若干唐突に性転換者の権利を巡って妙な影響がスポーツ界に及んできています。ノースカロライナ州がこの春から施行した性転換者のトイレの使用に関する法律が差別的だと糾弾されて、その煽りでこの秋に始まるシーズンのDukeのバスケットボールの試合がキャンセルを受けたり、また2017年に予定されるNBA All Star Game@Charlotte Hornetsがキャンセルされる可能性が取り沙汰されています。今年は大統領選挙年。性的マイノリティに支持が多い民主党政権が南部州に仕掛けた政争なのかなんなのか。どういう落としどころになるのか気になる話です。

まずDukeバスケットボールの方の事情はこうです。ニューヨーク州の州立大学であるAlbanyが@Dukeの試合を予定していたのですが、これをAlbanyがキャンセル。理由は州知事命令で州の組織による不要不急のノースカロライナ州への渡航を禁止するというのが出て、それに沿ってAlbany大の男子バスケチームがノースカロライナ州内にあるDukeに行けないことになった、ということになっています。知事命令の理由は上述のノースカロライナ州の法律の施行です。

NBAのAll Star戦についてはコミッショナーのAdam Silverが「我々のメジャーイベントをこのままではノースカロライナ州では行えない。別の場所での開催に切り換えるためには残された時間はあまりない」と公言しています。準備期間やチケットのセールスを考えると確かに場所を変更するなら早めに決定を下したいのはわかります。

が、そもそもこれはそんな大事な案件だったんでしょうか。NBAにとってAll Star戦を回避するほど? 確かにNBAは他のプロスポーツと違って女子部WNBAを組織内に抱え、WNBAは選手およびファンにLGBTや支持者をかなり多めに含んでいるというのがあって他のジャンルよりはこの問題に対して敏感な面はあるのでしょう。一方ニューヨーク州は州全体はどうかわかりませんが、ニューヨーク市は性転換者は相当に多い街なのは、まあ同市で新聞を買ったことのある方にはわかると思います。NBA、ニューヨークにそれぞれ事情はあるとしてもボイコットまで進むとは随分と唐突かなという気もしないでもないです。

ノースカロライナ州でスポーツというと、つい先日MLBがFort Bragg Gameを行ったばかり。正確を期せば軍基地敷地内は法律上は連邦直轄地であって州法は関係ないということでもあるし、MLBとMLB選手会が資金を出し合ってFort Braggにスタジアム建設をし始めたのは同法の施行前で、施行されたからと言って中止するわけにもいかなかったかなとは思います。が同時にMLBはあまりこの問題にNBAほど気を遣わなかったかなという気もします。NBAの方がMLBよりはリベラル、MLBの方が保守的な傾向でしょうし。

Super Bowl 50のハーフタイムショーの例のメッセージの件もあり、大統領選挙年に合わせてLGBTが大攻勢、その余波をスポーツ界も好むと好まざるとに関わらずかぶっているということになります。