ビジターの頑張りで最終盤に接戦に持ち込まれたNBAプレーオフ二回戦Toronto Raptors@Cleveland Cavaliers第3戦。最後に全部おいしいところを持っていったのはLeBron Jamesでした。同点からのブザービーターで105-103でClevelandが勝利、3戦全勝として東ファイナル進出へ王手をかけてます。今プレーオフでは一回戦第5戦での3秒残りからの決勝点に続いて二度目のブザービーターとなってます。一回戦のときはたったの3秒を守れなかったIndiana Pacersのまずい守備に呆れる面の方が強かったのですが、今回は8秒もあり、それをこんなショット打てるのかという難度の高い場面に追い込んだRaptorsの守りはそこまで悪く言えない(LeBronにダブルチームに行ってないのが悪いと言ってるマスコミもありますが同意しかねます)。それをさらに上回ったLeBronのスーパーショットに感嘆する以外ありませんね。すごいです。このショットを受けてLeBronがMichael Jordanを超えてNBA史上最強の選手になったという議論が再び湧き上がってきてます。(GOAT議論はまた別の機会としましょう)

同点での8秒残りの最後のポゼッションのCavsが自軍ゴール下からのインバウンドを選択したのが大正解でした。この点はもっと褒められていい。CavsはタイムアウトをとったのでNBAルールではフロントコートからのインバウンドが選択可能で、残り時間も少ないことからほとんどの場合はフロントコートからのインバウンドが選択されるし、たぶんTorontoの方もそのつもりでディフェンスプレーを指揮したはず。先日のIndiana戦でも指摘した通りこういう場面でCavs HC Tyronn LueはボールをLeBronに預ける以外のプレーを選択することはほとんどありません。だからLeBronへのダブルチームをしてインバウンドのボールがLeBron以外の選手に行くようにするのが守りの基本でしょう。Indiana戦でのブザービーターのときの試合は当たっていたのがKyle KoverだけだったしLeBronに2人、Koverに一人サイズで勝る選手をつけておくべきだった。今日はKoverだけでなくKevin Loveも当たっていた。その上残り時間も8秒、つまりパスを最大2つすることも可能な残り時間だったので守る方はIndiana戦よりも遥かに気をつけるべきことが多い場面でした。
そのように準備したであろうTorontoですが、Cavsは自軍ゴール下からのインバウンドを選択。これでTorontoの準備した守りは裏をかかれてまんまとLeBronへのインバウンドが成功。もしこのときTorontoが即席でバックコートでLeBronにダブルチームをかけたとしてもインバウンドを防ぐのは難しい。というのはTorontoのゴールが入った後のポゼッションですからインバウンド役に回った選手はゴール下ベースラインを走り回ることが許されます。だから全てのLeBronへの角度を切ることは簡単にはできないのです。フロントコートからのインバウンドを選択するとインバウンドする選手はそんな風には動けない(やるとトラベリングの反則)。難しい最後の局面はLeBronに任せるばかりしか能がないと批判されることが多いHC Lueですが、この日のバックコートからのインバウンドを選択したのはお手柄と言っていいはずです。
LeBronへボールが渡ることを未然に防ぐことには失敗したTorontoですが、Kover、Loveにはしっかりガードが着いていてLeBronが突っ込んでからのキックアウトの可能性は消していたし、LeBronのゴール下へのドライブも止めたのですから文句は言えない。そこから逆足で跳んで手先だけで打ったフローターがバックボード経由で入っちゃうって、もう止めようがないでしょう。脱帽以外ない。

そのラストプレー以外でも今プレーオフではLeBronのフェーダウェイジャンパーもよく決まるし、3ポインターもよく入る。この日はLoveがLeBronがベンチにいる時間帯にインにアウトに奮戦して計21得点、今プレーオフ好調が続いているKoverが18得点とLeBronが一人で暴れなければならない試合ではなかったのもよし。Raptorsとの相性の良さを差し引いてもCavsの視界が開けた試合と言っていいんではないでしょうか。

東カンファレンス決勝の対戦相手はBoston Celticsが有力。現在そちらの二回戦でPhiladelphia 76ersを3勝無敗でリードしています。NBAのプレーオフでは過去0勝3敗からシリーズをひっくり返して勝った例はありません。Bostonの方はBostonで若き名将Brad Stevensの終盤戦術が見事に当って接戦をものにして3連勝となってます。そちらはフロントコートからのインバウンドをデコイを3枚使ってゴール下に残ったAl Horfordへの難しいディフェンダー頭越しのパスを決めて決勝点へ。試合後はBostonの選手が口々にStevensのコールを絶賛というラストプレーでした。
76ersは終盤に入って3つのターンオーバーがどれも痛かった。それでも食い下がり延長戦に持ち込んだんですが力尽きてます。