MLB New York Yankeesの新監督に決まったAaron Boone。スポーツトークショーを聞いてるとあまり評価する声がありません。もちろん指導歴がないという決定的な問題があるので評価のしようがないという点もあるんでしょう。私もコメント欄でお返事した通り、Booneの発言を聞いていて「ああこの人は言うことが気が利いてる」と思ったこともなく、至って平凡な印象。選手としての実績もこれまた平凡。選手としてのキャリアは12年と長かったですが.263, HR126本。2015年には野球の殿堂投票対象になりました(基本的に実働10年以上なら全員なります)が全549名の投票者から得票2票を得て、これでも多過ぎると批判記事が出る程度の普通の選手でした。悪い選手ではなかったですが殿堂で1票でも得るとかあり得ないというそういうレベルの選手。したがって長年在籍したCincinnati Redsの地元ファンにはそれなりに愛着を感じてくれる人たちもいるかもしれないですが、それ以外では特にBoone個人に対して支持者がいそうなタイプではない。

現時点でのBooneへの批判は、これは監督役ではなくフロントの声を忠実に選手に伝えるメッセンジャー役伝書鳩みたいなことしか期待されていないんだろう、なんていう辛辣なものもあります。Yankeesというアメスポに於ける特別な存在の、若手のスーパースター候補を擁するこれから黄金時代が始まりそうな今のチームの現状に比べて、新監督がショボイ、がっかりだというのが大方の批判の元と言えそう。

がっかりというのはそうかもしれませんが、先日も書いた通り監督候補に挙がった人たちは全体に若い監督歴のない人たちが多かった。Booneでなかったとしても経験値は低い監督になったことには変わりなかったでしょう。

コメント欄でも書いたんですが、Yankeesが若い監督ばかりを候補にしていたのはフロント直轄のデータ解析部門発の最新のデータ野球をYankeesがやってみたいからなんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。監督経験者だと既に戦術・選手起用その他に経験があるだけにデータ部門が持ってくる斬新な作戦のアイデアを、常識外れだと言って素直に受け入れない可能性がある。それを嫌ってYankeesは若い監督、常識に挑戦する気概のある人を求めていたということはないでしょうか。

一昔前のOakland Asのマネーボールの成功の物語。そして弱小から這い上がって今年優勝したHouston Astrosも相当にデータを駆使した野球を展開したとされます。Yankees GMのBrian Cashmanがそれに類することをYankeesの次の黄金時代に向けてやってみようとしているとしたら?それに必要なのは経験ではなくデータを元にした新しい野球への柔軟さなのかもしれません。