なにを言い出すかと思えばこんなことをMLBのコミッショナーが言い出すとは。MLBの未来は暗いなと思わせるものがあります。少なくともこのコミッショナーでは展望が開けることはないのでは。
MLBコミッショナーのRob ManfredがLos Angeles AngelsのMike Troutについて批判しています。コミッショナーの発言は迂遠なので適当に意訳して話を進めますが、要はTroutがホームランダービーに出場しなかったことにManfredは不満であり、またTroutの認知度が他のジャンルのスター選手に大きく劣っているのはTrout自身の努力不足のせいだと指摘してます。
ここで言うTrout以上の認知度を持つ他のジャンルというのは主にはNBA選手であり、次いでNFLや、さらには下位ジャンルであるサッカーのCristiano Ronaldoにすら顔と名前の一致でTrout以上(というかすべてのMLB選手以上)だというデータがあることに基づきます。(Ronaldoの通常の試合はマイナー局での放送なので視聴率は0.1%レンジの世界ですが、こと顔から名前を認識する認知度では高い)

一般アメリカ人の認知度不足の責任をMike Trout本人の努力不足だと言ってるんですね。とんでもない勘違い発言かと思いますが、これがいまのMLBのコミッショナーの認識なのです。
いや違うだろ、と。MLBがタコ壺化して野球ファンだけがMLBのベストプレーヤーであるMike Troutを知っているようになってきている、そういう問題だと私には思えますが、コミッショナーはそうは思っていないそうです。

この発言が飛び出たのはオールスター戦のときの話で、ホームランダービーへの大量参加拒否にコミッショナーがムカついていたタイミングであったでしょうから、言わずもがなな余計なことを言った面もあるのでしょう。確かに先日も当ブログで指摘した通りMLBの選手たちにはファンサービスイベントとしてのMLBオールスター戦やホームランダービーの意義を既に忘れてしまっていると思われるところはあり、コミッショナーが選手たちに苦言を呈したいという気持ちはわからないではない。MLB選手たちの危機感のなさは異常です。それは試合の時短への抵抗など他の面でも現れていて一向に改善のスピードはあがらない。このままではMLBが、ひいては野球がバスケットボールに完敗する将来は避けがたいように見えます。既に若い世代は野球をまるで見なくなってきている。それなのになぜそんなに危機感がないのか、理解不能です。

今日もMLB Networkの名物コメンテーターが嘆いていましたが彼の息子たちですらポストシーズンぐらいしか野球を見ないし、16歳の息子が「Cy Young」という文字を見て「シーワイヤングって何?」と彼に訊ねたというのです。野球の専門家の家庭でこのざまなのだと彼は自虐的に言って笑いをとってましたが、MLBへの若年層での興味の低下は笑い事では済まないレベルまで落ちている可能性があります。そして彼らはMLBのベストプレーヤーMike Troutの顔を知らない。こんなのはMike Trout本人の努力とかそういうレベルの問題ではないはず。

確かに選手側も問題があります。労使協定の交渉で「提供するオムレツは調理人が調理したものとすること」とか「移動のバスは選手一人当たり2席を割り当てる」とかジョークとしか思えない要求をしていたりする。オムレツが何だって?そんな要求はするが「オールスターでは投げたくない」「ホームランダービーに出て成績が落ちたら嫌だ」。MLB機構が推進する時短策にことごとく抵抗する。ああ、MLBの衰退は外から来るのではなく内からなのだなと思わせるものが多々あります。

だからと言ってコミッショナーがTroutを責めてどうなるのか、という点はどうでしょう。MLBという商品自体がそのアピールを失いつつあるから一般人が誰一人MLBの選手を顔認知できないのです。Troutがダービーに出ないなんていうのは枝葉の問題です。出た方が良い。良いですがそれは問題の矮小化です。MLBという商品の魅力低下の問題の核はそこにはありません。