大変なことになってきました。トランプ大統領がNBAチャンピオンGolden State Warriorsをホワイトハウスへ招待するのをキャンセルすると発表したのが一昨日。それが一気に他のメジャースポーツに飛び火して普段政治に興味のない層にも好むと好まざるとに関わらず目に見える形になってきてしまいました。キャンセルが発表された日はCarmelo AnthonyがNew YorkからOklahoma City Thunderへの移籍のニュースが出た日でもあり、本来なら大ニュースのはずのMeloの移籍が完全に吹っ飛んでしまいました。こういうのがMeloの星の巡り合わせですかね。

順を追うとまずWarriorsのエースにして、現在最も人気の高いアメスポスターと言えるStephen Curryを始め数名のWarriorsの選手がホワイトハウス行きの拒否を表明。当初はWarriorsの上層部は行って欲しそうな言動が垣間見えたんですが、結局折れてチーム内の和を優先。それを受けてホワイトハウス側がキャンセルを発表。しかし黙って侮辱を受けるようなトランプではなく、返す刀で国歌起立問題に言及。起立しないアスリートは解雇すべきと発言。それを受けた今日日曜日のNFLでは国歌演奏時に起立しない選手が一気に大量発生。以前のようにCollin Kaepernickが孤立して批判にさらされる事態から大きく事態が動いてしまった。トランプ側から見ればやぶ蛇。時系列は少し戻りますが、起立問題から間をおいていたMLBでNFLに先だって初の起立拒否者が発生。これはOakland Athleticsの新人捕手とかで、そんな立場の弱い選手が単独で思い切ったな…解雇されたらどうなるんだよ…という。この流れに反したのがNHLチャンピオンのPittsburgh Penguins。Warriorsの招待が正式撤回された後にホワイトハウス訪問することを組織として確認、発表しています。あちらこちら対応が異なり、荒れてきたな…という感じです。

トランプ当選後のメジャープロスポーツではNFL New England Patriotsが一番最初の招待対象でした。PatriotsはHC Bill BelichickやQB Tom Bradyがトランプ支持者。特にBelichickは選挙期間中から積極的に応援文書をトランプ側に提供していたという事情もあり、拒否という話にはまったくならなかった。大統領表敬訪問は慣例だからとさらっと訪問。まだトランプ当選のショックが強くてトランプ拒否のムーブメントができあがる前に済ませちゃった感じですか。

MLBの昨年のチャンピオンChicago Cubsはトランプが大統領就任する前に、前任のオバマ大統領を昨年中に訪問してこの問題を避けることに成功。オバマ大統領はChicagoにとっては地元のイリノイ州選出の議員でしたから、駆け込み訪問でしたが地元の大統領のうちに、という言い訳が立った。オバマはChicagoでもWhite Soxファンを公言しているのですが、まあそれはご愛敬。その後Cubsは今年6月にもホワイトハウスを訪問したのですがこれは「非公式訪問」だとかいうよく訳の分からない言い訳がくっついていました。

様々事情はあれ、NFL、MLB、NHLはホワイトハウス訪問。NBAは拒否。NBAとNHLはほぼ同じ時期にチャンピオンが決定するのでこの対応の差はまた嫌な話になりそうです。NBAは黒人選手が大半。NHLは非白人選手が極々僅か。ああやっぱり白人スポーツは人種融合にまるで興味ないんだね、みたいなとばっちりの批判を浴びるのはNHL側にとっては不本意でしょうが、そういうことになりかねない。そんな気がなかった選手やファンもそういう批判を浴びれば硬化してしまう人もでるかもしれない。結局はアメリカの分断は進むばかり。残念な話です。