女子プロサッカーのNWSLのBoston Breakersが2018年シーズンを前に活動を停止したのを発表しています。所属選手(ドラフトで指名された選手を含む)はNWSLの残りの9チームが吸収する手はずに。Boston BreakersはNWSLが創設される以前の女子プロリーグであったWPSやWUSA(2001年創設)にも参加してきた女子プロサッカーでは歴史の長いチームですが、ここで息切れして離脱となりました。昨年2017年シーズンのBostonの平均動員が2,900人で全10チーム中8位。先が見えないということですか。
NWSLの昨季のリーグ動員平均は約5000人。でもこの数字はミスリーディングなのです。動員首位のPortland Thornsがダントツで17,600人を叩き出して平均の数字を引き上げているだけで10チーム中平均動員を超えているのはこのPortlandと2016年に参加し始めたOrlando Prideの2チームだけ。
動員8位のBostonが今回離脱を決めましたが、動員最下位だったKansas Cityは昨季を最後に移転して2018年シーズンからは新本拠のUtahでUtah Royals FCとして再出発に希望をつなぐ(というと聞こえは良いですが実際はKansas Cityでは失敗撤退)。動員9位のSky Blue FC(東海岸New Jersey)はWPS当時に優勝もしている女子プロサッカーでは優秀なチームのはずですが動員ではWPS当時からずっと下位を低迷。Bostonより先にギブアップしていても不思議ではなかったチームです。リーグとして低空飛行で新たな投資家が登場する可能性も低い。女子サッカー代表の人気を国内リーグに繋げられないままにジリ貧状態と言っていいかと思われます。唯一成功しているPortlandのようなビジネスをどう他のフランチャイズで実現できるのか。なかなか大変そうです。

アメリカでのスポーツ支持調査などでしばしばサッカーが若年層でメジャースポーツに匹敵するような数字を出します。あれは女子中高生などの女子サッカー代表への支持がサッカーへの支持に大量に含まれているわけです。調査対象の半分は女子なので。その層は別にサッカーというスポーツを愛しているわけでもなくほぼ唯一の女子スポーツのメジャーな存在である女子代表サッカーにシンパシーを感じて支持しているのであって、サッカーという競技の支持としてはとても弱い支持と言って良い。彼女たちはNWSLの試合に足を運ばないし、MLSやEPLといった男子サッカーの試合のTV観戦でも数字になってくれない。その辺りを、女子にはサッカーファンがたくさんいる、と見誤って女子プロサッカーリーグイケるのでは、と投資してしまうと現実にがっかりということになるわけです。なかなか難しいところです。

女子サッカー人気の頼みの綱である女子代表も将来が不安です。先週末に終了した女子のU-20 World CupのCONCACAF予選で米代表は優勝を逃してます。決勝でメキシコに1−1からのPK戦で敗退。準決勝ではハイチを相手に1−1でPK戦でなんとか下している。本戦にはメキシコ・米国・ハイチが出場決定(カナダ落選)。たかがU-20、たかが予選ではありますが、圧倒的にフィジカルでまさるメキシコやサッカー無名国ハイチを相手にぎりぎりの試合をさせられてしまう。数年先にはこの世代がフル代表を担っていくわけです。既にフル代表ではその昔のように米代表が相手を次々となぎ倒すような試合はできなくなっている。それどころか数年のうちにCONCACAF内ですらフル代表で苦戦させられる未来もありうる、というのがU-20予選が示唆することです。そうなったときに過去の女子米代表の勝ちっぷりの爽快感でファンになっていた少女たちの支持をサッカーは繋ぎ止められるんでしょうか。移り気な若いファンの支持を取り付けるのはそう簡単ではないのではと危惧します。ここがうまくいかないとスポーツ支持調査全体でのサッカーの支持の数字にも相当響くはずです。