NBA Finalsの決着後、LeBron Jamesが明かしたところによれば、第1戦の終了後にLeBronは手をケガ、その後の第2〜4戦を右手がほとんど使えないままで戦ったということでした。怒りでホワイトボードを拳で殴って自分でケガしたという事情なんですが、これ、実はまったく別の問題があります。
このケガのことはCavs側からは一切発表はなく、第4戦後にLeBron自身の口から明かされました。ケガを伏せて3試合を消化したわけです。確かに後から考えればそれまで今プレーオフで絶好調だったLeBronの3ポイントシュートが激減したのもそのせいだったのでしょう。痛みを見せずに責任感を持って戦いきったLeBronへのその意味での批判は多くないことでしょう。

で、問題ですが、このケガを公表するか隠すかでスポーツ賭博に大きな影響がでること。ケガを知らなかった我々はGolden Stateが優位とは思うものの、King Jamesのスーパーゲームが地元に帰った第3戦や、瀬戸際となった第4戦で炸裂するかもしれないといういくばくかの期待を持っていたと思うのです。でももし我々がLeBronの手の故障を知っていたらどうでしょうか。さらにその故障の程度も知っていたら。骨折なのか。そうでないのか。つまりケガのディスクロージャーの問題になるのです。
この点はFinals決着の当夜にもESPNが取り上げていたんですが、さすがにバスケ自体の話題が豊富な時点だったので流されていまのところ大きな話題にはなってません。

スポーツ賭博が合法と連邦最高裁判所で判断されたのがまだ数週間前のことで、実際に広がるのは少し先ですがとにかくスポーツ賭博が一般的になるのはもう止められない。その際にケガを隠した選手やチームがいたら賭けは公正に成立しうるのかという問題になるんですね。

選手の出場の可否については例えばNFLは事前にProbable,Questionableなどと表現されて事前に公表されます。それを参考にして賭け屋さんたちはオッズを決めるわけです。MLBはそこまで言葉の使い分けで切り分けしませんが事前情報は出る。NBAでも事前に発表になる場合も当然ありますが、すべてが公表されているかわからない。そもそも公表すべきものなのかどうかもわからない。戦術上の事情で公表したくない場合だってあるはずですが、それが外部の事情・副次的な賭けの対象になるからという理由で公表を強制されるのは本末転倒な気もします。戦術以上に例えば今回のケースならLeBronの戦い抜くという決意が勝ったから黙って、バンデージもせずに出場を続けたわけで、その戦意はスポーツの感動とセットになりうるもので、それを制度で申告要という具合にするのは違うんじゃないかとも思います。