米サッカー協会の会長に決選投票の末、無印だったビジネスマンのCarlos Cordeiro氏が当選してます。昨年来大モメにモメてきたアメリカのサッカーの未来の方向性をこの方に託すことになります。Cordeiro新会長の公約はこちらのページに。これはアップセットと言っていい選挙結果ではないでしょうか。最初の投票ではCordeiroと、本命とされていたSUM社長Kathy Carterがともに30%台の得票を得ていたんですが、決選投票では68%と圧倒的な得票でCordeiroが勝利。初回投票で勝ち目がないとなった候補の支持者が決選投票でCordeiroに流れたのもともかく、Carterの票も一回目から三回目=決選投票の間にCordeiroに逃げたようですね。
Cordeiro氏の公約は事前に読んでいなかったのでいま読んだばかりですが、なかなかうまく書かれた公約だと思います。本命とされていたCarterはSUM社(MLSの子会社)の社長であるため、サッカー協会の会長になるとMLSに有利な政策をとるであろうことはほぼ疑いがない。それが吉と出るか凶と出るか、だったんですが、MLSに偏らないことを強みとして打ち出していたCordeiroがCarterに拮抗する得票を一回目で出し、二度目三度目と候補者を絞っての投票が進むにつれて非MLS関係者の票がCordeiroに流れた、と読むべきでしょう。公約の中にわざわざ女子プロリーグNWSLの名前を出していたり(MLSや他のリーグ名は公約に出てこない)女子代表の問題を男子代表の前に指摘するなど女子サイドに関心が高いのをうまく表現していたのもこの決選投票での支持拡大につながったか。

また公約には含まれませんがCordeiroは15歳でアメリカにやってきた移民の子で、コロンビアおよびポルトガル、インドの血が入っているとご本人が表明している。他方Goldman Sachsでの長いビジネスキャリアが大きなビジネスとなった協会のトップを任せるのにふさわしいと見なされた。その両方でうまく相乗効果になって支持を拡大したっていうところか。

公約は総花的で本当のところどこに力点を置くのか見えにくいですが、ユースサッカーの指導レベルの向上・全国的に統一の指導ということになるのか。これは先の長い話ですがやらないとアメリカサッカーが将来ひとつ上のレベルに行くことは困難なのは確か。どういう策をどんなスピードでやれるのかはお手並み拝見ですが、方向性はそれで良いように思います。(但しこんなことはほぼすべての候補者が言っていたことでしょうけれど)
あとは代表のためのテクニカル部門の充実ですか。身内に籠もって外国人指導者を嫌がる現場のムードをどう変えていけるか。最初の大仕事は男子代表の監督選びとなります。