アメリカ国内男子サッカープロリーグというとトップリーグとしてMLS(20チーム)があり、その下にNew York Cosmosなどが所属するNASL(11チーム)があります。そのさらに下にUnited Soccer League(USL、29チーム)というのがあるんですが、そのUSLの新チームのお話です。

中西部オハイオ州に今季から新設されたFC Cincinnatiというのがあるんですが、これがなぜか謎の大ウケで4月の初の主催試合に20,497人を集めています。USLの試合としてはリーグ史上最大の動員とか。場所は同市のCincinnati大のフットボールスタジアムであるNippert Stadium(収容4万人)で。同スタジアムは私も行ったことがあります。昨年新装完成となったばかりのキャンパス内に建つ好立地のスタジアム。カレッジフットボールスタジアムとしては全米で3番目に古いスタジアムだと昨年試合中継で紹介されているのを見ました。

4万人収容で2万人ですからざっと半分を埋めたわけですが、現地にいた人の話によると異様な盛り上がりだったということです。同大はバスケットボールでは過去かなり勝った歴史があり学内のトップスポーツ。フットボールではまあまあの学校です。CincinnatiにはNBAチームがないのでカレッジバスケは重要な冬のスポーツエンタメです。同大のスポーツイベントは学内で告知がされるのですが、このFC Cincinnatiの開幕戦は学外のプロチームに貸し出す形だったため同大内では事前のイベント告知もなかったようで、そのため学校関係者は、時期はずれに多くの観客がキャンパス内を訪れスタジアムから歓声があがるのを見聞きして「何の試合をやってるんだ?」と驚いたたようです。

FC Cincinnatiのヘッドコーチは元米代表だったJohn Harkesが勤めていますが、所属選手たちは無名選手ばかり。初ホームゲームの対戦相手は近隣市のLouisville City FC。近場のチームで自然な形のライバル心は湧くにしてもいきなり2万人?MLSのクラブでも2万人を集めるには苦労する中、なぜに創設したばかりの知名度のないFC Cincinnatiが2万人超を動員できたのか。なんでもサッカージャージ(種類は問わない)を着用している観客は入場料$1割引とかなんか細かい優遇策もあったそうですが、それにしても謎です。地元での第2戦は同所で11,318動員となっており半減していますから2万人平均で推移するということはなさそうですが1万人超でも立派なものです。3部の新チームがこれだけのスタートダッシュの動員ができるというところにスポーツ観戦需要の高さを見るべきなんでしょうか。

Cincinnati市では野球のMLB Cincinnati Redsが大きな人気を誇り地元の春夏のスポーツ観戦需要を長年満たしているわけですがそこにプロサッカーが割って入れる可能性があるのでしょうか。他にはNFLのBengalsがありますが、NBAやNHLは存在しない(マイナーリーグホッケーはあります)ので他の大都市と比べると比較的スポーツエンタメが薄いとも言えます。

サッカーのトップリーグであるMLSには同州内Columbus市にColumbus CrewがMLS創設メンバーとして所属。CrewはMLSの初期に最もビジネス的に成功したチームでした。ColumbusとCincinnatiは1時間半ほどの距離。MLSは地域ライバルチームを設定することでレギュラーシーズンを盛り上げる策を過去とってきているんですが、Columbusには近隣ライバルがなく、仕方なく車で5~6時間離れたChicago Fireを疑似地区ライバルとして設定しています。地理的に対抗意識を煽るにはちょっと無理があります。そのためMLSはオハイオ州二番目のチーム=CrewのライバルとしてClevelandにチームを作ることを画策したこともありますがうまくいかずに立ち消えした過去もあります。そういう経緯があるだけにもしFC Cincinnatiが3部のUSL所属でも1万人程度ならいますぐに見込めるとすれば遠からぬ将来にMLSの次の拡張先として急浮上という可能性もありうる突然の登場と言えます。FC Cincinnatiの地元開催第3戦以降の動員の推移が気になるところです。