これはかなり珍しい事態でしょう。NHLの今季の新規拡張チームであるVegas Golden Knightsがトレード期限最終日の月曜日にDetroit Red Wingsから左ウィングTomas Tatarをトレードで獲得。代償として2018年の1巡目+2019年2巡目+2021年3巡目とドラフト権を放出。リーグ参戦初年度から勝ちに出たということになります。アメスポメジャースポーツで新チームがいきなり初年度にトレード期限で買い手側に回るとは。前例がないはずです。
現時点でVegasはNHLの新チームの最高の成績。過去50年で見て他のメジャースポーツと比較しても、デビュー年に最も成績が良かったのはNFLのCarolina Panthersの勝率.438、MLBだと1969年Kansas City Royalsの勝率.426、NBAだと1967年のChicago Bullsの.407(Bullsは51年前だと言われると、1971年のPortland Trailblazersの.354)。これ以外は初年度勝率4割に届いたチームは過去50年間ないので、勝つためのシーズン中のトレードの買い手に回ったチームはまずないはず。サッカーMLSだとChicago Fireが参入初年度に優勝しちゃったりもしてますが、通常メジャースポーツという括りをする場合にはまだMLSは入れてもらえないので、Vegasがアメスポ史上最高成績のエキスパンションチームということになると思います。

NHLでは過去のエキスパンションチームで最も早くプレーオフにたどり着いたのは1993-94シーズンに参入したFlorida Panthers(正確を期すと別のチームなんですが=後述)で、参入3年目にStanley Cupプレーオフに進出しています。Vegasも結成当時の目標は3年目までにプレーオフに届くこととしていたんですが、その目標はもう初年度で達成したに近い。当ブログでも昨年書いた通りVegasは今季後に契約切れの選手を(意図的に)多く抱えており、勝ち進みつつもそれらの選手を売りに出したかったはず。しかしVegasの成績はトレード期限がやってきてもなお上位でそれらの契約切れ間近の選手たちを売りに出すことはやめた。それどころか初年度にここからさらに勝ち星を重ねようという意気込みで補強にも乗り出したと。再建期に入ったDetroitからすると3年契約が残るTatarを将来のサラリーから外せるというメリットもありトレード成立。Tatarの契約の全額をVegasが負担する上に、3つもドラフト指名権を手放すというのはちょっと商売が下手な気もしますが、とにかく補強をするのだという前のめりの意思ははっきりしているということですね。シーズン前には負けまくるはず、選手も切り売りするはずだったチームが早くも勝負にきているというのはすごいです。



*注 上で少し触れた新チームのプレーオフ進出の正確な記録は1967~68シーズンに4つの新規参入チームがプレーオフに到達しています。但しこれは特殊な状況で、このシーズンに6チームが一度にNHLに参入してNHLは12チーム体制になったのですが、既存のOriginal 6の全チームが東地区、新設の6チームを西地区に振り分け。各地区から4チームずつがプレーオフに参加するという形式だったので、シーズンが始まる前から拡張新規チーム4チームがプレーオフに進出するのは確定していたという事情でした。必ず新チームがStanley Cup Finalに出場するのもシーズン前に確定していたというわけです。そういう事情なので新チームによるプレーオフ進出の記録には含めていません。その年のPhiladelphia Flyersが参入組の最高成績で31勝32敗11引分ですから勝率で比較するとメジャースポーツの過去最高勝率だったということになると思います。但し同じ事情で新規チーム同士の試合が多かったから勝ち星が増えたというわけでもあります。