2月も終わりに近づき、例年ならばカレッジバスケットボールの本番March Madnessへの参加を賭けての争いや優勝予想などが熱くなってくる時期ですが、今年は様相が異なりそうです。昨日報道されたところによればArizona WildcatsのHC Sean Millerがリクルート生にルール違反となる金銭を提供する相談の電話をしていたのをFBIが盗聴録音に成功していたとのこと。Arizonaは今夜試合がありますがMillerは試合の指導をしないと発表になっています。可能性としてはこのまま退任の可能性が高い。金銭提供の対象だったと推定されている一人=7フィートセンターDeAndre Aytonはそのまま今夜の試合にも出場する予定となっています。現在試合開始2時間ほど前です。今後の状況によってはAytonの今後の試合出場が取り消される場合も予想されます。
Ayton自身は今年のNBAドラフトで全体1位指名が予想される期待のビッグマン。この先、よほどの問題を起こさない限り出場停止を食ったところで逃げ切りでプロに転向となることでしょう。よほどの問題というのは具体的には偽証罪を犯さない場合と読んでいただいてもいいです。アメリカでは偽証罪は大変重い罪なので。

問題は組織としてのArizonaの方でしょう。Millerが捕まるだの辞めるだのはさしたる問題ではないです。リクルート生へオファーされたという金額が数千万円単位の話なのでそのカネがどこから流れて来たカネなのかを追求されると大学本体の関与やスポーツ代理人やアパレル企業などがまた標的になり逮捕者がかなり出そう。さらにはArizonaのバスケットボール部に壊滅的な大きなペナルティが課される可能性もある。それを見越して早くも来季入学予定の選手のうちShareef O'Neal(Shaqの息子)がArizonaへの来季の入学の意思を撤回表明しています。

ArizonaというとAytonの前だと、Stanley JohnsonがArizonaを選んだときに不自然だったのを思い出します。現在Detroit Pistonsでの3年目、プロとしてはまだ芽が出ていない状態の選手。あの年のリクルート状況はよく記憶しています。Stanley JohnsonはArizona、Kentucky、USCのうちからArizonaを選びました。当時はスーパー高校生がKentuckyに毎年集中していた時代で、JohnsonもKentucky行きが有力視されていた。同年はKarl Anthony-TownsやDevin BookerがKentuckyに入学した年で、上級生のWillie Cauley-Steinなどとの布陣でKentuckyはニアパーフェクトシーズン、38勝1敗。NCAAトーナメントの全米準決勝でWisconsinに敗れたあのシーズンです。
そのシーズン後Kentuckyからは8名がNBAドラフト行きを宣言するという、カレッジバスケのエリート校であるKentuckyにとってもまれに見るピークだった時期で全米の高校生スターが争ってKentuckyに行きたがっていた頃です。あのときStanley JohnsonがKentuckyではなくArizonaを選んだのが、今となってみるとカネだったかな、という気もします。
但しこれはKentuckyはカネをオファーしていなかったという意味にはなりません。ArizonaがKentucky以上の金額で競り落としたという可能性の方が高いと読んだ方がいいのでしょう。KentuckyのHC John Calipariが今週また最近の一連のFBIの捜査について具体性のない妙な言い訳コメントを出していたところを見るとKentuckyもFBIのきつい捜査のターゲットになっていそうです。

Calipariが今週コメントを出した後にMillerがFBIの盗聴対象になったというニュースが出て、真っ青になっている関係者も多いんでしょうね。Calipariさんの顔色はどうか。
アメリカ国家が優れた盗聴能力を持っているというのはしばしば話題になりますがそれが国民一般に意識されることは少ない。エシュロンやPRISMなどの最高の技術を今回の問題に投入しているというような話だとしたらFBIのこの問題に賭ける意気込みが普通とは違うということになりそうです。

このFBIによるカレッジバスケに於ける金銭供与捜査問題は昨夏オフに表沙汰になり、そしてこの時期になって再浮上。カレッジバスケットボールが全米の関心事となる3月にこの問題を再び炎上させることで一般に知らしめようという意図なんでしょうか。もしそうならばここからトーナメントが始まるまでにもっと何か起こりそうです。有力校の中から事件絡みでトーナメントに進出できない学校も出てくるのかも。
ちょっと過去に例のないことが色々起こりそうなので、今後の展開は読めませんが、せっかくの楽しいMarch Madnessの時期、それも今季は相当に激しい優勝争いが予想されるシーズンだけに、話題が他に逸れてしまうのはもったいない気もします。でもまあ、見過ごせないレベルで状況が悪化していたんでしょうからいつかはやらなきゃいけないことでもあるのでしょう。