすら健在というのもすごいです。他方Kraftオーナーは買春疑惑で動きが止まり3人の中で一番影響力が低下しているという意外な展開になってますね。当時は下品な物言いのトランプ支持を声高に言うと恥ずかしいという雰囲気があったのがここまで2年半の実績でかなり風向きが変わったという気がします。

前任のオバマ大統領が推し進めたLGBTの権利擁護が争点にも票にもならなかったのも反トランプ陣営にとっては痛かったというのが前回選挙での民主党候補の敗戦の理由のひとつとされます。当時LGBTの風に乗って民主党候補を推せる最も知名度の高かったアスリートはサッカー女子代表のエースだったAbby Wambachだったはずですが、そのWambachは選挙年の4月に酩酊運転で検挙、コカイン使用まで告白せざるを得ない羽目となってとても応援に出られる状態ではなくなりました。今回は薬物談義は避けます。
女子サッカーもアメリカ大統領選も1サイクルを経て次回のLGBT側からの刺客となるのはAbbyの長年の代表チームメイトでもあったMegan Rapinoeとなります。

RapinoeはW杯優勝後に大手出版社との間でサッカーから政治まで幅広く語りまくる予定の自著の出版契約を結んでます。早くて年末、たぶん来年の出版になるのでしょうがこれは政治の季節にも乗って売れるでしょうね。LGBT関連だけでなく、元San Francisco 49ers QB Colin Kaepernickが始めた国歌演奏時の膝付きにもRapinoeは参加しておりマイノリティ一般への政治の不備不満を語れる立場の選手でもあります。また女子代表が提起している米代表選手の男女の賃金格差是正という大きな問題もあり、様々な層の不満の代弁者になれる選手ということになりそうです。
Abbyもおしゃべりはうまい方でしたが、Rapinoeもウィットが効いたスピーチが得意。反トランプ陣営からすれば大いに活用したい人材であろうかと思います。例えばKaepernickは膝付き運動を始めた人物でその行動の是非はあれ勇気はあったと思いますが、いかんせん新陳代謝の流れの早いNFLではとうに過去の人になってしまっている。その点Rapinoeはいまも現役選手。代表には来年の五輪出場という舞台も残っている。今年のW杯制覇の実績もあるため五輪を通じての大量の露出は既に確保しています。年齢的(34歳)には次のサイクルまで残ることはないためこの五輪が現役最後の舞台となるので五輪優勝後に派手な大統領選向けメッセージを飛ばす可能性もありそうです。