当ブログでは過去何度も各ジャンルのコミッショナーについて批評をしてきています。ざっとの話でいえばNBAのAdam Silver、NHLのGray Bettman、MLSのDon Garberの仕事ぶりには概ね賛意と称賛。MLBのRob Manfredについてはそのスピード感の欠如にがっかりさせられ続けていると批判。NFLのRoger Goodellは以上の5ジャンル中最悪と考えています。

NFL GoodellとMLB Manfredのどちらがより悪いかというと見方次第ですが、仕事ぶりはどっちもどっち。但しGoodellがよりマズいのは選手・元選手たちからの支持もファンからの支持もとうの昔に失っているので、何をやっても批判的に見られ、そういう方向のマスコミ記事が増えて、さらに信用を失うスパイラルに入っているのでいまさらどうしようもなくなっているところでしょう。そこの面ではManfredはGoodellほど風当たりは強くない。
SNSでもGoodell批判は熾烈。耐えきれなくなってGoodellの奥さんが仮名のSNSアカウントからGoodell擁護の書き込みをしまくっていたのがバレたなんていう恥ずかしい事件もありました。ミリオネアの奥方なのに庶民と同じメンタリティなんだなあ、というのは微笑ましかったりもしましたが。
MLB Manfredへの風当たりが強くないのは一般スポーツファンやスポーツマスコミ全体が野球への関心を失っているという面もあるので喜んでいる場合ではないですが、少なくともManfred自身の地位は危ないということはないでしょう。そちらは一層の改革推進を期待したいです。


ファン選手に嫌われてもその地位をこれまで維持してきたGoodellの生命線はNFLのオーナーたちとの関係でした。しかしその基盤も徐々に危うくなってきたかなということを示唆する噂が出るようになってきました。なんとGoodellの後任にNBAのコミッショナーであるAdam Silverをヘッドハントしようという噂です。
Adam Silverは1992年にNBAに加入して30年近くをNBA一筋で過ごしてきた方です。メジャープロスポーツ経営のプロでしょうが、フットボールについては門外漢。それでもSilverの名前が上がる。これはGoodellへの不信任であり、NBAで選手の厚い支持を取り付けているSilverの手腕への憧れの現れなのでしょう。

Adam SilverがNBAコミッショナーに就任したときは、前任のDavid Sternさんが名コミッショナーだっただけに代わったSilverがどんな舵取りをできるか多少の不安は感じましたが、まったく問題なくこれまで来ています。例えばNFLでこじれにこじれた国歌膝つき問題をSilver率いるNBAは見事に切り抜けて処理しました。選手会からの信任も厚い。
NBAとしてはビジネス絶好調の今、NFLにコミッショナーを簡単に引き抜かせるようなヘマはしないと思いますが、それでも強奪できるようなものすごい額をNFLが提示できるのか。Adam Silver自身はDuke大卒できっと学生時代にBlue Devilsバスケの洗礼を受けてこの仕事に入っている方ですから、NBA・バスケへの思い入れは強いはずで、単にお金だけでNFLが引き抜けるような人材ではないようにも思いますが、どうか。

他のスポーツからコミッショナー人材を引き抜くのだととしたらサッカーMLSのDon Gerberの方がはるかに引き抜きやすいはずです。近年はまずまず好調とは言えまだまだサッカーMLSではコミッショナーに払える金額は知れています。MLSのGerberのサラリーは未公表ですが年間$3 million程度とされます。ほぼNFL選手の平均サラリー程度です。対するNFLのGoodellの年間サラリーが$31 million。Don Gerberは元NFLの副社長から転出してMLSに行った人なのでSliverよりはフットボールもわかってるはずです。

MLSはリーグ拡張ビジネス(フランチャイズ加盟料で儲けている)で現在は潤ってはいるのですが、早晩リーグ拡張には限界が来るのは見えている。それはGerberもわかっているはずなので声がかかれば移籍は簡単に実現しそうです。ネックになるとすればGerberの年齢か。Goodellが現在60歳、Gerberが61歳です。Adam Silverは56歳。