アメリカとキューバの国交正常化が昨年なされ、現在オバマ大統領がキューバ訪問中です。現職大統領のキューバ訪問は第30代大統領クーリッジが1928年に訪れて以来とか。両国の友好の象徴記念行事として今日MLB Tamba Bay Raysとキューバ代表チームの試合があり、ESPNで放送。試合開始の数時間前からESPNではこの試合について大々的に現地からレポートを続け、試合後も相当の時間をこの試合に割きました。国際政治のニュースに関心を示さない層にもこういう形で見せることでこの国交回復の意義やその背景を知らせることにもなるのでしょう。大統領の家族、国務長官、Jackie Robinsonの奥様、MLBからはコミッショナー、Derek Jeter、Joe Torreなどもこの記念試合を現地入りして観戦しています。動員は55,000人満員。なんでも観衆は全員事前に招待された人のみだったとのこと。その辺りに共産主義政権下の色を感じさせるところで、その点は何度も試合中に紹介されていました(米国政府の意向なんでしょう)

国交正常化が発表化された時点ではMLBが近い将来にそこから大きな恩恵を受ける可能性があるということを当ブログでも速攻で書いたわけですが、キューバ側にはしっかりしたブレインがいたようで政治的にもスポーツの面でもなし崩しに譲歩することなく、その一方友好的な歩みは止めずこの日に至っています。

今回対戦するキューバ代表チームは来年の第4回World Baseball Classicにも参加する可能性のある若い選手たち。過去約300人ほどのキューバ代表級の選手がキューバを脱出しており、そのせいもあって昨今のキューバ代表チームのレベルは下がっているのだと紹介されてもいました。確かに昔のイメージのすごい上半身のガンガンフルスイングしてくる空振りを見ただけで怖いような打者は今日のメンバーでは見あたらず。試合はTampa Bayの投手陣をまったくキューバが捉えられず、最終回にやっとホームランで一矢を報いたものの4-1でRaysの快勝。

来年の今頃のWBCの開催までに一部の禁輸措置が解除されて過去3回の大会ではキューバチームが受け取ることのできなかった出場給や優勝賞金などを受け取れるようになっているんでしょうか。またこれらのキューバ在住の選手たちだけでなく、MLBに在籍するキューバ人選手(現在メジャーロースターに30人いるとのこと)から代表チームに参加できる選手が出たりするんでしょうか。

Tampa Bay Raysの方はキューバ移民の選手は40人のメジャー支配下選手にはいなかったのですが、マイナー組織に所属していた3年前にキューバからやってきた選手をこのチームに入れて先発・トップバッターとして起用。キューバ在住の観衆からすると微妙な立場の選手ではありますが、大きな拍手を浴びていました。

アメリカ国内でキューバ移民の多い土地柄というとTampaよりもMiamiの方が圧倒的に多いのですが、MLBはMiami Marlinsを選ばずTampaを派遣。たぶんそれは正解だったのでしょう。Marlinsの本拠地のすぐそばにはLittle Havanaというキューバ移民の街があります。数ブロックの本当にすぐそばです。今回の国交回復については在米キューバ人コミュニティでは賛否両論でかなりもめており、マイアミでも反対のデモが何度も起こったりしており、たぶんMarlinsを派遣すると必要以上に地元の反対論者を刺激して逆効果とMLBは判断したんじゃないかと推測します。

試合中にオバマ大統領が生出演して喋っていましたが、相変わらず優秀な話し手だなと感心します。外交、野球、歴史など多岐にわたる話題を即興のジョークも交えて分かり易い切り口でそつなくこなしていました。こういう能力がないと長い大統領選挙を超えて勝てないんだろうなあと改めて思いました。