8月になりました。アメスポの各種マイナープロスポーツ・春夏型リーグが結末を迎える月です。9月のフットボールシーズン開幕を前に、または各種学校の夏休みの終わりとともに店じまいをする感じであります。先日お伝えした新設15人制ラグビーPRO Rugbyもその一つ。最大規模のものはマイナーリーグベースボール各レベル。他にもArena Football League、野外ラクロスのMLL、女子サッカーのNWSL、女子室内フットボールLFLなどなど。かつてはメジャースポーツにほど近かったIndyCarシリーズも昨今は9月にシーズンを終了する春夏型のスケジュールでマイナーの側に寄ってきています。

そのひとつ、ラクロスのMLLについて少し。過去当ブログではMLLについては何度も取り上げています。今季はMLLにとって創設16年目。チーム数が過去最大の9チームによるシーズンで過去数シーズン続いていた二回総当たり制でのスケジュールが組めなくなっています。各チームの試合数は昨年までと同じ14試合。現時点で各チームが2~3試合を残して首位から2ゲーム差内に7チームがひしめく大混戦となっています。上位4チームによるプレーオフが待っていて、レギュラーシーズンの最終盤の生き残り戦からファンにとっては大いに盛り上がるところかもしれません。(2チームだけ脱落しているのは今季新設されたAtlanta Blazeと2014年に設立のFlorida Launch。健全です)

ただ気になるのが今季MLLの試合放送が昨年から激減したように我が視聴環境からは見えるところです。カレッジラクロスの放送が今年は大幅に増えたのと比べるとこの激減は目立つ。但しこれはそうは見えない家庭もあるはずではあります。MLLの放映権を地元のケーブル専門局が積極的に購入している余波でそうなっているようです。我が家ではケーブルではなくサテライトなので全国一律の数百チャンネルが見られるわけです(それに各種スポーツパッケージを追加)。そのサイズメリットに対抗すべく地域限定型のケーブルTV運営会社は近年地元のマイナースポーツ(プロ・カレッジ問わず)を積極的に放送するようになっています。つまり全国型サテライトと地域型ケーブルの顧客の取り合いの武器としてマイナースポーツ放送の囲い込みが進んでいて、その流れにMLLも巻き込まれ、その結果全国型のプロバイダと契約で見ている我が家ではMLLの試合を見る機会が激減したという流れです。

MLLのような一般的人気が微妙なプロリーグにとってはこの争奪戦は有り難い収入なはずです。先日見に行ったPRO Rugbyの試合にも地元のケーブルTime Warnerの放送車が横付けされて、ああ地元ケーブルではPRO Rugbyの放送があったんだなと感心。アメリカ市場経済・競争原理の結露だなあと思って眺めていました。全国放送には向かないけれど地域ならそれなりに人的地域的につながる人たちが見る(かもしれない)ものを他にもいろいろ細かく囲い込んで全国型TVプロバイダに対抗している。このビジネス戦略パターンは極マイナーなものが大半ですが、マイナーとメジャーの中間というべきサッカーMLSやさらにその上のホッケーNHLや野球MLBにも食指を伸ばそうかという勢いがある。人目に触れ易い時刻・チャンネルでの全国放送がしっかりとあるメジャー級のスポーツはそうなっても全国レベルの露出はあまり落ちませんが、ラクロスMLLのように全国放送が脆弱(今季はCBS Sportsnetworkでプレーオフ3試合など極僅か)だと一気に露出が落ちちゃうんだなあと。これからまだ伸ばしていかなければならない立場のマイナープロとしては痛し痒し。当面は地域チャンネルからのお金で財政立て直しという感じでしょうか。せっかく大激戦になっているリーグ戦終盤が露出が落ちているのはもったいないかも。

なお私の視聴環境でも試合を積極的に見ようと思えばESPN系のネットストリームであるESPN3を通じてほとんどの試合は見ることはできます。単にTVでたまたまという露出機会の喪失という話です。カレッジラクロスが大幅に露出を伸ばしたタイミングでプロがそれを上手く拾う機会を逃しているのはもったいないですが、経済的体力を養っている時期ということになるのかもしれません。