アメスポスターが所属チームにトレードを要求するのはよくある話。様々な衝突があってこんなところじゃやってられないとトレードの要求をする。また悪いことにその要求は多くの場合通ってしまうので、似たようなことを言い出す選手は後を絶ちません。

NFLではPittsburgh Steelers WR Antonio Brownがソーシャルメディアでトレードを要求して、その後すぐに消したとか。感情の赴くままに全世界に向けて発信できてしまうソーシャルメディアは激情型の方はやらない方がいいと思いますが、まあそうもいかないのか。
NBAではMinnesota TimberwolvesのJimmy Butlerがトレードを要求してます。行き先としてはBrooklyn Nets、New York Knicks、Los Angeles Clippersを指定しているとか。たった1シーズンでButlerに愛想づかされたMinnesota。空中分解へカウントダウン始まったか。

Steelersの方は私はあまり心配していません。シーズン前からいまもチームに合流していないRB Le'Veon Bellについてチームメイトがイラついて公の場で批判し始めたのがレギュラーシーズン開幕直前。その前もイライラは募っていたのでしょうが本番になってもLe'Veonが来ないことでオフェンスは構想練り直しが必至。その状態で始まったシーズンが0勝1敗1分。ただ引分の相手が最弱Cleveland Brownsだったので、チームとしては開幕二連敗と同じムードであろうことは想像に難くない。それでイライラがさらに増してAntonio Brownが試合中に暴発、そのままツイートしてトレード要求。明けた月曜日のビデオセッションにBrownが現れず、未公表の処罰が与えられています。試合停止には及ばない模様。
オフェンスのスターが次々と問題を起こしており、不安は感じるものの、Steelersオフェンスは昨年もグダグダ言いながら結局は調子を上げてプレーオフにからんできた。昨年の今頃はQB Ben Roethlisbergerが引退するだなんだと泣き言を言って意気が揚がらず先行きが不安視されていたものですが、それでもなぜかわからないままに立て直せた。Steelersは以前からチーム内の統率力は優れた組織である、という信頼感があります。Le'Veonはもう帰ってこないかもしれませんが、それでもあっさり惨敗シーズンに沈むようなチームではないと期待してます。

NBA Minnesotaの方は逆にフロントオフィスの信頼感ゼロですね。このオフシーズンの始まった時点で既に若手スターであるKarl Anthony Townsが背広組とうまく行っておらず放出の可能性があるとされていました。Townsの放出はそれっきりでどこからも話題になりませんでしたから、TimberwolvesはTowns放出の意思なしということなのでしょう。
たぶんTownsの残留確定が銃爪を引いたということなのでしょう、Townsとやってられないという理由(とされます)で昨季獲得したJimmy Butlerがここへ来てトレード要求。Butlerは来オフにFAになる契約なので、こんな時点でトレードと言っても対価で大した見返りは期待できません。
このオフに同様の条件でSan Antonio SpursがKawhi Leonardを売りに出しましたが、Leonardが移籍を希望したとされるLos Angeles Lakersには足下を見られてSpursが求めるようなトレードは実現せず。来オフなら対価ゼロで獲得できるLeonardを1年早く獲得するためにサラリー効率の良い若手スター選手を放出するなどLakersにとっては意味がなかったのでしょう。Spursにとっては運の良いことにプレーオフでの惨敗続きで模様替えが必須になっていたToronto Raptorsが手を上げてくれて、LeonardとDeMar DeRozanのトレードが成立してオールスタークラスの選手を得られました。
Minnesotaはそんな幸運なトレードを実現させることができるのか。キャンプインも目前となったいまの時点でどうなのか。その上Jimmy Butlerがトレード先として指定しているチームどこも今季の優勝の望みがないチームばかり。それどころかプレーオフ進出も怪しい。そんなチームが大きな対価を払ってくれるかは疑わしく、最良の場合Butlerを騙し騙し使いながら(Butlerがスト行為をしなければ、ですが)トレード期限までにケガ人が出たコンテンダーのチームに売るぐらいか。そのトレードにButlerが同意するかはわからないですが(後述の契約期間の問題もあるので)。

ButlerがNets/Knicks/Clippersを指名したというのは、いろいろ考えた末のことなんだろうなと想像できます。Townsと合わない。もうひとりの若手スターのAndrew Wigginsはちっとも伸びてこないしガツガツしたバスケットボールへの意欲もまるで感じられない。チームが元Bullsの大人の面々が引っ張るもまるで若い二人はついてこない。勝てそうにない。またMinnesotaの田舎にたった1シーズンでうんざりしたっていうこともあるんでしょう。希望移籍先はニューヨークとLA、大都市のチーム。希望移籍先はどこも来季以降のサラリーキャップに余裕があり、来オフにButlerにMax契約をオファーできるチームです。Butlerから見れば来オフにMax4年契約を得るよりも、今季のうちに移籍しておいてそこで所属選手としてMax5年契約をもらう方がお金の面ではずっと有利。来るシーズン開幕時には30歳になるButlerにとってはキャリア最後の大型契約になる可能性が高く、4年契約か5年契約かは大きな差です。そこを考えると今トレードして貰うと20億円程度の差がでるってことですね。
Antonio Brownは感情が激してトレード要求したのですが、それとは対極、よーく考えた上でのトレード要求をしたButlerはたぶんその意思を貫徹しそうで、来オフのMax5年契約をすると今の時点で思い定めてKnicks辺りが手を上げてくれるものかどうか。