前項のアイスホッケー米代表の惨敗に対するおおっぴらな酷評について、少し補足します。

まず今回のWorld Cup of Hockeyは現在NHL放送をしていないESPN系列で久々に放送されるプロのホッケー放送でした。カレッジホッケーのFrozen Fourの中継こそありますが目立つところでESPN系列がホッケーを放送するのは同系列がNHLを捨てた2004年シーズン以来12年ぶりのこと。スポーツマスコミで絶大な影響力を持つESPN系列にWCoHが登場したのはアメリカでのホッケーの露出にとっては良い面があったと思います。しかし結果は普段の放映権を持たないしがらみがないせいかESPNからの容赦ない米代表批判という結果に終わりました。大会自体はまだ続きますし、アメリカ人若手選手を含む北米チームが勝ち進むことでまだアメリカホッケーにとって肯定的な話も出てくることはありえますが、こと米代表に関してはボロカスです。

それで連想したのがサッカーのアメリカ代表に対する報道についてです。アメリカのサッカー代表に対する報道はものすごく優しいです。これは相対的な位置が高い女子に対しても、そうでない男子に対してもそうです。女子なら先日のリオ五輪で準々決勝敗退という過去例のない惨敗大会になっても表立った批判は起こらない。男子は五輪へ二大会連続不出場でも批判されることもない。W杯で未勝利敗退に終わっても否定的なマスコミ記事が出ることはほとんどありませんでした。サッカーの世界でアメリカと同程度の実力、同じ様なサッカーの歴史の日本ではものすごい量の批判記事が各種配信されるのとまるで違うアメリカサッカーへの暖かい待遇。これはサッカーという競技の人気が長年低かったアメリカでは関係者の保護者意識が強く身内が手加減したコメントに終始しているように見えます。やっと芽が出たサッカーを批判でつぶせない、という感じです。

他のジャンルの米代表への論評も優しいものが多いように感じます。例えば昨今はカリブ勢に手も足も出ない陸上。その昔はアメリカにとっては五輪のメインイベントだった陸上短距離はその地位を譲って長くなってきましたが表立った批判はあまりない。アテネ五輪で敗れた常勝男子バスケ代表。World Baseball Classicで決勝に毎度進めない米代表野球。そういった他の米代表活動を考えても今回ほど酷評されたことが過去あったかな、と不審に思うほどの昨夜のホッケー米代表のひどい言われようなのです。

もう少しサッカーを例に比べてみたいです。先にも書いた通りアメリカではサッカーという競技が長くマイナーをかこっていたこともあるのでしょう、サッカーコミュニティの代表への辛辣な批判は少ない。サッカーを守りたいという感じがヒシヒシとするのです。それに対して今回のホッケー代表への辛辣さには同じ様な「ホッケーというジャンルを守りたい」というような感じがまったくしません。そんなボロカスに言って久しぶりにESPNでホッケーを見た人が「あ〜やっぱりホッケーはアメリカじゃダメか…」と思うことを怖れていない。

いまとなってはアメスポシーンの中でサッカーとホッケー、どちらがより露出が多いか、ファンが多いかということを考えたらこの両競技は互角に近くなっているかと思います。ある部分では既にサッカーが抜いた部分すらあるようにも思える過去10年ほど。でもアメリカサッカーはいまでもジャンルを守りたい意識が強いし、それに対してアメリカホッケーにはそういうのがないんだな、とちょっと驚く感じです。ホッケー関係者の間ではまだサッカーなんかに負けるわけはないと思っているのかもしれない。確かにNHLの売上高や放映権料など考えるとまだまだホッケーは強いですが、その差はホッケー側が思っているほど大きくはないのに、こんな辛辣で大丈夫か?という感じすらしたのです。