今夜はMLB National League Wildcard Game。New York MetsはNoah Syndergaard、San Francisco Giantsはプレーオフで最も頼りになる男Madison Bumgarnerの両エースの先発の好カードで期待してます。そちらはまた試合後にでも。

昨日のBaltimore Oriolesが絶対クローザーZach Brittonを投入し損ねた件です。MLB Networkではこの件を各解説者が熱を込めていろいろ語っているのですが、どうも今ひとつ我が意を得たりという意見が出てこないのでちょっと勝手に感想を。全体的によく指摘されているのはアウェイのチームのクローザーの投入をレギュラーシーズンと同じやり方でやるのは違うだろ、という点。それはごもっともな話です。セーブの場面でないと使えないという契約での縛りすらある場合もあるという話は以前にも聞いたことがあるので、通常の試合であればBuck Showalter監督が延長戦の表に得点して勝ちにいくときまでBrittonを温存するというのはアリなのかもしれません。ただ昨日に関しては試合後にBritton本人がメディアに発言しているところによれば「セーブ場面でなくても行くから」という自らの意志を監督コーチに伝えていたということで、契約や人間関係は問題ではなかった。使えなかったのではなく、単に監督の意志として使わなかったという問題です。

そこで気になったのは一体MLBのチームの首脳は事前に試合のシミュレーションをしているのだろうか?ということです。ALDS第1戦の先発予定の投手を除いた全員が出場可なのか、それともALDS第2戦、第3戦の先発投手まで使えないとするのか。先発投手の不調の場合の早い回でのリリーフは誰を想定するのか。明日のない戦いなのですから通常の試合とは違う2番手投入のタイミングと人選が必要なはず。延長戦になった場合の継投の順番は。そして今回問題となった絶対クローザーの投入タイミングについての想定はどうなっていたのか。

Torontoの方は実際に先発ローテのFrancisco Lirianoを投入したことから判る通りはっきりLirianoは投げると事前に決まっていたのであろうと思われますが、Baltimoreの方はよくわからない。通常の試合なら8回裏の試合を決まってしまいかねないピンチのときに先攻チームはクローザーを投入するかというと、MLBの場合、まずしない。でもこの日のような勝たなくては終わる試合なら投入すべきでしょう。少なくともその場合を想定して事前に検討・関係者に告知しておくべきで、戦術は当然変わっていいはず。これが7回裏だと2アウトだとしてもかなり判断に苦しむところですが、とにかくそれぞれの事態の前に事前に検討はすべきであると思うのです。それと同じように延長戦での投手のやりくりも。野球は比較的こういう場面場面を想定してシミュレーションをしておくことがしやすいスポーツのはずです。


こういう発想をしてしまうのは私がフットボールファンだからかもしれません。フットボールでは「8点差以下4点差以上、残り1分半で相手のタイムアウト2つ残りの場合」といったシチュエーションごとの攻め方というを想定して事前にまとめてあるのが普通です。そういう戦い方を常にするのがフットボールで、事前のシミュレーションは当然の準備です。野球はその点どうなのかな、ということを昨日の試合や、その後のMLB Networkその他のメディアの議論を聞いていて疑問を感じました。いつもと違う戦い方をするのがわかっているべきですから、各場面の準備も当然してあるべきかと思いますが、Buttonの投入機会を失ったBaltimoreの側に準備面の手落ちはなかったのか。その辺りが気になるところです。

例えば一昔前のYankeesの黄金時代のJoe Torre監督の時代ははっきりこういうのを周到に準備しているのが見て取れて、ああいいな、すごいな、と感心できたものですが、それからさらに時代が進んだのにクローザーの出し損ねで別の救援投手が三連続クリーンヒットを喰って終戦。なんか21世紀になったのに全然進化していないような匂いが気になりました。ちなみにShowalterはYankeesではTorreの前任の監督でもありました。