MLS Sporting Kansas Cityの16歳Gianluca Busioが、MLS史上最年少での2試合連続ゴールを決めています。BusioがMLSと契約したのが15歳のとき。遠からずこの選手も欧州のメジャークラブに移籍するのではと早くも話題。そうだとすればMLSでBusioを見られるのは今季が最後か、それとも移籍市場での価値がもっと上がるまで残るのか。

MLSで年少デビューの選手というと2004年に神童として鳴り物入りで加入したFreddy Aduがいました。当時14歳。BusioはAdu以来の若さでのMLS契約。その他の若いMLS選手の例としてはBayern Munichに移籍した現在18歳Alphonso Daviesもいます。こちらはカナダ国籍ですが、MLSのVancouver Whitecapsでのデビュー時が16歳。その後カナダ代表チームに史上最年少で選ばれてGold Cupでゴールするなど活躍したりしてます。

Aduは当時大きな話題になりましたが、残念ながら神童と呼ばれた時代からプレーも身体のサイズも伸びず。米代表キャップは17にとどまりました。当時年齢差も他の選手からあったこともあり代表メンバーの中でも浮いていた。ガーナ移民で、まだ当時サッカーは移民のスポーツという根強い偏見も残る時代でもあったことから人気面でもうまく受け入れられなかったところがあったと思います。

Alphonso Daviesは前述の通りカナダ人で、MLSでもカナダのチームに所属。カナダ男子代表はサッカーが弱いのでW杯の最終予選にも上がってこないなどアメリカにいると試合を観る機会すらない。へぇそんなすごい選手がいるのか、と思っている間にBayern移籍が決まって、あっという間にMLSからいなくなってしまいました。

Gianluca Busioは親はイタリアからの移民ですが本人はアメリカ生まれのアメリカ育ち。ただし国籍はイタリアとの二重国籍。肌が黒いのは母方がアフリカ系だからだそうです。AduやDaviesとちがってアメリカ人(Aduは帰化で米国籍取得)でもあり、うまく育てられるとMLS初の生え抜きアメリカ人若手スターになるかも‥とも思うものの、ワールドクラスに育てるためには欧州の強豪に売った方が本人の修行にもなるし、MLSも移籍金で儲かるし、ということで結局売っちゃうのではと予想する向きが多いです。

最近のMLSから欧州への移籍実績は昨季Atlanta Unitedの初優勝に貢献したパラグアイ人Miguel Almirónが$27 millionで英Newcastleへ移籍したばかり。前述のAlphonso Daviesは昨年$22 millionで移籍と、MLS出身者への移籍金の相場がぐっと上がってます。それだけMLSでの活躍が選手の価値として欧州でも認められるようになったということですが、金額が上がるとMLSとしては断りきれない。なにせいまも各チームの基本サラリーキャップ額は約$4 millionに過ぎない(来季以降は大きくアップ予定)。つまりDavies一人を売っただけで5チーム分のサラリーキャップが贖えてしまうのです。
2016年に現米代表常連DeAndre YedlinをSeattle SoundersからSpurs/Newcastleに売ったときは$6 millionほどで、それでも儲かると思って売っちゃったのから僅か数年で相場があがったわけです。
さて今回のGianluca Busio、どれほどの値でどこから誘いがかかるものか。MLSの期待としてはDaviesよりも高く売りたいところでしょうが。

Busioの今回の連続試合ゴールがシーズンの浅いいまの時期にやれたのはMLSにとってはラッキーでしょう。アメスポ全体で話題になるようなネタではないですが、少なくともMLSファンなら、ほうそれなら、とKansas Cityの試合をTVで予定されていれば見てみようと思ったり、地元に来るなら行ってみようかと思うはずです。