まず少し前のコメント欄でも書いたことをここに再録しておきたいと思います。

英語の表現でリンゴとオレンジを比較するという表現(異質なものを比べる愚をいましめる)がありますが、なぜかサッカー人気を強調しようとすると極端なリンゴ・オレンジ比較が横行するようです。 (中略) 感覚的に言えば2026年では時期が近過ぎてサッカーが経済規模その他で三大スポーツの規模に迫る可能性はゼロでしょう。抜くなんて全然ありえません。恣意的なリンゴ・オレンジ比較で部分的に抜いたと強弁することぐらいは可能かもと思います。細かい理由は過去何度も当ブログで説明しているのでここでは触れません。

と、そういうことを書いておいていたところ、おもしろいコメントを前項にいただきました。まさに事前に指摘しておいた通りのリンゴ・オレンジ的なお話かと思います。
いただいたコメント内で紹介されているリンク先にSNSのinteractionsのランクがあってその上位をサッカーW杯が占めている、これは前項記事内で指摘しておいたアメリカ市場でのW杯視聴率での惨敗とは異なる結果ではないか、サッカーは健闘しているんではないのかというのがコメントの主旨かと理解しました。
複眼的視点を持つことは思わぬ発見をもたらしてくれることもあるので全否定はしませんが、さすがにこれは異質かつ量的にも比較にならないものを持ち出しているかと思います。以下検証してみましょう。

まず言われている「W杯の試合が上位に並んでいる」というランキングというのはご紹介いただいたURLに飛んで、一番右のSocialのタブをクリックして、さらにプルダウンメニューで「スポーツ限定のランク」を表示すると、出てくるランクの上位独占というものですね。よくこんな微細なところまで探してサッカー優位の情報を掘り起こされた方がいたものだと感心します。たぶんこの内容は日に日にアップデートされるものかと思いますので、現時点でスクショはとっておきました。

そのランク、ご紹介者はランク内の数字はちゃんと読まれたのでしょうか。FacebookとTwitterの合計で607,000件の言及があったというアルゼンチン x クロアチア戦がトップになっていますね。2位になると韓国 x メキシコ戦の514,000件、3位ドイツ x スウェーデン戦の396,000件などと続きます。
他方、同じページの非スポーツに分類されている方のランクに目を転じるとその中にはプロレスWWEの定時放送WWE Monday Night RAWが550,000件で非スポーツの5位、WWE Smack Down!が297,000件で同6位、NHLの今季のタイトルその他の賞発表・授与式(NHL Award)が295,000件で同7位などとなっています。これらは非スポーツに分類されていますけれど、スポーツファンが見ている可能性はとても高い番組ですね。これらをスポーツ限定ランクに当てはめるとRAWがスポーツ全体の2位相当、Smack Down!が4位、NHL Awardも4位相当です。区分を見直すだけで「W杯がスポーツ関連SNS上位独占!」というのとはかなり趣の違うランキングになるのが現実のようです。

NHL AwardはNBCSNで放送していたので私も少し見てましたけど冗長だったので早々に視聴から離脱したんですが、あれよりもSNSで語られた回数の多いW杯の試合が僅か3試合というのは多いということになるんでしょうか。私にはかなり少ないように感じられますが。(近年アメスポ論議でしばしば語られるようになったホッケー対サッカー・どっちがアメリカ市場で人気か?というバトル議論の中ではおもしろい比較資料にはなるかもしれません)

そもそもの話が最も多くSNSで触れられた試合で600,000件で飛び抜けて多いわけですよね。一方TV視聴者の話は2014年の1試合平均で3,550,000人から1,980,000人に激落したという話です。まさに桁が違うんですよね。「最多」「件数」(=複数投稿している人も当然いるので人数にするともっとずっと少ないはず)と「平均」「人数」を比較しても明瞭に桁が違うのですから、あとは推して知るべしでしょう。TV視聴者数の数字の変化の方が圧倒的かつ普遍的な資料かと思います。

つまりですね、リンゴとオレンジの比較して云々するのはやめましょうと申し上げたいわけです。人気面で今回のW杯の序盤は惨敗なのは覆い隠すべくもないという結論はまず受け入れて議論は進める方が健全かと思います。

この先ノックアウトラウンドの後半に行けば米代表もメキシコ代表も勝ち進まないのは前回も今回も同じ(メキシコ代表が勝ち進まないと想定)ですから、現時点よりもノイズが減って比較はしやすくなりますからその時点でまた数字を見ればアメリカ市場でのサッカー人気については語りやすくなると思います。