前項で末尾に書いた50年前のNHLのリーグ拡張の経緯を書いていて思ったのですが、これってアメスポでは下部リーグは作られないという実例ですね。そしてそれに伴う昇降格もほとんど実現の可能性がないという先例になっているように見えます。少し以前にアメリカサッカーでの昇降格制の可能性のことを書いたのですが、やっぱりないのかなという歴史的根拠もあったことになります。

50年前のNHLのリーグ拡張は、既存の6チームに加えて新規の6チームが参加。但し既存の6チームが東地区、新規の6チームは西地区と名付けられていた。でも西地区には東海岸Philadelphiaなんかも含まれていて、実質的には戦力に劣る新チームを隔離してリスタートしたというものです。完全隔離ではなく東西のチームの対戦もあったですが、その結果は西地区の最高成績のチームですら勝率5割に満たない、つまり既存の東地区が圧倒したということです。急に6チームもプロチームを増やせば選手の質が落ちるのは確実だし、結果もその通りになっていたわけです。

これがサッカーのような文化なら新規の6チームは当然のように下部リーグとして認識されて上下の関係の存在となったかもしれない(チーム数足りないか)。ところがNHLで起こったことは新参チームだけの6チームでプレーオフをやって、古参の6チームの代表とStanley Cupを争うという仕組み。つまり横の関係をとった。まさに非サッカーな文化全開です。

想像するにNHLがこの形の拡張策をとったのにはNFLのSuper Bowlの成功が影響していたのでは。NHLが拡張策に舵を切ったのが1967−68シーズン。第1回Super Bowlが「First World Championship Game AFL vs. NFL」とした開催されたのが1967年1月のことです。Super Bowl直後にNHLはリーグ拡張を実施したということですね。当時はAFLとNFLは別組織。
当時はAFLはまだ創設7年目の新興リーグだったのでSuper Bowlの企画はファンの興味は惹いたもののNFL側の勝利が当然とされていた。実際にNFL側のチャンピオンGreen Bay Packersが35−10で勝った。翌年の第2回もPackers連覇、33−14。試合は一方的であってもファンは満足して話題性も高かった。それを見ていたNHLが自前のSuper Bowl的イベントを作るために新興チームをStanley Cup Finalに進出する仕組みにした、という感じではないかと想像します。それでもファンはよろこんで受け入れてくれるだろうと類推できたからですね。

NHLはリーグ拡張を縦ではなく横に広げた。Super Bowl以前にもMLBのAL/NLの合併なんかもありましたし、MLB、NFL、NHLと当時のメジャープロスポーツでアメスポの横への拡張が完全に定着したという感じではないでしょうか。つまり昇降格制がアメスポに存在しないのはSuper BowlやWorld Seriesというイベント性のあるスタイルが、昇降格制よりも魅力的だからだったとも言えそうです。