楽しいカレッジフットボールシーズンの開幕まで一ヶ月となり、そろそろ何か書こうかと思っていたところへ湧いてきたネガティブな話題です。名門強豪Ohio StateのHC Urban Meyerが現時点で職務停止処分となっています。理由は「レシーバーコーチが家庭内暴力を振るっていたのを妻経由で知っていたはずだが、それについてなんの対処もしなかったこと」のようです。レシーバーコーチの妻がMeyerの妻にその件を相談していたのが数年前で、それについて今問題だとされているとか。ずいぶんと迂遠な話ですが、これがUrban Meyerの非になる、という理屈が通るのか、という驚きがあります。

大幅に先回りして書いてしまうと、当ブログでは今回の件とまったく関係なく以前からMeyerのNFL転出の可能性について先走って推測記事を書いています。あまりぐだぐだするならUrban Meyerの引き取り手はカレッジ・プロともにいくらでもあるはずで、Meyer自身はさして困らないしこれ幸い転出へ踏み出すんじゃないでしょうか。困るのは‥誰なんですかね。Ohio State自身でしょうか。現役の選手たちが一番の被害者になるのか。

アメスポメジャー種目は社会の鑑として様々倫理的な振る舞いを要求される面があります。薬物使用についての重い罰則もそうですし、同性愛の受け入れ問題などでも一般社会以上に模範的に振る舞うことを要求される面がありました。ドメスティック・バイオレンス(どうもこの言葉の日本での使われ方がこちらでの使われ方と大きな落差があるのであまり好きな言葉ではないですが)問題もそのひとつで、他の問題が比較的静かな中、今一番良く取り上げられるフィールド外の問題です。そのレシーバーコーチが個人宅でどういうことをしていたかというのは夫婦間および警察・司法の問題のように思えるのですが、それが上司であるUrban Meyerの職務停止処分に飛び火するのはかなり珍しいケースのような気がします。

例えばPenn Stateに少年への性的暴行常習のコーチが在籍した件では、後年になってその事実を知りながら放置したとしてHC Joe Paternoが糾弾されて解任、既に作られていたPaternoの銅像その他も破壊処分される大騒ぎになりました。Paternoはそれから程なくして失意のうちに死去。
でもあれとは今回のものは意味が違うように思うんですが。あの時の最大の問題点はそれを放置したことでPenn Stateに関わったボールボーイたちへの被害が拡大したからでしょう。年少者への性的暴行はアメリカでは大変な重大犯罪と認識されているし、年少者たちには自身の身を守るすべがなかったのに、それが長年放置された。部内でもその現場を見て上司に報告した職員すらいたのにそれを握りつぶした。被害拡大に寄与したとして大いに批判を受けた。そういう問題です。

でも今回の話はDVが犯罪なのはその通りですが、被害者の妻は成人ですし、Meyerの妻に相談できるなら警察なり弁護士なり専門家なりに相談する機会もあったでしょう。またDVと年少者への性的暴行では犯罪としての深刻度が格段に違います。犯罪ごとに重大度で度数が設定されていますのでその差は明確。またMeyerの妻がプライベートで話を聞いたとして、それについて夫であるMeyerが職務権限を行使することの法的な正当性がよくつかめません。プライベートで知ったことをもとに変に職権で何かをすれば職権濫用として非難され最悪違法行為だとされる可能性もあるからです。
Meyerがその問題を知った時点で何ができるのか、何ができないのか、を専門家に諮るべきだった、ということになるのか。それをしたのかどうかは今の時点ではわかりませんが、するべきだった、という結論だとしても、これが職務停止処分、さらには進んで解任につながるような、非難されるべき不始末なのか。まだここから表に出ていない話が出てくるのならともかく、そうでないなら、さすがにちょっとやりすぎな気もしますがどうか。

先に述べた通り、元々NFL転出というテーマはあった(と少なくとも私は見ていた)人なのでぐだぐだに付き合わずにさっさと現行の契約を一部バイアウトしてもらって転出に踏み出すような気もします。