SeattleがNHLに正式に加入申請を済ませNHLの32チーム化が確定的。それに伴って地区の再編成が話題にのぼっているようです。
現在NHLは31チーム4地区編成。Seattleは北西の果て。現在の地区割だとPacific地区・太平洋地区に入るのが自然なのですが、Pacific地区は今季からVegasが加わったことで既に8チーム。4地区のうち唯一7チームなのが中地区。こんなことになるなら地理的に太平洋地区では東の境界に近いVegasを最初から中地区に入れておけば良かったんですが、もう遅い。なのでSeattleを飛び地で中地区に編入するか、太平洋地区のどこかを中地区へ移動させるか、ということになる。地図で見るとArizona Coyotesが一番中地区に近い。Coyotesは後発チームでもあり太平洋地区のチームと強いライバル関係があるわけでもないのでCoyotesかなというのは自然な発想とは思いますが、Arizonaのオーナーがうんと言うかどうか。SeattleとVancouverの特別な都市ライバル関係を考えるとSeattleとVancouverは同じ地区にしたいとリーグは考えるように思われます。

32チームというのはNFLと並んで北米メジャースポーツでは最多のチーム数となります。NFLでは32チーム化後に全体を8地区に再編成しています。そういうこともあってかNHLファンの間ではいくつか地区の再編試案が提案されています。例として()()()などを見つけました。最初のリンク先では33チームになった場合(新チームとしてHoustonを想定)、34チームになった場合(Quebecを想定)まで考えている、現実性はともかく凝った案を考えてる方もいます。
ただどの案もなんというか異論反対が出そうな案だなあという気がします。例えば東海岸の人口の多い地方のチームの中で一番南になるWashington Capitalsが他の東海岸近隣のチームから切り離されて不人気なフロリダの2チームやCarolina、Columbusと組んで地区にされる案なんてCapitalsファンは速攻で大ブーイングでしょう。かと言ってCapitalsを入れないと新興チーム不人気チームばかりの地区があまりにも寂しいから、という区分けの苦心はわかりますが、あまりうまくいきそうな感じがしない。(2)のESPN案の4地区再編案が比較的現実的かなという気がします。でも4地区で現在と地区の数が変わらないなら再編する必要性がそもそもあるのかという話になりかねない。最初の1チームを太平洋地区から中地区へ移籍させて終わりの方がモメなくて良いような。

NHLの場合、カナダのチームをできるだけ同じ地区に固めるべしという長年のポリシーとか、ニューヨークにある3チームはさすがに同じ地区でしょ、だとかの縛りがあるので、その従来の常識を尊重するとそれ以外の地区にどうしてもバランスの悪さが出てしまいますね。

また地区再編案で6地区、8地区として区割りを今よりも細分化している案が出てるわけですけど、それだと現行のプレーオフも模様替えしなくてはいけなくなります。現行のNHL Stanley Cupプレーオフの制度はNHL独自のもので基本的なアイデアは地区内のチーム同士で一回戦二回戦を戦うというもの。地区内のライバルをより意識させようという意図で数年前からやっている方式です。6地区ならやろうと思えば同じコンセプトでやれますが希薄化する、8地区だとそれはもう不可能になります。また地区ライバルを意識させようという意図なら地区割が頻繁に変わるのは良くない。
そういうことをいろいろ考えると(2)のESPN案が3案の中では良く、現行の4地区を基本的に維持する方がさらに良いように感じます。どうでしょうか。

ところでSeattleが加わることが確定したことで、Detroit Red Wingsは東カンファレンスに永住することになりそうです。Detroitが東カンファレンスに移動した後の時点では東16チーム西14チーム。東西各15チームでも良かったのにわざわざDetroitを東に動かした。その当時は将来のリーグ拡張先としてQuebecやToronto第2チームの方がよく話に上がっていたので、それらのチームができたらDetroitは再び西カンファレンスに戻ることもあるのかなと思っていたんですが、現実はVegas、Seattleと西への拡張となったのでDetroitが西へ戻る可能性は地区の大規模再編以外ではなくなったことになりますね。
そうなるとDetroit x PittsburghやDetroit x New York RangersのStanley Cup Finalのゴールデンカードはもう二度と見ることはできないことになるのかもしれません。