ここ二日間で相次いでNHLとNBAがシーズンを終了しました。方向性は違いますがともに良い優勝になったかと思います。一方は苦節の初優勝、もう一方は4年間3度目の優勝で王朝モードですね。

NHLの優勝が決まったのはLas Vegasでの第5戦。試合後の表彰式に出席したNHLコミッショナーGary BettmanにVegasの地元ファンからブーイングが浴びせられてましたが、これはくだらないと思いました。Bettmanが各地で(特にカナダのチームの本拠地で猛烈な)ブーイングを食うのは恒例なのですが、Vegas Golden Knightsのファンから見てどこかにGary Bettmanを非難すべき点があるのでしょうか?ただのファッションでのブーイングとしか思えないのですが。

アメスポメジャースポーツがリーグ拡張に揃って慎重な中、Bettmanが果敢にこれまでメジャープロスポーツのなかったLas VegasへのNHL進出を決定した。そしてGolden Knightsは新創設チームにとっては想像をはるかに超えた成功を収めました。Las Vegasの地元ファンはGolden Knightsの快進撃に喝采を送り、誰もの予想を超えたスポーツの快感、勝利の喜びを味わったはずです。それは過去レポートした通り同市での稼働中のTVの半数がGolden Knightsの試合にチャンネルを合わせていたという現象にも現れてます。それが可能になったのはシーズン前のエクスパンション・ドラフトのルール設定(代償トレードルールも含む)に負うところが大きい。そのおかげで初年度からNHLで戦える陣容を確保できた。そのルールを決めてくれたのもGary Bettmanでしょう。いったいどこにBettmanにブーイングすべき理由があるのか、理解できません。
カナダのNHLチームのファンがBettman嫌いなのは1993年から在職中の長い歴史が理由です。その在職中にカナダのチームをいくつもアメリカに移転させて、至宝Gretzkyを国外流出させ、カナダのホッケーをないがしろにしてきたという思いがカナダのホッケーファンには強いという大きな理由があります。いまとなってはNHLはカナダに帰還しつつあるしその理由も消えていってよいようにも思いますが、まあとにかく理由はあった。だけど新参のVegasのファンにはそんな話は関係ないわけです。理由もなくただの鬱憤晴らしで誰かをけなせば気持ちが良いというようなものではあってはいけないように思います。ファッションでのコミッショナー批判は違うと思うのです。


NBAの方でもコミッショナーAdam Silverへのブーイングもあったそうです。NHLのBettmanやNFLのRoger Goodellへのそれと比較すればないに等しいようなものとも思いますが、まあ批判される方もいるのでしょう。

Silverコミッショナーへの批判というのはどの部分を指しているのか個人的にはよくわかりません。当ブログにコメントいただいた話からすると戦力の非均衡を問題にしているんでしょうか(他にもあれば知りたいです)。これはよくわからない話です。

「KDのFA移籍を阻止するべきだった」とか言うFAルール無視の越権行為をコミッショナーが取るべきだったというようなお話でしょうか?どういう権限でそんなことが可能なのでしょう?それともFA制度自体を強く制限しておいて有力なFA選手が弱いチームへしか移籍できない制度にしておくべきだったということでしょうか?つまり実質FA制度自体をなくせ機能不全にしろ、不完全FA制度にしろという批判ということになります。そんなドラスティックな選手の権利を無視した制度でしか実現できない強制的な戦力均衡策はコミッショナーの意向があろうがなかろうが選手会が同意するわけないんですけどね。この部分でのコミッショナー批判はお門違いという気がします。
それに弱いチームに絶対有利なFAルールなんて作ったら今以上にタンクが横行してわけがわからなくなるはずですが。そんなものがおもしろいでしょうか。

あと時系列を確認しておきたいんですが、今のCavs/Warriorsの二強体制の下地ができたのは現行の2017年締結の労使協定CBAのルールせいではないです。その一つ前の2011年当時のルール下でLeBronはCavsに帰ってますし、Oklahoma City ThunderがDurant/Harden/Westbrookを維持できなかったのも2011年CBA下の話です。2011年当時のCBAのルール設定がどうなると2014年就任のAdam Silverの非になるのか理解ができません。
またSliver政権下での2017年の現行のCBA改定を批判する方がいるとして、本当にルールを把握しているのかなと不思議に思います。2011CBA→2017CBAの変更点をまとめたNBAが公式に提供している資料がこちらにありますので英語の読める方はぜひ一読をお薦めします。Super Maxその他の残留促進ルールを加えており、これ以上やるとしたら選手の権利を大きく削るFA制限以外ないのでは。他にやるとしたらハードキャップですかねー。それがおもしろいかはわからないですが。
また選手が減額を飲んでスーパーチーム結成するのを阻止することは雇用契約の自由意思を奪うことですからNBAのルールという次元とは違う違法行為になる可能性があると思います。

いまのNBAがおもしろくないと感じる方が一定数いるのはなんら問題ではないと思うんですよ。意見がいろいろあるのは常に良いことですから。おもしろいと思う人もいるしそうでない人もいる。昨年のプレーオフはひどかったのはさすがに私も思いましたが今年はずっとおもしろかったというのが私個人の感想です。ちゃんと次の時代の芽は出ていると感じられるからです。
それぞれのファンの感想とは別に現実としてカネの流れ、視聴者数動員数、セールス、好感度調査などすべての数字の指し示しているところはアメスポ市場の中でNBAは現在とても良い位置にいる(見方によればNFL以上に)という事実を無視してはいけないようにも思います。