今回のKevin DurantのFA移籍もそうですし、以前のLeBron JamesのMiami HeatでのBig 3結成のときもそうでした。批判のうちに「これじゃあ戦力が偏り過ぎるからおもしろくない」というものがあります。言われることは判らないでもないです。

でも本当に戦力って均衡するとおもしろいのかなあというのも同時に思います。現在のNBA以上に戦力が均衡していないスポーツジャンルというのはいくつかあると思います。欧州サッカーなんかが代表的でしょう。常に同じ1~2チームが多数の国のトップを占めている。何十年も同じ顔ぶれだったりする。それと比較すればNBAは強力チームは常に入れ替わっている。または贅沢税導入前のMLBも戦力不均衡でした。カレッジスポーツも富めるものとそうでない学校との差は相当に大きいし固定化している面は強い。F1もそう。でもこれらのジャンルがアメリカでも他国でも人気を博してきた歴史があるわけです。

カレッジスポーツは一校当たりの奨学生の数をコントロールすることで格差の是正も進みましたがそれでもやはりエリート校はいつもエリート校らしい選手を揃えてきます。MLBは贅沢税制が効いてかなりの戦力均衡化は進みました。ですがそれがMLBの人気の伸張に寄与したかというとなかなか微妙です。小マーケットで長年苦労したKansas City Royalsの大復活なんていうのは贅沢税制時代の成果のひとつでしょうし、あれはあれで楽しく見られたんですが、他方過去悪の帝国として全米規模の注目の的だったNew York Yankeesが全国レベルの注目を落としたのはMLB全体の露出にとってよかったのかどうかというのは議論があって良いところ。

極端な例を他に挙げるとTiger Woodsの全盛期のゴルフなんていうのも戦力均衡からは真逆な時代でした。常にTiger Tiger。一強時代です。戦力が偏っていた。でも実際にはTigerが勝つかどうかだけが気になるスポーツファンが続出したので戦力均衡でないからこそ当時のゴルフが注目を集めたのですよね。

逆に戦力均衡が極端に進んだ例をアメスポで挙げるとNASCARやサッカーMLSがそれに当たります。先週末にMLSのNew York Red Bulls@New York City FCのダービー戦がありました。MLS参戦二年目となったNew York Cityがダービー対決五度目で初勝利、2-0。この試合で勝って同チームはMLS東カンファレンスのトップに立ちました。しかしその戦績は7勝5敗6分。この成績でトップです。サッカーという競技の特性もあってどのチームもどんぐりの背比べというMLSの試合は興味を持たれにくい面があります。焦点がない、と言ってもいい。欧州リーグのように興味の焦点となる強いチームがいて、それに他の群小チームが特攻をかますとか、強いチームが評判通りの強さで相手を蹴散らすとか、そういうのがMLSにはほとんどありません。これ、おもしろいでしょうか。私がシーズンチケットを所有して特定チームを応援していた頃はホームチームの選手はよく知っていたし、使われ方も選手としての特徴も把握していたから試合の中でちょっとした違いを感じとれるので楽しめた面はありますが、そうでないチーム同士の試合、それもどっちが強いともわからない試合「ばかり」のMLS。観戦に焦点が合わずなかなかにつらいものがあります。戦力均衡ってサッカーに合ってないのかもなあと思わされるわけですね。

話があちこちに飛びました。で、元の話に戻ってNBAのDurantのGolden State行きってそんなにNBAをつまらなくするんでしょうか?というかそこまで言うほど圧倒的に強くなるんでしょうか。強くなったとして、強いチームがいるからといってそれがそのまま問題なのでしょうか。

Michael Jordanの最強Bullsの頃もBullsが最強なのは誰の目にも見えましたがリーグの人気は上がりました。あれはTigerの頃のゴルフと似た現象だったでしょう。単焦点だが注目度抜群だったというやつです。LeBronのMiami Heat移籍も結成当時一時的に反発は招いたものの結局は注目度は突出、NBAの人気をさらに加速させました(それが現在のNBA収入増そして今オフのサラリーキャップの増大として形になってます)。KobeとShaqの対立ドラマ付きのLakersの興亡もまた良かったです。どれも当時一強チームに近い状況でNBAは人気を博してきた現実があるわけです。結果から見ると一強のように見えても実際にはどこかが必ず何かをしかけてきて好勝負激戦が展開されてきたんじゃなかったんでしょうか。

今回のDurant入りWarriorsがこれらの一強チームのような求心力を得られるのか。見るのも飽きるほど勝ち込むのか。そうでもないような気がするんですがどうでしょう。勝ち込んだとしたら戦力が不均衡でおもしろくなくなるのか。私にはたぶん逆になるように思えるんですがどうでしょうか。LeBronのHeatが毎年FInalsまで勝ち進んだ。初年度は惜敗、二年目に遂に優勝。あの辺りの盛り上がりぶりは大変なものでした。Durantを加えた新Warriorsが肯定派否定派双方の期待通り予想通りに勝ち込んだらNBAはどうなるかというと、たぶんまた盛り上がっていくんじゃないでしょうか。Clevelandとの三年連続Finals?1勝1敗後の両チームの決着戦三度目の正直?それもまた良いのではないかと思うんですがどうでしょう。(Clevelandの助っ人にWadeが来る、という当ブログが期待していた展開はなくなりましたが)