NFL Monday Night Footballの裏番組でWorld Cup of Hockey 2016(以下WCoH)のグループリーグの一試合を見ていたのです。これがものすごく面白い試合で目が離せなくなってしまいMNFはほとんど見てません。まず状況を説明します。これはWCoHのグループステージB組の第2戦。ロシアは初戦をスウェーデン相手に落としている。「北米」チームはアメリカ・カナダの23歳以下の選手を集めた混成チームで、初戦ではフィンランドを相手に4-1で快勝。4チーム中2チームが準決勝へ進む仕組みなので北米チームが勝てば準決勝進出確定、ロシアは敗戦すれば敗退決定という状況です。

先取点を挙げたのは北米だったのですがこれが大変に絵になるゴールとなりました。ロシアのショットをセーブしたパックを受けて2015年のNHLドラフトNo.1指名だったConnor McDavid (Edmonton Oilers)が俊足を飛ばして駆け上がる。それもロシアの重鎮Pavel Datsyuk(昨季までDetroit Red Wings、今季はロシアKHL所属)を抜き去って。そこからゴール前に詰めた2016年NHLドラフト全体1位のAuston Matthews(Toronto Maple Leafs)にズバリ合わせて鮮やかなゴール。ゴール自体も鮮やかでしたけれど、この人材の配置がNHLの未来を予感させてすごいな、と。DatsyukはRed Wingsで長年NHLを代表してきた最良のテクニシャン。個人的な理由で昨季を最後にRed Wingsを退団してロシアに移籍帰国。このWCoHに北米での最後の顔見せに来ているところです。その旧世代のスーパースターを抜き去って昨年のドラ1と今年のドラ1がズバリ決めたゴール。歴史に残る世代交代のゴール!、というように私には見えました。ここで私は盛り上がってしまい、もうMNFはそっちのけに。

第1ピリオドは若さで走りまくる北米U-23のイキの良さが目立つ展開。このままこの若獅子軍団がロシアを突破して準決勝進出決定となれば、準決勝の相手はたぶんアメリカ代表かカナダ代表。これは期待できるぞとというところ。このU-23というチームを参加させた企画力の勝利です。

ところが第2ピリオドになって気合いを入れ直してきたのかロシアが一気に押し返す。4連続ゴールで一気に試合をひっくり返す。この大会の前の調整試合から冴えなかったロシアが突如大爆発。第2ピリオドが終わる前に北米が1点返して4-2で第3ピリオドへ。そこから北米の粘りが発揮されて4-3。最終盤にはエンプティネットにロシアの反則が加わり6-4での猛攻。ゴールパイプ直撃のあわや同点弾が飛ぶなど最後の最後まで行方のわからない大熱戦。ロシアが4-3で逃げ切り両チームとも1勝1敗となってます。熱い試合で堪能。若手チームがスター揃いのロシアに迫る様はMiracle on Iceも彷彿とさせるようなムードもあり、めったにない緊迫・迫力の一戦でした。ホッケー、めちゃめちゃおもしろい!と言いたくなる試合。

もう一つの混成チームである「欧州」チーム(=ロシア・フィンランド・スウェーデン・チェコ以外)もA組で二戦二勝で準決勝進出の好位置に付ける活躍。「欧州」「北米」をWCoH参加チームに加えた主催者の思惑は大当たりとなってます。