リオ五輪の女子柔道78kg級でアメリカのKayla Harrisonが五輪二連覇を達成しています。現在26歳。ロンドンでアメリカ柔道初の金メダルを獲得したときが22歳。当時はそのまま引退を示唆。その後普通の就職をして競技から離れた後に競技復帰。リオでは全試合一本勝ちでの堂々たる優勝となってます。決勝では足での絞めから移行した腕十字固めで快勝。

すごいなあと思ったのは前回のロンドン後の身の振り方。なんでも消防士になったそうです。五輪の金メダリストが柔道となんの関係もない、それも消防士。日本だと警視庁や府警が武道の有望選手を抱えてサポートすることがあると思いますがそういう話ではなく、本当にただの就職だったというのです。体力を活かしての現場活動。本人もそのまま競技生活から足を洗うつもりだったと。金メダルをとった選手が多数存在する日本で全ての選手がどういう扱いになっているかは知りませんが、余程ご本人に難でもない限り柔道の指導だとか先生だとか協会の役職だとかが廻ってくるものなんじゃないでしょうか。お金の面でも社会的地位でもそれなりのものが用意されそうなものですが、柔道が極マイナースポーツであるアメリカでは金メダルを取ってもいきなりただの消防士のおばさん(当時まだ23歳ぐらいのはずですからお姉さん?)になっちゃうんですね。すごいなあと。結局は復帰して、試合運びのうまさも前回より増しての二連覇。ロンドンの当時は柔道の放送なんてまるでなかったのが、Harrisonなどの健闘もあって今回リオ大会では柔道の放送時間は明らかに増えた。自分の活躍で増やした放送時間の中で一本勝ち連発で金メダル獲得ということに。でもひょっとしたらこれで引退するとまた彼女は消防士の肉体労働者に戻ってしまうんでしょうか。

四年前と違うのは柔道の露出が大幅に増えたことで知名度も高くなったし、試合の様子を見てくれた人の数も格段に大きかったことがひとつ。もうひとつはUFCの女子部の人気も高まっていますからプロスカウトがあるかもしれないところか。柔道とMMAの親和性は決して高いとは思いませんが、なにせ女子MMA界のトップスターであるRonda Rouseyが柔道出身なのでその類推から声がかかることは必至。なにせ柔道界ではメシはまったく喰えない。柔道は五輪スポーツですが大学スポーツですらないし、極僅かに存在する大学のクラブチームでもコーチになったってメシは喰えない。街道場も多くありません。消防士になるか、五輪二連覇の看板をひっさげてMMA参戦で消防士の年収の50~100年分を稼いでから消防士になるか。Rondaを含むUFCの女子の主戦場バンタム級(61.2kg)にはHarrisonの体重は遠く、試合・興業を成立させるような相手の確保ができるかという問題もありますし、ご本人の意向もありますが可能性はあると考えていいように思います。