昨夜のNFLドラフト、ほぼ全編延々3時間以上見てしまいました。過去よりも各チームの指名間隔も短く見やすかったです。指名権のトレードも多く見応えありました。
指名内容の前にNFLコミッショナーの不人気っぷりのすごさに圧倒されましたね。猛烈なブーイング。コミッショナーの方もそれは予想していて、それを逸らすために最初に登壇したときはドラフト会場地元のDallas Cowboysの過去のスターを伴って出てきたんですが、そんなことぐらいじゃあ罵倒は避けられず、さすがの厚顔Roger Goodellも動揺してましたね。NFLの組織内では怖いものなしでしょうがファン(ドラフト会場に入れたのは各チーム50人のシーズンチケット購入者)相手ではそうはいかないわけです。

続いて伴ってきたCowboysのレジェンドRoger Staubachがステージからボールを投げた場面が素晴らしかったです。76歳であの肩!それも狙った先がSteelersのファンのところ。泣かせます。私、StaubachがSteelers相手に戦ったあのSuper Bowlは子供のころに日本で見てました。あの頃は毎年地上波でSuper Bowl中継していたわけです。
Staubachさんご自身の姿は日産提供の「Heisman House」というシリーズもののTVコマーシャルなどでよく見かけていたのでまあ普通のお爺ちゃんだなあと思っていたんですが、まさか今でもあんなボールが投げられるとは!素晴らしいものを見せていただきました。

さて注目のQB指名ですが、上から順に全体1位でCleveland BrownsがBaker Mayfield、3位New York JetsがSam Darnold、7位にドラフト指名開始後にトレードアップしたBuffalo BillsがJosh Allen、同じくトレードアップでArizona CardinalsがJosh Rosen、そして一巡目最終指名=全体32位でBaltimore RavensがLamar Jacksonと5人が指名されています。
他の注目選手では全体2位でNew York GiantsがRB Sequon Barkley、今ドラフトの最強エッジBradley Chubbは5位指名でDenver Broncos。Cleveland Brownsの4位指名はOhio StateのCB Denzel Ward。

5人指名されたQBのうち実に4人がトレードアップまでして指名されたことに。唯一のトレードアップではないBaker Mayfieldが全体1位。全員が請われてNFL生活をスタートすることになりました。それはそれでおめでたいことでしょう。それぞれの活躍を期待したいです。
3位のJetsから見ると市内ライバルGiantsがQB指名に行かなかったことで今ドラフトQBで一般的に一番評判の良かったDarnoldが獲れて満足のはず。Buffaloも元々の指名順のままではQB上位4人が残っていないかもしれなかったところ全体1位もあるかと言われていたAllenを獲れてこれも大満足でしょう。寒冷地のBuffaloを本拠地にするのには温暖なLAからやってくるDarnoldやRosenよりも、同じく寒いWyomingで揉まれてきたAllenの方が環境にフィットするという見方もあるようです。Allenはドラフト前日になって15〜16歳頃にソーシャルメディアに人種差別的な発言があったとスクープされてドラフト当日・イベント前にもメディアからそれについての質問ばかりでちょっとお気の毒でした。なぜ6年後のこのタイミングでそれが問題視されるのか意図的なものを感じないでもないですが、とにかく全体7位ならその発言の問題の悪影響はあったとしても最小限だったということになります。
UCLAのJosh RosenはQB4人の中では売れ残りになってしまいましたが、これも10位とまずまずの順位でArizona Cardinals行き。Pac-12圏内。殿堂WR Larry Fitzgeraldがなんでも捕ってくれるチームですね。TV解説に出演していたTroy AikmanがUCLAの先輩なのでRosenの擁護発言が多かったです。UCLAからの1巡目指名QBはAikman以来3人目でかなりの久々です。
最後のLamar Jacksonは意外でした。New Englandが31位指名権でJacksonをスルーしたところで、32位指名権のPhiladelphia EaglesはQB指名はありえず、ああもうJacksonはグリーンルームで待っていたけど今日は指名なしかお疲れさん、と思ったらなんとBaltimoreが動いて指名権ゲット。Baltimoreが後継QBを欲しがっているというのは事前に言われていましたから、自身の手持ち1巡目指名権を使わずにLamar Jacksonを獲得できて満足と読むべきなのでしょう。今年の2巡目と4巡目プラス来季の2巡目とかなりの犠牲を払ってJackson獲りに来ました。Baltimoreの場合他のQB指名チームと違ってまだJoe Flaccoが健在・契約も残っているので後継QBを獲るにしても慌てていないはずですが、それにしてはずいぶんと好条件を提示してJacksonを獲ったなと意外さがあります。来季のカレッジからの出物が少ないと見たか。

とそんな具合で各チーム満足の行くドラフトだったように見受けましたが、その中で一番疑問が大きいのがBrownsですよね。なぜDenzel Wardなのか。先日も指摘したように4位指名権は売りさばきたかったんじゃないんでしょうか。あの怪情報はやはりBrowns自身が流したブラフだったような気がします。ブラフと見抜かれて高い交換条件を持ち出すClevelandが、Chubbsに興味を持っていたチームからも相手にされなかったとか。実際にChubbsが必要ないと考えていてもそのままChubbsを指名して、指名後に売り払うというルートもあったでしょうがBrownsはそうはせず。
どん底Clevelandですからどのポジションも必要でChubbsを売り損なったとしてもそれはそれで使えたはずですが。
代わってChubbsを獲得したBroncosはVon MillerとChubbsのLB陣とグレードアップ、この方向でSuper Bowlを狙うことに。これはこれで良いんじゃないでしょうか。ディフェンスで再びSuper Bowlの栄冠を狙う。独自色があって楽しみです。