先週末のNCAAベースボールトーナメントを見ていたときに放送中に聞いた話題です。64校でのトーナメントの全体の第2シードとして登場していたLouisville Cardinalsの監督が契約延長をして年間のサラリーが$1 millionになったという話をしていました。全体で2026年までの契約で毎年$1 million。ざっと年俸1億円、契約満了までで10億円。カレッジベースボール界では初の年俸ミリオン越えです。ちょっと驚きました。

カレッジスポーツの常識としてはフットボールと男子バスケは黒字。バスケ女子と野球はごく一部のエリート校のみ黒字。あとの全種目は(極僅かな例外を除いて)赤字とされます。フットボールやバスケが稼いでくるカネで他の競技は運営できている学校が多いわけです。カレッジベースボールでLouisvilleは絶対に(強調しておきます。絶対に)エリート校ではありません。全米8強が集うCollege World Series (CWC)にLouisvilleが出場したのは2007, 2013, 2014の3シーズンのみ。近年になって急に登場するにようになったもののいわゆる人気校でもエリート校でもない。そのLouisvilleで監督が総額10億円の長期契約を結ぶのか、と驚いたわけです。どこからそのカネ、出てきてるの?と。調べてみてもCardinalsの本拠スタジアムは収容4,000人とカレッジベースボールの上位校の中では平均的。カレッジベースボールはシーズンも短く、ホームゲームはせいぜい30試合強。カレッジベースボールは普段はスポーツニュースに乗ることもないマイナーな扱いが多いはず。地方によってばらつきがあるのでLouisville界隈では取り上げられているのかもしれませんが、それにしてもどうやって$1 million、唐突な感がぬぐえません。

野球でLouisvilleと言えば野球用具メーカーLouisville Sluggerの本社所在地。私も同社の工場見学(スター選手の製造過程の特注バットなんかも見せて貰えました)および併設されたミュージアムを見学したことがあります。都市名を付けた野球用具の専門会社でもあり地元プライドからそこからなんらかの援助が入っていたとしても金額が突出し過ぎているような。

これはどういうことなのか。カレッジベースボール全体に放映権料などお金が流れ込んできていることの現れなんでしょうか?伝統的にカレッジベースボールはマイナージャンル。これはプロのマイナーリーグが全米の隅々まで配置されており、大量のプロ野球選手が存在していたため、そのさらに残りの選手がカレッジベースボールを構成していたことや、学校の春シーズンに限って展開するカレッジベースボールのシーズンの短さ、動員の見込める夏休みの時期にはプレーしていないなどに起因します。それが大学経由のMLBでの成功例が増えたことでカレッジベースボールのイメージが上がった。TVチャンネルの極端な多局化で慢性的なコンテンツ不足で、一般に馴染みやすいベースボールが放映される機会が過去10年強で増えたなどというトレンドはあった。だからと言ってLouisville程度(失礼)の学校でそんなお金を突っ込めるほどカレッジベースボールにお金が流れ込んできているというイメージはなかった。Louisville程度でこんなサラリーが出るのなら、カレッジベースボールの名門Texas(つい最近前監督が解任)の次期監督にはいくらぐらい出るのか。カレッジの監督のサラリーのバブル到来になるのか。