昨日NBAとの比較で触れたMLBの全国放送における人気チームへの依存度・偏向具合について少し観察をまとめてみたいと思いました。MLBの全国放送はESPN系列でも週二度、地上波を含めてFOX系列も放送するので量はかなり多いです。MLB Networkでも定時放送があります。放送開始以来29年目となるESPNのSunday Night Baseballを例に見てみます。SNBは解説にAlex Rodriguezを起用するMLB放送の看板番組です。

これがESPN Sunday Night Baseballの今季の当初の放送予定
でした。これが全試合ではなく、放映予定カードがここに載っていない日曜日の分は放映日の二週間前に決定すると但書き付き。そこに放映カードの自由度をもたせて、予想外の話題・活躍となったチームの試合を全国放送に乗せる仕組みになっています。
2018シーズンの18週分がSunday Night Baseballで試合をすることが事前に発表になっていて、昨年優勝チームであるHoston Astrosが4試合に登場で最多タイ。他にNew York Mets、New York Yankees、Washington Nationals、Chicago Cubsが各4度登場。St. Louis Cardinalsが3度登場(3度ともCubsをホームに迎えた同一カード)。2度登場がSan Francisco Giants, Los Angeles Dodgers, Los Angeles Angels, Boston Red Soxの4チーム。Texas Rangers、Arizona Diamondbacks、Cleveland Indiansが1度。全部で14チームがSNBには登場が決まっていた。MLB全30チームのうち過半数の16チームは放映予定がありませんでした。

Cubs x Cardinals戦はNLの伝統のライバルカードと認識されているようでSNBだけで3度も放映予定。その他にも先週のオールスター(火曜日)明けの木曜日にMLB唯一の試合として組まれたのもこのカードでした。他の28球団はお休みで金曜日からリーグが全面再開。28チームのオールスター出場選手はオールスター戦から2日間の休養日が確保されたということです。それをMLB代表試合として全国カバーする役目に起用されたのがCubs x Cardinalsだったと。
St. LouisでのCardinalsの地元での人気は抜群で全国放送でもCardinalsの試合は数字がはっきり上がるとされます。そしてCubsは同地区内の最大のライバル。Cardinals地元ファンの意識ではCardinalsはNew York Yankeesに次ぐ野球のプレミアチームという意識で、地元で抜群の人気。NFLも結局St. Louisでのビジネスを諦めて転出したし、NBAもリーグ拡張の話題になってもSt. Louisは名前があがりません。全国区で考えてCubs x Cardinalsがどれほど魅力的なのかは計りかねますが、とにかく3度も組んでしまうのですからESPNとしてはこれ以上のカードは他にあまりないのでしょう。
他に同一カードが複数回組まれていたのはYankees x Metsの同市内インターリーグ対決のみ。(とこんな風にシーズン前からプレミア感のあるESPNとしては大事な試合だったのにそれが雨天中止になってしまったわけです)

先に説明した通りシーズン中に放映試合が決まっていく週もあり、例えば二週間後の8月5日は上のリンク先の予定表にないYankees@Red Sox戦の放映が発表されています。伝統のライバルでもあり今季ポストシーズン登場が確定的な好調な両軍の試合放送登場回数は最終的には全体でトップクラスの数にのぼるのでしょう。その次の8月12日分はまだ発表がありませんが予定試合を眺めるとNationals@Cubsか、Seattle Mariners@Astrosですか。たぶん後者。

とまあそんな具合でMLBとESPNもそれなりに好カードを全国放送で提供すべく人気チームに寄せる努力はしている様子は見て取れます。でもまだ弱いかもなあ、と思うのは私にMLB観戦への情熱が足りないからでしょうか?それともMLBに全国区の人気チームが存在していないからでしょうか。
人気チームというよりは大都市圏のチームに寄せてそれぞれの地元のファンが見てくれることで視聴率が上がることを期待するという感じに見えます。都市圏人口で言うとNew York, LA, Chicago, Dallas, Houston, Washington DCの順で6大都市圏となってます。18週すべての予定された試合の少なくとも一方はこの6大都市圏のチーム、9週は両軍ともが6大都市圏のチームのカードになってます。