先日来注目しているNHLの東カンファレンスのプレーオフ枠争いについてですが、NHL特有の順位決定のルールのために土曜日に行われる試合で普段は見られない特殊な戦法がとられる可能性があるのでご紹介してみます。Detroit Red Wingsがサドンデスの延長戦でゴーリーを引き上げて特攻で勝ちに行く可能性があります。

事情はこうです。土曜日の同時刻のフェイスオフでDetroit Red Wings@New York Rangers戦と、Ottawa Senetors@Boston Bruinsの試合があります。DetroitとBostonがプレーオフ争いの当事者(もう1チームのPhiladelphia Flyersは両試合が終わったあとに試合があります)。DetroitとBostonは勝点93で同点。勝点で並んだ場合、今のままならDetroitがROWで1上回るためDetroitのプレーオフ当選。ROWとはRegulation and overtime wins、つまりシュートアウト以外の勝ちの数です。但し。ROWの差は僅か1。最終戦でBostonが非シュートアウトで勝って、Detroitがシュートアウトで勝利した場合、勝点でもROWでも2チームが並んでしまうことになります。その場合は当該チーム間の試合での勝点の多寡でタイブレークがはかられる規程。今年のDetroit x Bostonの4試合の勝点はBoston 6、Detroit 3でBostonが上になるということになるんですね。

ということはです。同時進行しているこの二試合のうちBostonが既にレギュレーションで勝利の場合、Red Wingsから見るとシュートアウト勝ちではBostonにひっくり返されてプレーオフ順位がBostonの下になってしまうのです。ですからもし延長戦に入ってしまったら無理矢理でも延長戦の5分間のうちに決勝ゴールが欲しいということが起こりうる。そのためGKを引き上げてエンプティネットで4対3の延長戦を戦う可能性があるということです。これ、この2チームだけの争いなら間違いなく上記の条件ならDetroitは延長戦の特攻エンプティネットに行くべきです。それが合理的な考え方です。

ところがもう一つ考えなくてはいけないのはPhiladelphia FlyersがBoston/Detroitが全日程を終えた後に試合をするという点。Flyersは現在勝点92で2試合残り。Flyersが残りの2試合を勝てば勝点96となって一気にBostonもDetroitも抜いて自力でプレーオフ当選なのですが、その対戦相手はPittsburgh PenguinsとNew York Islanders。Penguinsはここ数週間勝ちまくっているし、Islandersは可能性として最終戦までプレーオフのホームアイスアドバンテージを争っている可能性があり、Philadelphiaが楽勝で2つ勝ち星を積み重ねられると計算できる相手ではない。つまりどこかで勝点を失ってFlyersは95なり94なりまでしか勝点を伸ばせない可能性がある。その可能性があるのでDetroitはタイブレーカーで対Bostonで負けることがわかっていても上記の特攻エンプティネットに行けないかもしれない。Bostonに抜かれる可能性が見えていても普通に戦って、最悪シュートアウトで勝って勝点95として、あとはPhiladelphiaが勝点を1以上落とすことを祈るだけというやり方もあり得ます。FlyersのROWはDetroitよりも3少ないため絶対にROWではFlyersはDetroitに(Bostonにも)追いつけないので勝点で並べばFlyersが脱落となるので。

ごちゃごちゃ言いましたが、細かい事を抜きに整理し直すと、DetroitとPhiladelphiaは自力プレーオフ進出の可能性があり、Bostonには自力進出はない。Detroitはシュートアウトにならずに勝てば進出確定。Philadelphiaは2連勝すれば進出確定。当該チームが勝点を落としまくる他の可能性もいろいろありますが、その場合は各チームはROWを積み重ねられないことになるので、ROWが現在最も高いDetroitが有利となります。