いよいよカレッジフットボールが本格開幕。盛りだくさんの好カード、各地で熱戦が繰り広げられました。個人的には現地観戦に行ったので他の試合をあまり見られていないのですが、やはりカレッジはいいですね。試合前数時間、場合によっては数日前からの街を包む期待感というのはプロとはやはり違います。

個別の試合の論評はほとんど見ていないので避けて全体の話を。開幕週にトップ3同士の対決となったNo. 1 Alabama x No. 3 Florida State戦を筆頭に、No. 11 Michigan x No. 17 Florida、No. 21 Virginia Tech x No. 22 West Virginia、No. 25 Tennessee x Georgia Tech、BYU x No. 13 LSU、North Carolina State x South Carolinaと中立地NFLの大会場での開幕戦が目立ちました。加えて一時点で44−10からの記録的大逆転(フェイクスパイクで逆転決勝点)となったTexas A&M@UCLA、Maryland@No. 23 Texasなどメジャーカンファレンス同士の組合せが目立った。(そんな中で一番のびっくり試合はLiberty@Baylorだったりするのもカレッジらしい。Baylorは一部ではBig XIIの優勝候補とされていたチームです)

これが次週第二週でも続く予定で、No. 7 Oklahoma@No. 2 Ohio Stateを大メインイベントとしてNo. 12 Auburn@No. 5 Clemson、No. 15 Georgia@Notre Dame、No. 14 Stanford@No. 4 USCと好カードを並べてきています。TCU@Arkansas、Nebraska@Oregonなんていうのもあります。カレッジのスケジュールは過去第二週は手抜きの場合がしばしば。NFLの開幕週に重なるからという理由であったと思われますが、今年はやる気のあるスケジュールといえるでしょう。

全体として眺めてみるとSEC各校の積極的なスケジューリングが目立つシーズン序盤と言えます。これはたぶん例のAlabama HC Nick Sabanの発言に呼応していると考えるべきなのでしょう。SabanがこのオフシーズンにFBS改革とも言える発言をしていたわけです。5大カンファレンス同士の対戦だけでシーズンを組むべきではないのか、という提言をしている。「年に3~4試合は無意味な試合をやっている。これをやめよう」というのです。もし実現すれば事実上のFBSからのメジャーカンファレンスの離脱となります。ボウルゲームの出場基準が勝ち越しであったり勝率5割であるため各校は「無意味な試合」を数試合組む。その基準も撤廃すればムダな試合は組まなくて良くなる、というところまで踏み込んでいたので、ああSabanさんマジなんだ…と聞いたときに思いました。それがあって、このシーズン序盤のSEC各校の積極的なカードを見ていると表向きはSabanの私案という形で打ち上げているけれど、実際はSECでじっくり話し合った末の案なのかなという風に感じられます。

その案は良い点悪い点あるわけです。パージされる学校の中にはBoise Stateのようなカレッジフットボール界を長年盛り上げてくれた優良校や、例えばCincinnati、Houston、三軍士官学校といった名脇役校も含まれる。今週起こったLibertyによる大アップセットの興奮もなくなる。無所属独立校のBYUはSEC所属のLSUが今回中立地開幕戦付き合ったことからパージを免れそうな感じはあります。いずれにせよ過去のカレッジらしさが変わっていくことになる。これは良い点でも同じで、例えば過去non-conferenceの試合でイージーな試合ばかりを組む傾向の強かったBig Ten(特にOhio State)にまともな試合を組ませ、カレッジ全体でシーズンを通したカードの強化を図ることができます。Ohio Stateは今季開幕戦を木曜日、それもナイトゲームで戦いました。@IndianaでBig Tenの公式戦開催日としては史上最も早い時期だったとか。さらに第二週もOhio Stateはナイトゲーム。Ohio Stateのホームには常設の照明施設がなく、ナイトゲームの際には照明施設を臨時設置します。伝統を重んじる頑固なBig Tenに開幕週でのカンファレンス戦開催、ナイトゲームの嫌いなOhio Stateに二週連続ナイトゲームを承諾ささせた辺りも考えると、SECだけでなくBig Tenも実質的なFBS離脱に水面下で同意してるのかもな、という感じがします。