NBAプレーオフ二回戦Cleveland Cavaliersがスイープで東のトップシードToronto Raptorsを下して東カンファレンス決勝へ進出を決めています。これでCavsはプレーオフで対Raptors戦10連勝、3年連続でRaptorsはClevelandに道を阻まれています。プレーオフで10連勝というのは今回以前だとMichael Jordan時代のChicago BullsがCleveland Cavaliersを相手に記録したのが最後だそうです。当時のCavsはMark Priceがエースで、Larry Nance Sr.も在籍したチームですね。当時のCavsも、いまのRaptorsも悪いチームと評することはできない好チームなんですが、なんとも相手が悪いという感じでしょうか。
ただ比較するとその当時のBullsが絶頂期、いまのCavsはほんの10日ほど前はIndiana Pacersに喰われて一回戦敗退も視野に入っていた状態だったという状況の違いがあります。チームの相性というのもあるんでしょうがRaptorsにはLeBronストッパーが今回も不在のままで策なく破れた感じが強いのが痛いですね。来季以降の展望が見えない。試合後の記者会見でも「この夏もっと鍛え直す」みたいな話だけで、うーん、という。

過去数年LeBronのチームが敗れたときというのはSan AntonioにやられたときのKawhi Leonard、Golden State Warriorsに止められたときのAndre Iguodala、さらには勝ちはしましたが大苦戦となった今年の一回戦Indiana PacersではBojan BogdanovićやDomantas Sabonisといった効果を発揮するLeBronストッパーが活躍してます。ではRaptorsはどうだったかというとルーキーのOG Anunobyをその役に当ててみたんですが荷が重かったという結果になります。Anunobyは昨年のドラフト全体23位で指名されて入ってきた選手。カレッジでの二年間で先発10度。言ってみれば今年のRui Hachimuraぐらいの選手(ドラフトエントリーしてれば23位ぐらいはいけたでしょう)。Hachimuraを1巡目下位指名して「シーズン末はLeBronストッパー頼むわ」なんていうチーム構想ってあり得ないような。確かに今年のRaptorsは勝ちこんだしベンチの得点力もリーグトップクラスで好チームに育ちましたが、ことLeBron対策という意味では全然進歩していなかった対策していなかったということになるかと思います。Anunobyについては試合後の記者会見でLeBronが感想を求められて「将来明るい選手だね」と余裕のコメント。
もちろんIndianaのBogdanovićがLeBronストッパー役であれほどハマるとは想像しにくかったのでどこで誰が出てくるかは相性でしょうが、Raptorsのように毎年LeBronにやられているチームの準備としては評価できないように思います。

第4戦がCavsの圧勝モード・スイープ確定的となった時点で私の興味は試合後にDeMar DeRozanとKevin Loveがどういう感じで接するかなというところに移りました。今季途中でKevin Loveがパニック障害を発症して欠場となった頃に、DeRozanが気にかけてLoveに声をかけていたという話が伝わっていたからです。その後Loveは自分のメンタルの問題を公表、そしてコート上でも復活し、結果的にはLoveがこのシリーズでも大活躍でDeRozanのRaptorsの惨敗の原因のひとつとなってました。ところが悪いことにDeRozanはフレイグラントファールをとられて試合途中退場になってしまい、試合後の二人の接触もコート上では実現しないことに。悪意のある反則とは言えないようにも思いましたが退場もしょうがないところか。結果的にはこれでDeRozanは二試合連続で第4Q出場しないことになりました。

試合後の記者会見にはDeRozanはKyle Lowryとともに出席。二人とも当然冴えない顔をしていたんですが、帽子を目深にかぶったLowryの発言は一回だけ。Lowryのコメント拒否っぽいボディランゲージを見てとってDeRozanが全ての受け答えを引き受けてました。DeRozan、いい人なんだろうなという感じすね。いい人で頑張り過ぎてメンタル壊すタイプなのかもと。

試合後のNBA TVでやっていたネタがなかなかおもしろかったのでご紹介します。LeBron Jamesが過去8シーズン連続で二回戦を突破しているのですが、過去それを達成したのはJabber-Magicを含むLakersの数名と、Bill Russellとそのチームメイト数名のBoston Celticのみとか。それにIsiah Thomasが「それみんな同じチームじゃん」とツッコミ。そう、LeBronだけが個人で8シーズンプレーオフ二回戦突破という難行を達成したというお話ですね。サラリーキャップ制度で強豪チームがその戦力を維持しにくい時代にあってLeBronの個の勝負強さがあってなし得た記録でしょうか。

他にもIsiah Thomasはおもしろい話をしてくれていました。Raptorsが抜群の成績でカンファレンスを制してプレーオフに行きながら3シーズン連続でCavsに敗戦を繰り返した点について「俺もそれやってやったことあるから」とうれしそうに。そう。ThomasのDetroit Pistonsが当時レギュラーシーズンを席巻していたChicago Bullsを3シーズン連続でプレーオフの直接対決で退けたことを言ってたんですね。負ける気がしなかったと。最後に付け加えて「でも4年目のときはBullsの態度が違って、我々(Pistons)を『あいつらも同じ人間だ』って思って向かってきたな」とも。Raptorsが、またはDeRozanがいつかLeBron相手にそんなシリーズを展開することができるでしょうか。