サッカー女子代表チームの選手全員が原告となった訴えが連邦裁判所に提出されています。同じ仕事をしているのに存在する男女間の賃金格差の是正を求めています。

この問題は男子にとっては痛いタイミングでの訴えと言えます。昨年のW杯への出場に失敗した男子代表は黙って耐えるしかないんでしょう。女子の方も前回のW杯優勝から年数が経過、前回の五輪でのメダル獲得失敗とさほど盛り上がっている時期ではないのですが、まあこれからW杯が近づいて各選手のメディアでの露出が増えてこの件について語る機会も増えていくのでしょう。

細かい数字の中身は存じませんが、全般的にはたぶんこの訴えは通る可能性はそこそこ高いように見えます。男子のサッカー代表の人気の高い多くの国と違って米男子代表の人気はあまり高いとは言えない。新代表監督が就任して迎えた先月の初の代表戦2試合も動員が低調。対パナマ戦9,040人、対コスタリカ戦13,656人と発表になってます。コスタリカ戦の方は収容2万人に満たないMLSスタジアムでやったので7割方埋まっておりTVで見てる限りさほど空席は目立ちませんでしたが、パナマ戦は収容6万人を超える大型スタジアムでやってしまったので寂しさが半端なかったです。大量の空席が映るのを避けるように絞ったTVアングルが多くて苦労してるな、という感じでした。現地のレポートだと実際は7,000人もいなかったのではないかという話もネット上のコミュニティで語られていました。場所は温暖なアリゾナ州での話なので寒さが不入りの理由ではありません。

女子代表の動員もピークの頃からはかなり落ちてますが、男子ほどのひどい落ち込みはない。つい先日やっていたSheBelievs Cupでは3試合で14,500, 22,000, 14,000と動員してます。動員の人数だけではチケット単価がわからないので収入で男子との差がどうなっているかまではわかりませんが、少なくとも男子と比較して桁違いに動員力の劣る他国の女子代表とは事情が違って、米国では女子代表も男子代表と比肩するレベルの動員力を持っていることは確実で、その意味でも訴えの内容は第三者にも理解しやすいものと言えましょう。現役のサッカー選手で最も知名度が高いのは女子のAlex Morganで、どの男子選手よりも明瞭に上でもあるでしょうし。
男女別の代表の収入についてこのNew York Timesの記事によると2016年では女子の方が男子より収入が多かった、この資料が出た時点の予測では翌2017年も女子の方が収入が多い予想であったとか。4年前のW杯優勝後に「Victory Tour」と銘打って女子代表チームが全米10都市を巡業したときにはどこも盛況で$10 million単位の収入を米サッカー協会へもたらしたともされます。

訴えは起こしたもののそれが短期で判決が出るものとは選手たちも思ってはいないことでしょう。W杯が近づき露出が増えるタイミングでそれについて選手やメディアのライターがそれを語る機会が多くなるのがポイント。米サッカー協会としては悪者になりたくないので解決できるなら選手たちからの批判コメントが一般に広まる前になんとか処理してしまいたいでしょうが、たぶんそうはならない。
男子にはW杯からの巨額の分配金があるのでそちらを加味すると男子代表が弱くてもカネになっているから男子選手には高い金額が出せるという理屈なのは承知してますが、その理屈が連邦裁判所で通るかどうかはわかりません。裁判所が判断するのは、同じ仕事をしているのに賃金が違うのが性差が原因であるか否かなので。そのW杯分配金を男子代表が稼いでいると認定されうるかどうかは難しいところがあります。判決が出て、協会の側の主張が通らないとその後も継続的に男子代表のサラリーが女子代表のそれと連動することになって協会のさじ加減でどうこうできるものでなくなってしまいますから協会としては和解してしまいたいところですが、どうなるか。